カテゴリ「森の声」の168件の記事

2008年11月28日 (金)

安全に妥協は許されない

Pb270460

 昨日は古河機械金属㈱足尾事業所の案内で、廃坑後の施設を見学しました。備前楯山の周囲の山々は江戸時代から掘られ、その坑道は延べ1000㎞を超えると言われています。この坑道には湧き水が流れ、水には様々な鉱物が含有され、化学変化を起こしながら水は流れています。この水は害にならないように中和され、川に流されます。しかし、水に流されてきた様々な含有物は専用のたい積場に溜め、川に流れないように管理しています。
 これらの施設は各箇所で毎日点検されています。大雨や地震などが起こったときには、徹夜で監視している、といいます。安全が確保されている影には安全を守る人がいました。見学した施設は50年間以上も人の目と手で監視されていました。
 ところで、本日は日光中禅寺湖周辺の「千年の森」(私達が言っている森)を、東京農大の学生さんと一緒に調査する予定でした。本日の天気予報は雨ですので、標高1500㍍付近は雪です。足尾から中禅寺湖へ車で向かうには、雪用タイヤもしくはチェーンが必需品です。ところが足尾事業所で森びと号タイヤをチェックすると、雪用タイヤに交換してあるはずの森びと号はノーマルタイヤでした。急遽、日光市内でチェーンを買い求めようとしましたが、店には売っていませんてした。
 雪の「千年の森」調査は断念し、東京へ引き返しました。何事も安全が第一ですが、それを確立させていくためには基本的な点検(チェック)と判断(断念)の大切さを痛感しました。

2008年11月26日 (水)

強者どもの森づくり

Pb240526

 足尾の森づくりは強者シニアで支えられている、と言っても過言ではありません。春の草刈り、春と秋の階段づくり、そして辛いけれど重要な苗木分け作業を、平日に手伝ってくれています。若者たちが作業に来ると、スコップやチェーンソー、そしてカケヤ等の道具の使い方を真剣に教え、また、協働作業のイロハを教えています。家では奥さんの介護もしながら、その奥さんの理解を得て、手弁当で支えてくれています。
 そんな強者シニアの慰労会の2日目は、「浜離宮恩賜庭園」を散策しました。やっと紅葉らしくなってきた木々を見ながら、庭園内に生えている木を調べてきました。公園の一角に、冬だというのに花を咲かせている木がありました。「何だ!」、「これは見たことある。赤い実を付けるやつだ」などと、言っていましたが、公園の掃除をしていた方に聞いてみると、「バットを作る木だ」と言われました。誰かが「それはアオダモだ!」と言ったので、それで一行は納得したようです。
 私は奥日光の西湖周辺に生きている巨木のアオダモを思いだし、アオダモは落葉樹なのだがなあー、と思い、調べてみるとそれはシロダモでした。後日、シニアの皆さんにそのことを連絡しました。強者シニアの皆さん、来年も頑張りましょう。

Pb240523

2008年11月23日 (日)

未来のために厳しい目を光らせよう!

Pb230480

 本日は第2回理事会が開かれました。新事務所での会議でした。理事会では、後期事業の経過を振り返り、新年度の事業に向けた基本的な事柄を審議しました。理事会後は、一年間ボランティア作業に協力してくれた方々の慰労会を開きました。
 理事会では、来年の「森と生きるキャンパスフォーラム2009」の開催をめぐって審議し、来年3月に開催される通常総会までに、フォーラムの企画案を創りだしていくことにしました。その内容は、今後は外材は輸入できない日本、反面、日本の森には間伐しなくてはならない森が多い、親子の住宅ローンに悩む日本人、住宅事情が悪い日本、しかし日本文化の良さや政府や企業の住宅政策の本物がつかめない日本人が多い等の社会事情を分析することにし、そのうえで森の大切さを日本人に発信していくことにしました。
 また、慰労会では草刈り、苗分け、撒水作業、階段づくりを積極的に手伝ってくれたシニアの皆さんの作業報告を理事会と支援団体は聞きました。
 昨日は、川崎市の「わっくら」という会の皆さんの月例会に招待され、髙橋理事はふるさとの森づくりの話をしてきました。倶楽部の皆さんは強者ばかりで、川崎市民の厳しい目をもっていました。倶楽部の皆さんは市民の神経として存在し、その責任を果たしているようでした。
 理事会にしても、倶楽部にしても単なる仲良し倶楽部が集まっているのでなく、社会の出来事に機敏に反応し、できることを具体的に実施していくことが大切であり、それが市民に理解され、この輪が拡大していくことが私達の課題であることを再認識しました。

