カテゴリ「森の声」の168件の記事

2009年7月30日 (木)

悲鳴を上げている小国の森

P7290048  先月に引き続き、28日から29日かけてナラ枯れ調査を行いました。場所は山形県の大朝日岳麓と西置賜郡小国町の貝少地区です。結果は、朝日鉱泉ナチュラリストの家から鳥原山へ向かう途中のミズナラ、貝少地区のミズナラとコナラ、そして小国町周辺のクリ等は衰退しており、悲鳴を上げているようでした。
 佐渡の調査と同様に、ミズナラ、コナラ、クリの幹には恐怖の芽が出ており、衰退している木にはカシナガが侵入しているようでした。貝少地区では、小国町役場の二馬係長さんに現地を案内して頂き、ナラ枯れ対策の説明をしていただきました。
 帰り道には、小国町の農家の方の森に入り、クリ林を調査しました。小国町役場の報告では、クリにもカシナガが侵入し、クリを枯らしている、とありました。調査の結果、クリは枯れたり、衰退していましたがカシナガは侵入していませんでした。衰退率は60%~80%のクリが目立ちました。 佐渡との共通点は、佐渡はミズナラ、コナラが枯れていたがカシナガが侵入していない木があったこと、小国もクリが枯れ、衰退していたがカシナガが侵入していない、ということでした。
 木は根、根は土ですので、採取してきた土壌に原因が隠されているのではと思います。“酸性雨 集めて悲し 最上川”という感じでした。2日間の調査でしたが無事に終わることができました。
 小国町役場の二馬係長さんと職員の皆さん、ご協力ありがとうございました。朝日鉱泉の西澤さん、小国町の農家の方、そして朝日鉱泉て話が弾んだ仁木さん、米澤の加藤さんお世話になりました。
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2009年7月22日 (水)

人間は自然を支配できない

P7211269  山口県内で土石流が発生し、住民の皆さんが犠牲になりました。日本海に停滞していた梅雨前線上に暖かい気流と寒い気流がぶつかって、観測史上はじめての集中豪雨が原因と報道されていました。
報道された土石流の写真を見る限りでは、上流の森は針葉樹ばかりではないように見えました。テレビを観ていて、報道機関は土砂が流れ出す原因をもっと複眼的に取材して報道してほしいと思いました。
 足尾・臼沢の森で植樹して感じることは、大雨が降ると雨水が森づくり用に造った階段の上(樹を植えていない)を流れていたことが分かります。樹を植えて小さな森になっている所はその流れが見えません。自然の力の素晴らしさを改めて感じ、反面、コンクリートや鉄の弱さ、人間の技術の脆さをつくづく感じます。私たち人間は自然の偉大な力を支配できない、ということを忘れてはならないと思います。
 ところでテレビ報道で、「最初は透きとおった水でしたが、直ぐ、濁った水に変わったので避難しました」という住民の声を聴き、このような瞬間の判断は親から、自然から学び、それが生命を救うのだ、という気がしました。
 昨日は、小雨の中を苗床の草取りと臼沢の森づくりの準備をしました。写真のような中から、JREU八王子の組合員の皆さんの笑い声や階段用の縦杭を打つ音が聞こえていました。

2009年7月15日 (水)

