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2016年8月の11件の記事

2016年8月25日 (木)

“森の通訳”:言葉、風や雲からの情報には直訳できないことが含まれている

P8230466_640x521 20日の会議では“森の通訳”になって、培った知恵や技を次世代に伝えていくことを目指した後期高齢を迎えるスタッフたち。会議では、月に10日間も足尾入りしている鎌田さんが、森を育てているが「森を眺める日がない」と言ってくれた。これを聞いた筆者は、「危険信号だ」と思った。それほどまでに森作業に追われ、それは森づくりに「“ゆとりが無い”ということであり、怪我(健康管理)や事故(安全対策)の兆し」であると感じた。

P8235605_640x479 会議に参加した次世代の一人から感想が届いた。一部紹介する。Kさんは、「億劫になった」「身体が動かない」と冗談交じりにスタッフが話す姿は、心細く、寂しく感じてしまいました。それ以上に、次世代につなごうという強い思いを感じ、これを受けとめて私なりに一生懸命やろう、と思った会議でした。

P8230473_640x479 スタッフがやってこられたことが並大抵なことではないがゆえに、次世代の一人としてこれからの森づくりの形が見えなかった焦りや不安がありました。ですが、2日間かけて話して、発言して、飲んで、聴いて、笑って、また話して、こうした焦りや不安がとても薄まった気がしています。

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P8230460_640x496 大勢のスタッフ(インタープリター)が生涯現役を名乗っており、一切の労を惜しまず、本気で教える、伝える、と言ってくださるわけで、私たちは、胸を借りればいいのだとわかりました。また、「仕事」とは違うわけだから、もっと広く自由に考えよう、と改めて思いました。そして、オリンピックのアスリートたちのように、「叶えたいことを思い描いて努力する楽しさ」を自分の中に育てていこうと思いました。(Kさんより)

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P8230455_640x479 “森の通訳”とは直訳だけでは人の心や森の悲鳴を伝えきれないのかもしれない。

(理事 髙橋佳夫)

2016年8月23日 (火)

心をこめて育樹しました

台風9号が昨夜のうちに去ってくれたので、朝から作業を始めることができました。曇ったり晴れたりする空模様で、民集の杜の草刈りを行いました。

P1000386この夏、初めて草刈りに入った佐藤悦美さんと筆者はまず、苗木の間を埋め尽くす雑草の勢いに驚きました。苗木が苦しそうに見え、「刈りがいがあるね」と意気込んで作業を開始しました。P1000388

P1000390鎌田・橋倉・松村スタッフは慣れた足取りで分け入り、次々と草を引き抜いたりザクザク刈っていきます。その姿はほとんど埋もれていて、声だけが聞こえていました。P1000395_2筆者も立ったり座ったりして緑の中を前進。特に、雑草をかき分けて苗木を見つけた時は何とも嬉しく、「頑張ってたね」と思わず声をかけました。

P1000391_3これはイノシシが掘り返した痕です。今日も時折巨大ミミズが現れて悦美さんが叫んでいましたが、イノシシの目当てはこれかもしれません。

汗を流して刈り続けていると、「あと1年刈ってやれば、ここはもう大丈夫だろう」と鎌田スタッフたちの話し声が聞こえてきました。これまでの多大な尽力に頭が下がると共に、私も森づくりを支える一人になろうと思いました。

P1000409お昼を食べ、デザートに橋倉スタッフの梨と悦美さんのカステラをいただいているうちに雨が降りだしました。対岸では鹿も立ち往生。

P1000415雷も鳴り始め、残念なことに今日の作業は終了となりました。けれど、2年目の苗木が力強く生長しているのを実感できた日になりました。

P1000430畑からは金糸瓜を収穫。広場では栗と柿の実りも確認できました。秋が近づいています。

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P1000425(報告 事務局 唐澤)

2016年8月21日 (日)

強者から「評論家になるな、実践者になれ!」と強いメッセージをいただいた2日間

 8月20日~21日、栃木県日光市足尾町の公営国民宿舎かじか荘において、森びと東京事務所主催で事務局と事務局スタッフ合同の拡大会議を開催し、10年後を展望して足尾と南相馬での森づくりをどうしていくかを24名が参加の中で話し合ってきました。理事会からは稲葉理事と松井理事にも参加をいただきました。

 冒頭、髙橋副理事長から日本の65歳以上の人口が3,500万人になり、スタッフの皆さんは森(自然)からのメッセージを事務局や若い世代に伝えていく時機に来ているなどとの問題提起を受けました。

