2026年10月24日 (土)

雨の日の森で考えた、気候危機と私たちにできること

 大雨による浸水、海面上昇、そして地球温暖化。こうしたニュースに触れるたび、「この先、私たちの暮らしや自然はどうなるのだろう」と考えることはないでしょうか。

 10月24日(土)の足尾・松木郷は雨。朝8時30分、気温は13℃。山肌は雨に煙り、肌寒さを感じる朝でした。

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 雨が激しく、外での活動は難しい一日。訪れる人もいなかったため、室内で映像を観ながら、森のこと、地球の未来のことを考えました。最初に観たのは、森びとプロジェクトの10周年を記念して制作されたDVDです。足尾の荒廃した土地に木を植え、森を育ててきた歩みを振り返り、「すごいことをしてきたんだなぁ」と改めて感じました。木を植えることは、苗木を土に植えて終わることではありません。木々が育ち、さまざまな生きものが暮らせる環境をつくり、次の世代へ豊かな自然を引き継いでいくことにつながります。

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 続いて観たのは、2020年にNHK BS1で放送された「気候クライシス IPCC特別報告書からの警告」です。番組では、極地の氷が解けることによる海面上昇や、海岸の浸食で住む場所を移さざるを得ない人々の姿が紹介されていました。日本でも大雨による浸水など、気候変動は私たちの暮らしと無関係ではありません。

 災害から命や暮らしを守る備えは欠かせません。しかし、被害を受けてから対処するだけでなく、温暖化をこれ以上進めないために何ができるのかを考え、行動することも必要です。では、私たちに何ができるのでしょうか。社会の仕組みを変える取り組みも必要です。同時に、自然の変化に目を向け、森を育て、自然と共に生きる暮らしを考えることも、その一歩ではないでしょうか。

 今日は足尾で続けてきた森づくりを振り返りながら、自然を守る活動を未来へつなぐ大切さを改めて感じた一日でした。

    雨が少し小降りになったので、外に出てみました。時折、雄鹿が雌鹿を呼ぶ鳴き声が山に響き、猿たちが歩き回っています。雨に濡れた木々にも、秋の深まりが感じられました。今は桜の葉の赤やシラカンバの黄色が目を引きます。これからモミジやカエデ、カラマツなども色づき、山が鮮やかな秋色に包まれていくことでしょう。森の魅力は、紅葉の美しさだけではありません。季節ごとに変わる木々の姿、動物たちの声、雨の匂い。足を運んで初めて気づく自然の営みがあります。

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 日々の暮らしの中で、自然の変化を感じる時間はありますか。森を歩き、自然に触れることは、私たちの暮らしが自然に支えられていることを見つめ直す機会にもなります。自然を守ることを特別な誰かの活動にとどめず、自分たちの暮らしとつながる問題として考えてみませんか。秋が深まる足尾・松木郷へ、ぜひお越しください。散策の途中には、遊働楽舎「みちくさ」にもお立ち寄りください。

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 本日の「みちくさ」担当は、坂口と筆者・加賀でした。

実りは分かち合い。広場の柿はサルのごちそう、紅葉はこころの栄養。

 10月20日(金)、「松木郷」は青空に包まれています。“みちくさ”に着くと「足尾の8時の気温は5℃だった」と橋倉さんが朝の冷え込みを伝えてくれました。冷え込みのおかげで森びと広場では桜や柿の木が紅葉・黄色し色づきも良くなっています。

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 今日は、アジア太平洋資料センターのツアー参加者の皆さんが、足尾から渡良瀬川下流の谷中村につながる歴史探訪の旅で、旧松木村を訪れます。荒廃地となった渡良瀬川源流の「松木郷」で森づくりを行う森びとプロジェクトの活動を報告できる機会をいただきました。午前中は、会場となる“みちくさ”に参加者用の椅子を運び入れました。“

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 みちくさ”から広場に下りる階段に食べられた柿のヘタと皮が落ちていました。柿の木を見上げると食べかけの柿の実がぶら下がり、果実の数も減っていました。

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 折りたたみイスを軽トラに積み込んで、“みちくさ”に戻る途中で柿の木を見上げると食べかけの実が無くなっています。あれ?と思い、目線をあげると、なんと!大きなサルが果実を小脇に抱え、おいしそうに食べています。目線が合っても逃げません。「食事中です!」と言わんばかりに悠々と食べ続けます。

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 桜の花や実は集団で食べに来ますが、柿の実はボスのひとり占め状態でした。

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“みちくさ”に椅子をセットした後は、11月3日(火)に開催する「中倉山のブナを元気にする恩送り」で「孤高のブナ」の根を保護する黒土の準備を行いました。当日、中倉山に登り草のタネの入った袋に入れて貼り付けます。先日つくったものが12袋あり、植生袋60枚準備していますので、残り48袋をつくりました。1袋に2.5リットル、2㎏でした。

 中倉山の北側斜面にも豪雨の影響で土壌の流出がみられたようです。参加される皆さんと一緒に担ぎ上げたいと思います。

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 袋詰めを終えると、ボスザルは岩の上で中倉山を眺めて食後のひと休みでした。「ブナの実も食べに行こうかなぁ」と考えているのかな?。11月3日に一緒に行きましょう!

