荒廃地に木を植えて20年、森を再生する懸命の試みを墓前に報告
5月10日(土)、NPO法人森びとプロジェクト委員会を立ち上げ理事長として「森づくり」を牽引された岸井成格さんのお墓参り行きました。時がたつのは早いもので、岸井さんが「天空の森」に旅立って7年(2018年5月15日逝去)になります。
霊園の参道を歩くと、前日からの雨に洗われた霊園の木々の葉がつやつやとし、緑鮮やかです。
11時にお墓に到着すると霧雨の中、阿部さん、岩田さん、小林さんが伸びた草と“どくだみ”を摘み取っていました。筆者は、伸びた柘植の木の枝を剪定しました。墓石に落ちた葉を取り除き、水で洗い流しきれいにすることが出来ました。
お墓に岸井さんの好きだった日本酒(純米酒)をお供えし合掌。小林さんが5月4日TBSテレビ・サンデーモーニング“風をよむ”で紹介された森びとの活動(旧足尾銅山跡地に立つ「孤高のブナ」煙害で焼失した森を再生する懸命の試み)を報告しました。
番組では、現在も広がる足尾の荒廃地2400haの中で、森びとが木を植え手入れをしてきた20年の森が5.6ha、わずか0.2%と紹介されました。先人が緑化活動を行ってきた、むき出しの岩場や急斜面の多い松木川源流の荒廃地を緑化する難しさも20年の活動で知りました。
同時に、岩や小石の多い草地を耕し黒土と腐葉土など、わずかな栄養を与えて苗木を植え手入れを続けると、苗木自らが砂地に根を伸ばし、落葉が栄養として還元され、木々の競争で生長していくことも知りました。そして、木々が生長すると風や小鳥、アリや動物たちが木々や草花のタネを運び、森の仲間を増やし、森づくりを加勢してくれることも知りました。
20年前、岸井さんが「臼沢の森」に植えた苗木は樹高15mに生長しています。落石を押さえ雨水を根に溜め、二酸化炭素を吸収し、多くの生きものの命をつないでいます。
岸井さんが「地球温暖化にブレーキをかけよう!」とスタートした森づくり。人間の経済活動によって「気候崩壊」と言われるほどに温暖化は進行し、世界各地に被害をもたらしています。墓前に立つと「食い止めるヒントは0.2%の森にあるぞ」と岸井さんの声が聞こえてきます。そして「愛する人の命を守るために木を植えよ!足尾から世界へ」と麦わら帽子に長靴姿で荒廃地に木を植える宮脇昭先生の姿が目に浮かびます。
“煙害で焼失した森を再生する懸命の試み”はまだまだ続きます。松木郷の森を「母なる森」へ、森を愛する多くのボランティアの皆さんと手を携え、山と心に木を植えていきます。
(運営委員 清水卓)
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