カテゴリ「森の声」の168件の記事

2009年4月29日 (水)

0157菌を破壊する青森ヒバの役割

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 5月30日(土)に開催する第9回「足尾・ふるさとの森づくり」では、体験コーナーを用意します。この目的は、人間は森に生かされていることを参加した方々に実感してもらうためです。
 その一つが、青森ヒバの効能体験です。以前紹介しました宮大工・加藤吉男さんは300年~400年間生きてきた青森ヒバを使って神社やお寺の新築、修理・復元をしています。ヒバを伐って、自然乾燥させてから人間のために役立てようと、宮大工の技能によって命を吹き込まれさらに何百年以上も生きつづけます。
 体験コーナーでは、加藤さんから提供されたこの青森ヒバを鉋で削ってもらい、削ったヒバを持ち帰っていただきます。青森ヒバは、抗菌力、防虫、防臭効果を発揮します。弘前大学教授・佐々木甚一さんチームの実験によると、青森ヒバに含まれているヒノキチオールは0157菌等の増殖を完全に抑え、抑制する、と述べています(先生のホームページより)。また、α‐ビネンという成分は私たちのストレスを和らげる、と言われています。
 体験コーナーでは森に入ると清々しい、気持ちが良い、ということだけで満足するのでなく、“なぁーんでか?”ということを解ったうえで森の素晴らしさを、実感して頂きたいと願っています。
 石川啄木も渋民村の生活から森に生かされていることを体験し、それを科学的に修得したのでしょうか。啄木がサルに扮して人間を諭している絵本・『サルと人と森』が本日の『上毛新聞』に紹介されました。上毛新聞社のみなさんありがとうございました。
P4160823 下の写真はカタクリです。この可憐な花や根にも私たちはお世話になっています。

2009年4月25日 (土)

鹿の贈り物に感謝!

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 今日は一日中雨が降っています。森びと広場の気温は9度(9時)でした。昼頃になっても気温は変わりませんでした。若葉の黄緑色が鮮やかなので、午前中は森びと広場周辺を散策しました。
 カッパに雨が当たる音だけを耳にしながら、松木渓流の対岸と広場周辺を2時間ほどかけて、下草の生え具合、動物たちの生活状況、木々の種などを見て回りました。ヤシャブシの幹から雨が流されて、根元には白い泡がつくられていました。沢の支流の崖ではキセキレイが巣づくりをしていました。草原を歩いていると鹿の贈り物が落ちていました。この時季、雄鹿の頭から角が落ちます。その角が贈り物です。この贈り物は、来月30日の森づくりに参加する皆さんに見せてあげようと思いました。今月上旬、事務局は「絆の森」の食害防止の網に鹿の角が絡まっている場面に遭いました。即、網を切って網から角を解いて、雄鹿を解放してあげました。贈り物はこの雄鹿からのものなのか、と思いました。
 今日は、107名もの命を奪い、多くの怪我人を出したJR福知山脱線事故から4年目です。当時のことを思い出すと、事故原因の背後には、社員の良心を奪う経営者の社員管理の行き過ぎがありました。ここ数年、消費者の命を粗末にする一部経営者の犯罪、社員をゴミ同然に掃き溜めに掃き捨てる経営者の傲慢さが目立っています。経営陣の皆さんは、社員から贈り物が届く経営者哲学を忘れてしまったようですね。
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2009年4月21日 (火)

集落人の心は森からつくられる

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 今日は十日町から枯木又という集落に行ってきました。訪問の目的は、来月のGW期間中にこの地を訪れ、この地で「豪雪山間地集落の価値を守り、育て、伝える」活動をしている皆さんと会えるからです。
 この地とこの地の価値を守り、育て、伝えている「枯木又エコミュージアムの会」を紹介してくれたのは第3期森びとインストラクターの大塚さんです。彼はこの地で、是非、いのちの森づくりをしたいと願い、この素晴らしい集落の文化を14年間も守り続けている皆さんと森びととの交流をつくりました。
 田圃では三色米(緑米、黒米、赤米)を作り、それは上流のブナ林が貯えたミネラル分の多い水によって身体に良い美味しい米と言われています。現場を見ると、風雪に耐えて100年以上も生きているブナが頑と地に根を張り、ブナと共にホオノキ、カエデもしっかりと根を張っていました。その主木を支えているのが低木のユキツバキ、アオキたちでした。感動したのはユキツバキの群生でした。雪の重さで幹は斜めになっていますが、その幹には小さく可憐な赤い花を付けて、群れをなして主木を支えていました。
 現地を見て感じたことは、集落の生活と文化を支えている森の価値を評価したミュージアムになってほしい、と思いました。それにしても森と生きる集落の文化は現代に生きる私たちが忘れている大切な心かもしれません。
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2009年4月20日 (月)

