心の森探訪inやんばるの森・・・その②
2日目はやんばるの森に入りました。早朝5時半、国指定特別天然記念物「ヤンバルクイナ」に遭えないかと散策しましたが、あいにく姿を見せてくれませんでした。しかし、やんばるの森を探訪している最中に、姿を見せてくれました。
案内人の伊波さんと伊禮さんによると、ヤンバルクイナは約1.400羽が生息しているとが、クイナは飛ぶ事が出来ないために、マングースや野犬、カラスなどの獣害によって安心して暮らせる森が年々狭められているという。人間のエゴにより持ち込まれた外来種や捨て犬や猫により、年間1億3000万もの駆除費用がかかるという。なんともおかしな話です。
今年の心の森探訪は、NPO法人奥間川流域保護基金代表の伊波義安さんと伊禮洋代さんのご協力により、やんばるの森を散策することができました。この森は今月15日に33番目の国立公園に指定され、世界自然遺産への登録を目指しています。しかし、米軍の北部訓練場や高江のヘリパッド建設など、世界自然遺産への登録はほど遠いとの話でした。
基金の皆さんは、利水のために奥間川にダム建設されると自然が破壊されるとして、ダム建設反対を継続してきました。結果、ダム建設を止めることができましたので、奥間川流域には豊かな生態系が残されています。
一歩、森に入ると南の島特有のヒカゲヒゴ(シダ植物)の生えるジメッとした亜熱帯性気候の森を体感できました。生きものにとってパラダイスとのことでした。
奥間川を上流へと歩をすすめると、ヒメハブ、リュウキュウリクガメ、シリケンヤモリ、リュウキュウハグロトンボなどが歓迎してきれました。国や県の特別天然記念物が目の前に姿を現し、驚きの連続でした。
少しだけ覗くと生きものたちは「自然環境守ってくれてありがとう」と言っているようで、ヒメハブも攻撃姿勢を見せませんでした。
やんばるの森は、イタジイ(本土ではスダジイ)の森はブロッコリーの森とも呼ばれいる、まさにモッコリモッコリとしたブロッコリーの森でした。
ブロッコリーの森はいま危機に瀕していると言われています。縦横無尽に林道が建設され、生物多様の森が林道によって分断されています。その原因のひとつは、国の「沖縄対策」の柱である補助金漬けがあるようです。補助金で林道を造って、さらに森を皆伐して植栽する事業が行われ、この事業は、1ヘクタールあたり10年で1.300万円も出るというのです。なんともふざけた事業があるものだと驚きました。
私たちは人間が破壊した森を、土地本来の木で森づくりを進めていますが、やんばるの森も危機に瀕していることを知りました。この森の危機を元気に守っていくためには、未来を見据えた人間の抵抗と闘いが伴うことの大切さを実感しました。そして、命を育む森を守っていく”森とも”たちの継続した連帯活動の重要性を感じました。
宿に戻ると、一昨年足尾の森づくりにも参加いただいた沖縄の皆さんが私たちを待っていました。交流では、一昨年前に植えた足尾の木々の生長の報告、やんばるの森に入った感想、そして沖縄の基地問題等を話し合って、久しぶりの再会で”森とも”の絆を深めることができました。
(事務局・水落一郎)
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