カテゴリ「森の声」の168件の記事

2008年11月 1日 (土)

国滅びても山河は残せ!

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 昨日は、久しぶりに国会周辺を歩きました。民主党の参議院議員に会う用事があって、松井事務局長と議員会館に行ってきました。その訳は、日本の森を守るプロが育たなくなってしまうのではないか、という危機感があったからです。どこにどんな木が生えているのかなど、森林を知り尽くしている林野庁が二分され、森林事業の一部が独立行政法人化されてしまうからです。
 7月に開催しました「森と生きるキャンパスフォーラム2008」では、生徒達は森林を学んでもそれを活かして働く場所がなくなっている、ということが農業高校の先生から報告されました。
 地球規模では温暖化問題が叫ばれ、森林の役割を益々充実させなければならない時代を迎えているにもかかわらず、森林を守るプロを育てようとしない政治はおかしい、という問題意識がフォーラムで突きつけられました。そこで、政治はどうなっているのか、を自分の目で確かめるために議員会館を訪れました。アドバイスしてくれました参議院議員は、今の与党では国も山河も滅びてしまう、と言っていました。また、議員は国は滅びでも、山河が残れば国は再生できます、と自信をもって話してくれました。
 私たちは森に生かされている以上、とにかく森を守っていかなくてはなりません。私たちは森を守るプロが育つように、その運動を模索していかなくてはならないと感じています。黙っていては森林は滅びてしまいます。政治に無関心ではいられないようです。

2008年10月30日 (木)

生命(いのち)を守る、まずは自分の健康を第一に

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 今日は2千㍍以上の山では初冠雪でした。関東では那須の茶臼岳、浅間山の頂上にはうっすらと雪が降りました。昼頃、事務局員は訪れた大田原市野崎地区に住んでいる第1期インストラクター・星野恵司さん会うと、今日の朝は寒かったそうです。星野宅の軒先には、真っ赤な唐辛子が干してあり、庭には小さな柚の木に大きな柚の実がぶら下がり、霜月を醸し出していました。
 星野さんは奥様とともに「森びと那須クラブ」の活動を盛り上げています。本日は、那須クラブの皆さんが進めている苗づくり作業所を訪問しました。那須クラブの皆さんは、「足尾広場」の作業小屋、森づくりの看板そして植樹会場のベンチ等を造ってくれました。そして、昨年秋からは、命の森づくりのための苗づくりをはじめています。
 会社をリタイヤした先輩方が中心となって、未来の子どもたちが平和な社会と豊かな森の中で生きてほしいと、会社員時代よりも忙しく、しかし、楽しく笑顔を絶やさず、森づくりを進めています。
何が一番良いですか、と訪ねると、「ストレスが溜まらないことだ!」と、言われました。幼い木に向かって、水を与え、草を取り、太陽の光を与え、日毎に伸びる木々が巨木となっていくことを願うと、無心になれる。その後、一杯呑みながら、笑ったり、怒ったりして話しこむことが楽しい、と言ってくれました。
 「森びと那須クラブ」の植樹際は11月3日に行われます。また、クラブの皆さんが作った餅米が収穫されました。餅米(こがねもち)は、湧き水、無農薬、天日干しで作られ、欲しい方にはお分けしたいと、と言っていました。市価の半額で(送料着払い)でどうですか、と言っていました。問い合わせは、大野さん(電話:0287-63-4373)に電話してください。世界各国の一部企業による食の犯罪が暗躍しているなかで、シニアの皆さんのチャレンジには脱帽でした。

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2008年10月23日 (木)

