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2021年10月の13件の記事

2021年10月28日 (木)

念入りな準備を整えて冬の森作業に入る

Cimg0017 昨日(27日)の足尾は気温9℃、晴れ時々くもりでした。9時、作業小屋でミーティングを行い、今日のスタッフ5人は全員がシニア世代。まずは、寒くなってきましたので体力を考え、午前中は階段補修の点検と整備、午後は臼沢西の補植になりました。Cimg0016 Cimg0020Cimg0030  11月からスタートする15年間の森づくりの歴史がしみ込んでいる600段の階段。一部が腐食し、歩くのに危険な丸太を交換する点検・調査を行うことにしました。最上段までの階段を登りながら腐食具合を点検してみると、425段の間伐材を取り換える必要がありました。11月2日納品される間伐材が不足することが分かり、追加注文することにしました。Cimg0066 準備作業をしながら感じたことは、草刈りや獣害対策をしながらも森の木々の動きや足元の様子を観ておくことの大切さでした。年間100日程足尾の森に入っている先輩たちは、そのようなことが身体にしみ込んでいる“森びと”でした。Cimg0062 Cimg0065 昼食後は、「臼沢西の森」にモミジ、サクラ、ミズナラなど80本を補植しました。枯れた苗木をスコップで掘ってみると、黒土と砂土がよく混ざっていないところが多く見受けられましたので、“まじぇるまじぇる”して丁寧に補植しました。Cimg0083 その後、少し時間がありましたので、「新松木の杜」の桜の木の保護・環境整備を行いました。みちくさから見た小さな秋景色は、私たちの心を癒してくれていました。Cimg0076 本日の参加者は、鎌田さん、福原さん、加賀さん、済賀さん、そして筆者の大野でした。

2021年10月26日 (火)

天高い秋晴れのもとで森づくり環境を整備しました

Photo 本日(26日)の足尾・松木沢の天気は、晴れで気温が10℃(8時15分)でした。雨上がりの翌日でしたので、青空が天高く見えてブルーが鮮やかでした。足元は少し水分が残っていましたが、秋らしい地面でした。Dsc05960 心地よい薪ストーブの遠赤外線の温もりの中で作業打ち合わせ。作業は、森づくり活動で出たごみ類を処分することです。Photo_2 早速、柳澤スタッフのトラックと松村健さんの軽トラ、そして私の車にもゴミの入ったフレコンを積み込み、、現場と処分場を二往復しました。柳澤スタッフがトラックを貸してくれましたので、スムーズに処分作業が出来ました。柳澤さん、松村健さんご協力ありがとうございました。Photo_3 Photo_4Photo_5 午後は、年内に予定している補植の苗木をネットに入れ、明日の森作業の準備をしました。本日の作業は年内に行う大切なゴミ処分でしたが、皆様のご協力でテキパキト作業が進みました。本日はお疲れさまでした。Photo_6 MPhoto_8
本日の作業者は、松村健、柳澤、橋倉、加賀でした。(報告者:済賀正文)

2021年10月25日 (月)

人間の都合で荒らした花嫁街道の森にベンチを設置

1634983589721 前日(22日)の大雨が嘘のように晴天となった10月23日(土)。森びと千葉県ファンクラブの現場活動には最高の日。当地は、ファンクラブ代表・相川さんが何十年間も補修している県の最南端南房総市和田町の「花嫁街道」。首都圏から訪れる気軽に歩けるハイキングコースです。

1634550059011 当日は、「倒木を利用したベンチ作りIN花嫁街道」と題して、当ファンクラブメンバーとJREU千葉のOB、そして地元から参加してくれた方々10名が活動してくれました。何と平均年齢が70歳のシニアたちでした。1634983604493 現場に向かう途中、今年の10月の台風16号の被害で通行止めとなり、コース変えて里見伝説が残る五十蔵口より目的地の見晴台へ向かいました。コースはかなりの急こう配でしたので大息を吐きながら目的地を目指しました。1634550036366    事前の準備をした地元の方々と相川さん(写真:上下)1634550042108 見晴台での作業は順調に進みました。ベンチ材は相川さんと地元の方々が用意してくれていました。その材をベンチの長さにカットし、皮をむき、チェンソーによる整形し、杭の穴を掘るなど、3時間程でベンチを作り上げました。好天に恵まれましたので、シニア達は大汗を流しながら、老体にムチ打ちつつ、ヒノキの香りに和みながらのベンチ作りができました。真新しいベンチを5脚設置し、みんなで試し座りを行ない、子供のように森の中に歓喜を轟かせました。途中、何組かのハイカーと出会い、台風の被害やベンチ作りの話をすると、ボランティアで花嫁街道を維持していることに驚いていました。