ひとつの流れになりつつある?環境問題

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 代々木公園周辺の木々や明治神宮の森を歩くと初夏を思わせます。この時季、クスノキは古い葉を落として新芽をだしています。神宮の森の中を歩くと爽やかな気分になります。
 昨日は「2009東京アースデー」を見てきました。最寄り駅の原宿駅ホームから改札まで辿り着くのに普通なら2~3分で行けるのに、昨日は15分もかかりました。会場を歩くと環境グッズの販売、健康食品の販売そしてエココンサート等が殆どでした。訪れている方の殆どが若者達でした。 色々な視点から環境問題に関心をもっている方々が、缶ビールを片手に訴え、商売していました。また、労働組合の方もブースで環境問題を訴えていました。環境問題の関心度は高いなあー、と思いました。また、この関心が人の心を動かし、実行力に転化されればいいなあー、とも思いました。
 アースデーには日本の若者達が多く集まっていましたが、神宮の森を散策している方々の多くは外国人でした。こんな様子を見て、外国人の方々は生活の中に森が入っているのかなあー、と感じました。アイヌ古布絵作家・宇梶静恵さんの話が頭をかすめました。
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2009年4月19日 (日)

森びとの心に木を植えています

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 昨日はみちのく「森びと塾」の第1回目でした。塾は、爽やかな雪解けの風を身体に感じながら受けることができました。カリキュラムは、①松尾鉱山の歴史②食害調査③育樹調査④“山と心に木を植える”森づくりの復習⑤今年の森づくり事業に向けて、でした。塾にはインストラクター16名が出席し、改めて森づくりの重要性を意思統一しました。
 東京「森びと塾」に参加した宮原哲也さんから感想文が届きましたので文の一部を紹介します。「森びとプロジェクト委員会の考え方、思想というのが十分でていて、とてもよかった。“山と心に木を植える”この思想がでていたと思います。場所も、笹森寺という鎮守の森を選んだこと、本物の森とそうでない森が比較できたこと。そして、午後の宇梶さんの実体験から、大地とともに生きる大切さを実感できる話を聞けたこと。学問的に何の植生か、植物か、とそれを学ぶのは大切だけれど、やはりその大元の基本である自然に生かされている、という謙虚な姿勢が必要で、それを今回の森びと塾で再認識できました。次回以降も、同様の気持ちにさせてくれるのを期待し、楽しみにしています」。
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2009年4月17日 (金)

自然の力に感謝を込めて

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 みちのくも「北国の春」になりました。先週はじめから温かさが続き、春が一気にきました。2~3年前のような季節感です。12日には岩手公園の桜も開花しました。みちのく事務所前のコブシも咲きはじめました。
 16日、春を感じたので昨年ドングリを蒔いた県民の森を訪ねました。少し残雪はありましたが、苗床を見た瞬間、苗床はモグラの運動会が終わった跡のようでした。多くのトチノミが何者かによって食べられていました。初めての食害に遭いました。この運動会の様子を見た私たちはがっくりきました。
 植樹会場の苗木たちには木酢液をかけて、昆虫の害に遭わないようにしました。大自然の中で生きていこうとする木々には試練かもしれませんが、未来の地球を守っていく願いを込めて木酢液を撒水しました。

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2009年4月16日 (木)

下で騒いでいても上(政治)を変えなくては駄目だ

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 昨日は山形県山形市で宮大工棟梁の加藤吉男さんにお会いしました。11月開催予定の「森と生きようキャンパスフォーラム2009」への協力をお願いしました。
 フォーラムの考え方をお話しすると、加藤さんからは「皆さんが国産材を使おうと言っても、外材が安ければハウスメーカーは国産材を使わない。国内に木はあっても使える木は少ない。また、現在の建築現場は大工(職人)を必要としない。今の建築法がある限り、国産材も職人も使わなくて済むようになっている」、と言われました。つまり、国産材を使うための法改正をしなくてはならない、という事が言われました。極めて政治課題であることが分かりました。
 また、加藤さんは「木造建築は柱が動かなくては駄目だ。建築に金属を使ってガッチリ動かなくしていれば木は金属に負ける。見てくれの建築では家は長持ちしない」、とも言ってくれました。私たちの建築に関する常識が非常識であることに気づかされました。その他にも加藤さんは、建築現場での話や木の話を私たちにしてくれました。フォーラムへの出席については後日、日程調整をすることになりました。昼には、山形そばをご馳走になりました。加藤吉男さんありがとうございました。
 午後には、間もなく満開を向かえる長井市のサクラを見ました。約800年も生きている「釜ノ越ザクラ」という、見事なヒガンザクラでした。(写真・左が加藤吉男棟梁、右は妹の陽子さん)

