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2009年9月の13件の記事

2009年9月28日 (月)

食害対策で動物との知恵比べ

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 北東北では日に日に秋が深まっている感じです。今年の春、苗床の苗が小動物たちに食べられるという食害に遭いました。この間、色々な方々から食害対策のアドバイスを頂戴し、話し合った結果、第1案はペットボトルの風車取り付け、第2案は、小動物が嫌がる杉の葉と栗のイガの活用を試行してみることにしました。そのために、今月の連休中に栗のイガと杉の葉を収集しました。冬を間近に迎え、みちのく事務所は色々と工夫を凝らして、森と共に生きるための人間と小動物の「知恵比べ」をはじめます。
19日には、今年の腐葉土づくり用の間伐材を集めました。伐採場所は盛岡市の手代森。間伐材はNPO法人「いわて森林再生研究会」の代表をしている斉藤文男さん提供で4年前から間伐材を頂いています。伐採作業には、JREU組合員とOBの皆さん、20名が参加してくれました。間伐材145本を伐り出すことができました。
 その後、私たちは間伐材を元学習院グランドに運び、これまで枠の中で醸成していた5基の腐葉土を撹乱し、状態を確認しました。ここでつくられた腐葉土は、元山堆積場の植樹場所へ土壌改良として使用されるものです。来年の森づくりには使用できそうです。
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2009年9月26日 (土)

東北・奥州市に根付く森と生きるこころ

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 秋風が爽やかな9月20日、岩手県奥州市前沢区で第2回「奥州万年の森」づくりが開催されました。この森づくりは第2期インストラクターの及川浩行さんが実行委員会の事務局長として汗をかき、昨年から始めた森づくりです。森づくりは昨年に引き続き宮脇昭先生のご指導を受け、参加者400名はヤマモミジ、ミズナラ、ヤマザクラなど14種・5.500本の苗木にいのちの息吹を与えました。
 この森づくりには昨年同様、森びと・みちのく事務所は角岸所長を先頭にして25名が参加しました。一行は、旧松尾鉱山跡地で厳しい環境下で育樹・育苗で培った知恵を活かして、この森づくりのグループリーダーとして植樹祭をリードしました。私たちは参加者に適切にアドバイスをしながら、用意された苗木全てを植えました。参加者の子どもたちの顔を見ると、東北・奥州市にも“山と心に木が植えられ”、生命と自然を大切にする心が育まれている感じがしました。
 宮脇先生、みちのく事務所から参加された皆さん!大変お疲れ様でした。
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2009年9月25日 (金)

里山にも酸性雨の被害・ナラ枯れで悲鳴をあげている樹木

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 会津若松市内の里山は衰退していました。ナラ(コナラ、ミズナラ)枯れが相当進展し、ナラは悲鳴を上げていました。木に活かされている私たちは、早急に恩返しをしなければならないようです。
 当委員会は昨日(24日)から本日(25日)にかけて会津地方のナラ枯れ調査を行いました。昨日の調査は西会津町のナラ枯れ(白骨化したミズナラ)、本日は会津若松市内のナラ枯れを調べました。西会津地方(山都町、反口地区)のミズナラの枯れは白骨化した幹が天を突いている様子があちこちで見られました。会津若松市内の里山(飯盛山周辺)ではコナラ、ミズナラが胴ぶき(恐怖の芽)を精一杯出して、助けてくれ!と悲鳴を上げている様子でした。また、東山ダム湖の山肌を見ると、枯れた広葉樹(ミズナラ?)が100本以上見られ、これを見ていた私たちはこのままではこのダムは貯水ダムでなく砂防ダムに変身してしまうのではないか、と心配するほどでした。
 飯盛山の周辺の里山のナラ枯れは一刻の猶予もない、という状況のため、私たちは早速、ミズナラを元気にするために炭を撒く計画を検討し、調査に同行してくれた福島県、宮城県のインストラクター3名を中心にして実行していくことにしました。
 今回の調査にアドバイスしてくれた森林管理署の皆さん、会津若松市役所の皆さんありがとうございました。調査結果の概要は後日、発信します。

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2009年9月22日 (火)

今年最後の森づくりへ、気持ちよい汗を流す

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 うっすらと色づきはじめたリョウブの葉があちこちに目立ち始めている松木沢周辺。透き通った青空の下では乾いたヒノキの間伐材を打つ音が臼沢の森で響いていました。19日から20日にかけてJR貨物労組関東地方の皆さんは、第16回「足尾・ふるさとの森づくり」会場用の階段を作りました。本番当日の主役、組合員・家族の皆さんが安全に植樹できるようにと、ボランティアの皆さんは二日間で草刈りと階段30段を作りました。
 来月25日の本番には約100名の主役が臼沢の森に参集し、今年最後のいのちの森づくりを行います。作業に駆けつけてくれたのは中央本部の高木書記長そして関東地方本部の山崎委員長を筆頭に13名の皆さんでした。両日とも天気は秋晴れで、皆さん達は間伐材の運搬や階段づくりで気持ちのよい汗を流すことができました。2日目の最後はあまりにも良い秋晴れなので、頭から足までびっしょりになるほどの汗をかきましたので、皆さんは松木川の河原でその汗を流しました。
 今年から森づくりを始めたJR貨物労組の皆さんですが、責任者を先頭にした準備作業に汗を流す様子を伺っていると、自然といのちを大切にする熱い息吹が感じられました。
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2009年9月21日 (月)

自然(森)の力を改めて実感!

