台風11号が過ぎ去って台風一過がくると思ったら、青空は二日後に見えました。朝、森の中を歩いてみると、自然の“有り難い”が心に浸みました。
葉の上では木々が滴を上空に蒸発させていました。やがて水蒸気が集まって雲となっていくことでしょう。
その葉は太陽のエネルギーと二酸化炭素を吸収して私たちに欠かせない酸素をつくっています。
また同時に、木々は自分たちの栄養をつくり、これから全てのいのちの源に育っていくために努力をしています。
立秋が過ぎたので木々たちは虫たちと協働して子孫を残しています。しかし、木々たちのためだけでなく、協働してくれている生きものたちにも栄養を配分しています。
熟した実はやがて地面に落ちて虫、鳥、ツキノワグマ、ネズミなどへ栄養を分け与えています。人間のように独占はしません。
地表では菌糸が働き、キノコを育てて、虫やねずみ、鹿たちに栄養を分けています。勿論、私たちもその恵みを頂いています。
11月に開催する「森びと設立10年感謝の集い」の記念講演にお呼びしている志村史夫先生は、「IT(インフォーメーションテクノロジー)は“感動どころ”を“あたりまえ”にしてしまうので、人間を感動、感激から遠のけてしまう。
身の回りにあるものが何でも“あたりまえ”になってしまえば、“ありがとう”が影を潜めるのが道理。“あたりまえ”に思っているものの多くは、本当は“あたりまえ”でなく、“有り難い”ことを知らないだけのこと」(『一流の研究者に求められる資質』牧野出版)と述べています。
森ともの皆さん!自然(森)からの感動、感激を体験していますか。これからが台風上陸の本番の季節になりますが、森の一員でしかない私たちの暮らし方は台風から学ばなければならないようです。いのちを大切にして守りぬくことを第一にして。
“考える基本は、経験と知識である。誰でもそれなりの経験を持つが、漫然とした受け身だけの経験ではその基本にはならない”とも述べています。演題・「森に惚れる」と題した志村先生の記念講演をお楽しみに!(理事 高橋佳夫)
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