1634983596464 1634983611042 当ファンクラブがこの活動を始めようとしたのが今年の夏。森びとの会員でもあるJREU千葉のOB会と一緒に、温暖化にブレーキをかけるために何かできないかと話し合い、まずは、巨大台風の被害現場を見ながら考えようとしたことが始まりでした。 相川さんからは、森の所有者の高齢化とそれによる森の管理不能、さらに所有者が不明ということで森は荒れ放題で、今回のベンチ作りの材のヒノキも2年前の台風被害木であることが話されました。70年前に将来の生計を考えながら植えたケヤキがたった1日で倒れてしまいました。また、漁業の材として植えられたマテバシイが根元から倒壊している姿は台風の影響だけではなく、私たちの生活の要因でもある地球温暖化の影響を受けていると考えなければなりません。三方を海に囲まれ高い山がない千葉県では、温暖化の影響は生活に直結し被害は甚大になります。現地でこの光景を目当たりにして、参加者全員で考えることにしました。1634550065563

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 ベンチ作りが終了したのち、作業の感想と森が荒れていることに様子を見た意見を出し合いました。地元の北見さんからは「異常気象と簡単に言っているが、しっかりと見なくてはいけない。ヒノキの木も子や孫のためと思って植えたのだろうが、暮らしの為にやってきたことがこのような結果になった。森とともに生きることの難しさ。まして、これからは自然災害が多くなる。日本だけではない世界各国の行き過ぎた経済活動の結果が異常気象をつくっている。」と話してくれました。1634983623268 私たちは森と生きていくことの大切さとは何かを考えずにはいられません。被害木だけを見るのではなく、その要因は人間の暮らしがつくっていることを見なくてはなりません。千葉森びとファンクラブでは今回の活動を一過性にせず、今後も継続していくことにしました。次回は、地元の女性たちを招いて話し合いを行うこととしました。 (森びと千葉県FC・高梨 厚)

2021年10月24日 (日)

市民の力で第9回鎮魂復興市民植樹祭が大成功!

 本日(24日)の天気は秋晴れ、第9回南相馬市鎮魂復興市民植樹祭は原町区金沢地区内で開催されました。植樹祭はコロナ禍での縮小開催になり、参加者が南相馬市民限定で行われました。参加者は200名、植えた苗木はタブノキ等の21種、約3,000本(森びとプロジェクトから500本贈呈しました)でした。P1020215     犠牲者の御霊に菊を供える応援隊副代表・菅野さん

 開会式が始まる前、参加者全員で東日本大震災で犠牲になった方々と7月に他界した宮脇昭先生のご冥福を祈り、黙とうを行ないました。開会式は、森びとプロジェクト代表・中村幸人さんの言挨拶から始まり、藤原一絵先生の植樹指導を受けて、参加者はAブロックからEブロックに分かれて植樹を行いました。P1020225

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P1020227    心を込めて植える森びと・中村代表

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 参加者は市内の企業や団体、そして家族ずれでした。子どもたちには森びと缶バッチをプレゼントしました。参加者の約半数以上がリピーターでしたので植樹は手際よくすすめることができました。70歳の男性からは「毎年行われる植樹を楽しみにしている」、30歳代の女性からは「子ども一緒に木を植えることができ、苗木の成長が楽しみです」と話していました。来年は全国から多くの方々が集って植樹祭が行われるようにしたいと願った一日でした。参加された皆さん大変お疲れさまでした。1634963564311      前日の植樹祭準備

 本日の植樹祭では、南相馬市民でつくる「応援隊」と森びとプロジェクトがサポートしました。森びとの中村さん、大野さん、清水さん、加賀さん、濟賀さん、森びと福島県ファンクラブの斎藤さん有難うございました。昨日も植樹祭の準備をしてくれました応援隊の皆さんお疲れさまでした。1635058522414

     植樹祭をサポートした応援隊と森びとの皆さん

 本日の植樹祭をサポートした応援隊の渡部代表、松林副代表、菅野副代表、小川事務局、桜井勝延前南相馬市長、道中内さん、菊地さん、東城さん、村西さん、岩橋恵美さんの皆さん、丁寧な植樹サポートありがとうございました。(報告:応援隊・岩橋 孝)

2021年10月21日 (木)

渡良瀬川にかかる虹が「里親植樹」を応援!