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 当委員会は今年で足尾の森づくりを始めて5年が過ぎました。臼沢の地には小さな森が形成され、豊かな生態系が育まれているようです。これも年間100日以上の育樹・育苗活動に汗してくれましたボランティアのお陰です。皆さんに心から感謝いたします。
 事務局は17日、臼沢の森周辺の植生調査を行いました。森づくり5周年を向かえた小さな森の様子を記録に残そうと、矢ヶ崎さん(国際生態学センター研究員)と星さん(矢ヶ崎さんの友人)の協力を得て阿蘇沢地区と臼沢の森を調査しました。
 この調査は当委員会が来年発行する「森づくり5年報告」(仮称)に向けたものです。阿蘇沢では足尾銅山製錬所から排出された亜硫酸ガスに負けずに生きているミズナラ周辺の植生を調べ、臼沢の森では5年前に植樹した会場とこれから植樹する会場の植生を調べました。
 臼沢の森に立った私たちは爽やかな秋風を身体に感じながら、人間の地道な森づくりがいのちの森へと育まれていることを実感しました。木を植えると葉が出て、葉を餌にする昆虫が集まり、葉を住処にする昆虫が集まり、落ち葉になっても落ち葉を餌にする分解動物達が集まり、土壌を豊かにしてくれます。また、小さな森には昆虫を餌にする小動物たちが集まり、極めつきはアリや蜂を求めてツキノワグマが訪れるようになりました。間もなく小さな森では美しい紅葉が見られ、自然の力で私たちの心が癒やされます。

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2009年9月18日 (金)

ナラ枯れの原因は虫ではなかった!

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 世界の森が衰退しています。南南極やニュージーランドの南極ブナが立ち枯れ、枯れたブナにパン・デ・インデオが寄生しています。オーストラリア・パースでも、アメリカのモミも、ドミニカ共和国のマツからは大量の硫酸イオンが検出されました。日本では、日本海岸や関東でも東北でも立ち枯れが猛威をふるっています。このままでは世界の森(山)がはげ山になってしまう気がします。こんな気持ちになった講義を今日、大森禎子さんから拝聴しました。
 大森さんの講義はすべて現場での調査・分析の結果でした。立ち枯れの原因は酸性雨です。風や雪、霧によって運ばれた硫酸イオンによって、水分とともに鉄、アルミニウムが樹木に運ばれ、リンとカリのバランスが崩れて樹木が生長できなくなっています。リンとカリが無いと樹木は生長できません。近年は、融雪剤の散布によって塩化物イオンが増加し、土壌の酸化が出始めているようです。
 金属イオンによるリン酸イオンの不活性化は樹種に関係なく、樹木の立ち枯れをおこしています。立ち枯れを防ぐには炭が一番よいと言われました。日本各地で炭撒きが行われ、その結果、衰退していた樹木が元気になっています。炭は生命炭になっているようです。
 3年前から国際炭会議が開催され、各国の学者・政治家・企業家代表が質疑討論しているようです。イギリス、EU諸国そしてアメリカ、台湾は二桁の参加者ですが、日本からは数人程度の参加です。市民が炭を作り、蒔いて森を元気にしているのですが、日本は政治の問題になっていません。日本は環境問題が政治問題になっていない気がします。11月29日のフォーラムはみんなで創り、みんなの声を政治に反映させたいものです。

2009年9月16日 (水)

現代人は森を軽く見ている

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 第2回「森と生きるキャンパスフォーラム2009in早稲田」開催準備が始動しました。開催日は11月29日(10時から17時)、会場は東京・早稲田大学国際会議場「井深大記念ホール」です。今日はこのフォーラムの第1部・講演(テーマ:「日本人の木の文化の再認識」)の講師予定の浦川治造さんに会ってきました。
 浦川さんは千葉県君津市黄和田畑仲ノ台に住んでいます。住まいはJR内房線木更津駅から久留里線に乗り換えて、終着駅の上総亀山下車、バスで30分のところです。70歳の浦川さんは東京アイヌ協会名誉会長をされ、アイヌの伝承文化を絶やさない運動を推進している方です。
 講演の依頼をしている話の中で浦川さんは、鳩山民主党連立政権に対して「要望書」を提出する準備をしていることを話してくれました。浦川さんは、アイヌの伝承文化を伝える古老への援助やアイヌの復権を実現したい、と熱く語ってくれました。
 講演依頼は快諾していただき、浦川さんとの話は昼から午後4時頃まで続き、森を元気にさせる話や政治問題、環境問題などの意見交換ができました。フォーラムでは、アイヌ人の森の文化(森に生かされている)を参加者の皆さんに掴んでいただければ幸いです。
 浦川治造さん、長時間お付き合い下さってありがとうございました。

2009年9月13日 (日)

258本の若木が大地に根を張ることができますように?