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2009年4月13日 (月)

本物の“森びと”を目指して「塾」オープン

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 足尾で315段の階段を、1日に2往復して三日間の作業をするとさすがに疲れが溜まります。そんなわけで、昨日は第1回の「森びと塾」がありましたがブログを更新できませんでした。しかし、夏日がこんなにも続くと内心は、雨乞いをしたい心境です。
 昨日の第1回「森びと塾」には30数名のインストラクターが受講してくれました。午前中は曇りがちであった天気は、昼頃からは晴れました。午前中は「笠森寺」の自然林(鎮守の森)を千葉県森林インストラクターの皆さんの案内で散策しました。午後は、アイヌ古布絵作家・宇梶静江さんの講演を拝聴しました。
 宇梶さんが講演のなかで語っていたのは、動植物はアイヌが生活の中に生きかすためのもの。それは食量となり、衣類や薬となったり、自然からの情報発信となる、と言います。ゆえに、人は森に生かされていることに感謝し、森(自然)を破壊しない、と言う。物事は「大地」という視点から考えるていると人間社会の偽りが透けて見えるようだ、ということを言っているようでした。
 いのちの森づくりは森を破壊するものたちの本音を見抜き、その行為を許してはならないことだ、と思いました。宇梶さんはそんな祖先(森びと)の生き方を私たちへ訴えているようでした。

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2009年4月 5日 (日)

樹に宿る日本人の文化を心に植えよう

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 今日は「『樹に宿る』上梓を祝う会」という出版パーティーに出席してきました。著者は、私たちが3月21日に足尾町阿蘇沢奥で遭うことができた江戸時代から生きているミズナラを紹介してくれた影山さんです。祝う会には250名程の関係者が出席していました。私は、写真を添えて阿蘇沢奥のミズナラに遭えたことを報告してきました。また、大人の絵本・『サルと人と森』の論評をお願いしてきました。
 昨日は事務局会議を開きました。今年度の事務局メンバーは若返りをしました。新事務局メンバーは、4年間の森づくりで森びとの基盤を確立してくれた旧事務局メンバーからバトンタッチされて初めての仕事をしました。4時間に亘る会議では、5月と6月に開催される足尾と八幡平の森づくりの基本的な内容を確定し、事務局の作業分担を決めました。
 その後、17時から旧事務局メンバーの慰労と激励会を行いました。激励会では、先輩たちから、森づくりにかけた生き方を語って頂きました。そこでは、森づくりは人間の都合に合わせるな、手を抜くな等の檄を受けました。事務局の先輩の皆さんありがとうございました。新事務局メンバーの皆さん、山と心にたくさんの木を植えていきましょう。

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2009年3月31日 (火)

人類の進路は命の森へと舵をとろう

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 29日は第4回通常総会が開かれ、昨年度の事業報告、決算報告そして2009年度の事業計画と予算が審議され、議決されました。総会を招集した岸井成格理事長は、近代・現代文明が行きづまり、あらゆる分野で矛盾やホコロビが噴出しています。その最先端の問題が、地球温暖化と環境破壊です。そのことに対する危機感から、人類の意識も大きく転換を迫られています。どうしたら迷路を脱することができるのか、手探りが始まりました。その解答のひとつは、「人は豊かさ、便利さを求めて、どんどん退化してしまった。怠けてしまったからだ」と、石川啄木の「林中の譚」を挨拶の中で紹介しました。
 総会には古河機械金属株式会社から幸崎雅弥さんが出席してくれました。幸崎さんからは、旧足尾銅山公害の反省に踏まえた会社がすすめている環境保護事業と今年からはじめた社員の植樹活動が報告されました。続いて議事に入り、質疑では、12名の正会員から発言があり、森びとインストラクターの各地での森づくり活動報告と新年度の豊富が述べられました。
 14時から始まった総会は17時に終了しました。その後は、会費制の懇親会がはじまり、毎日新聞社・水と緑の地球環境本部の川口裕之部長から連帯のあいさつを頂戴しました。懇親会のテーブルでは、和やかに本物の森づくりに向けた豊富が語られていました。
 明日から新年度です。私たちは一段上のステージに立って、近代・現代文明の行きづまりの迷路を脱するには、“人間は森の寄生者、多彩な生物社会の一員としてしか、持続的に生きていけない”、という当たり前なことを堅持し、NPO法人の役割を果たしていきます。第4回通常総会を成功裡につくりだしてくれました正会員のみなさん、ありがとうございました。
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