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2009年10月の16件の記事

2009年10月30日 (金)

人はひとりでは生きていけない?!

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 27日、事務局員の柳澤肇さんの実父・佐太夫がご逝去されました。今夜は故・佐太夫さんの通夜に行き、足尾の森づくりへの支援に感謝を述べ、ご冥福をお祈りしてきました。
 柳澤さんのお父さんは足尾・森づくりに欠かせない方でした。作業小屋の鉄骨の無料提供と運搬、そして大型トラックで重機を運んで「森びと広場」の整地をしてくれました。その重機はその後も、松木の杜の穴掘り等で大活躍でした。重機は足尾・ふるさとの森づくり準備にはなくてはならない機械になっていました。それを許してくれたのが柳澤さんのお父さんでした。
 祭壇に飾りつけられていた故・佐太夫さんの写真は、真っ赤なモミジを背景に秋の青空を見つめていました。寛容な佐太夫の写真の前で私は、これまで支えてくれた感謝を述べ、これからは天から足尾の森づくりに汗している私たちを見守ってくださいと、合掌しました。
 安中榛名駅では時間があったのでそばを注文しましたが、おじさんから「火を止めたばかりだ、峠の釜飯が残っているので買って下さい」と言われ、今日の夕飯は豪勢な釜飯にしました。一人で釜飯を食べながら、駅の窓越しに輝く星を遠く見ながら、私たちは色々な方々に支えられていることを絶対に忘れてはならない、と肝に銘じました。柳澤さんのお父さん、ありがとうございました。

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2009年10月27日 (火)

友だち(ドングリ)と仲良くする心を植える

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 20日に秋を探した児童87名は、大切な友だち(ドングリ)と3年間仲良くする授業を受けました。その授業は24日の朝、8時45分から始まりましたが、児童たちは森で秋を探したような元気が感じられませんでした。その訳は、今日の授業は父兄参観でしたので、お母さんたちを気にしていたのかもしれません。
 最初は、「ドングリ先生」が20日の復習を行い、その後は大切な友だち(ドングリ)と3年間仲良くするためのアドバイスがありました。「秋はおいしい、秋はきれい。おいしい物やきれいな葉は校長先生も、お母さんも、総理大臣も作れません。木だけが作れます。だから木は友だち、友だちとは仲良くする。友だちのドングリは動けません、小さなポットに入って根を出して冬を越します。春になると芽が出ます。この小さなドングリが大きな木になって、おいしい物やきれいな葉を作ってくれます。冬は寒くならないように毛布(マルチング=落ち葉)をかけてやってください。3年生になるまでこの友だちと仲良くしてください」、とドングリ先生から話がありました。Pa242712
 その後は、父兄の皆さんも混じって、森びとインストラクターのアドバイスで小さなドングリにいのちを吹き込みました。一人2つのドングリをポットに蒔き、トレイに入れてプラタナスの下に並べました。あっという間に授業は終わり、父兄も入ってグループ毎に記念写真を撮りました。最後に、授業を企画したNPO法人幸まちづくり研究会と第61回全国植樹祭神奈川県実行委員会から記念品が児童に贈られ、今年の授業は修了しました。次回は、来年の春に芽が出る頃に開かれる予定です。
 スタッフの皆さん、森びとインストラクターの皆さん、1年生の心に木を植えて頂きありがとうございました。

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2009年10月26日 (月)