Pb220461

2008年11月21日 (金)

人間は、大自然のもとで生かしてもらっている動物にすぎない

Pb190455

 「芸術の秋」という言葉を実感できる朝が19日でした。私達人間は、自然(=秋)の素晴らしさを絵や写真、俳句等に創作して楽しんでいます。その対象物は人間が創りだしているのでなく、主に森林が創りだしてくれています。同じ対象物を作品にしても、その魅力は創作者の人間性にあるようです。19日の旧足尾銅山跡地はそんな気持ちにさせてくれました。
 私の好きな画家の1人に田崎廣助氏がいます。田崎氏は、阿蘇山や浅間山の風景を描いていますが、創作する前にはその山を360度から見て回り、山にも登ったりします。そこには「浅間山とそこに生きているもののすべてが手を取り合って生きている。人間もこの大自然のもとで生かしてもらっている動物にすぎず、その知恵と学問を利用して自然を破壊してはいけない」(田崎廣助画伯)、という考え方があるようです。
 ところで安田喜憲先生から「自然と生きる環境生命文明」と題した、「第9回国境を越えて野鳥の保護を」というシンポジウムの案内が事務所に届きました。今月24日(月)・13時から17時まで、場所は「砂防会館」、参加費は1人1000円です。基調講演は柳生 博(日本野鳥の会会長)シンポジウムのパネリストは、ライ・ヤマモリ(エコロジスト)、中貝宗治(豊岡市長)、安田喜徳(国際日本文化研究センター)です。(問い合わせ先:日吉神社:052-400-2402、花園神社:03-3209-5265まで)
Pb210460

2008年11月14日 (金)

旧松木村の村民の心に近づきたい

Usutabiga9

 昨日は、きもの教室の講師をしている方と話す機会を得ました。足尾の森づくりをしている旧松木村の話になると、その方から、「来年はそこで桑の木を植えさせてください」、と言われました。さらにその方は、「絹は100年間も生きつづけ、日本人にとって欠かすことのできない品物です。これは蚕が生産してくれる繭を原料にして織られ、蚕の餌は桑の木の葉です。旧松木村の村民は養蚕で現金収入を得たという話を聞いて、是非、桑の木を植えたい」と言ってくれました。
 私たちが森づくり運動している場所は旧松木村の跡地です。亜硫酸ガスの煙害で桑の葉やアワ、ヒエ等が全滅となって、村民はこの村を去らざるをえなくなりました。当時は、養蚕が行われていた、といわれています。この話を講師にお聞かせしたところ、前述した話になりました。是非、来年は桑の木を植えてみよう、と思いました。
 この時季、黄緑色した蚕のようなものが葉を落とした木々の枝から下がっていることを見かけます。昭和20年代の子どもの頃は「ヤマカイコ」と言っていた記憶があります。今はあまり見かけませんが、それはウスタビガという蛾の繭です。とても美しく、自然な黄緑色しています。絹の着物を羽織って生活するという余裕はありませんが、何故か、日本人は誰でも着物を着てみたい、という気持ちがあるのではないでしょうか。そんな気持ちにさせてくれているのが、蛾であることを改めて考えさせられた一時でした。
 来年の森づくりは、少しでも旧松木村の村民の心に近づければ、と思いました。写真はインターネット上の写真です。