背に北風を受けました。間もなく足尾は冬です。

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 今日の朝はご覧の通り、足尾町の赤倉地区は雨雲が覆われていました。天気予報通りに雨の一日かと思いましたが、雨は小雨で降ったり止んだりでした。風が吹くと北風で、これがじっとしている苗木分け作業には堪えました。
 昨夜は、千葉の会員から送られた里芋とゴボウ等を切って、中鍋一杯のけんちん汁を作りました。一晩寝ねかしたけんちん汁を鍋に入れ、森びと広場に持って行き、昼食に、皆さんに食べてもらいました。味はみそ味にして、群馬のこんにゃく、椎茸、油揚げ等で整えました。あるインストラクターは3杯もお代わりするほどの美味しさ?、でした。
 本日は、昨日も来てくれた森戸さん、事務局スタッフの小川さん、神田さん達によって、苗木分け作業がはじまり、午後3時頃には、43トレイ・860本の苗木分けができました。また、小川さんは、来月にはじまる階段造り(11月15日から18日まで)の下見をしました。
 この頃は、足尾町内には大型バスが所狭しと走る時が見えますが、本日は足尾ダム付近でスケッチをしている皆さんを拝見しました。是非、足尾町の歴史をも思い浮かべながら絵を完成してほしい、と、思いました。足尾ダムには様々な歴史が折り重なって現代があります。

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2008年10月21日 (火)

 国境を越えた本物の森づくりをめざした看板づくり

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 本日は、事務局員の松村さんが2箇所の苗床に撒水しました。群馬県のスタッフ2名(小井土さん、柳沢さん)は、足尾森びと広場に設置する大看板用の間伐材を運搬しました。
 足尾ふるさとの森づくり以降、一週間も秋晴れが続いています。その上、乾燥も続いていますのでポットの中は水不足です。苗分けした若木や命を吹き込まれたドングリは、雪が降る前に少しでも毛根に元気を与えようとしていることでしょう。そんなことを考えながら、色づいた葉をつけている若木、そして遮光ネットと藁のマルチングの下で根を出そうとしているドングリに水を与えました。
 来年は、足尾で森づくりをはじめて5年目を迎えます。5年前に植えた樹木は3㍍以上の樹高になっています。足尾・旧松木村の跡地には着実に生命(いのち)の森が大地に根を張っています。100年先のこの森は、自然環境と人間の命を大切にする方々の熱意と継続によってつくられています。
 5年を記念にして、「森びと広場」入り口に大看板を設置します。古河機械金属㈱足尾事業所の許可を得て設置する看板は、足尾の生態系と松木村の歴史そして私たちの森づくり活動を紹介していこうと考えています。180㌢四方の看板を支える支柱の大きさは、直径40㌢×長さ3㍍もあるアカマツです。このアカマツを足尾まで運搬しました。
 この看板は、松木沢を散策するハイカー、春から夏に多い釣りファン、緑化作業をしている皆さんへの案内と訴えです。皆様のアイデアをお待ちしています。

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2008年10月20日 (月)

「森と生きるキャンパスフォーラム」・・・その⑦

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 第3部はシンポジウムでした。パネラーは、安田善憲さん(国際日本文化研究センター教授)、宮脇昭さん(横浜国立大学名誉教授)、岸井成格さん(ジャーナリスト)、コーディネイターは村田久美さん(当委員会理事)でした。
 テーマは、「命の森へ進路をとれ!」と題して、90分間の討論をしました。シンポの流れは、安田先生には「環境問題への指摘」 → 宮脇先生には「今、世界では何が起きているのか」 → 岸井さんには「本物の森がなかなかつくれないということは、行政、政治のどういう仕組みからきているのか」 → 安田先生には「歴史上で社会が滅びなかったのは森との共存という文明ですし、これが持続可能な時代ではなかったか。今、「持続可能な社会を」、と言われますが良く理解できません。この持続可能な社会ということに関して」 → 宮脇先生には「カーボンオフセットに関して」→ 安田先生には「急激に進んでいる温暖化の地球の未来をどのように推測するか」 → 参加者との質疑・討論 → 最後に、「地球を救うためにはどのような生き方をすればよいのか」、という事に関してでした。この点に関して、安田先生は森を植える者の心は、「地球上の命あるものに囲まれて人間が地上に生を受けたその命を大事にして、しっかり生きるということ」、宮脇先生は、「人事でなく、自分が、あなたが、あなたの愛する人とともに木を植えること。せっかく植えるのだから、やっぱり本物の木を植えてほしい。本物は長持ちするもの、三役、五役を中心にしながら木を植えてほしい」と、岸井さんは、「行政や政治への働きかけをもっと強めていかなくてはならない。それも国境を越えてどこまで広げていけるかです。」、と話してくれました。
 シンポジウムでは全ての生物が100年先、200年先の地球とともに生きていくための、私たちの課題が具体的に分かりました。まずは今すぐ、人ごとでなく、自分が本物のを木を植えて、植えながら命を大切にする心を育んでいく。そのためには、それぞれの場で汗を流し、努力していかなければならないということが分かりました。そして環境問題は極めて政治課題であることも明確になりました。
(訂正)
 昨日の第4回「八幡平・ふるさとの森づくり」のデータは間違っていましたので訂正します。蒔いた数は、ミズナラ、コナラ、カシワを5775ポット・17325個、トチノキ、クリは1539ポット3078個で、合計20403個を蒔きました。また、参加者は総勢106名でした。訂正してお詫び申し上げます。

