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2009年3月の20件の記事

2009年3月31日 (火)

人類の進路は命の森へと舵をとろう

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 29日は第4回通常総会が開かれ、昨年度の事業報告、決算報告そして2009年度の事業計画と予算が審議され、議決されました。総会を招集した岸井成格理事長は、近代・現代文明が行きづまり、あらゆる分野で矛盾やホコロビが噴出しています。その最先端の問題が、地球温暖化と環境破壊です。そのことに対する危機感から、人類の意識も大きく転換を迫られています。どうしたら迷路を脱することができるのか、手探りが始まりました。その解答のひとつは、「人は豊かさ、便利さを求めて、どんどん退化してしまった。怠けてしまったからだ」と、石川啄木の「林中の譚」を挨拶の中で紹介しました。
 総会には古河機械金属株式会社から幸崎雅弥さんが出席してくれました。幸崎さんからは、旧足尾銅山公害の反省に踏まえた会社がすすめている環境保護事業と今年からはじめた社員の植樹活動が報告されました。続いて議事に入り、質疑では、12名の正会員から発言があり、森びとインストラクターの各地での森づくり活動報告と新年度の豊富が述べられました。
 14時から始まった総会は17時に終了しました。その後は、会費制の懇親会がはじまり、毎日新聞社・水と緑の地球環境本部の川口裕之部長から連帯のあいさつを頂戴しました。懇親会のテーブルでは、和やかに本物の森づくりに向けた豊富が語られていました。
 明日から新年度です。私たちは一段上のステージに立って、近代・現代文明の行きづまりの迷路を脱するには、“人間は森の寄生者、多彩な生物社会の一員としてしか、持続的に生きていけない”、という当たり前なことを堅持し、NPO法人の役割を果たしていきます。第4回通常総会を成功裡につくりだしてくれました正会員のみなさん、ありがとうございました。
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2009年3月27日 (金)

心に木を植える議論を創りだそう!

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 今日の毎日新聞に宮脇昭先生と山田英生さんの対談記事が載っていました。訴えは未来の子どもたちへのメッセージでした。そこで宮脇先生は、「地球上では、森をはじめとした緑の植物が、太陽の光のエネルギーによって二酸化炭素を吸収し、酸素を放出する唯一の生産者であり、人間も微生物と同様に植物によって生かされている一存在にすぎません。今、世界的な経済危機がいわれているが、我々の本質である生命の次元から見れば、株券や札束という紙切れの問題です。大事なことは、今の大人社会の影響により、バーチャルな世界に生かされている子供たちに、紙切れの尊さを教えることではなく、生の命の尊さ、はかなさ、厳しさ、素晴らしさを教えること。」と言っていました。
 今日は、明後日に開かれる第4回通常総会の資料づくり・準備を行い、準備はほぼ終わることができました。総会では、宮脇先生が新聞紙上で訴えていることを、森づくり運動を通じてどのように創りだしていくのか、そのために会員は何をなすべきなのか、という議論を創りだしてほしいと願っています。
 通常総会の運営をめぐって打ち合わせをしていると、大人の絵本『サルと人と森』が事務所に納品されました。一同、その梱包を開けて絵本を見て、「素晴らしい絵本ができた。この絵本を多くの皆さんに読んでもらって、宮脇先生の訴えに応え、一本でも多くの木を植えてほしいなあー!」、と感じたようでした。

2009年3月25日 (水)

「松木の杜」に植える桑の苗木を注文しました

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 昨日は桑の苗木を調査しました。私たちは、今でも富岡製糸工場が残っている群馬県富岡市で桑の苗木を育てている大竹文明さんを訪ねました。そして100本の桑の苗木を注文しました。購入したのは平賀陽子さん。和服の着付けを教えている方です。以前このブログで紹介した平賀さんです。平賀さんは、5月30日に行われる第9回足尾・ふるさとの森づくりに桑の木を植えたい、と希望していた方です。
 大竹さんの話によると、桑の種類は何百種もありましたが現在はそんなに残っていないそうです。ところが近頃は桑の人気が広がり、日本各地から苗木の注文があり、桑葉の粉の注文が相次いでいる、と言います。桑葉に含まれているデオキシノジリマイシンは血糖値の上昇を抑える物質です。糖尿病の方にはこの葉の粉が良いとの評判です。また、足尾に植えるためにの風に強い苗木、楽しみが増える大きい実がなる苗木、そして土壌に関する話を聞いてきました。
 本日は桑を植える足尾の植樹に平賀さんを案内し、「松木の杜」(仮称)の構想に花を咲かせました。畑予定地には、足尾へ向かう途中に頂いた菜の花を少し試植してみました。

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2009年3月23日 (月)