09年最後の森づくりが終わる

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 今年最後の森づくりが終わりました。主役はJR貨物㈱に働く組合員・家族のみなさんでした。参加者総勢115名の皆さんは、臼沢の森と松木の杜に6種・550本の苗木にいのちの息吹を吹き込んでくれました。どんよりとして肌寒い曇り空の日でしたが、怪我や事故もなく、最終の美を飾ってくれました。JR貨物の組合員・家族そしてOBの皆さん、甲府から来てくれましたNPOのみなさん、肌寒い中ありがとうございました。
 Pa252774 このボランティァの皆さんをサポートしてくれたのは、森びとインストラクター(遠藤さん、小黒さん、大塚さん、橋倉さん、森戸さん、田岡さん、岡安さん、松井さん)と“最後の森づくりだから”として駆けつけてくれた磯崎さん、小口さん、理事の村田さんでした。皆さんは、初めての森づくりであるJR貨物労組の皆さんに丁寧なアドバイスをしてくれました。皆さん、お疲れ様でした。
 あるOBの方は、「水仙は鹿が食べないから水仙の球根を持ってきた。春にきれいな花をみてください」と、自宅で育てた水仙の球根を持ってきてくれました。この球根は松木の杜入口に蒔いてくれました。来春が楽しみです。OBの皆さんの心のこもったプレゼントに感謝します。
 5月30日(第9回)から始まった森づくりでは、“自然環境と人間のいのちを大切にする願い”が込められた約8000本の苗木にいのちが吹き込まれました。多くの皆さん、ありがとうございました。
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2009年10月23日 (金)

雲上の森の楽園に向けて、今年最後の試験植樹の調査

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 八幡平付近は今が丁度紅葉の見頃ですが、八幡平市松尾鉱山跡地付近はススキがすっかり枯れて、ダケカンバも葉っぱを落とし始め、冬の準備にはいっています。荒涼とした松尾鉱山跡地特有の景色が再び現れてきました。
 そんな中みちのく事務所では10月19日、今年最後の試験植樹の調査を行いました。この苗木は昨年の第3回八幡平ふるさとの森づくりの時に試験植樹したものです。他の植物は葉を落とし冬の準備が始まり、下草などはほとんど枯れてしまっています。ところが驚いたことにミヤマハンノキは緑が輝き、生き生きとしているようです。2
 この同じ場所へ昨年と今年、植樹をしましたが、樹木の種類により成長の度合いは様々です。ここのやせた土地、寒さや強風などにも耐えられるミヤマハンノキ、白樺、アキグミなどは順調に成長していますが、それ以外の樹木も枯れずに生き続けています。
 私たちはこれから先、何年かかるか分かりませんが、ここが緑豊かなそして季節の花が咲き乱れる「雲上の楽園」としていくために、これからも「山と心に木を植える」“森づくり”を続けていきます。

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2009年10月22日 (木)

若者たちが苗づくり体験研修

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 八幡平市「岩手県民の森」にある苗床周辺は紅葉が絶好の見頃です。近くの松川「森の大橋」は観光名所で多くの人で賑わっています。18日も多くの人で賑わっていました。そんな中、みちのく事務所はJREU秋田からの依頼を受けて、若い組合員向けの苗づくり体験研修を行いました。苗づくり体験研修には40名の皆さんが受講し、私たち事務局は角岸所長、JREU盛岡の組合員・家族の協力を得て無事に修了することができました。
 苗づくり体験研修は、ミズナラ・コナラ・カシワのチーム、トチとクリの苗づくり班に分かれ行いました。受講生は合羽を着て、泥んこになりながら土とドングリ撒きに悪戦苦闘しながらも、楽しくにぎやかに行っていました。
 2 事務局スタッフはドングリ以外の種子の種まきを行いました。今年はトロ箱にオオヤマザクラ・ブナ・コブシ・ハウチワカエデなど8種類を撒きました。今年はネズミなどの食害対策も万全な態勢で臨みました。杉の葉を敷き、その上にポットを入れたトレイをきれいに並べていきました。土の上に直接トレイを置くとネズミやモグラは「自分の縄張り(通り道)を邪魔されたと感じ、また、餌になるものは貪欲に食い荒すといわれます。そんなことで私たちは試験的に、ネズミなどが嫌がる「杉の葉」や「クリのイガ」を使用してみました。また、煙草の吸い殻のエキスもトレイの周辺に撒いてみました。
 また、他の事務局スタッフは同日、6名で腐葉土づくり用の木枠づくりを行いました。今年は3基が完成し、全部で9基となりました。秋田の研修生の皆さん、ボランティアで参加された皆さん本当にご苦労様でした。
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2009年10月21日 (水)

