2026年10月22日 (木)

10年で幹回りが18cm成長!「孤高のブナ」がつなぐ命と、未来への願い

 10月20日、雨に打たれ、風に吹かれながらも、中倉山のブナは今年もそこに立っていました。足尾の煙害を生き抜いてきた「孤高のブナ」。厳しい自然環境のなかで生きるその姿を確かめ、これからも命をつないでいけるように、保護活動に向けた下見と作業を行いました。

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 天気は曇りのち雨のち晴れ。秋の山の天気は変わりやすく、準備を整えて出発すると、間もなく雨が音を立てて降り始めました。尾根に着くころには雨脚がやや強まり、しばらく天候の回復を待つことにしました。やがて風が吹き、雨がやみ始めたため、私たちは再びブナを目指して歩き出しました。途中の岩場では、秋の訪れを感じる景色を眺めながらひと休み。記念写真を撮り、さらに山道を進みます。天候に気を配りながら一歩ずつ進む道のりも、自然と向き合う大切な時間です。

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 やがて目の前にブナの姿が見えてくると、自然と気持ちが高まります。無事に到着し、さっそく木の周辺の状態を確認しました。ブナの根元にある岩場(ガレ場)を確認すると、雨水によって土が流されている場所が見つかりました。山の土は、木々を支え、根に水分や養分を届ける大切なものです。しかし、雨が降るたびに土が流されれば、長い年月をかけて育ってきた木の根にも影響が及びかねません。そこで、土がさらに流れ出すのを防ぐため、土留めを設置し、土を入れた袋を固定する作業を行うことにしました。

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 大きな木を守るためには、木そのものだけでなく、その木が生きる土や周囲の環境にも目を向ける必要があります。現場で変化を確かめ、できる対策を一つずつ積み重ねることが、ブナの命を未来につなぐことにつながります。

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 今回の下見では、ブナの成長も記録しました。幹回りを測ると168cm。10年前の記録は150cmでした。測定方法や測定位置などの条件をそろえて比較する必要はありますが、記録からは、この10年で幹回りが18cm大きくなったことが分かります。厳しい環境のなかでも、ブナは着実に成長を続けています。

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 さらに、地面には次の世代へと命をつなぐブナの実も確認できました。長い年月をかけて育った一本の木が実をつけ、その実から新しい命が育っていく。森の営みは、私たちの目に見える成長だけでなく、こうした小さな命のつながりによって支えられています。自然の力で育つブナを見守りながら、人の手でできることを続けていく。その大切さを、改めて感じる時間となりました。

14_2 続いて、もう一本の「希望のブナ」も観察し、成長の記録を取りました。木の高さは、外から見た目測で約168cmでした。そばに立つ木々の姿を確かめながら、親子の木がともに成長していることに、参加者一同、感慨を深めました。

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 昼食をとるころには、暖かな陽射しが差し込んできました。雨に濡れた山に光が戻り、張り詰めていた気持ちも少し和らぎます。山頂からは、私たちが活動の拠点としている作業小屋や、その上方に広がる臼沢の森を望むことができました。山々にも秋が訪れていることを感じながら、全員無事に下山しました。

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18 今回の下見では、雨による土の流出という課題を確認するとともに、孤高のブナの成長と、次の世代へ命をつなぐ実を確かめることができました。森を守ることは、木を植えることだけではありません。育った木を見守り、土や水の変化に気づき、自然が次の世代へとつながっていく環境を整えることも大切です。足尾の煙害を生き抜いてきた孤高のブナ。その姿は、自然の回復力と、長い時間をかけて命をつないでいくことの大切さを私たちに教えてくれます。

19 11月3日(火・祝)、中倉山の「孤高のブナ」を守る保護活動を予定しています。山の自然に触れ、一本の木が生きる環境について一緒に考えてみませんか。登山や森づくりに関心のある方はもちろん、ブナを守る活動に思いを寄せてくださる皆さんの参加をお待ちしています。参加をご希望の方は、森びとプロジェクト事務局までお申し込みください。一本のブナを守ることから、森の未来を一緒に考えていきましょう。

下見参加者:済賀・福原・山内・清水・永島・山田/文:山田

2026年10月18日 (日)

中学2年生が一人で参加!若い世代と育てる、未来の森

    自分が植えた木が、何年も先の未来に大きく育っていく。そんな森づくりに、中学2年生の男子生徒が一人で参加してくれました。

 10月17日、南相馬市原町区北泉で、市民植樹祭の会場を育てる活動が行われました。市役所の新人職員をはじめ、ボランティアの皆さんが集まり、草刈りや苗木の補植に汗を流しました。