2008年10月18日 (土)

「森と生きるキャンパスフォーラム」・・・その⑥

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 第2部・「若者たちの挑戦」の最後は、当委員会のインストラクター水落一郎さんの報告です。彼は、栃木県日光市足尾町のはげ山に何故、私達は植樹をしているのか、を報告しました。鉱石採掘のための伐採、山火事そして煙害によってはげ山となった足尾の歴史。50年以上の緑化事業でやっと木が生えてきた足尾の山々。この山々にふるさとの木によるふるさとの森づくりは、宮脇昭先生の厳しい指導のもとで行っている様子。3年前に植えた木々は2㍍を超え、根もしっかりと大地に張っていることが報告されました。そして、なによりも小学校児童から生徒と学生等、多くの皆さんと一つの目標に向かっていることの力強さと、嬉しさを毎年大きな輪につくりだしていることが報告されました。
 何を伝えたかったのかと尋ねてみたら、彼は、森づくり運動を通じて「植物も私も一つの命、国籍が違うとか、人種がどうだとか、ということは関係なく、ひとつの地球上の大切な命として、全ての命が支えあえる社会をみんなで実現していきたい」、ということでした。
 北極海では今年の海氷面積が小さくなって、「小ささは過去2番目になった」、と新聞報道されました(米・雪氷データセンターの発表)。北極は地球温暖化の影響がさらにでやすくなってきているようです。地球とともに生きていこうとする私達は、声を大にして、経済成長のための「持続可能な社会」の実現を見直していかなければと感じます。

2008年10月15日 (水)

地球と生きるということは、具体的でなければなりません

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 13日は、第1期インストラクターの塚崎さんとお会いしました。目的は新種シモツケコウホネの棲息地を観るためです。コウホネは水草の一種ですが、新種のシモツケコウホネは地元(旧今市市小代)では「カワワカメ」と呼ばれていたように、葉がワカメのような形をしています。普通、コウホネの葉は丸い形になっていますが、この新種の葉はワカメのようになっています。
 このコウホネが棲息している小川は延長50㍍ほどしかありません。この短い小川には、ホトケドジョウ、カワニナ、マツカサガイ等の水中昆虫をはじめ、ベニシジミ、オオアオイトトンボ等の昆虫たちが生きています。塚崎さんはこの小さな生物の世界を保存する活動に参加しています。彼女は、「この周辺の田圃は区画整理と護岸工事が予定されているので、この小川の上流がU字溝になってしまうことが心配です」と、言っていました。この生物たちの世界は行川から流れてくる清らかな水と、水中昆虫による水の浄化によってつくられているようです。
 その後、塚崎さんはヤマナシが棲息している場所に案内してくれました。サルナシでなく、今では極めて珍しいヤマナシの巨木を観ることができました。幹の太さは周囲60㌢程で、樹高は20㍍はありました。落ちている実を食べてみると、梨の味がしました。塚崎さんは種を蒔くと芽が出る、というので種を持ち帰えりました。
 「この地はダム建設が計画されているから、反対運動をつくっています」、と塚崎さん。食の安全が危ぶまれている今日、ミネナルが豊富な時季の野菜や 果物の本物の味をしらない私たちにとって、本物の野菜や果物を知ることが私たちに求められています。地球とともに生きていく、ということは具体的な出来事に自分の価値観を明確にし、できることを実践していくことだと思いました。塚崎さんの目は、透き通って生き生きとしていました。塚崎さんありがとうございました。

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2008年10月11日 (土)

森びとインストラクターの皆さん、本物を見抜け!

