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2019年10月の22件の記事

2019年10月31日 (木)

森づくりと異常気象と原発事故に向き合う心を磨いて森作業

 昨日(10/30)の朝、起きてみると家の周りは濃霧、幻想的な世界に筆者を引き込むようでした。そんな気分で車に乗り、南相馬市の雫育苗場に向けて家を出ました。

20191030 大雨後の苗床

 ところが台風19号とその後の大雨の影響で道路の通行規制や通行止めがあり、いつもの道を迂回しなくてはなりませんでした。異常気象の恐ろしさに、うかつで他人事にいた己を実感しました。

20191030_2 飛ばされ壊された苗床の板など

20191030_3  現場には1時間以上の遅れで到着しました。すでにスタッフは育苗場周辺の後片づけも終わり、いっぷくタイムをしていました。

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20191030_6  作業打ち合わせ後、トロ箱で育てたアラカシの苗分けをし、強風によって横倒しになっている苗木を整理しました。

1030  帰り道は、原発事故による放射能汚染で8年過ぎた今も帰還困難地区になっている浪江町津島方面から自宅に帰りました。誰も人のいない荒れ果てた地域の様子を見て、ハンドルを握る手に力が入ってしまいました。いつになったら本当の秋の青空の下で穏やかな空気が吸えるのかと思いながら、運転をして帰りました。昨日の森作業は、応援隊スタッフの岩橋、松林、水井そして筆者でした。(報告 東城敏男)

間もなく、足尾・中倉山の「孤高のブナ」を元気にする活動がはじまります

 足尾の自然の様子を写真で伝えてくれるHさんが中倉山のブナの写真(今月中人撮影)を届けてくれました。写真を見ると、ブナは森の秋祭りで嬉しそうだと私には見えます。3日後には中倉山のブナを元気にする活動が行われますが、その日まで森の秋祭りが見られますように私は願っています。

2019102  ブナが生きていくには厳しすぎる標高で一世紀以上生きている「孤高のブナ」。その上、草木の命を衰弱させる根が土砂流出によって露出しています。この土砂流出を防ぎたいと、草の種と土を混ぜたものを袋に入れて地面に張付ける作業を行うのが、3日後です。

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Photo_2  この「中倉山のブナを元気にする恩送り」に協力してくれる方が40数名集ってくれます。準備は一昨日までに整えましたので、森の秋祭りを楽しみながら草の根の力を借りて、土砂流出をなんとか防ぎたいと願っています。

Photo_3  当日は、朝早くから準備スタッフがスタンバイしています。先発隊は必需品を荷揚げし、中倉山頂上で土の張付け準備を整えています。他のスタッフは、ダムゲート前と登山口では皆さんをお待ちしています。送りだした後、ベースキャンプのスタッフは緊急時に対応できる態勢をとり、下山時にふるまう温かいお汁粉をつくっています。

Photo_4  足尾銅山の歴史を幹に宿しているだろう「孤高のブナ」に会いにくる登山者に、これからも元気な姿を見せくれることを願っています。(東京事務所 済賀正文)

2019年10月29日 (火)

11・3「中倉山のブナを元気にする恩送り」準備が整いました

 10月最後の雨だろう!と思いながら、足尾・三川ダムでスタッフを迎えました。

1 足尾ダムから中倉山方面を見る

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3  足尾・松木沢の気温は10度、小雨降る肌寒い日でした。早速、薪ストーブに薪を入れて暖をとりました。森作業は昨日と同じですが、最後の仕上げをしようと道幅が狭くなっている所の土砂をよけ、道脇のススキも刈りました。

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6  小雨のためか、土砂の匂いが昨日よりも強く感じました。スタッフたちは「どぶ川の匂いがする」と言っていましたが、都会の若者達はどぶ川の匂いと言っても分からない。スタッフには塾の先生がいましたので、「どぶ川」をどのような表現で分かってもらうか等の話しをしながら、休息をとりました。

7  8名のスタッフが協力してくれましたので、本日の森作業予定は午前中に終わりました。昼食後は、11月3日の「中倉山のブナを元気にする恩送り」のタイムスケジュールを詳細にチェックし、楽しいイベントをつくりだす意思統一をしました。

8  秋雨の中を帰路に向かう車窓から観る「松木の杜」の寒桜(10月桜)は、肌寒い空気に馴染んでいる様でした。本日の作業は、鎌田、橋倉、仁平、大野、福原、清水、弘永そして筆者でした。(報告 髙橋佳夫)

