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2010年10月の17件の記事

2010年10月30日 (土)

「何もしないことは許されない」!市民の意思を力へ

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COP10が閉会しましたがその結果を読むと、100年後の生物多様性を憂いている皆さんにとっては残念な結果ではないかと思います。私もそのひとりですが悲観はしていません。なぜなら、私たちと共に“山と心に木を植える”活動が多くの皆さんに支えられていることと、昨日の講演を聞いて自信と勇気をもったからです。

昨日、公益財団法人イオン環境財団から招待されて「生物多様性みどり賞」を同財団から受賞した3名の「受賞者フォーラム」に出席できました。受賞者は、生物学者・探検家・映画監督であるジャン・ルミール生物学者(カナダ)、グレッチェン・C・デイリー博士(米国)、エミル・サリム博士(インドネシア大統領諮問会議議長)でした。

ルミール氏は、南極での現場調査で知り得た消えゆく生物と生物多様性の危機を報告し、今、私たちは「明日、どう生きるかだ。何もしないことは許されない。今、変化の風が吹いている。日常の小さなアクションが政治のチェンジへつなげよう」と訴えていました。デイリー氏は、「森に頼ってきた日本の文化、アジアの文化を欧米へ拡げてください」と私たちに提案していました。サムリ氏は、世界の開発は生態系の保全と経済の両立を提唱していました。

質疑を聞いていて分かったことは、100年先の地球の生物多様性を向上させていく運動の理解には時間がかかるが市民の意思を政府の意思へ高めていかなくてはならない、ということが各国の課題となっていることでした。また、課題克服にはデイリー氏が述べた「研究者は社会に出て学ぶべきだ」ということが重要な点だと感じました。フォーラムを終え、もっと市民の意思を高めてアクションを起こし、この意思を大きな力に創りだしていくことの大切さを改めさせられました。

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2010年10月28日 (木)

森に感謝する心が育む商品づくり

 「くらしと環境のデザイン展」が明日から11月3日(水・祝)まで東京・明治神宮外苑絵画館前で開かれます。この展に第4期インストラクターの関根紀明さんの作品が出品されます。関根さんは埼玉県本庄市で桐材店を経営していますが、商品製作過程で出る廃材を炭化して石けんを作り、桐とコナラ間伐材を組み合わせて椅子を作りました。この2点が明日から展示されます。

 関根さんはインストラクター研修で学んだ炭の効用を商品づくりに活かしました。桐炭には高い消臭効果と汚れの吸着力があり、このパワーを石けん素地に練り込み、さらに界面活性剤を用いないで肌に優しい石けんにした、と関根さんは話していました。椅子の座面には桐が使用されているので他の板よりも座りごごちがよさそうです。椅子も石けんも使ってみると木の恵みが身体に伝わって、自然環境に感謝する心が育まれるようです。

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2010年10月27日 (水)

枯れ葉(木)からいのちの基をいただきました

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雪の便りが届いています。各国では気候変動による自然災害に遭って避難生活を強いられている皆さんが何千万人もおりますが、雪の便りが届くとホットするような気がします。

北東北の紅葉も順調に南下しているようですが、今年の紅葉は夏の猛暑と10月になってからも朝の冷え込みが弱いせいか、いつものような鮮やかな色が今一で、時期的にも10日ぐらい遅れているようです。今ひとつの紅葉の中でみちのく事務所は10月24日、今年最後の育樹育苗準備作業である「腐葉土づくり」を行いました。 

Dscn1748 作業にはJREU盛岡のOBの皆さん、JR貨物の皆さんそして事務局員34名が参加してくれました。昨年に続き今年も雨に見舞われることが多い森づくり活動でしたが、当日は珍しく陽射しのある中で作業ができました。作業は、岩手県民の森キャンプ場内でミズナラやイタヤカエデ・クリなどの落ち葉を熊手でかき集め、ゴミ袋に詰めて旧学習院グランドへ運び、間伐材で作った木枠9基の中にはその枯れ葉と米糠、EM菌、黒土を混ぜ合わせ最後にシートを被せました。この腐葉土は来年の土壌改良の時に使用します。

心地よい汗を流しながら腐葉土づくりに参加してくれたボランティアの皆さん!ありがとうございました。(仲崎事務次長発)

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2010年10月26日 (火)

生態系の源は森ではなく土の中の生物でした?