 昨日10月20日(水)の足尾の朝は、霧が立ち込め森びと広場の9時の気温は11℃でした。徐々に晴れ間が広がり、ゲート担当をしていた橋倉さんから、「足尾ダム周辺に虹が出ていた」と報告があり、林子さんが、撮影した渡良瀬川にかかる虹の写真を見せてくれました。

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 10月が今年最後の「第6回里親植樹」となります。9時10分から済賀スタッフが入れたコーヒーを飲みながらミーティングを行い、本日の作業打ち合わせを行いました。今日は差し入れが多く、橋倉さんから“おかきの詰め合わせ”、柳澤さんから“栄養ドリンク”、唐澤さんからはハートの形のおせんべい「きのどくな」。富山方言で“ありがとう”という意味だそうです。筆者清水からは“牛タンせんべい”です。森作業に力が入ります。

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 66名の皆さまから里親植樹の申し込みをいただき、95本の苗木を臼沢西の森に植樹します。渡良瀬川源流の森が元気になります。

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 外は晴れているのですが、作業小屋の屋根に雨の当たる音が聞こえはじめ「天気雨」での作業スタートとなりました。

 軽トラック2台に道具と苗木を載せ臼沢西の森に出発しました。「臼沢の森第2ゲート」前から背負子に苗木を入れたネットを載せ、植樹地に運びました。久しぶりに唐澤さんが森作業に参加し、苗木の重さを感じながら足取り軽く運び上げてくれました。

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 植樹地に到着し、済賀スタッフの指示で苗木を配り植樹が開始されました。苗木の根が伸びるようにスコップで穴を掘り、黒土と植樹地の砂土を混ぜ土壌をつくります。柔らかくなった土壌にポットを外した苗木を植え優しく押さえ、幹が風で振られないように篠竹に麻ひもで縛りました。

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 時折、松木沢上流から強い風が吹き、小雨が横から降りつけます。天気予報では「木枯らし1号」が吹くと伝えていましたが、普段から風が吹き抜ける足尾にも「冬の足音」が近づいているようです。 

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 無事すべての苗木の植樹を終え、集合写真撮影。食料の少なくなる冬は、動物たちが食べ物を求め植樹地に入り込みますので、点検を怠らず育樹活動を行っていきます。

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  下山後は、森びと広場、みちくさ、松木の杜の桜の樹皮を守るために巻いていた獣害ネットがきつくなっているので、ネットの交換とネット内で幹から伸びた横枝を選定しました。

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 昨年、松木の杜に植えた桜の木には肥料、炭などを根の周りに撒きました。15時を過ぎ作業に区切りを付けて後片付けをしました。 

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 11月から始まる臼沢の森の階段補修についてミーティングを行い本日の森作業を終了しました。久しぶりに森作業に参加した唐澤さんからは「仕事に集中させていただき、2年半ぶりに足尾の森作業に参加しました。離れていても足尾の森はどうしているかなと気にしていました。来年はシーズンに1度は参加したい」と抱負が述べられました。

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  2021年里親植樹に申し込んでくださった皆様に心より感謝申し上げます。冬は足尾の動物たちの食べ物が減り、幼木や樹皮を食べ命をつなぎます。足尾のスタッフ・サポーターが獣害柵や林内の樹木の点検を怠らず育樹活動を行っていきます。2022年の里親植樹への参加をお待ちしています。

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 本日の参加者は、鎌田さん、橋倉さん、松村宗雄さん、大塚さん、山本さん、福原さん、加賀さん、済賀さん、柳澤さん、林子さん、唐沢さん、そして、筆者でした。

(報告:清水卓)

 

2021年10月19日 (火)

