科学的根拠に目を背ける裁判所
本日、東京高裁で横須賀石炭火力発電所訴訟の第2回目の控訴審が行われ、森びとからは5名が参加し、また今日の傍聴席はほぼ埋まっていました。
最初に、原告団の1人岩澤さんから話がされました。2012年に横須賀市に引越しをしてきた当時、海風がありクーラーが必要なかったそうです。しかし、翌年からクーラーを使用し、2020年からは常時使用なければならないほどの危険を感じている。また、生活保護を受けている友人がクーラーを持っておらず、熱中症にならないか心配が絶えず、地球沸騰化によりいのちの危機を覚えているなど、当事者の具体的事実を裁判所に訴えました。
続いて、小島弁護団長からパワーポイントを使用して口頭弁論意見陳述が行われました。世界各地で発生している気候変動の現状や海水温上昇、気候変動影響の深刻化、熱中症の深刻な増加、日本近海の海水温の上昇と、それらとも関連する豪雨災害の激化などについて話しました。環境影響評価の確定通知の取り消しを再度訴えました。
最後に、千葉弁護士から、前回に続き、科学者の江守正多さんの尋問を求めました。裁判長から意見を求められた国側は「必要なし」と返答。裁判長と裁判官らが数分裏に回り、合議が行われたのち、裁判長から「必要なし」と言い、次回判決の日程は(来年)2月22日が言い渡されて、多くの傍聴者から不満の声があがる中、終了しました。ますます、江守さんが法廷で科学的根拠を述べられることを露骨に嫌がる国の姿勢と、それに忠実に従う裁判所の姿を見ることとなり、結論ありきで進められていることにさらに怒りが湧いてきました。
その後行われた報告集会では、小島弁護団長から「7月に開いた口頭弁論では、地球温暖化の進展状況とPM2.5などの話をしました。それで、その時に残ってる課題として、原告適格の問題と、それ以外の科学的な最近わかってきてることについて、今日話させていただきました」、「日本の国内だけで10万人を超える人が、熱中症で救急搬送されるという状態自体です。ちなみに、2018年は1300人を超える人が熱中症で亡くなりました。その比率から言うと、今年も1200人とか、それくらいの方が亡くなるんではないかと。ちょうど、2018年から2023年までの6年間で見ると、6年間合計で多分6000人を超えるんじゃないかと。ちょうど同じ時期に重なるようにコロナの問題がありましたけれども、あの熱中症の問題は極めて深刻な問題なのに、熱中症でし、これだけ死者が出てるって話があんまり報道されてないような気がします。そこのところは深刻ですし、このヨーロッパの6万1000人、このうち実はスペインとイタリアで半分ぐらいなんです。だから、去年スペインもイタリアに1万5000人ぐらいです。なぜかと言うと、ヨーロッパって冷房がないわけですよ。だから、一気に熱くなったんで、しかも日本よりちょっと熱くなっちゃいましたから。だから、一般的には、湿地が日本ほどないので、熱中症被害はそこまで出ないんじゃないかと思われたんです。けれども、結構出ています。また、次々と新しい言葉が出ています。地球沸騰化や気候崩壊っていう表現が出てる状態です」、「裁判所にどこまで通じたのかなっていうのはありますが、原告団長のスズキさんのリクエストで。本件で 国は一体何を主張してるのかを控訴審で。それをちょっとまとめてみました(下図)」
本日で結審となり、次回が判決となります。2024年2月22日午前11時~東京高裁で行われます。ご一緒できる方がいらっしゃいましたら、森びと事務所・小林までご連絡下さい。また、情報の共有となりますが、東京電力と中部電力の合弁会社・JERAは日本最大のCO2排出企業です。新規の化石燃料事業からの撤退を求めてアクションが10月25日に行われます。時間がありましたら、現場へお願い致します。
(運営委員・小林敬)
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