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 キツネは翌日の24日にも私たちを歓迎してくれました。24日は「秋の会」が開かれ、25名が五感を養いました。秋のゲストは金子信博先生(横国大教授・通称:ミミズの先生)でした。

Pa241626 足尾でも標高1200㍍付近では色がかすんだ紅葉が観られます。多くの山肌はヤシャブシ、ヤマハンノキ、ニセアカシヤが緑化事業で植えられましたので紅葉はかすんでいますが、亜硫酸ガスに負けずに生き抜いたミズナラ、ダケカンバなどの葉、私たちの仲間が植えた木の葉は鮮やかな色を見せてくれます。「秋の会」では鉱毒の亜硫酸ガスに耐え抜いたミズナラを観てきました。このミズナラは標高・1270㍍付近で生き、幹の周りが2㍍半程ですが樹高は20㍍もありません。一行は100年以上は生きているミズナラの幹に触れ、土にも触れてその逞しさを感じとっていたようです。

Pa241639 昼食時には、アケビ料理、松木で育った芋がら料理、栗とマメのおこわ、メインの芋煮を食べて秋の味覚を味わいました。ゲストの金子先生からは土の中の世界を紹介して頂き、土の中の生物に活かされている木、その木に生かされている私たちという現実を実感しました。金子信博教授ありがとうございました。スタッフの皆さんお疲れ様でした。(キツネの写真は田岡インストラクター撮影)

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2010年10月25日 (月)

4年間のいのちの森づくりにキツネが歓迎

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 23日の秋晴れの日は第19回足尾・ふるさとの森づくりが行われました。主役はNTTビグソルの社員の皆さんでした。当日は朝から清々しい青空が皆さんを出迎え、JR日光駅前から大型バス一台を貸し切って現地に入ってくれた皆さんの顔も清々しさが感じられました。

 植樹会場は松木の杜で大きな岩がゴロゴロしているところでした。しかし、この地で4年間も春と秋に植樹している皆さんですので、一行27名はあっという間に12種・140本の幼木に元気を与えてくれました。

 昼食後、皆さんが後片付けをしているとキツネが「森びと広場」に現れました。野生のキツネを初めて見た皆さんは驚いていました。広場から対岸の岩山を見ていた参加者の一人は、“キツネが生きていける自然環境になっているのね!”と感動しているようでした。NTTビグソルの皆さんありがとうございました。事務局員の皆さんお疲れ様でした。

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2010年10月22日 (金)

雄鹿の遠吠えで秋の深まりを感じる

Pa221596  明日は第19回「足尾・ふるさとの森づくり」です。明日の森づくりは青空の下で乾燥した秋風を身体で感じる爽やかさのなかで行われるようです。

 今日はその最終準備を行いました。また、松村スタッフは松木の杜にある小さな畑で落花生と秋採りじゃがいもを掘りました。明後日の「秋の会」に参加する皆さんへ松木の杜の味覚を伝えたい、と収穫していました。Pa221589 周囲の山では雄鹿が吠えて求愛している声が響いていました。これからは鹿をはじめとした動物達が必死になって生きなければならない冬を迎えます。よって私たちは若木を食害から守るための植樹会場のチェックが欠かせません。

 Pa221603 昼食後には松村さんが持ってきてくれたザクロをいただきました。甘酸っぱくて美味しい秋(自然)の恵みでした。苗床のブナの幼木も葉を黄色に染めている苗を見るといのちの息吹が感じられました。明日はNNTビグソルの皆さんと大切な木のいのちを大地で育てます。

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2010年10月20日 (水)

リンゴの価値は艶のある赤色?

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 岩木山中腹の紅葉はその鮮やかさに期待がもてないようでした。岩木山麓の風景を見ていると一昨年1月の木村秋則さん講演を想い出しました。昨日は木村秋則さんのリンゴづくりに近付こうとしている寺田さんたちに会ってきました。この時季は早生のリンゴ収穫が終わり、本格的に超忙しい収穫期に入っていました。そんな中でリンゴ生産の現状を聞くことができました。

Pa191618  リンゴは4~5㌢程度に大きくなると間引かれ、その後、上(太陽から)から、下(銀色のシートから)から照らされて皮は赤く染められるそうです。上から陽を受けるには邪魔な葉を一枚一枚切り取るそうです。その作業は顎が出るほど大変なようです。色が悪いと価値が下がってしまうということです。栄養価が豊かになるのですか、と尋ねると寺田さんは黙ってしまいました。生産者の手間がかかって栄養価が豊かになるのであればリンゴの価値が上がると言えますが、単なる見てくれの化粧にすぎないのであれば手間はかけなくともよいのではないか、と思いました。しかし、現実は見てくれが価値を高めるというので手間はかけざるを得ないと言っていました。