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 第4期「森びと教室」の5回目講義が始まりました。講義内容は、1時間目は宮下正次さん(当委員会理事)の「森も人も病んでいる」と題した講義、2時間目は辻岡幹夫さん(栃木県環境森林部森林整備課長)の「足尾の自然と鹿の特性」と題した講義でした。
 宮下さんは、森林の立ち枯れと人間にガンが多発している日本の現状(原因)を、ミネラル不足・微生物が生きられないところから解明されて報告し、この状況を救うのは炭しかない、と炭の効用に関して提起されました。続いて、辻岡さんは、7年間も日光の自然界で調査してきた鹿の特性と、この鹿の自然界への害などを報告してくれました。
 鹿が増えた原因(繁殖が旺盛な鹿の特性と温暖化などによって降雪が少ない関連など)は結局、人間がつくりだしていること(辻岡さん)、また、ミネラル不足・微生物が生きていけない原因は、人間の豊かさだけを求めた結果によるもの(宮下さん)、というように、人間の生き方・考え方が原因であることが二人の先生から私たちへ訴えかけかけられました。
 自然と人間社会の本物を見抜かねばならない、ということをインストラクタへの皆さんは突きつけられたようです。明日は、100年先の命の森を形成するドングリに命を吹き込むアドバイスをするインストラクターの皆さんです。

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2008年10月 7日 (火)

 「森びとファンクラブ栃木」を設立

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 第4期インストラクター28名は現在、後期の講座で学んでいます。11月は、青木淳一先生の講義と宮脇昭先生の最終講義を受け、認定される予定です。森びとインストラクターは“山と心に木を植える”の精神をもって、各地で命の森づくりを行っています。しかし、森づくり運動の現実はマスコミで地球温暖化問題が騒がれているほど活発でなく、同時に、森をつくることは難しい問題です。 そんな中、栃木県在住の森びとインストラクターの皆さんは、4日、「森びとファンクラブ栃木」を起ち上げました。クラブは、阿部昌行会長を先頭にして、「山と心に木を植える」ことをしっかり実践していくために設立しました。当日は、日光・菖蒲が浜でドングリ収集を行い、拾った3千個を越すドングリは、12日に開催する第8回「足尾・ふるさとの森づくり」で命が吹き込まれます。
 クラブは、11月中旬の階段造り等の作業を手伝い、来年の3月に総会を開くことしています。テレビ等の広告では、二酸化炭素削減・地球温暖化防止は「エコ商品」に買い替えることだ、とキャンペーンされています。この企業のキャンペーンに流されがちな私たちが多い中、「森びとファンクラブ栃木」の設立は、栃木県に新しい森づくりの第一歩を踏み出したのではないでしょうか。

2008年10月 6日 (月)

 知識を現場で解剖し、森と生きる武器を身体にすり込む若者たち

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 若者研修の2回目の朝は雨でした。7時30分に現場に到着した私たち事務局は、カッパと長靴そしてゴム手袋を整え、秋雨がトタン屋根に当たる音に混じって聞こえるシカの鳴き声に耳を傾け、インスタントコーヒーを飲みながら若者達を待ちました。
 秋雨の中での穴掘りは大変です。雨で地面の草は濡れ、濡れた長靴と手袋を使って、彼らはスコップで穴を掘りますが、そもそもスコップはあまり使ったことがありません。それでも彼らは50㎝立方体の穴を掘り、黒土・腐葉土・枯れ草・掘った土を混ぜ合わせ、丁寧に苗木を植えてくれました。 研修には山口委員長も出席され、委員長は、足尾銅山での労働組合結成と待遇改善・労働環境改善運動の歴史を若者たちへ訴えていました。巷では『蟹工船』が若者たちに読まれていた、という新聞記事などを見ますが、JREUの若者たちが足尾の歴史の現場に起って、先達の労働運動と人間性、煙害で松木村人が村を追い出された歴史、そして鉱毒によって生活といのちが蝕まれた農民達の生き様などを、しっかり身体に染みこませている自然な姿を私たちは見せていただきました。
 彼らが現場を去った後はスコップ等の道具を洗い、3回目の受け入れの準備をしました。午後1時30分過ぎにはガスが晴れあがり、森びと広場周辺は一週間前と比べると赤や黄色に染まる葉が一段と鮮やかになっていました。

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