半年間続けた今年最後の里親植樹準備が整いました

 本日(19日)の足尾・松木の朝の気温は8℃でした。長袖シャツの上にもう一枚の服を羽織って足尾入りしました。どんよりとした曇りの天気の下で、雌を呼ぶ雄鹿の声に誘われながら作業小屋の薪ストーブに火を付け、冷えた身体を温めました。Dsc05949 明日は半年続けてきた里親植樹の故差し最後の日。その苗木は加賀スタッフが運び入れるので、苗木の到着までをのんびり過ごしました。加賀さんは11時頃に到着、早速、作業打ち合わせを行ない、早い昼食をとりました。Dsc05950 まずは、軽トラにスコップを積込み、現場に向かい、雨が降っても道具が濡れない対策をしました。苗木は、植える場所ごとにネットに入れ、軽トラに積込みました。Dsc05951 ひと段落したところで、作業小屋の入口の床が朽ちている板を新しい板と交換し、ゴミや泥を持ち込まないようにネットも張りました。その後、明日の里親植樹の最終打ち合わせを行ない帰路に着きました。Dsc05952本日の作業者は、加賀さんと筆者でした。(報告:済賀正文)

林野庁に「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」に関する要望書を提出

本日10月19日は、林野庁を訪問し「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」に関する要望書を天羽隆林野庁長官に提出しました。

Dsc00816 【織田央林野庁次長に要望書を手渡す】
  日本をはじめ世界各国で気候変動による異常気象が発生し国民の暮らしが脅かされています。今年8月9日、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は第6次評価報告を公表し、「温暖化は人間活動によるもの」と断定しました。国連のアントニオ・グデーレス事務総長は「IPCC報告書は人類に対する警告だ。温室効果ガスの排出が地球を窒息させ、何十億もの人たちを差し迫った危険のもとにさらしている」と危機感をあらわにしています。いま、この地球上で生存を持続するためにはその基盤を健全にすることが世界中の人々の何よりも早く取り組まなければならない課題です。

Dsc00817【織田林野庁次長に要望書の趣旨を説明】

 私たちは温暖化にブレーキをかけられないかと栃木県足尾町の銅山跡地、岩手県八幡平松尾鉱山跡地、福島県南相馬市の「鎮魂復興市民植樹祭」での森づくりを行っていますが、市民レベルの森づくりでは、急速にすすむ気温上昇にブレーキをかけることは出来ません。

Dsc00423【栃木県日光市足尾、渡良瀬川源流の松木での森づくり】

Dsc00708【岩手県、八幡平での森づくり】

  本日、森びとプロジェクトからは川端森林アドバイザー、清水運営委員会副代表、大野運営委員が訪問しました。お忙しい中、織田央(おりたひろし)林野庁次長、小坂善太郎林野庁森林整備部長、橘政行林野庁国有林野部長が面会して下さり、林野庁として取り組むカーボンニュートラルに向けた政策や私たち森びとプロジェクトの要望書に対する考え方をお聞きすることができました。

Dsc00820【小坂善太郎林野庁森林整備部長に要望書を手渡す】

Dsc00825【小坂森林整備部長より2050年カーボンニュートラルに向けたお話を伺う】
 世界各国が「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」に舵を切る中で、日本政府が目指す2030年度までに2013年度比46%削減目標達成に向けて林野庁としても「地球温暖化対策計画」を立案していることを伺いました。林野庁としては当初2%削減を目標としましたが、中長期的な森林吸収量の確保・強化を図り2013年度総排出量比約2.7%へと削減目標を高め、国民運動として10年間で1億本の木を植える計画など、温室効果ガス(CO²)を吸収する森をつくり育てるプロのお話を伺うことができました。

Dsc00831【橘政行林野庁国有林野部長に要望書を手渡す】

Dsc00829【橘国有林野部長より温室効果ガス吸収源の森の育成など林野庁の取り組みを伺う】 

 行政と市民が連携し、生存可能な地球基盤を守るために森を元気にする活動を推し進めていきたいと思います。お忙しい中、森びとプロジェクトの要望書提出に対応していただきました、林野庁の関係者の皆さまありがとうございました。

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<政府・林野庁への要望>

 1、政府、林野庁は、IPCC第6次評価報告書第I作業部会報告書を受け入れ、「2050年カーボンニュートラル」の具体案に以下を加えてください。

①世界の気温上昇を2040年までに1.5度以下に抑えられる日本の二酸化炭素排出量の削減目標を2013年度比50%以上に設定する。

②衛星解析から日本列島の炭素吸収基盤(カーボンシンク)に値する森林を抽出し、吸収する炭素量を明らかにするとともに、炭素吸収基盤を増やす目標を具体的に策定し、実行する。