リンゴの価値は見てくれでなく栄養価が高いか低いかではないかと思いました。寺田さんはそれらに関しては地元の研究者に聞いてみると言っていました。私もリンゴの栄養価とその味の本物を感じ取ってみたいと思っています。今日の朝、岩木山の頂上には霜が降りたようです。写真では木々にうっすらと氷が白く見えていました。

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2010年10月18日 (月)

森の衰えはいのちの衰えなり

Pa181618  秋田市内の千秋公園(県民会館)に生きているケヤキは元気がありませんでした。このケヤキは3年前に観たのですが、当時は梢枯れには気が付きませんでした。今日の朝、3年(3年前のブログで紹に)ぶりに元気なケヤキに会いにいきましたら写真のような姿になっていました。写真では分かりづらいと思いますが梢は枯れていました。残念でした。

 ところでこの公園は秋田藩主の城跡です。城跡で佐竹義宣が藩主であった当時のことを見学してみると、「国の宝は山なり、しかれどもきりつくすときは用に立たず、尽きざる以前に備えを立つべし、山の衰えはすなわち国の衰えなり」ということが資料館に書いてありました。これは家老・渋江政光が言い伝えてきたと書いてありました。

 これは1600年代の事です。やはり日本の木の文化は当時から森と共に生きてきた生活の中から築かれてきたことを実感しました。森びと秋田県ファンクラブの準備が急がれます。今日は五能線の車窓から夕焼けを見ながら青森県に入りました。

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2010年10月17日 (日)

村びと共に生きる巨木

 Pa161545 昨日は江戸時代から豪雪に耐え、農家の人々と生きている最上地区の巨木に遭ってきました。

そのひとつはJR新庄駅から酒田に向かう国道47号添いにある最上川川下りの下船付近にある土湯杉(幻想の森)です。戸沢村に生きる杉は幹の周囲が12~13㍍、樹高が30㍍ほどある杉です。豪雪の耐えてきたのか幹は二又、三又になった杉が多く、群生の中に入ると神聖な気持ちになりました。ところが残念なことですが杉と混交林になって生きていたミズナラは立ち枯れていました。周囲を見回すと最上川両岸の森でもミズナラがたくさん枯れており、白骨化した枯れ木が目立っていました。

 Pa161584 そこから国道47号線を新庄方面に30分ほど戻ったところを右に曲がり、県道458号線を通って大蔵村に生きる豊牧のクリと岩神権現のクロベ(ネズコ)に遭ってきました。クリは幹の周囲が5.7㍍、樹高が30㍍、クロベは幹の周囲が12.2㍍、樹高が25㍍ありました。クロベは林野庁の「森の巨木たち100選」に指定されていました。豊牧地区では棚田が村人に守られ、その棚田を森が見守っているようでした。

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2010年10月15日 (金)

南東北の花咲びとへ

Pa111196 南東北の紅葉はだいぶ遅いようです。今日は山形でタクシーに乗ったとき運転手に聞いてみたら「だいぶ遅いなあー」と言い、窓から見える蔵王方面の山肌は濃い緑色一面でした。明日は新庄市で友人と会い、来月14日に開催するキャンパスフォーラムの呼びかけをします。最上川周辺でナラ枯れが拡大し森の衰弱を肌で感じている皆さんの声をフォーラムに伝えてほしいとお願いするつもりです。そして今年のフォーラムを契機にして“日本の森を元気にする運動”をスタートさせてほしいとお願いします。

Pa111148 山形県最上地域(山形県北東部で鳥海山、月山、神室連峰の山々に囲まれた地域)は全国でも有数の巨木の里だそうです。この里には環境省の「日本の巨樹・巨木」に選ばれた木、林野庁の「森の巨人たち100選」に選ばれている木が生きています。この森と生きている皆さんの森を大切にする心を“森びと山形県ファンクラブ”へ結実させていただこうと願っています。そんな願いを最上地域の皆さんに伝えたいと思っています。秋はやはり写真のような“鮮やかな秋色”に癒やされて創造力を豊かにしたいものです。

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