“命をつなぐ営みの循環を変えてはならない”・・・・・「森びとの心構え」その③
当会の活動足尾・松木沢フィールドは雪が少ない。鹿にとっては餌を探しやすいのか、冬になると雪深い尾瀬の方から松木沢に鹿が集まる。禁漁区ということもあって、本格的な冬を迎えるこれからは鹿の群れに遭うことが多い。
積雪が多い年には鹿の死骸が目に付く。春になると死骸から異臭が出て、その臭いで気分を害するので穴を掘って死骸を埋めてやったことがある。ところが翌日になるとその穴は掘り返され、死骸は何者かに食べられていた。その後は、死骸を埋めず、死骸は森の中へ移動している。
3年~4年前にはキツネが「森びと広場」に顔を見せていたが、その後は足尾ダム周辺まで縄張りを拡げ、人がビニールを持っているとそれを奪おうとしているという。先月には、足尾町赤倉周辺のゴミ箱を漁っていた。
死骸の臭いは気分を害するとか、可愛いからと言って餌を与えてしまうと、生きものたちの命をつなぐ営みの循環を狂わせてしまうことに気づかされている。
生きものたちの複雑で、未知の絶妙なバランスが、私たちの暮らしに無関係ではないということを実感している。「食物連鎖」の頂点にいる私たちもこの循環のなかで生かされている。人間の都合も“ほどほど”にしなければ、”バチが当たる”事を覚悟しなければならない。“生物社会の一員に過ぎない”私たちである。(理事 高橋佳夫)
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