「ルソン島でふるさとの森づくりをします」、と意見交換

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 関東地方で梅雨あけ宣言(7/14)がありました。「どくだみ荘」の窓から見える足尾の朝は青空が広ろがっています。昨日に続き、今日も暑そうです。
 昨日の育苗作業は苗床の草とり、撒水を行いました。夕方4時には、フィリピン・ルソン島で活躍しているネットワークNGO代表とこのNGOを支援しているWE21ジャパンの皆さんが現地を訪れました。
 このNGOは、ルソン島で進められている大規模鉱山開発に対して、持続可能な地域の環境や先住民族の人権を守るための活動を推進しています。「森びと広場」を訪れた皆さんは、荒廃地化しているルソン島の自然を回復したいと、私たちの森づくり活動を視察してくれました。
 彼らとの意見交換には、13日から育苗作業に来ている神奈川県の皆さん3名、昨日来てくれた東京中野区の井本さんそして事務局スタッフが同席しました。この場では、高橋副理事長から森づくり活動の報告が紹介され、1時間ほどの意見交換が行われました。その後、松木の杜に移動して記念の植樹を行いました。会場では、清水事務局次長のアドバイスを受けた皆さんは久々の道具と土に触れ、苗木を植えました。NGOのアリスさんは、現地を去る時「私も現地でふるさとの森をつくります」、と言ってくれました。通訳の方からは、アリスさんはとても興味をもっているようでした、と付け加えくれました。
 6時過ぎまで交流に付き合ってくれましたボランティァの皆さん、ご協力ありがとうございました。P7141570

2009年7月 4日 (土)

情けない日本の温室効果ガス削減目標

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 足尾で植樹してから1ヶ月が過ぎました。僅か12~13㌢立方体のポットとの中で2~3年間も我慢していた若木が、参加者の期待に応えて23種・3361本は足尾の大地に元気な根を張っています。臼沢の森での辛かった黒土運び、松木の杜でのきつかった穴掘りと穴埋めでしたが、若木たちは雨と太陽からエネルギーの素を吸収しています。参加者のみなさん、ありがとうごさいました。
 先月、参加者から感想が事務所に届きました。「今回、はじめて参加させていただき、とても貴重な経験をしました。私たちは木がなければ生きていけないのに、木をたくさん伐って消費しています。そんな社会に生きて、人間が破壊した山に1本でも木を植えられた経験ができたことを幸せに思います。数十年後に大きくなった木に再会するのが楽しみです」と。(関東地区に住む若いアイヌ12名によるアイヌ語で歌い、伝統舞踊を踊るグループの一員・酒井美直さんより)
 足尾の植樹から10日後、麻生首相は温室効果ガス排出削減中期(2020年)の国内削減目標を、2005年比・15%にすると発表しました。発表前には、経団連や連合等に意見を聞いたそうですが、経団連と連合の意向は削減目標を上げないでほしい、という内容でした。削減目標は2005年が基準年ですが、2005年は京都議定書の排出目標から7%以上も増加しています。この年を基準年にしているのですから、世界各国からは失笑されても仕方がありません。その上、排出量売買による削減目標達成を図る、とした意図があるようでは、「世界の共通課題への認識の低さを示している」と言われるでしょう。(写真:上は臼沢の森、下は松木の杜。29日撮影)

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2009年6月28日 (日)

多くの生物が小さな社会を形成している足尾の森

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 おはようございます。ここ数日、足尾は良い天気が続いています。先月30日に植えた苗木は大地に根を伸ばし新芽が顔を出しています。今月19日、松木の杜の小さな畑に蒔いた大豆、ヒマワリも芽を出しました。
 昨日は第11回「足尾・ふるさとの森づくり」の準備をしました。私たちと同じようにほぼ毎日、松木の杜を訪れている方がいます。その方は何時も望遠レンズで臼沢の森方面を観ています。話を聞いてみると、ここ松木沢周辺の動物達を撮影しているそうです。冬はロシア方面かに飛来する猛禽類をはじめ冬鳥や夏鳥、そしてほツキノワグマ、カモシカ、タヌキやキツネ等がこの地に棲息しているそうです。また、この方は可愛い○○○○の親子が棲息しているのを発見し、現在はこの親子の様子をウオッチしている、と小さい声で教えてくれました。また、この方は「このような動物達がこの地に棲息していることは自然が豊かになりつつあるからだ」、と言っていました。「皆さんたちが森をつくってくれているからです」、とお礼を言われました。人間の愚かな行為で自然破壊してしまったこの地も、人間の知恵と継続してた力で生態系が成り立っているようです。
 今日の森づくりの主役はEU高崎の皆さんです。約90名の皆さんが臼沢の森と松木の杜に木と心を植えます。

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2009年6月15日 (月)