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 午後2時10分、予定通りアジア太平洋資料センターのツアー参加者の皆さんが“みちくさ”に到着しました。クロモジのお茶でリラックスしていただき、2005年から荒廃地の植生回復に取り組んできたことを報告させていただきました。

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 2005年、地球温暖化の影響が目に見えるようになり、ブレーキをかけるにはどうしたらいいか。横浜国大の宮脇昭名誉教授の指導を受け、ミズナラやコナラ、クヌギなどもともと足尾に生えていた樹種のドングリを拾い集め、苗づくりからスタート。

 冬場、エサのなくなったサルは芽の出たポット内のドングリを食べ、引き抜かれた苗が枯れ、植樹した苗木はシカに食べられ、雨が降らなければ枯れてしまうことなど、素人集団の森づくりはサルやシカ、自然と向き合わなければ木々を育て森をつくることは出来ないことを学びました。

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 人間の都合で森はつくれないことを教訓に、地球温暖化に歯止めがかからない状況と感じる今日も自然と向き合い、森びとスタッフ、会員や学生、足尾町民など多くのボランティアの皆さんの協力を得て、「森は友だち!」を合言葉に森づくりに汗を流していることを伝えさせていただきました。次回は森の手入れにご参加いただければ幸いです。

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 「こころの園」の菊の花にはベニシジミや多くの虫たちが蜜を求め集まっています。里に下りたのかトンボの数は減っている様子です。

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 “みちくさ”から「臼沢西の森」を眺めると紅や黄に色づき始めている様子が見えます。

 「松木郷」の紅葉はこれからです。みなさまのお越しをお待ちしています。

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 本日の森作業は橋倉さん、加賀さん、筆者清水でした。

(報告:清水 卓)

2026年10月22日 (木)

10年で幹回りが18cm成長!「孤高のブナ」がつなぐ命と、未来への願い

 10月20日、雨に打たれ、風に吹かれながらも、中倉山のブナは今年もそこに立っていました。足尾の煙害を生き抜いてきた「孤高のブナ」。厳しい自然環境のなかで生きるその姿を確かめ、これからも命をつないでいけるように、保護活動に向けた下見と作業を行いました。

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 天気は曇りのち雨のち晴れ。秋の山の天気は変わりやすく、準備を整えて出発すると、間もなく雨が音を立てて降り始めました。尾根に着くころには雨脚がやや強まり、しばらく天候の回復を待つことにしました。やがて風が吹き、雨がやみ始めたため、私たちは再びブナを目指して歩き出しました。途中の岩場では、秋の訪れを感じる景色を眺めながらひと休み。記念写真を撮り、さらに山道を進みます。天候に気を配りながら一歩ずつ進む道のりも、自然と向き合う大切な時間です。

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 やがて目の前にブナの姿が見えてくると、自然と気持ちが高まります。無事に到着し、さっそく木の周辺の状態を確認しました。ブナの根元にある岩場(ガレ場)を確認すると、雨水によって土が流されている場所が見つかりました。山の土は、木々を支え、根に水分や養分を届ける大切なものです。しかし、雨が降るたびに土が流されれば、長い年月をかけて育ってきた木の根にも影響が及びかねません。そこで、土がさらに流れ出すのを防ぐため、土留めを設置し、土を入れた袋を固定する作業を行うことにしました。

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 大きな木を守るためには、木そのものだけでなく、その木が生きる土や周囲の環境にも目を向ける必要があります。現場で変化を確かめ、できる対策を一つずつ積み重ねることが、ブナの命を未来につなぐことにつながります。

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 今回の下見では、ブナの成長も記録しました。幹回りを測ると168cm。10年前の記録は150cmでした。測定方法や測定位置などの条件をそろえて比較する必要はありますが、記録からは、この10年で幹回りが18cm大きくなったことが分かります。厳しい環境のなかでも、ブナは着実に成長を続けています。

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 さらに、地面には次の世代へと命をつなぐブナの実も確認できました。長い年月をかけて育った一本の木が実をつけ、その実から新しい命が育っていく。森の営みは、私たちの目に見える成長だけでなく、こうした小さな命のつながりによって支えられています。自然の力で育つブナを見守りながら、人の手でできることを続けていく。その大切さを、改めて感じる時間となりました。

14_2 続いて、もう一本の「希望のブナ」も観察し、成長の記録を取りました。木の高さは、外から見た目測で約168cmでした。そばに立つ木々の姿を確かめながら、親子の木がともに成長していることに、参加者一同、感慨を深めました。

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 昼食をとるころには、暖かな陽射しが差し込んできました。雨に濡れた山に光が戻り、張り詰めていた気持ちも少し和らぎます。山頂からは、私たちが活動の拠点としている作業小屋や、その上方に広がる臼沢の森を望むことができました。山々にも秋が訪れていることを感じながら、全員無事に下山しました。