P8200004 そして、2016年前半を振り返り、市民フォーラムを開催した南相馬市、栃木県ファンクラブ、千葉県ファンクラブ、森びとから開催してみての報告・感想を巡って議論をしました。成果とすると、暮らしを見直す市民が応えてくれたこと、森ともが増えて感謝ですややると決めたら最後までやり抜くこと、継続してやってほしいという意見があったことでした。課題とすると、当初は「失敗したくない」ことや「恥ずかしい」があったことや自分の立場を明確にし、思ったことをやってみるべきだということでした。

P8200006 植樹祭に関してでは、5月に開催した第35回「足尾・ふるさとの森づくり」では、味噌汁担当であった事務局の1人がスタッフの松村宗雄さんにつくり方を教わる日に遅刻をし、「1日のスケジュールが狂ってしまった」と叱責をもらった後、遅刻をしてしまった自分に矢印を向け、心を入れ替えて当日はもとより足尾の作業に積極的に関わるようになったことが報告され、相手を思い欠点を厳しく言うことが大切であることが私の胸に突き刺さりました。今年も積極的にプライベートの森づくり(桐生ロータリーアクトクラブとロータリークラブ、樹徳高校、フィリピン研修)を受け入れてきましたが、それぞれ実態をふまえて参加をされた方々の心に木を植えていくのか(「気配り・目配り・心配り」の大切さ)を体現していく難しさも語られていました。

 その後、足尾育樹グループ・足尾育苗グループ・南相馬市グループに分かれて、「10年間で培った大切な知恵と技の宝物を“森の語り部”(通訳)となって次世代に語り継ごう!」をテーマに議論をしました。

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20160821_083945 今朝、昨日の各グループでの議論の報告を受けました。足尾育樹グループの加賀スタッフからは、うれしかったこととしては「(足尾に入ると)都会に帰りたくなくなる」「身体が(足尾に行くことを要求している)」、つらかったこととしては「臼沢に黒土などを荷揚げした時」、「苗木を枯らしてしまった時」などが出されました。今後の森づくりでは、「新しいリーダーづくりと松木村をトータルに考えて、どのような森の形にしていくのかイメージをしていくこと」、そして「人がいないと作業が進まないので1人が1人を連れてくるようにしていく」ことが報告されました。

20160821_092750_2 足尾育苗グループの福田スタッフからは、うれしかったこととしては「いろんな人と出会える」、自身の課題としては「継続して活動を続けることは大前提である」などが出されました。今後としては、「成長の悪いところの調査も必要ではないか」、「みちくさ訪問者への森ともになってもらうためのアプローチが弱いのではないか」など報告がされました。

20160821_094356_2 南相馬市グループの岩橋事務局からは、うれしかったこととして「新たな人(市民)が参加をしてくれていること」「応援隊のスタッフ同士の意見交換ができてきた」、つらかったこととしては「苗木を枯らしてしまったこと」などが出されました。今後学び経験したいこととしては「育樹・育苗セミナーを開催し、苗分けのやり方や土の作り方、トレイの置き方などをプロから教わり、目から鱗が落ちたので、継続していきたい」など報告がされました。

20160821_095223 最後に、スタッフから事務局への指摘をいただきました。「最低月1回は足尾に入ろう」「(次から次に作業があるので)自分が育てた苗木を眺められる日がない」「植樹祭で参加をされた方々に、いったん木を植えると自分では動けないなどと言うけれど、植えた後に下草刈りを3年間やるという人がいるのか。俺は枯れないようにしたいから足尾に入っている」「現場を知ってほしい」など厳しい意見が出されました。スタッフの方々の足尾にかける情熱を受け止め、事務局1人ひとりができることは何かを議論し、技術継承を受けながら、指摘をいただいたことを克服していきたいと思いました。人間の都合にあわせていては決して森づくりはできず、現場に立ち自然とともに森づくりをしていくことの原点に立ち返る有意義な2日間となりました。スタッフの皆さん、大変お疲れ様でした。今後もよろしくお願い致します。(事務局・小林敬)

2016年8月19日 (金)

世界で初めて経験する少子高齢化社会下での“森とも”の生き方は?