2019年10月28日 (月)

土砂片づけの大変さと自然への敬いを感じて森作業

 足尾・松木沢の朝8時半頃の天気は快晴、気温は10度。森作業に集まってくれたスタッフの顔を見ると、気分が爽やかな様子。インスタントコーヒーを飲みながら、作業の打合せをしましたが、話は、台風の被害が日毎に増え、想定外の異常気象に向き合う人間の課題が浮き彫りになってきていることに流れました。

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2  9時半に作業小屋を出発、仁田元川沿いにある中倉山登山口までの道の土砂をどかしました。「中倉山のブナを元気にする恩送り活動」まで後5日となり、登山者が怪我をしないように今日で3回目の作業でした。

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6  土砂の整備は昼までに終わりました。作業中には、台風被害に遭った方々の土砂片づけの大変さを実体験することができ、また、“いなす”という先人の知恵を現代の暮らしに活かしていくことの大切さを感じることができました。明日は伸びきっている道沿いの草刈りを行うことにし、昼食にしました。

7  昼食では、松村さん手製のピリッと辛い柚子こしょうの味見を行い、山本さんからは甘いみかんをいただき、疲れを癒しました。

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Pa288042 松村さんとヤマナシ

 午後は、松村さんと山本さんが2015年に植えたヤマナシを元気にさせようと、周囲の枝伐りを行いました。今では珍しいヤマナシの種から苗を育てた二人。忘れられない7年前の果樹の姿を元気なうちに蘇らせようと、太陽の恵みが吸収できる環境に整えました。

Pa288051 山本さんとヤマナシ

Pa288059 楽しみを増やした三人

 このヤマナシは「民集の杜」で生長していますが、4年間で樹高が3㍍を超えるまでに生長しています。近くの木々の枝を伐ってやると、森内は写真の様でした。「このように森内が見えると、森内に入ってみたい」と思いました。寄り添って生きる木々を見ていると、心の中では“羨ましく”なりました。

01 今日の森作業は、松村宗雄、山本、仁平そして筆者でした。(報告 高橋佳夫)

2019年10月27日 (日)

足尾・松木村跡地の森の秋祭りは間もなく本番でしょうか

Photo  足尾・松木沢の朝9時頃の気温は12度。出迎えてくれたのはりっぱな角を“どうだ!”とばかり見せびらかしている雄鹿でした。即、急いで写真を撮ったのですがレンズがぶれてしまいました。

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Photo_3  肌寒い朝でしたので、今日は薪ストーブに火を付けました。先週、鎌田スタッフたちが煙突掃除をしてくれましたので、煙は黒っぽい色ではありませんでした。作業小屋から西を見ると「みちくさ」の煙突からも煙が出ていました。手前の桜の葉は秋色に化粧し、雰囲気は秋本番のようでした。

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201910 (上中央の写真は臼沢の森、その森の階段の様子が下の写真)

 ひとり作業なので、今日はコンテナの整頓を行いました。

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Pa267962  昼休みに松木村跡地の秋の足音を写真に収めましたので、森の秋祭り準備をしている様子(上の写真)をお届けします。カエデの仲間の秋色は薄茶色にくすんでいますが、ブナ、コナラ、ミズナラそしてクヌギの葉の色は黄金色に見えています。森の秋祭り本番は来月中旬頃ではないかと思います。

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Pa274094  帰る途中、足尾ダム周辺に映えているススキが西陽に当たって輝いていました。(報告 高橋佳夫)

2019年10月26日 (土)

中倉山の稜線に凛と立つ“孤高のブナ”恩送りに向け、道路整備に力が入りました。

本日26日は中倉山登山口に向かう道路の整備を行いました。当会は11月3日に中倉山のブナを元気にする恩送り事業を行います。台風19号の豪雨により仁田元沢沿いの道路にも土砂が流れ込み、森びとスタッフの皆さんが落石や土砂の除去を行っています。

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森びと広場の作業小屋で9時30分から、鎌田さんの指揮で本日の作業の打ち合わせを行いました。スタッフは橋倉さん、小西さん、清水です。いつもはコーヒーを飲みながらの打ち合わせですが、昨日の雨による土砂流出の心配もあり、「すぐに現地に向かおう!」と道具を積んだ(鎌田スタッフが準備してくれました)軽トラで現地に向かいました。