苗木に生きる元気を与えました

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 昨日は小雨の中を育苗作業しました。作業に来てくれたのはインストラクターの森戸さんと遠藤さんでした。「森びと広場」の周囲に生えているヤシャブシの芽は日毎に膨らみ、猿たちは木々の芽を頬張っています。
 広場の苗床にはポットから苗木が抜かれ、苗床に放置されています。その数約100本程。この悪戯の犯人は猿たちです。猿はポットの中にドングリが埋めてあることを学び、冬になると苗床に入り込み、ポットから苗木を抜き取って、根に付いているドングリを食べます。
 捨てられている苗木は根が付いているものが多く、必死になって生きようとしています。ポカポカ陽気となって、木々の芽が膨らむ頃を逃すとこの苗木たちは死んでしまいます。猿たちが木の上で新芽を頬張るこの時季に、そして小雨が降って丁度良い日でしたので、育苗作業は良い条件が整った中で行うことができました。
 広場の対岸から「松木の杜」(仮称)を眺めると、この杜にしっかり命を吹き込み、多くの皆さんと一緒になって“山と心に木を植えて”いきたいと願いました。改めて開墾作業に汗を流してくれた皆さんに感謝します。ありがとうございました。

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2009年3月21日 (土)

江戸時代?に生まれたミズナラに遭うことができました

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 ポカポカとした快晴の中を、100年以上前の亜硫酸ガスに耐えながら生きつづけたミズナラに遭いに行きました。
 今年1月の調査では、そのミズナラに遭えなかったために、東京新聞社のHさんのアドバイスをうけ、今日は再チャレンジしました。ダムゲートから阿蘇沢の上流をめがけて進み、約4㎞程行くと林道が行き止まり、そこから更に急斜面を登りました。その瞬間、「遭えたぞ!」という声が谷間を駆けめぐりました。仲間達の声が下から、上から聞こえてきました。「すごいぞー!」、「でかいぞー!」、とその声は少し興奮気味でした。
 興奮のあまり巻き尺が切れてしまい、身長167センチの小林君の腕で幹の周りを測ってみると、彼の腕では測れきれませんでした。周囲のミズナラの幹を測ってみると、幹の太さは最大で約5㍍あるようです。ミズナラの他には、シラカンバ、ダケカンバ、ウダイカンバ、カエデ類、リョウブ、ヤマハンノキ、ツツジ類そして下草には笹の葉が目立っていました。
 100年前には、周り一体の山々の木々は亜硫酸ガスによって枯れ、山々は岩山となってしまいました。しかし、この地には幹の周囲が5㍍もあるミズナラが生きていました。一年に3㍉生長したとして推察すると、このミズナラは250年も生きていることになるのでしょうか。そうだとすると、今日の出会いはまさに江戸時代に生まれたミズナラに遭ったことになるのでしょう。この一体の谷底には滝があり、美味しい水を下流に流していました。250年以上も生きている木々たちがつくっている森が、美味しい水を貯め、私たち生物の命を育んでいることに感謝しました。
 調査後、私たちは改めて自然の力強さを実感し、自然からの恵みに感謝しました。今日の「どくだみ荘」の宴は、美味しい酒が飲めそうです。
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2009年3月20日 (金)

階段用の間伐材300本を伐り出す

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 今日は、階段用の間伐材を伐り出しました。場所は東武日光駅から東へ、車で20分程の山中です。朝は小雨がちらついていましたが、作業が始まる10時頃からは晴れ間が見えました。場所は杉と檜の森ですので晴れ間があっても陽は射しません。作業は薄暗い感じがする急斜面の森で、間伐されていた木を一定の長さに伐って、道路まで運び出しました。これをダンプカーに載せて、3往復して足尾現地まで運びました。今日の作業では約300本の階段用間伐材を用意することができました。
 今日は春分の日のため、間伐材伐りだしの現場に向かう途中にあるお墓には花が飾られ、線香の煙が漂っていました。また、空を見上げると黄色い「煙」が目立ちました。それは杉花粉ですが、30年から40年前には線香の煙と杉花粉が舞うようなことはありませんでした。間伐材を伐って運んでいると、杉や檜はひしめき合って必死になって生存競争している様子が肌で感じました。これも人間の我がままな結果だろう、と思いました。
 事務局スタッフ、インストラクターの皆さん怪我なく、事故もなく間伐材を作っていただきありがとうございました。

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2009年3月18日 (水)

 100年以上前の松木村を再現したい!

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 事務局は、今年から始まる「松木の杜」(仮称)づくりに向けて様々な準備をすすめています。そのひとつに、「足尾いのちの森づくり看板」(仮称)の準備です。すでに看板の主柱は製材され、設置するまでになりました。看板に貼る絵と文章の制作は現在進行中ですが、昨日は、足尾在住の川田勉さんにお会いし、当時の松木村の話を聞きました。私たちは川田さんから約60分間の話を聞き、その後、川田さんの案内で当時の松木村の現地を再認識しました。
 川田さんは、松木村で最後の最後まで生活していた星野金治郎さんの息子・星野金平さんから聞いていた話などを私たちに語ってくれました。川田さん、ありがとうございました。
 110年以上前の松木村の絵を描いている方は、JREU・絵画クラブの加藤さんと益子さんです。彼らは真剣なまなざしで加藤さんの話に聞き入っていました。この二人は現在、当時の様子をM100号のキャンバスに描こうとしています。加藤さん、益子さんよろしくお願いします。
 川田さんの話によると、家の屋根は木っ端屋根で、庭先にはシャクナゲが咲き、もみの木が防風林になっていたようです。私たちは、松木沢を訪れるハイカー、釣り人、ロッククライミングに挑戦する皆さんに当時の松木村人が、森と共に生きていた様子を感じてもらい、森(自然)の大切さを訴えていければ、と願っています。
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2009年3月17日 (火)