ナラ枯れの原因が見えてきた

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 足尾は雨が降っています。日中は曇り時々晴れでしたので、育苗作業をするには快適な天気でした。本日は事務局員有志と事務局スタッフによって苗床の草取り作業をしました。臼沢の森では今月28日に森づくりを行うJREU高崎の若者たちが草刈りをしていました。
 また、事務局員は草取りと並行して新潟県佐渡市のナラ枯れ地域から採取した土の酸性濃度を測りました。土はドンデン山周辺、安養寺地区、白瀬地区、妙見山地区、乙和池周辺から採取してきました。酸性濃度をpH器で測ったのは、ナラ枯れの原因は土壌に隠されているのではないか、との疑問を解くためです。結果は、ドンデン山のpH6,6から、妙見山のpH3.8でした。多かったpH値はpH4台でした。
 pH5になるとアルミニウムが溶け出す言われ、松茸菌や微生物が死ぬと言われています。測定した事務局員たちは、「何十年も前から降り続いた酸性雨によって、土壌が酸性化して赤松が枯れ、その後にはミズナラ、コナラ、ブナ等の広葉樹が枯れてしまったのか」、と話し合いました。とにかくこの状況を放置していると、日本の森ははげ山になってしまう大変な事態になってしまう気がしました。私たちは日本の森を守るために、今後も各地のナラ枯れを調査していく計画です。(pH器は、「ビー・エー・エス㈱のKS701」を使用)

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2009年6月13日 (土)

佐渡の森を守る情熱民の炎が燃え上がる!

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 佐渡の自然を愛し、文化を大切にする方々の案内でナラ枯れ調査は終わりました。昨日の天気は晴れ時々曇りでした。絶好の調査日和の中、午前中はブナ林の調査、午後は小佐渡の植生を観察しました。
 ブナ林の調査は、大佐渡スカイライン沿いのブナ林、乙和池のブナ林で行いました。ブナは幹の周囲が250㌢程、樹高は20㍍程ありました。多くのブナが沢山の実を付けていました。「今年はブナの実が豊作だなあー!」と話し合いながら、りっぱなブナ林の植生を調査しました。昔の佐渡島民はブナを「ヤマンバノキ(山姥)」と呼び、その意味は「美しい女神」ということでした。確かに、この意味が分かるような気がしたブナ林でした。
 ところが樹高20㍍程の頭付近を双眼鏡や望遠レンズで観てみると、葉が付いていない梢、葉が付いていてもその密度が薄い、ということに気づきました。上の写真のように左側のブナの葉の密度が濃く、右側が薄くなっています。このようなブナは幹に小枝を伸ばししていました。この小枝は、ドイツ人が言う「恐怖の芽」(宮下理事の言)ですが、地上から2㍍程から上に小枝を付けていました。
 モリアマガエル、アカショウビンの鳴き声を聴きながら、土壌の採取をしました。午後は、小佐渡に足を伸ばし、カシワ、シロダモ、タブノキ、アカガシ等を中心に、その生態を観察しました。夜は19時から、「トキどき応援団」(NPO法人)主催の学習会に出席し、宮下正次理事が講演をしました。22時半頃からは、佐渡のナラ枯れ防止策の話に熱中しました。
 今日、両津発9時30分のジェットフォイルで帰路につきました。牧さん、中川先生そして専門学校の学生のみなさん、「桃華園」のみなさん、こころ温まる案内をしていただきありがとうございました。

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2009年6月12日 (金)

ナラ枯れの原因は土壌に隠されている?