2、政府、林野庁は「2050年カーボンニュートラル」の具体策として、自治体と国民の心がひとつになる行動を提案します。

①「全国CO2 削減デー」(仮称)を設けて、全国一斉にネオンを消す。さらに、化石燃料を燃焼する車を運転しない日を設け、実施する。

②国民に「エコ休暇」(仮称)を取得させ、全ての国民が大地の森と海の森を健全にする活動に「エコ休暇」(仮称)を活用する。

3、「カーボンシンク」(CO2の吸収量が排出量を上回る)に値する森林の拡大を図るために全国の経済林の見直しを進めると共に耕作放棄地、休耕田、荒廃地等に多様な生態系の森をつくるためにふるさとの木を植える。この事業では安定した雇用の場を確保する。この具体的な政策が国民運動の森づくりに繋がることを期待します。

①国民運動の森づくりの栃木県版として、日光市足尾町の足尾銅山跡地の治山、緑化が済んでいない地・荒廃地に木を植える県民運動を実施する。

②八幡平市松尾鉱山跡地(国有林)の土壌改良を行い、雪に耐えうる落葉広葉樹を植え、育樹活動を行う国民運動の岩手県版として森づくりを実施する。

 4、政府の脱炭素社会に向けたエネルギー政策は、原発に頼らず、森林生態系を破壊しない再生可能エネルギーによる脱炭素社会づくりを急いでください。自然環境を資本とする社会を目指し、生活上の差別や格差を国民に強いることなく、誰もが自然資源を共有でき、誰もが取り残されない脱炭素社会環境を整えてください。

 (報告:清水 卓)

2021年10月14日 (木)

旧松尾鉱山跡地に根を張り、色づき始めた八幡平の森を観察

 昨日10月13日に岩手県、秋田県、宮城県の東北3県ファンクラブ代表者に参加をいただき、八幡平の森観察を行いました。

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  岩手県ファンクラブの協力をいただき成田代表と内藤運営委員の自家用車に分乗して12時に盛岡駅前を出発。市内の天候は曇り、八幡平は山裾まで雲がかかっていました。

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 山道に入り霧雨に変化。雲の中を走り抜け植樹地の元山堆積場に到着しました。旧松尾鉱山跡地は、かつて硫黄鉱山として栄え、雲上の楽園と呼ばれた場所でした。元NPO法人森びとプロジェクト委員会みちのく事務所所長の田中さん、成田代表に案内をいただき、2006年から植樹が行われた森の観察を行いました。

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 道の両側は草が生い茂り、植樹地に向かうと、左側(東)には木々が森を形成し、大きく生長していました。ヤマハンノキやシラカバは10m程に、雪に耐えながら生長したミズナラやカツラは大きいもので6m程に生長していました。林内に入り観察すると、雪の重さで幹が曲がりながらも、太陽の陽を求め、上に伸びようとする木々の生命力に感動しました。

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 道の右側(西)の植栽地はまだ背丈が低く、雪に耐えながらも地上部の幹を生長させるために、みちのくの皆さんが開墾し土壌改良した植栽地にしっかりと根を伸ばしているように感じました。八幡平の紅葉はこれからですが、幼木たちは葉が紅く染まり秋の装いです。参加者は一足早い紅葉を楽しむことができました。

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 土壌改良をした植栽地には、鳥や風によって運ばれたアキグミやヤマハンノキの種が活着し、植樹した幼木よりも大きく生長していました。赤く熟したアキグミを口に入れると、酸っぱさと渋みが口内にひろがり、かすかな甘みが残りました。

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 田中さんより「雪深く、条件が厳しいところだから生長は遅いが、根がしっかり張れば幹も一気に伸びる」と木々の生長を見極め、辛抱強く育樹作業を行っている岩手県ファンクラブの仲間たちの苦労を話してくれました。

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 雨足も強くなり、1時間ほどで観察を終え下山しました。

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 観察会に参加した秋田県FCの大山事務長、宮城県FCの青田事務長から感想が届きましたので紹介します。

 「久々の八幡平でした。暫く訪れていなかったので、私たちが育て植えた苗がさぞかし育っているんだろうなと車の中で思いながら向かいました。それが率直な気持ちでしたが、訪れた植樹地は私と思っていたのとは真逆な姿に唖然としました。まあ、これが自然の厳しさ、現実なのかなとあらためて痛感しました。一方、ごく一部に木として立派に生長しているのを見て、感動を覚え、自然の厳しさも目の当たりにしました。地球環境がおかしくなっている今、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルに舵を切ると同時に、二酸化炭素を吸収する木々を植え育てる活動を進めないと、今の温暖化は止められないと思います。本当に私たちがやっていることは小さい事かも知れません。しかし大切なことだと思います。これからも私のライフスタイルとして植樹活動を実践していき、同時に森を愛する仲間を増やしていきます。」(秋田県FC:大山博延)