P8165581_640x487 連日、熱帯低気圧の影響で局地的に大雨が降っている。その量も半端でなく、1時間に約100㎜以上降っている。17日には栃木県鹿沼市付近、18日には栃木県宇都宮市付近でその量を観測した。

P8195596_640x555 今日も蝉は鳴かないで、どうしてなのかと調べてみると、蝉は羽と腹を擦って摩擦音を出すが、その音を腹(共鳴室)で大きくしているらしい。湿気が多いと擦っても音が出しづらいのだろう。

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P8195593_640x479 ところで台風7号が九州、四国、本州を避けて北海道襟裳岬付近に上陸したのは23年ぶり。気象予報士の森田さんによると、「今年の台風発生は統計史上2番目に遅く、発生したと思ったら中心気圧が900hPaまで下がり(1号の中心気圧がここまで下がるのは統計史上初)、コースも異例でした」、と言う。また、「8月に入ってからの5~7号のコースは、今年の夏を象徴したコースとなり、東の海上を進まざるを得なくなり、台風7号はダイレクトに北海道に上陸。これは1993年の11号以来、23年ぶり」という。

P7174931_640x544 どうも地球の気温を調整している一方の海水の循環(深層循環)が変動しているのかもしれない。他方の森の調整機能も苦戦しているので、真剣・本気になって暮らし方を変えていかなくてはならない。明日の会議では、そんな視点から後期高齢を迎える“森とも”の生き方を話し合いたい。(理事 髙橋佳夫)

2016年8月16日 (火)

足尾松木沢・臼沢の森の草刈り終わる

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Image1_226x180 台風7号が接近する本日、足尾松木沢には6名の森びとスタッフが集い、朝9時から臼沢の森の草刈りを行いました。途中、つね吉が朝のあいさつ。足尾の森をよろしくね、と一言話している様でした。

Image2_460x347 作業前にはしっかりと打ち合わせとケガのないように道具をチェックしました。安全を第一に考えて森づくりをすることで足尾の森を10年以上育てられています。

Img_1315_480x640 臼沢の森に入ると、まるで避暑地に来たかのような涼しさがありました。スタッフから「足尾の軽井沢だなあー」、という言葉が出るほどの心地よさでした。

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Img_1316_429x319 森を抜けて登っていくと、そこは大きく育った草が私たちを待っていました。6人のスタッフで3時間かけて草を刈り、臼沢の森上部のほとんどの草を刈り終えました。

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Img_1319_466x427 楽しみにしていた昼食になり、普段身体を動かしていない筆者は弁当を普段よりも美味しくいただくことができました。その上、松村スタッフから新鮮な野菜の差し入れを頂き、家で待つ妻に新鮮なお土産ができました。松村さん、ありがとうございました。

Img_1317 今夜は台風7号に備えますが、北海道が台風の直撃を受けるのは、気流の温度と流れがいつもと違うのかなあー、と気象の変化が気にかかります。足尾で育てている木々たちは異常気象に負けないでほしいと願って、帰路につきました。本日のボランティアは、鎌田、松村、橋倉、小川、福原さんでした。(事務局 福澤 猛)

2016年8月15日 (月)

地域に根を張る“森の通訳”を目指して

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P6064430_640x523 霧がかかっている森では蝉が鳴かない。どうしてなのか解らないが、湿気で羽を擦っても音が出ないのか。12年以上も森に向き合っているのに、解らない事ばかりである。

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P8135535_640x591 分かることは、人やウサギ、リスなど全ての生き物が森に生かされているということだ。

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 12年前に60歳だったスタッフは72歳になる。そのスタッフ達は気持ち的には体力に自信があるというが、体力は衰えている。体力以外にも反射神経なども鈍くなってきている。“山と心に木を植える”森づくり運動の強者たちは、そろそろ、次世代にその情熱と技を引き継がなければならい。

P8150448_640x480 東京事務所は今週末、事務局とスタッフの合同会議を足尾で開く。森づくり運動で体得してきた知恵と技を、地球の悲鳴を次世代に“通訳”していなかくてはならない。インターネットやTV等の情報だけで「分かっているつもり」、「知っているつもり」の若者たちに、自然界からの叫びや悲鳴を“通訳”できるスタッフに向けて、討論を深めたい。(理事 髙橋佳夫)

 

2016年8月 7日 (日)

松木村の先祖を迎える草刈りをしました

 立秋だというのに秋の気配は感じられなかった本日。気温は31.5℃まで上がりました。

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P8070382 午前中は、今週末から旧盆を迎えるので、松木村跡地に残る墓石と祠の周囲の草刈りをしました。草刈りしながら、114年前に廃村に追い込まれた村人の想いを描いてみました。

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P8070401 午後は、台風の心配があるので、舎務室の金属部分にペンキを塗りました。

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P8070388 また、午後から柳沢スタッフが来たので、彼は“森びと看板”の支柱にシラカンバをはめ込んでくれました。