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道路に石が落ちていましたが、1番崩れている現場に向かいました。到着して確認すると砂防ダムから流れ落ちた土砂が道を塞いでいます。20m以上はあります。「軽トラが通れる道をつくる」ことと、「安全に登山者か歩ける道を確保する」ため、やりきらないと11月3日を迎えられないという「責任感」で、上流側と下流側に分かれ作業を開始しました。
大きな岩を両手でどかし、まんのうで固まった土砂を崩しながら、角スコップで下からさらいながら少しずつ除去していきました。

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土砂の厚さと固さに腕はパンパンに、腰は曲がったまま硬直。腰を伸ばしながら黙々と作業を進めました。土砂除去のベテランとなっている鎌田さんから、山仕事の作業者が使う三角の鍬「カッチャ」の使い方のコツを教わりながら道幅を確保していきました。
残り1mくらいになり、「鎌田方式」と言われる、片側を先に開通させる「先進導坑」を掘りました。道がつながったことの喜びと、三方からスコップが入れられ「もう少しだ、頑張ろう!」疲れた体に力が入りました。
みごと道幅が確保できました。

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砂防ダムの上流側の土砂は厚さが薄いので、大きい石をどかし、表面を均しました。
道路の端の下側を確認すると大きくえぐられ、道路表面との厚さが30cmほどしかない場所もあり、登山者が崖崩れにあわないように危険個所が分かるように岩で路肩をつくりました。中倉山を目指す登山者のみなさん、路肩に注意しましょう。

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13時を過ぎたので作業に区切りをつけ、土砂を除去した道を軽トラが通れるか開通式を行い、登山口までの道を点検しました。大きな崩れはなく、登山口を確認したあと作業小屋に戻り、遅い昼食を取りました。

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昼食後は、松木での作業を行っていた高橋副理事長、福原さん、舎人の小川さんを交え、11月3日のブナの恩送り事業の打ち合わせを行い、本日の作業を終了しました。

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連続する豪雨は中倉山稜線に生きるブナの根の土を流していないか心配です。これまでに張り付けた植生帯からは草が伸び、土中に根を張っていることが確認出来ました。森ともの皆さん、凛として稜線に立つ“孤高のブナ”への恩送り事業への参加をお待ちしています。
(筆者 清水 卓)

2019年10月24日 (木)

温暖化にブレーキをかけていくことは理屈ではなくアクションだ!

Pa207766  昨日のブログを読むと心が躍動します。鎌田さん、小川さん!11/3の「中倉山のブナを元気にする恩送り」に向けた道整備お疲れ様でした。スコップに入れるには難しい大きい石とその量、重さはスコップの底を地面に付けたままで押し出すことができないほど。写真ではそれらのことが伝えることができませんが、その作業は“重労働”です。ブナを元気にするために”恩送り”に集ってくれる“森とも”の安全を守る気持ちがブログから伝わってきました。心から感謝します。

Pa207812 福田さん(左)と松井さん(右)

 昨日、「心の森探訪inいにしえの日光」の感想が届きました。短くして紹介します。

 届けてくれたのは松井富夫さん、松井さんは講演してくれた福田彦一郎さんの“環境問題に直結する杉、檜は樹齢60年を過ぎると二酸化炭素吸収力が弱くなる。放置林、林地残材は流木被害を増す。立派で価値ある針葉樹林を暮らしに活用することは大事。これからの暮らしは、森(山)の機能に沿った森づくりとその森の恵みに寄り添っていかねばならない”という考え方に、心が動かされたようです。そして、これからはそのモデル作りを話し合っていければと抱負も述べられていました。松井さん、ありがとうございました。

Pa207790  台風19号の脅威は私たちに多くの課題を残していきました。来年は「パリ協定」の実行年です。そのような気持ちを持って、11/3の「中倉山のブナを元気にする恩送り」を成功させたいと思います。

Pa207801  (報告 髙橋佳夫)

2019年10月23日 (水)

快晴の足尾 中倉山への林道整備&煙突掃除

快晴の中 森びと広場に向かう日光連山と三川ダム。

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Photo_2 ダムの水流は、多いが澄んでいます。

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Photo_6 森びと広場から見える上の写真は、上から松木渓谷、臼沢の森、中倉山です。松木渓谷で見える重機は、作業用の索道設置作業中です。

森びと広場にある作業小屋の温度は12℃(8:50)コーヒーを飲みながら作業打ち合わせ、午前中に中倉山への林道整備(できる所まで)午後に作業小屋のストーブ煙突掃除。