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  「数年間の植樹の積み重ねを感じることができました。木々の生長が遅いのは冬期間が長く雪に埋もれているからなのでしょう。植樹した木々の紅葉も美しく、しっかりと根づいていることを感じました。アキグミや栗等を食べに鳥や小動物が集まり、生態系豊かな森に生長した姿を見る日が待ち遠しく感じました。」(宮城県FC:青田隆弘)

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 気候変動によって豪雨災害が世界各地で発生し、多くの住民に被害をおよぼしています。2年前の10月12日に台風19号が東日本に上陸し、東北地方にも大きな被害を与えました。数十年に一度と言われた豪雨災害も、毎年のように私たちの暮らしを脅かすようになっています。各県ファンクラブの皆さんと共に、「いのちを守る本物の森」を育てていきます。

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 八幡平の森観察の準備に協力をいただきました、岩手県ファンクラブの皆さま、JR東労組盛岡地本の皆さまありがとうございました。昨日の参加者は、岩手県FC:成田さん、内藤さん、田中さん、秋田県FC:大山さん、高杉さん、宮城県FC:林さん、青田さん、森びと:大野さん、清水でした。

(報告:清水 卓)

2021年10月13日 (水)

肌寒い秋雨の中、JR貨物で働く者たちが森づくり

 昨日(12日)は、JR貨物で働くJR貨物労組の組合員の皆さんが植樹しました。植樹と言っても、「臼沢の森」内に2年前に植えた300本が獣害にあい、ほぼ全滅しましたので、その補植を行ってくれました。Cimg0031 昨日の天気は残念ながら秋雨でした。早速、「雲集亭」内で歓迎の挨拶を行い、地球を元気にするぞ!と気勢を上げて現地に向かいました。森の入口に準備したあった道具や苗木を担ぎ、水が滲み込んで思い荷物を300段の階段を登り、現地に着いた時には汗だくになりました。Cimg0007 Cimg0010 Cimg0022 現場ではスタッフからの注意事項を訊いた皆さんは、仲間が植えている様子を確かめながら丁寧に植えていました。植えた249本の苗木には、組合員の思いや願いが濡れた手を通じてしみ込んでいるようでした。秋雨の肌寒い中でありましたが、獣害に向き合いながらの森づくりをしてくれた皆さんに感謝します。Cimg0012 12時半頃にはすべての苗木を植えることができました。下山途中、「臼沢西の森」の里親植樹会場に立ちより、里親植樹に申し込んだ皆さんは自分の苗木の育ち具合を確認しました。現場から見下ろす松木川沿いの景色に感動している方がいました。Cimg0044  昼食後は、「民集の杜」や松木村の歴史などを案内しました。昨日の最後は、交流を行いました。組合員からは、「枯らすわけにはいかない。また来年来たい」(Si)、「自然をもっと知りたい。また来たい」(Ni)、「森づくりは人づくりを継続したい」(Na)、「植えている時は愉しかった。植えた木が育つのを見たい。来年も参加したい」(Iw)、「人づくりのアプロ-チで連携していきたい」(Mu)、等の感想が述べられました。Cimg0055 昨日はハプニングが起こりました。それは私たちは自然に寄り添って暮らす心得を身をもって感じた場面でもありました。昼食を食べようと用意したパンやおにぎりが無くなっていました。「雲集亭」内のテーブルに置いておいたそれらが動物に食べられ、何も残っていませんでした。私たちは、何かを感じていただけたのではないかと思いつつ、注意事項として皆さんに知らせることができなかったことに反省しています。申し訳ありませんでした。Cimg0063 JR貨物労組の組合員の皆さん、肌寒い秋雨の中の森作業にご協力していただきありがとうございました。来春の草刈りでお会いできることを楽しみにしています。Photo 昨日の森びとスタッフ、サポーターは鎌田、松村健、山本、橋倉、済賀、加賀、大野でした。(報告・大野昭彦)

2021年10月12日 (火)