児童87名が森で“秋”を探す

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 来年の植樹祭は神奈川県内で行われます。県はその準備に着手していますが、その一つとして県は「森林・緑に対する国民的理解を深める」目的を達成するために、県内の子どもたちやイベント参加者に木や森に親しむ機会を提供しています。
 NPO法人幸まちづくり研究会はその機会を企画し、第61回全国植樹祭神奈川県実行委員会とともに「ドングリ育てたい いのち(水源)の森づくり」を実施しています。その初日が昨日でした。 当委員会はこの森づくりのお手伝いをしていくことを理事会で決定し、9月から準備をしてきました。昨日はその第1日目が行われ、児童たちは森びとインストラクター9名と共に“秋を探す”授業に参加しました。
 Pa202675 授業は、グループ毎に森に入り、自分の秋を見つけてそれを袋に詰め、拾い集めた秋を画用紙に表現しました。その後は、目に見えない土壌動物をルーペで発見し、この動物が木の栄養を作っていることを実感しました。児童たちは探し当てた秋を「探検袋」に大切にしまいこみ、お母さんが作ってくれたお弁当を食べ、その後は大きな声を出して遊びました。
 森びとインストラクターは朝9時から14時の間、怪我や事故もなく児童たちから多くの事を学び取りました。古川小学校教諭の皆さん、インストラクターの皆さんお疲れ様でした。24日は、父兄と児童と共に拾ったドングリをポットに播きます。

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2009年10月19日 (月)

本物の森を守り抜くために、課題は何か

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 昨日は第3回目の「森びと塾」(東京事務所)が開催されました。天気は曇りでしたが、ブナの葉が黄金色に輝いている新潟県南魚沼郡湯沢町の天然ブナ林を散策し、40年以上も国有林を守ってきた関根依智朗さんの講演を拝聴しました。
 塾の前半は、苗場山国有林三俣21林班・ブナ天然林更新試験場を関根さんのガイドで散策し、天然林の林相、木々の香り、落ち葉の臭いそして貯水力の凄さを体験しました。後半は、湯沢町の公民館で関根さんの講演を拝聴し、質疑・討論をしてきました。
 関根さんからは、樹木の役割りと国有林の問題とその原因、そして日本の森林をこのまま放置しておくと大変なことになってしまう私たちの課題が話されました。特に、「森は何百年も何千年も生きつづけていくが、この森を見守る人の育成が大事だ。森林が大事なことは誰も知っているが、しかし、それがどうしてなのか、ということを知らない日本人。その意味でこのような塾で森を学んでいることは凄い。山で働く者を確保してほしい。山はダムなのだ、ということをピーアールしてほしい」、という事等が話されました。
 関根さん、そして休日のところボランティアでバスの運転をしてくれましたJRバス関東の遠山さんありがとうございました。

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2009年10月17日 (土)

森に潜んでいる人間社会の掟

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 兵庫県丹波市の地方紙『丹波新聞』(10月1日)のコラム欄に大人の絵本・『サルと人と森』が紹介されました。また、月刊誌『リベラルタイムス』(11月号)のBOOK紹介の欄でも紹介されました。紹介して頂きありがとうございました。
 『丹波新聞』のコラムでは、「この寓話が100年以上前、盛岡中学の校友会誌に寄せられた時は、あまりに先を見通していたせいか、決して評判は良くなく、これまでほとんど陽の目を見てこなかったという」と書いてありました。その当時からすればその通りかもしれません。
 Pa042587 啄木記念館近くに「愛宕神社」がありますが、啄木はこの神社境内の森をいのちの森と言っていました。この森で啄木は子どもたちと勉強していた、と聞きました。多分、啄木はこのいのちの森から様々な事を学び、森の掟から人間社会を観察していたのではないかと思います。
 お陰様で『サルと人と森』は第5刷(5.000部)りに入りました。地球の自然環境の悪化を憂う方々に読まれているのだと思います。地球上では、二酸化炭素を吸収している大切な熱帯雨林が毎年1250万㌶も伐採されていると報道されていました。損失額は6兆7千億円に上る、とも報道されていました。この新聞を読んで、啄木は経済優先でなく、大切な生命(いのち)を第一に森(自然)を考えていたから先を見通せたのではないか、と思いました。
 「物とエネルギーにこだわり過ぎた、人間本位の奢った考え方から生物の一員としての人間がより豊かに健全に、より人間らしく生きていくことを緑(よすが)としたい」(発刊にあたって・宮脇昭)。

