現場に立って森の掟をつかみ取る
森の中には寛容という風が吹いていますが、それは厳しい森の掟に支えられているようです。私たちの先達はこの掟を破らず、この寛容に感謝して森と相利共生していたようです。こんなことを学んだ「森びと実践ゼミナール」が28日~29日に開催されました。
森びとインストラクター修了生を対象にした実践ゼミは、当委員会アドバイザー・竹内巧さんの紹介の新潟県上越市大島区田麦にある「ぶなの森園」で開講しました。ゼミには15名の森びとが受講、ゼミの初日は「植生調査と生物多様性」をテーマにした講義と質疑・討論の座学、2日目は「ぶなの森園」での植生調査の森内実習が行われました。講師は、国際生態学センター研究員・矢ヶ崎朋樹博士(環境学)、講義内容は矢ヶ崎研究員の実践を基(ラオスでの植生調査、福井県等での植生調査)にした植生調査の核心点でした。
森内実習は朝6時30分に「ぶなの森園」に入り、多雪地域の民族植物学的調査を基にした植生調査を11時まで行ってきました。実習では、森を調査していくには森への人間のかかわりの歴史を抜きにできない、という調査の核心点を学ぶことができました。
帰路の電車の中でゼミを振り返って感じたことは、自然(森)には寛容という風が吹いており、それは厳しい森の掟に支えられているということでした。帰宅して教材に使った宮脇昭著『4千万本の樹を植えた男が残した言葉』を読み返して思ったことは、私たちの命の根源は人間と自然(森)の相利共生環境が整っているか否かにかかっている。片方だけの利益、すり寄って一方だけの利益を得るという関係では生態系は低下してしまう。私たちが幸せを実感できる最低の環境は自然(森)と人間双方の利益に結びつく関係を築き上げる努力が私たちの掟だ、ということでした。大山温泉「あさひ荘」の皆さん御世話になりました。
コメント