2008年11月12日 (水)

新事務所に胡蝶蘭が届きました

Pb120388

 昨日は新事務所への引越をしました。このブログは新事務所で更新しています。事務所はJR田端駅から東へ歩いて5分程のところにあります。ご近所の皆さまよろしくお願いします。
 朝から引越作業をしましたが、大変苦労したのがリースのコピー機運びでした。200㎏以上あるコピー機を降ろし、新事務所の狭い階段から上げました。そこで思い出したのが、築城で堀の巨大石を運搬した方法でした。当時、氷の上を利用して運搬したと言う話からヒントを得て、コピー機をコンパネに載せて移動・運搬しました。改めて人の力を発揮することに、運搬に協力してくれた皆さんは感心していました。この大変な作業に心を和ませてくれたのが、胡蝶蘭の贈り物でした。昼頃、花屋のお嬢さんが大きな胡蝶蘭を抱えてきましたので、作業をしている皆さんは驚きましたが、部屋は明るくなりました。花を贈ってくれた方は、日本貨物鉄道労働組合・中央執行委員長の伊藤憲治様でした。貨物労組の皆さまありがとうございました。
 貨物労組の皆さんは、今年から全国各地で森づくりを始めています。全国の森びとインストラクタへの皆さん、貨物労組の皆さんと共に“ふるさとの木によるいのちの森づくり”をすすめてください。私たち事務局も、貨物労組の皆さんと連携して「いのちの森づくり」を進めています。
 新事務所の呼び名を「東京事務所」とします。これからもよろしくお願いします。引越作業を手伝ってくれたインストラクターとJREUサポーターの皆さんありがとうございました。

2008年11月10日 (月)

自然といのちを破壊する悪に起ち向かおう

Pb090386

 森びとインストラクター17名が誕生しました。最終講義の昨日、第4期「森びと教室」受講者17名は、宮脇昭先生から森びとインストラクターの認定を受けました。病気や怪我、仕事の都合で全講義を受けられなかった皆さんは、年内に実施される講義・実習をクリアーして認定される予定です。インストラクターの皆さん、お疲れ様でした。そして、おめでとうございました。
 昨日は、朝8時30分から宮脇昭先生の講義がはじまりました。先生からは、オバマ氏が大統領に当選した当日のアメリカマスメディアの情報が報告され、世界中が閉塞感になっている時には、悲観するのではなく未来へ向かってプラス思考でいかなくてはならない、と檄がとばされました。また、先生は、人間の感性を磨き、知恵を出し合って前向きな人たちがひとつになれば、環境も戦争も良くなる、と延べ、トータル的な視点から現場に立つと本質が見える、本質を見極める森びとインストラクターたれ、と講義されました。そして具体的には、今だからこそこの瞬間に、出し惜しみするのでなく、手抜きせず、自分の力の全てを発揮してほしい、という受講者に期待を寄せられました。
 12時までの講義の後は、受講者各自の豊富を全員の前で述べていただき、討論を積み重ね、本物の森づくりを目指すリーダーへ決意を固めました。講義が修了した後、髙橋常務理事から受講者へお礼の言葉が贈られ、受講者を代表して國分さんと関根さんが宮脇昭先生と事務局へ感謝の言葉をおくりました。
最後に、宮脇昭先生から受講者へ認定証と修了証が授与され、半年間の講義・実習は終了しました。「森びと教室」を見守ってくれた皆さん、ありがとうございました。

Pb090368

2008年11月 9日 (日)