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2009年10月15日 (木)

森の出来事を真剣に観よう!

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 先週、みちのく事務所から「今年はブナの実が取れない」という連絡がありました。ほぼ同時期に秋田県のインストラクターからも、「白神周辺ではブナの実が取れない。12湖周辺を案内しているガイドの方からは、ブナの花が咲いていた頃に寒かったので実が熟しない」、という話がありました。ブナの実を撒いてブナの苗木を育てようとしていたみちのく事務所では苗木づくりで苦慮しています。多分、ブナの実を餌にしているツキノワグマやネズミ達は越冬する前の食探しに必死になっているでしょう。Pa122601 そんな中、足尾・松木の杜ではクワノキ、ユキツバキゃヤブツバキの葉が、松木の杜内の小豆の葉が何物かによって食べられています。今年5月下旬に植えた苗木が、越冬前にして食害に遭っています。
 ところで「シイナ現象」という現象が起こると言われています。樹木に実がなってもその実が形ばかりで、栄養価の低い実になっている、と言われています。この実を食べて越冬する動物達からすれば、このような時季には必死になるのが当然です。
 植物の三大栄養素はチッ素、リン酸、カリと言われていますが、チッ素は葉の栄養、リン酸は実の栄養、カリは幹や根の栄養源になっています。土壌中のリン酸の活動が鈍ってしまうと、ブナの実の栄養価は低下します。このような現象が「シイナ現象」と言われているそうです。木は根、根は土が命でかすら、「シイナ現象」は土壌が弱り、土壌の微生物が生きていけなくなっているのかもしれません。栄養価の低いドングリが日本の森に蔓延してしまうなら、生物が生きていけなくなってしまいます。今、森の出来事を真剣につかみ取り、その対策を講じる大切な時のようです。

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2009年10月13日 (火)

どんなに頭が良くても、お金持ちでも創れない木のパワー

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 今日は久しぶりの休暇をとり、I(女性)さんと事務局員のKさんで軽登山をしました。秋晴れの下で黒斑山(2404㍍)を登り切り、計り知れない自然のパワーを満喫しました。
 ブログではIさんの木に寄せる気持ちを紹介してきました。そのIさんがはじめて足尾の育樹に来てくれた7月、Iさんは高価な登山靴を履いてきました。彼女は、「山(森)が好きで一度は山に登ってみたいのでこの登山靴を買いました」、と言っていました。単独登山は危険が伴うので一度案内しようと、ということで今回、黒斑山を登りました。
 そんなIさんを向かえてくれたのが、雲ひとつない秋晴れと浅間山、そしてカモシカでした。この地に立たないと見られない浅間山の力強さです。その浅間山は噴煙を少し上げいました。外輪は天然林のカラマツの葉が黄金色に輝いていました。その鮮やかな黄金色を眼下にして、紅茶をいただきました。下山途中、「ギィー」という声がしたので立ち止まると、目の前にカモシカが餌を食べていました。カモシカは冬を間近に向かえてコメツガの葉を食べていました。「食事の邪魔をするな!」という顔をしていましたので、「お邪魔しました」、と言ってその場を去りました。
 4時間ほどの登山でしたが、素晴らしい秋晴れで得たことは、私たち人間がどんな技術を行使しても絶対に創りだせることのできないカラマツの黄金色に感動し、その自然の秋色に近づこうとさせる木のパワーにも感謝することができました。Iさん、Kさんお疲れ様でした。

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森びと検索

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