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 おはようございます。今日は晴れのようです。朝陽が眩しく感じます。昨日の調査は古澤諭吉さんの案内で、古澤さん所有のタンデラ地区のコナラ山の枯木でした。
 古澤さんは農・漁業を営んでいる方です。コナラの原木でマイタケ、ナメコ栽培、椎茸栽培などを行い、今頃からはサザエ、アワビそして夏になると牆を捕っています。案内されたタンデラ地区の山ではナラ枯れがひどく、古澤さんは「この山のコナラは今から15年~17年前からおかしくなっていた」と言っていました。続いて、白瀬地区の山も案内してもらいました。
 両地区の枯れたコナラを伐った木の年輪を調べてみると、今から15年~17年前から1年で2㍉程度の生長でした。殆どの伐り株の年輪を調べてみると、5㍉程度の生長をしていたものが急に生長が鈍っていたことが分かりました。
 午後には、専門学校の学生達と白瀬地区の自習調査を行いました。白瀬地区の調査ではっきりしたことは、コナラ、ミズナラの枯木、80%の死にかけている木、50%死にかけている木を数十本はカシナガの被害に遭っていないことでした。枯木の原因は「カシナガが運ぶ病原菌」と言われていますが、タンデラと白瀬地区の枯木にはカシナガがナラの木に浸入した形跡はありませんでした。
 私たちは枯木の周辺の土を採取してました。ナラ枯れの原因は土壌に隠されているのではないかと思っています。そこで私たちは、必死になって生きようとしているコナラ、ミズナラの周辺に持参した炭粉50㎏を散布しました。元気になってくれよ!、と言葉をかけて炭粉を蒔きました。
 夜は、佐渡の自然を愛し、文化を大切にしている皆さんと交流会を行いました。

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2009年6月11日 (木)

日本の山をはげ山にするな

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 おはようございます。昨日から新潟県佐渡を訪れています。目的はナラ枯れ調査です。1980年代から日本海沿岸を中心に発生しているナラ枯れが、今や22府県に拡大しいる現状を把握するためです。特に、その原因は何か、を突き止めたく当委員会内に設置した日本の森を守るための「提言作成委員会」のメンバー2名とカメラマン1人が佐渡に入っています。
 昨日は佐渡で植物調査をしていた牧さん、現在も植物調査・研究を続けて中川清太郎さんの案内で大佐渡の梅津川上流周辺を観て回りました。独立行政法人・森林総合研究所等によれば、ナラ枯れはカシノナガキクイムシ(以下、カシナガと言います)が運ぶ病原菌(ラファエレア・クエルキボーラという糸状菌)が原因と言われています。
 1980年以前も散発的にナラ枯れの被害がありましたが、その後、カシナガはどうしてミズナラやコナラ等に飛来し、その被害が拡大しているのか、を突き止めたいと願っています。木は根、根は土といわれてますが、ミズナラやコナラが何かの原因で弱わり、この弱った木にカシナガが飛来し、菌を運んでいるのではないか、と私たちは思っています。つまり弱りかけている原因を突き止めることができれば、と願っています。
 現在は小雨ですが、8時30分から調査開始です。
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2009年6月 9日 (火)

温室効果ガス削減を政争の具にするな!

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 「私の趣味の一つは車です。普段は環境を破壊する側にいるように感じていたので今回の森づくりに参加した。これからも環境問題を実感しながら車と関わっていきたい。」、「過去にこんなにも自然が破壊されたことに驚くとともに、関係する企業の責任も感じる。少しでも役に立てば今後も参加して生きたい。」、「大変な場所での植樹なのでびっくりした。しかし、多くの人たちが一生懸命に森づくりをしていることに感激した。これからも身近なところから環境について考えていきたい」、という感想が本日、事務所に届けられました。届けてくれたのは、東京からパスを貸し切って参加してくれた労働組合の皆さんでした。ありがとうございました。
 ところで麻生首相は明日、温室効果ガス削減目標を発表するらしいが、それに先だって労働組合幹部からも意見を聞いた、と新聞報道されていました。報道によると、連合高木会長は「雇用の問題にも十分配慮してほしい」、基幹労連や電力総連は「05年比4%減(90年比4%増)」という考えを麻生首相に示したと言います。この記事を読んで、私は耳を疑ってしまいました。
 現場の組合員の皆さんは森づくの現場に立って、環境意識を改めているのに、政治の場では温室効果ガス削減問題が衆議院選挙戦術に利用されてしまうのか、と思いました。(写真は東京都の皆さんです)

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