森と生きる啄木に学ぶ

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 13日、福岡市でソメイヨシノの開花宣言があり、昨日は宮崎県と高知県でも開花しました。福岡市の開花は平年よりも13日に早い、という報道でした。今日の朝のNHKラジオニュースでは、甲府市ではタンポポの花が咲いた、前橋市ではヒバリが初鳴きした、と報道されました。昨日の朝のラジオニュースでは、昨年12月から今年2月までの平均気温が松本市では2度、軽井沢では0,8度高くなっていて、これは100年前からの観測以来はじめてのことだ、と報道していました。
 2013年以降の温暖化対策の国際的な枠組みは年末に開かれるCOP15にかかっています。IPCCは「温暖化の影響を最小限に抑えるには先進国で25%~40%の削減が必要」と指摘しています。政府は6月までに目標を決めると言っていますが、太陽パネルを家庭に設置させるとか、電気自動車などの次世代自動車の普及率が拡大すればとか、という経済的なことが中心となって議論されているニュースを聞くと、その目標達成は働く者からの「エコ収奪に頼るのか」、と疑ってしまいます。
 石川啄木は102年前に、サルに扮して「人間はなんてかわいそうな生き物なんだろう。人間はすでに過去を忘れてしまったのだな。今ここにこうして生きているのは、おれたちと同じ祖先がいたからではないか。過去を忘れた者には未来はないだろう。今がいちばん素晴らしく、人間がいちばん賢いと思い上がっていると、これからの人間には進歩も、幸せもないだろう。かわいそうな人間達だ。人間滅亡のときが近いうちにやって来るだろう。」、と人間に言っています。これは今月下旬、当委員会が自費出版する『サルと人と森』という絵本の一節です。
 石川啄木の「林中の譚」を啄木記念館学芸員・山本玲子さんが訳し、絵は、森づくりをご一緒した多摩美卒の鷲見春佳さんが描いてくれました。山本さん、鷲見さんありがとうございました。絵本希望者は当委員会まで問い合わせください。

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2009年3月15日 (日)

開墾が終わりました。ボランティアの皆さんありがとうございました。

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 開墾の後半作業は今日で終了しました。今月2日から始まった開墾は延べ11日間、手伝ってくれた皆さんは98名でした。作業を手伝ってくれたインストラクター、JREUの組合員・OBの皆さんありがとうございました。強風と雪、強風と雨そして早春を感じさせる快晴の中で、マヒワやエナガの小鳥たちとの出会い、トンビやイヌワシの風を利用した飛翔、二ホンシカの戯れ、昆虫の蠢きを肌で感じながら、私たちは開墾作業をしました。また、ボランティアの皆さんからは「プロと職人の違い。私たちは職人の生き様に学ぶべきだ」等、現場で学ぶことの大切さを共有することができました。
 今日は、杜の散策道の階段も造りました。また、杜の絵を描いている清水事務局次長とは、この杜は親子が孫と爺ちゃんが学べる杜へ、親と爺ちゃんが誇れる杜にしよう、とイメージを膨らませることができました。作業が無事に終了できたことを振り返り、皆さんは帰路につきました。途中、足尾ダムゲート直前で、助手席に乗っていたS君が「前にカモシカがいる、と叫びました」。じーっと見ると確かにカモシカの親子でした。足尾でカモシカが見えたのは、7年~8年ぶりです。私たちのマスコットキャラクターのカモシカに遭えたことに興奮し、カモシカが足尾に戻ってくれたことに感謝しました。
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2009年3月14日 (土)

自然の厳しさを感じて唐鍬とハンドルを握る

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 今日の午前中は雨混じりの強風が吹き荒れました。気温は6度でした。身体を動かしていなければ寒くて立っていられない悪天候の中で、本日の作業を行いました。重機のハンドルを握っていると、10分も経たないうちに指が凍り付くようでした。唐鍬を使って身体を動かしている作業が有り難い、という作業でした。
 午後になって雨が雪混じりの雨になってしまいましたので、作業は野外の作業から室内の作業に変更しました。今年も臼沢植樹会場で植樹をするためには、傾斜30度近い階段を約150㍍以上登らなければなりません。その地まで黒土や腐葉土を運びますので、それに使う背負子の修繕を行いました。14時頃になると背負子の改修は終わり、外は青空が出てきましたので開墾作業を続けました。
 今日は9名の皆さんが雨混じり強風の中で作業を手伝ってくれました。ボランティアの皆さんに感謝します。晴れ間がでた頃には、ヤシャブシの枝に数匹のエナガが留まって戯れていました。

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