 今回、ひときわ目を引いたのは、中学2年生の渡辺さんの姿です。初めての作業にも臆することなく、ボランティアの皆さんとすぐに打ち解け、アドバイスを受けながら一生懸命に取り組みました。「何もかも初めての体験でしたが、楽しくできました」と、笑顔で話してくれました。

1792248868470    森づくりは、木を植えるだけではありません。植えた木が育つように草を刈り、枯れた木などがあれば新しい苗を植え、長い時間をかけて見守っていくことが大切です。

1792248872070    この日、補植したのは40本。宮城県ファンクラブの林代表から提供いただいたシラカシ、アカガシ、エノキの苗木です。一本一本が、これからの森をつくる大切な命です。苗木を植えた場所が、将来どのような森へと育っていくのか、楽しみです。

 また、植樹祭会場の周辺では、ポイ捨てされた空き缶なども見つかり、その場で回収しました。木々を育てるだけでなく、森を取り巻く環境をきれいに保つことも、自然を守るために欠かせない活動です。

 作業は短時間でしたが、けがもなく無事に終了しました。最後に、渡辺さんには応援隊の一員として、アカガシの苗木を一本プレゼントしました。来年の植樹祭での再会も約束し、活動を終えました。

1792248870588    今日植えた苗木が育つように、そして森を守る思いが次の世代へとつながるように。 若い世代が森づくりに参加してくれることは、私たちにとって大きな励みです。

1792248873608    皆さんも、木を植えた後の森を育てる活動に参加してみませんか。自分の手で自然を守ることの楽しさを、一緒に感じていただけたらうれしいです。(南相馬市鎮魂復興市民植樹祭応援隊・東城敏男)

2026年10月17日 (土)

気持ちを和らげる香りを体感できる森の手入れ

 20261017 朝8時、軽自動車のフロントガラスの朝露を拭いて足尾ダムへ向けてアパートを出発。途中、お世話になっている80歳代の一人暮らしのTさんに挨拶をし、互いに元気なことを確かめあいました。森の手入れの現場は上の写真の通りの秋空で、モズの囀りや雄鹿の鳴き声を聴きながら深まりゆく秋を体感できました。20261017_2

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20161017 昼飯前の手入れは20年間の足尾・森づくりでは植えてこなかったクロモジを植えました。この低木は日光市在住のSさんから頂きました。運ぶ途中、車に積んだクロモジからは運転で緊張している気持ちを和らげる香りが漂ってきました。クロモジでよく言われていることは羊羹や饅頭等を食べる時に使われている爪楊枝の材でもあります。半日陰のところに生えているのが多いという記憶をもとに植える場所を選び、丁寧に植えました。20261017_4 午後は「森の番人」のOさんが友人から頂いたツツジ12本を植え直しました。植えた後には幹の樹皮が動物に剥がされないように幹や枝をネットで囲いました。これまではツツジ、ミツマタ、アセビ等は冬に幹や枝が獣害にあいませんでしたが、近年の冬には樹皮が剥がされるようになりましたので、広場に植えたツツジにネットをまきました。20261017_5

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20261017_6 日中はツクツクボウシがが鳴いていましたが、午後2時半頃になると蝉は鳴き止み、広場全体が日陰になりましたので、私たちは帰路につきました。今日の森の手入れは、鎌田、橋倉、済賀、そして筆者の髙橋でした。

 

2026年10月16日 (金)

人々の思いに触れた「南摩ダムの集い」

秋晴れの心地よい空のもと、森びとシニアスタッフを中心に「第2回南摩ダムの集い」を開催しました。前回に引き続き、矢口森びとスタッフの同級生や地元の皆さんにご協力いただき、ヤマナシの木の観察や、ダム建設によって暮らしが変わった方々との意見交換を行いました。

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参加者15名が午前9時に上南摩自治公民館に集合し、朝のミーティングを行いました。今回は、ダム建設によって水没した小学校で先生をしていた石塚三代子先生と娘さんにもご参加いただきました。

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矢口森びとスタッフから当日の予定が説明され、続いて森びとの清水副代表から「南摩村が廃村となり、ダムがつくられ、自然も変わってしまいました。そこに暮らしていた人たちの生活を学んでいきたい」と歓迎のあいさつがありました。