生きていられることは最高に幸福だ

Pb080347

 更新作業が深夜になってしまいました。明日(9日)の講師・宮脇昭先生が飛行機のフライトが大幅に遅れて、足尾到着が零時を過ぎました。先生はアメリカ帰りの直後に四国へ飛び、四国での森づくり後、直行で足尾へ向かってくれています。先生の到着を待っている途中で、更新作業をしています。
 昨日(8日)の最終講義は、青木淳一先生から「分解動物の役割」の講義・実習でした。受講生は講習室周辺の枯葉などをビニール袋に集めて、枯葉などを分解している土壌動物を発見しました。分解動物の数と種類を調べ、その役割を学びました。結論は、植物(生産者)と分解動物が存在して、はじめて私たち消費者が生かされていることを学びました。明日(9)は、8時30分から宮脇昭先生の厳しい講義です。私たちは評論家でなく、山と心に木を植える運動家として、各地でふるさとの木による生命の森づくりをすすめるリーダーになるための大切な日です。
 露天風呂から輝いている満月を観ていると、人間は平和で生きていられることが幸福である、ということが実感できました。12時55分、宮脇昭先生が到着しました。

Pb080360

2008年11月 7日 (金)

本物の“森びと”になってほしい

Pb070334

 明日は第4期「森びと教室」の最終講義です。その準備を兼ねて事務局は、「森びと広場」の環境整備をしました。天気は晴れ、気温12度で、何もせずに立っていると肌寒く感じます。「作業ノート」を見ると、昨日は霜が降った、と書いてありました。
 臼沢の植樹会場に入ってみると、植樹した木々の葉は写真のように鮮やかな秋色になっていました。広場に戻って環境整備をしていると、苗木がポットから数本抜かれているものを発見しました。人間のイタズラなのか、と思いましたが、ポットに付いている傷を見て、猿の仕業と感じました。苗をポットら抜くと、土の中にはドングリが埋まっていることを猿は学習しているのかと、思いました。
 苗木分けを終え、遮光ネットを覆い、その後、撒水をしました。本日で、苗木分けが終了しました。分けた苗木はトータルで18350本程になりました。作業を終えて、帰り支度をする16時過ぎには気温が8度になっていました。明日、この木々の葉は一段と鮮やかな色に変化して、輝かしい紅葉が見られるのか、と考えると嬉しくなりました。4年前に植えた木々の持つ「力」に感謝です。
 ブログをアップしていると、窓ガラスを通して北風が吹いていることに気づきます。風が吹く度に、寒風に晒される木々は歯を食い縛って堪えていることを思うと、身が締まります。明日、森びとインストラクターに認定される予定の皆さんには、本物の森びとになってほしい。寒風にもめげず、森のなかで五感を磨き、知恵を豊かにして森の破壊者に起ち向かってほしい。

Pb070324

2008年11月 6日 (木)

旧友と歩いたブナの森

Pb060318

 今年の紅葉時季は昨年と比べて2週間程度遅い、と言われています。11月2日、JR日光駅のタクシー運転手がそう言っていました。そんなことを思い出して歩いたのが、本日歩いた越後湯沢のスキー場内のある散策コースでした。標高約1200㍍のブナ林の葉は落ち、枝だけとなっていましたが、約1000㍍のブナは黄色に輝いていました。
 私たちをはじめ当地を訪れた皆さんは、黄色く色づいた木々に癒やされていたようです。このコースを散策した私たちは元会社の旧友ですが、昨夜は大いに語り、本日は、改めて自然環境のありがたさを実感しました。
 道の両枠には、サワグルミの大木、ホオノキの巨木とブナが主役となっており、木々はまもなく冬支度を終え、ブナたちは冬眠に入っているようでした。次世代を担う若者たちへ、大切な緑がいきいきと生きている森を観て、私たちは改めて自然環境の力に感謝しました。
 帰りは、駅前のそば屋で秋の新そばを食べながら、来年の豊富を語り合いました。若者たちと私たちが地球とともに生きていくためには何をしていくのか、と。それには森の中で学ぶ他ない、ということでした。

Pb060320

森びと検索

最近のトラックバック