富士山も中倉山の無言の語り木(孤高のブナ)を見守っていました。

 本日は10月11日、早朝の足尾は霧に覆われていましたが、陽が昇り始めると徐々に霧が晴れ、青空が広がる暖かな1日となりました。

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  今日は、11月3日(文化の日)に開催する『中倉山「無言の語り木」(孤高のブナ)を元気にする恩送り』の下見で中倉山に登るため、足尾ダムゲートに7時10分集合。一路登山口を目指しました。

登山口までの道路は、落石が除去され歩きやすくなっていました。台風が来ると斜面の岩や石、倒木が道路にひろがり、歩きづらくなっていますが、整備していただきありがとうございます。ダムゲートから30分程歩くと砂防ダムが現れますが、工事中の為、登山者用に迂回路が整備されていました。 

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 8時に登山口に到着。呼吸を整え登山開始です。ブナの根を保護し、斜面の流出を抑えるために10ℓの黒土と植生袋をリュックに詰めていますので、無理せず足元を確かめながらつづら折りの登山道を登りました。

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 東側の備前楯山に陽が昇ると林内に光が差し、木の葉が輝きだします。足もとを見ると、ミズナラのドングリが沢山落ちていました。済賀さんは、自宅でポット苗をつくるために拾いながら登っていきます。時折、コーン、コーンとドングリの実が木に当たる音が林内に響きます。

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 9時40分に最初の尾根に到着。小休止し、ミズナラの森を直登します。直登が終わると少し下りになるので足が楽になります。木々の隙間から、中倉山の尾根に立つ「孤高のブナ」が見えました。“待っててくれよ!“と心の声が漏れます。 

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 尾根コースにルートを取り、歩を進めると赤く染まりはじめたツツジが現れました。北側を流れる松木川。眼下には森びと広場、臼沢の森、松木・新松木、民集の杜が広がっています。紅葉はまだのようですが、ヤシャブシの濃い緑の中に、明るい緑の森が点在しています。11月3日の「恩送り」の日には紅葉が楽しめることでしょう。 

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 尾根筋の笹の中に、可憐な紫色の花のフデリンドウが点在していました。

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南の山々を見渡すと、遠くに富士山が頭を出していました。いつもは雲がかかり見ることができないのですが、今日は見渡すかぎり青空が広がり、北には男体山の山頂が見渡せました。 

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 南側の山の斜面の中には赤や黄に染まり始めた木々が出始めました。これから本格的な紅葉に変化していきます。 

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 山頂を超えると、尾根に凛と立つブナが見えてきました。久しぶりに“家族”に会える気持ちになり足が速くなります。10時50分ブナに到着し、まずは根を保護するために張り付けた植生袋の確認をしました。生えた草はしっかりと斜面に張り付き根を保護していました。背負い上げた植生袋に黒土を入れ、土壌がむき出しになっている部分に張り付けました。

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 次に、ブナの幹、枝、葉、根を観察し、ブナが衰退していないかを点検しました。樹木の専門家ではないので十分ではありませんが、枝が枯れていないか、葉は小さくなっていないか、幹に傷はないか、根はむき出しになっていないかなどを観察しました。

  見上げると、枝の枯れが目につきました。風が強い尾根に生えているので、葉っぱは小さく、風で葉が傷つけられている様子も見受けられます。

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  故宮脇先生から「木は根、根は土」と指導を受け、ブナの根を保護するために植生袋を張り付けてきましたが、北斜面の崩壊は尾根中央を通る登山道にも及んできているようです。11月3日、森ともの皆さんと「無言の語り木(孤高のブナ)」に会いに来ますので、ブナの声を掴みたいと思います。 

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 11時40分下山を開始。下りは膝に体重がかかるので、あわてず、急がず、一歩一歩を着実に、下山しました。13時15分に登山口に無事到着。森びと広場に向かい、“みちくさ”に到着すると高橋さんが昼食の準備をして待っていてくれました。遅めの昼食をとり一息つくことができました。ごちそうさまでした。 

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 明日は、JR貨物労組の皆さんが臼沢の森の植樹地の補植に来てくれます。昼食後に、植える苗木にたっぷりと水を吸わせ、「臼沢の森」の前の金網の中に置き準備をし本日の森作業を終了しました。 

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小さな苗木が「いのちを守る本物の森」の一員になれるように育てていただくようお願いします。

本日の森作業は、済賀さん、坂口さん、清水、地上での連絡員兼舎人の高橋さんでした。

(報告:清水 卓)

 

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