P8070394 我々は足尾の「どくだみ荘」(長屋)に寝泊まりして作業していますが、この頃、熊の親子が近くに現れたり、猪の親子が現れたりしているそうです。網戸でブログを更新していると鹿が窓辺を通り過ぎることはありますが、熊には遭いたくありません。今以上に生ごみ等の処理に注意しなくてはなりません。本日のボランティアは仁平、柳澤でした。(報告 高橋佳夫)

人間の“いのち”を育む木々たちの夏バテ防止は人の心から

Img_0056 梅雨明けから1週間が経った昨日6日、猛暑日で人間は自然の猛威にぐったりでしたが、苗床の苗木たちも潮風と暑さカラカラ状態の中で疲れているようでした。暑くても動くことができない苗木達に応えようと、「鎮魂復興市民植樹祭応援隊」・渡部代表は、前日に軽トラに積んだ満タンのタンクから水撒きを行っています。代表の日課となっています。

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Img_0055 昨日は、炎天下の下で水撒き、枯れ枝などの作業を行いました。休憩していると、渡部代表は、「一人でやるのも大変だがみんなで一緒にやると苦にもならず楽しくできてうれしい。例年以上に暑くなるようなので、苗木は水が「いのち」だから、水撒き時間を検討し、常に天気予報にも気を付けて、人間同様に夏を乗り切っていきたい」、と話されました。猛暑日の森作業でしたが、色々と学ぶことができた日でした。

Sankaminamisouma 全国の森ともの皆さん、10月23日の植樹祭で再会できることを楽しみにしています。本日のボランティアは渡部、松林でした。(報告 東城)

2016年8月 6日 (土)

本物の“みどり”に元気を吹き込みました

 暑い一日でした。今日はJREU東京の森づくり推進委員会メンバーの森作業でした。一行25名は、森作業の内容を聞いた後、早速、臼沢の森から階段を登り始めました。

Photo_11 作業現場までは約300段の階段を登ります。手には刈り払い機、背には燃料や水を入れた籠を担いで登りました。

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Photo_12 草刈り現場は思ったより草が生長していたのに驚きました。草にうもっている苗木を伐らないように、草刈りは慎重に進められました。

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Photo_13 初めて使う刈り払い機の操縦方法を聴いた後、操縦を交代しながら背丈ほどの草を刈っていきました。

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Photo_17 建築現場で仕事している彼女も刈り払い機を初めて使いました。思ったよりも簡単に草を刈ることができたようです。

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2_2 汗をかきながら刈った斜面で、気分を改めて記念に一枚。

Photo_19 30℃以上の気温の中での作業ですので、休息を取りながら進め、13時には草刈りを終了しました。下山して、「臼沢の森」入口で記念に「おつかれ様!」で一枚。

Photo_20 昼食後は、短時間の交流。筆者から森作業の現代的意味を考えるきっかけを提案。私たちは「森に生かされている」ことを改めて、実感しました。JREU東京の皆さん、本日はお疲れ様でした。(報告 高橋佳夫)

 

2016年8月 5日 (金)

背丈ほどある草を刈って、爽やかな風を吹き込みました

Dsc03405 車の冷房を止めて天然のクーラーの風に当たりながら向かった足尾。朝の気温は26度、作業小屋での打合せを行い、早速、臼沢の森の草刈に向かいました。

Dsc03408 階段を登っているととても暑く、途中、何度も休憩をしたので頂上に着くまでに50分かかってしまいました。人の背ほどある草を刈り始めましたが、急斜面で足場が悪く、思うように進みませんでした。

Dscn3208 苗木を伐らないように慎重に作業を進めました。草を取り除いた後の苗木は太陽の陽をいっぱいに浴びて元気を取り戻しているようでした。

Dsc03410 下を見ると、ヘリポート跡地にと大型バスがあり、多くの人が見えました。新しくした“森びと看板”を見ているようでした。

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Dsc03413 この時季は休息を充分にとりながらの作業。松木川から吹き上げてくる沢風がとても有難いと感じました。

Dsc03415 昼過ぎると、松木川の上流から黒い雲が迫り、雷の音が聞こえてきました。橋倉スタッフから「雷が来る前に下りよう」、という声にしたがって下山しました。臼沢入り口からゲートまでの草刈を終えると、大粒の雨になってきましたので急いで小屋に戻り、遅い昼食となりました。

Dscn3211 昼食後は、明日のボランティア作業(臼沢の森の草刈り)が怪我無く、安全に作業で出来るようにと、道具や用具のチェックと燃料等の準備を行いました。久しぶりに5時過ぎまで作業をしました。橋倉スタッフ大変お疲れ様でした。本日のボランティアは橋倉スタッフでした。(報告・済賀正文)

 

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