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18 今回の下見では、雨による土の流出という課題を確認するとともに、孤高のブナの成長と、次の世代へ命をつなぐ実を確かめることができました。森を守ることは、木を植えることだけではありません。育った木を見守り、土や水の変化に気づき、自然が次の世代へとつながっていく環境を整えることも大切です。足尾の煙害を生き抜いてきた孤高のブナ。その姿は、自然の回復力と、長い時間をかけて命をつないでいくことの大切さを私たちに教えてくれます。

19 11月3日(火・祝)、中倉山の「孤高のブナ」を守る保護活動を予定しています。山の自然に触れ、一本の木が生きる環境について一緒に考えてみませんか。登山や森づくりに関心のある方はもちろん、ブナを守る活動に思いを寄せてくださる皆さんの参加をお待ちしています。参加をご希望の方は、森びとプロジェクト事務局までお申し込みください。一本のブナを守ることから、森の未来を一緒に考えていきましょう。

下見参加者:済賀・福原・山内・清水・永島・山田/文:山田

2026年10月18日 (日)

中学2年生が一人で参加!若い世代と育てる、未来の森

    自分が植えた木が、何年も先の未来に大きく育っていく。そんな森づくりに、中学2年生の男子生徒が一人で参加してくれました。

 10月17日、南相馬市原町区北泉で、市民植樹祭の会場を育てる活動が行われました。市役所の新人職員をはじめ、ボランティアの皆さんが集まり、草刈りや苗木の補植に汗を流しました。

 今回、ひときわ目を引いたのは、中学2年生の渡辺さんの姿です。初めての作業にも臆することなく、ボランティアの皆さんとすぐに打ち解け、アドバイスを受けながら一生懸命に取り組みました。「何もかも初めての体験でしたが、楽しくできました」と、笑顔で話してくれました。

1792248868470    森づくりは、木を植えるだけではありません。植えた木が育つように草を刈り、枯れた木などがあれば新しい苗を植え、長い時間をかけて見守っていくことが大切です。

1792248872070    この日、補植したのは40本。宮城県ファンクラブの林代表から提供いただいたシラカシ、アカガシ、エノキの苗木です。一本一本が、これからの森をつくる大切な命です。苗木を植えた場所が、将来どのような森へと育っていくのか、楽しみです。

 また、植樹祭会場の周辺では、ポイ捨てされた空き缶なども見つかり、その場で回収しました。木々を育てるだけでなく、森を取り巻く環境をきれいに保つことも、自然を守るために欠かせない活動です。

 作業は短時間でしたが、けがもなく無事に終了しました。最後に、渡辺さんには応援隊の一員として、アカガシの苗木を一本プレゼントしました。来年の植樹祭での再会も約束し、活動を終えました。

1792248870588    今日植えた苗木が育つように、そして森を守る思いが次の世代へとつながるように。 若い世代が森づくりに参加してくれることは、私たちにとって大きな励みです。

1792248873608    皆さんも、木を植えた後の森を育てる活動に参加してみませんか。自分の手で自然を守ることの楽しさを、一緒に感じていただけたらうれしいです。(南相馬市鎮魂復興市民植樹祭応援隊・東城敏男)

2026年10月17日 (土)

気持ちを和らげる香りを体感できる森の手入れ

 20261017 朝8時、軽自動車のフロントガラスの朝露を拭いて足尾ダムへ向けてアパートを出発。途中、お世話になっている80歳代の一人暮らしのTさんに挨拶をし、互いに元気なことを確かめあいました。森の手入れの現場は上の写真の通りの秋空で、モズの囀りや雄鹿の鳴き声を聴きながら深まりゆく秋を体感できました。20261017_2

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20161017 昼飯前の手入れは20年間の足尾・森づくりでは植えてこなかったクロモジを植えました。この低木は日光市在住のSさんから頂きました。運ぶ途中、車に積んだクロモジからは運転で緊張している気持ちを和らげる香りが漂ってきました。クロモジでよく言われていることは羊羹や饅頭等を食べる時に使われている爪楊枝の材でもあります。半日陰のところに生えているのが多いという記憶をもとに植える場所を選び、丁寧に植えました。20261017_4 午後は「森の番人」のOさんが友人から頂いたツツジ12本を植え直しました。植えた後には幹の樹皮が動物に剥がされないように幹や枝をネットで囲いました。これまではツツジ、ミツマタ、アセビ等は冬に幹や枝が獣害にあいませんでしたが、近年の冬には樹皮が剥がされるようになりましたので、広場に植えたツツジにネットをまきました。20261017_5

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20261017_6 日中はツクツクボウシがが鳴いていましたが、午後2時半頃になると蝉は鳴き止み、広場全体が日陰になりましたので、私たちは帰路につきました。今日の森の手入れは、鎌田、橋倉、済賀、そして筆者の髙橋でした。

 

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