軽トラに道具を乗せて林道へ、現場に着くと前回整備後、谷側の土砂が流されているので、山側の斜面の土砂を削り、軽トラが余裕で通れる道幅にしました。この後は、自然の力(水)に驚かされ、20ℓポリタンク大の石と土砂に悪戦苦闘、6箇所を整備し、進みました。

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Photo_15 これからの2箇所は、軽トラ四駆(ロー)で通れるくらいの斜面に均し、どうにか登山口まで行くことができました。後日、この2箇所を含めて再整備する予定です。

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12 遅い昼食を済ませ、作業小屋の煙突のすすと灰を掃除し、冬の森に備えました。鎌田さんは、いい仕事ができたと感動していました。

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Photo_21 作業者、鎌田さん、小川(報告 小川)

2019年10月22日 (火)

先人の精神と文化が宿る日光・長畑集落に我が菩提寺

20の「心の森探訪inいにしえの日光」に参加してくれました鎌田順子さんより感想が届きました。

Pa207795 写真左側が順子さん

 順子さんからは、「20日の日はお世話様になりました。この度の「いにしえの日光」探訪に参加しまして、長畑の歴史を知りました。実は、私事ではありますが、ここ日光に移り住みまして、今年で丸20年目を迎えました。今から15年前ですが、曹洞宗の寺院を探しておりまして、偶然にも寺院は今回訪れた長畑にあります。普門寺を菩提寺とすることとなり、以来この集落ではお世話になっております。

Pa207772  探訪では、地域文化の移り変わりや先人たちの歴史を聞きまして、普門寺が歴史上に関わりのあることを知り、これも何かのご縁なのかと思った次第です。足尾植樹の関りも、同様に、私共の人生にとりまして、どちらも、ご縁の賜物であると、平素より感謝しております。長畑の古い歴史に親しみを持って、頂いた歴史書を読んでみたいと思っております。」という感想をいただきました。

Pa207768  勝道上人から二宮金次郎の精神と文化が地域に宿る長畑集落に鎌田さんの菩提寺があるということは有難く、嬉しいことでしょうか。鎌田順子さん、感想を送って頂きありがとうございました。(報告 髙橋佳夫)

2019年10月20日 (日)

いにしえの日光散策から未来の暮らし方が見えてきた「心の森探訪」

Pa207767  今日は「心の森探訪inいにしえの日光」、散策する場所は日光市長畑集落民が森と暮らす地域。参加者13名は集落の方々が快く貸してくれた西沢公民館に集いました。平木理事の進行で今年の探訪が始まり、第一期森びとインストラクターの塚崎庸子さんから散策路の紹介を受けて、10時前に会場を出発しました。

Pa207756  ここの集落は古くは林業が盛んなところで、1200年前から1956年頃にかけて森に寄り添ってきた先人の文化が沢山残っていました。集落が見下ろせる道を歩いて行くと、蕎麦畑や稲を刈った後の田んぼがのどかで清閑な集落をつくっていました。道端には、地蔵さんや観音さんそして神社が祀られ、森に寄り添って生きてきた先人たちの想いが感じられていました。

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Photo_4  沢沿いの林道に入ると、台風19号の大雨で多くの木々が倒され、流されてきた痕跡が残っていました。

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2  そこには、1858年に二宮金次郎が植えた(実際は弟が植えた)600本の檜が育っている「二宮林」がありました。この集落では、金次郎が集落民が欠かせない水を溜める林、コメ作りに必要な水を流す掘りを造ったところです。

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Photo_8  昼過ぎに公民館に戻り、平木理事が心を込めて作ってくれた「けんちん汁」をご馳走になりながら昼食を摂りました。

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Photo_10  13時からは、福田彦一郎さん(㈱大和木材代表取締役)から森と暮らしてきた地域の文化と森と生きていくことの大切さの講演をいただきました。

Photo_11  話しの中では、気候変動化にある中で、日本の造林政策を問い直し、針葉樹林が流木被害を拡大させないようにしなければならない。針葉樹林を間伐し、森の機能別に区分けした森づくりの大切さを訴えていました。

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Photo_13  その後、参加者による意見交換を行い、先人たちの知恵を未来の暮らしに活かしていくことの大切さを感じ取りました。交流会は、「パリ協定」実行年の来年からの森づくり活動のヒントが浮かび上がる内容になりました。

案内してくれました塚崎庸子さん、参加された皆さまありがとうございました。(報告 大野昭彦)

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