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 今日の朝(7時50分頃)、森びと広場の気温は13度でした。空には秋の清らかな青空が遠くに見え、そのなかに昨日の雨雲でなく秋の雲が散らばって浮かんでいました。事務局は小豆の朝採りをしたのち、今日開催する第14回足尾・ふるさとの森づくりの最終チェックをして、本日の主役であるJREU横浜の皆さんを待ちました。
 10時30分、主役の皆さんはバス1台に乗車して松木沢に到着しました。車内では、宮脇昭先生のいのちの森づくりビデオを鑑賞し、森づくりの心構えを学んできたそうです。45分から開会セレモニーが始まり、森びとインストラクターの石井さんから植樹方法を教えられた皆さんは、苗木、移植ゴテ、黒土、腐葉土等を持って植樹会場目指して歩き始めました。
 13時30分には258本(ブナ、ミズナラ、コナラ、ヤマザクラ、ヤマモミジ、トチノキ、クリ)を臼沢の森と松木の杜に植えることができました。少し風が強い時もありましたが、爽やかな汗を流した皆さんの顔には自然の力から恵んで頂いた笑顔が見えていました。怪我や事故もなく植え終えた後は、山形の荒川ご夫妻から送られた芋煮をご馳走になりました。前段の準備をしてきた準備員の皆さん、本番でいい汗を流した参加者の皆さん、若木にいのちを吹き込んで頂きありがとうございました。
 今日はこの他に、神奈川県から明治学院大学生二人が育樹活動に参加してくれました。その一人、佐藤さんは「小さい時、遊んでいたのが森でしたので身体が森に行きたい(木を植えたい)となって、参加しました」と、言っていました。二人は、冬支度に入る若木の草取りをやっていただきました。三浦さん、佐藤さん、本日はありがとうございました。

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2009年9月11日 (金)

新郷村・戸来岳のイチイの力強さ

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 十和田湖東岸にある大駒ヶ岳頂上(1,144㍍)は自然環境保全地域です。この山は前副理事長の角岸幸三さんのふるさとにあります。ここはイチイ(地元ではオンコと呼んでいる)の矮性林として学術的にも貴重なところです。昨日、東京事務所代表とみちのく事務所代表は“百聞は一見にしかず”と、現地を視察しました。
 下界は晴れていましたが、標高900㍍地点から頂上にかけては風と小雨でした。兎平から出発、960㍍付近まではブナの原生林が残っている森を歩き、その上は笹が覆っている中にダケカンバが生えており、笹の中の道を登りました。1千㍍付近に辿り着くと道の右側に最初のイチイと遭うことができました。足下には強い風を避けてリンドウが可憐に咲いていました。P9102370
 そこから頂上までの間には強風を受けてイチイが必死になって生きていました。根元の幹の直径をスケールで測ってみると、30㌢~80㌢ありました。樹高は2㍍もあれば高い方で、まさしく矮性林と言えます。直径80㌢ものイチイが何故、2㍍程の樹高に止まっているのか、一行は疑問が解けませんでした。森林限界地点でもないのに、どうしてなのか、疑問が残りました。
 その疑問を解くためにみちのく事務所は、大駒ヶ岳山頂から三ツ岳の二山を総称して戸来岳と呼んでいますが、この戸来岳を縦走をしてみることにしました。森(木)の力強さに感動しました。

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2009年9月 8日 (火)

手作り風車で食害対策

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 みちのく事務所は9月7日、今年2回目の草刈りとポット苗の草取りを行いました。同日、8月27日に行った元山堆積場の植樹場所では、草の生長抑止と冬場の霜柱による根上がりを防ぐためにバークチップを満遍なく散布しました。
 苗床の草刈りと草取りが終わった後、食害対策の一環としてペットボトルで作った風車を苗床の中に20本ほど設置しました。風が吹けば風車が回り、その振動がパイプを通して地下に伝わり、ネズミやモグラに警戒音を発するというものです。これはネズミ・モグラ等の食害対策と草取りなどの育苗活動をしっかりやろう、とした今年の育苗目標の一つです。
 昨日の朝方は雨の心配もありましたが、曇り空で時折日差しも見え、額に初秋の汗をかきながらの作業でした。作業はJREUの組合員の皆さん20名の協力ですすめられ、空地にトレイを移動して、草刈機械で草刈りを行い、ポット苗の草取りを行いました。ドングリの苗は雑草に負けて成長が妨げられていた苗もありましたが、草を取って爽やかな秋風を苗木に与えることができました。
 ボランティア活動で参加された皆さん本当にご苦労様でした。
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