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石塚先生は上南摩小学校と、当時分教所だった梶又小学校で教鞭をとられ、先生ご自身の住まいもダムの底に沈んだことが紹介されました。続いて、石塚先生ご本人から、ご自身が詠まれた短歌を紹介していただきました。

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—―「此処に生まれ此処に老いゆきダムとなり小さな団地に独りの生活(たつき)」——

まもなく白寿(99歳)を迎えられる先生は、生まれ育った故郷を離れ、現在は10軒ほどの小さな団地で一人暮らしをされています。この一句からは、長年暮らした故郷への深い愛着と、ダム建設によって住み慣れた土地を離れなければならなかった寂しさが伝わってきました。

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次に、奈良陸軍大将(男爵)の生家を訪ね、ダムの水をせき止める大きな壁「堤体」の真下にあるヤマナシの木を観察しました。残念ながら実は一つも見つかりませんでしたが、木の根元から二股に分かれて伸びる姿が印象的でした。かつてこの地で営まれていた暮らしを、今も静かに見守っているかのように感じられました。

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その後、近くの竜神様集会所に移動し、奈良茂男さんと石塚先生から、ダム建設に伴う暮らしや自然の変化についてお話を伺いました。お二人の話を聞いて、ダム建設によって地域の姿が大きく変わった一方で、その土地で育まれた歴史や人々の思いは、今も一人ひとりの心の中に生き続けていると思いました。

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私たちは、足尾・松木郷で20年以上にわたり森づくりを続けてきました。今回の集いを通して、森づくりは木を植え、育てることだけではないと、改めて感じました。森には、植樹や育樹に携わってきたボランティア一人ひとりの思いや、活動を通して生まれた人と人とのつながりがあると思います。その思いを受け止め、次の世代へ伝えていくことが、私たちが森づくりを通して学び、実践していく大切なことではないかと強く感じました。

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昼食は、石塚先生と一緒にスノーピークの蕎麦屋でいただきました。その後、上南摩自治公民館前で解散し、今回の集いを終えました。貴重なお話を聞かせてくださった奈良茂男さん、石塚三代子先生、ご協力いただいた皆さまに、心よりお礼申し上げます。また、集いを支えてくれた矢口スタッフと参加者の皆さま、お疲れ様でした。

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今回の「南摩ダムの集い」は、地域の歴史を学ぶとともに、森づくりを通して人と人とのつながりを育み、その思いを未来へ伝えていく大切さを考える一日となりました。

<第2回南摩ダムの集い報告:大野昭彦>

2026年10月12日 (月)

秋空みちくさ

今日(10/12)の足尾は晴れ!雲が高く「秋刀魚(サンマ)が美味しそう!?」と思えるような一日でした。日光に持っていかれてしまったのか、今日も人気(ひとけ)も動物っ気(動物の気配)もない松木でした。

261012135945300 シンジュの木、下から葉を落とすんですね

時折モズの甲高い声が響くほかは、遠くで鳴くセミと秋の虫の声が柔らかく聞こえています。日陰に入ると涼しい風が心地よく、小さな虫たちは風に飛ばされそうになりながらも、活発に飛び回っていました。

261012113640791 何という虫でしょうね

間藤駅から歩き、写真を撮りながらやってきたという東京からの男性が1名立ち寄ってくださいました。休みの日は関東近郊の知らない街や山へ行き、野営をしながら風景写真を撮って歩いているのだとか。1日に30キロ歩くこともあるそうで、ワイルドなお話につい引き込まれてしまいました。明日もまた足尾を歩くそうですが、お気に入りの景色に出会えたでしょうか。

261012101323738 その後、2名の若者がやってきたのですが、どうやら道を間違えて中倉山に行きたかった様子。ルートが違うことを伝えると引き返していきましたが、何だかとても楽しそうな2人でした。

261012101753074 無事に「孤高のブナ」のある中倉山にたどり着けるとよいのですが。261012105646039ちなみにみちくさ周辺のブナを20本近く確認しましたが結実なしでした

お昼前に山田さんがみちくさ前の階段修復を始めたので、私たちもお手伝い。立派な階段が完成しました!作業中「暑いな」と思っていたら、日なたの気温はなんと35度。秋とはいえ、秋とはいえお日様の力はまだまだ侮れませんね。

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261012121747988なんと35度

これから足尾も秋本番を迎えます。この時期ならではの魅力的な景色がたくさんありますので、天気の良い日を見計らって、ぜひ足尾にいらしてください。(舎人 武田、山田、小黒)

261012132845478カラマツはもう少しで葉を落としそうでした

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