ポット苗に、いのちを吹き込みました。
24日の旧松木村は曇り空です。森びと広場の9時の気温は20℃です。今日は森びと広場の苗床で育てている「タブ」のポット苗の草取りをしました。
植樹後の森と同じく、ポットに苗を植えた瞬間から草との競争です。飛来してくる草の種と土の中で眠っていた草の種が芽をふきだします。人間の都合で少しでも気を抜くと、あっという間にポットの中は草の根が充満し、タブの根に行くはずの栄養を吸い取り、生長を遅くし、しまいには枯らしてしまいます。
松村宗さんのあごひげと比べてもその長さはひげの5倍、タブの根の10倍もありそうです。
「木を植えるのは簡単な作業と思っていたけど、こうして一つ一つ草取りをやって、植えられるようにするまでの育樹作業を経験すると、木を植えるということは大変な作業なんだなぁ」と草取りをしながら森ともの福原さんがつぶやきました。これまで木を植えたことがなく木を植えたいと思っていたそうです。「秋の感謝デー」で木を植えたいと思いを話してくれました。
ポットの中で苗の根が充満するまでの3年間と、植樹後3年間の草取りは、子育てと一緒で、命を育む過程です。その後も、シカやイノシシ、サルなど自然界で生きる生物たちとの厳しい生存競争が待っています。人間も木と同じで、一人では生きていけません。互いに協力し、時には競争し、我慢もして、共生しています。
沖縄では、その命の基盤である自然・やんばるの森を破壊して米軍の「ヘリパッド」建設が強行されています。一度壊した自然を取り戻すには長い年月がかかること、そして、命を守り育てることがどれだけ大変で、大切なことなのかを、ここ足尾に来て学ぶべきだと思いながら、ポット苗の草を抜き、草に取られた栄養を追肥しました。
苗床隅のクリの木は、毬栗が鈴なりです。小川さんが35個のクリを収穫しました。秋の味覚といきたいところですが、ポットに植えて苗に育て、足尾の山に返していきます。
作業小屋の周りの枯れた木に、いろいろなサルノコシカケ科のキノコが密生しているのを発見しました。キノコに栄養を吸い取られ、やがて朽ち果て、分解動物によって土に返っていきます。煙害によって森を失った足尾・旧松木村に、少しずつ森が回復し、パイオニアのヤシャブシが枯れ、次の樹種へと命をつないでいることを確認することが出来ました。
タブのポット苗の草取りが終わると森びと広場に雨が降り出しました。作業小屋に退避し本日の作業を終了しました。
雨が止むのを待って帰路につくと、帰り道でキツネとシカが「おつかれさまでした」と見送るように顔を出してくれました。
本日のボランティアは、松村宗、福原、小川、清水でした。(報告 清水 卓)
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