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2008年10月の24件の記事

2008年10月30日 (木)

生命(いのち)を守る、まずは自分の健康を第一に

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 今日は2千㍍以上の山では初冠雪でした。関東では那須の茶臼岳、浅間山の頂上にはうっすらと雪が降りました。昼頃、事務局員は訪れた大田原市野崎地区に住んでいる第1期インストラクター・星野恵司さん会うと、今日の朝は寒かったそうです。星野宅の軒先には、真っ赤な唐辛子が干してあり、庭には小さな柚の木に大きな柚の実がぶら下がり、霜月を醸し出していました。
 星野さんは奥様とともに「森びと那須クラブ」の活動を盛り上げています。本日は、那須クラブの皆さんが進めている苗づくり作業所を訪問しました。那須クラブの皆さんは、「足尾広場」の作業小屋、森づくりの看板そして植樹会場のベンチ等を造ってくれました。そして、昨年秋からは、命の森づくりのための苗づくりをはじめています。
 会社をリタイヤした先輩方が中心となって、未来の子どもたちが平和な社会と豊かな森の中で生きてほしいと、会社員時代よりも忙しく、しかし、楽しく笑顔を絶やさず、森づくりを進めています。
何が一番良いですか、と訪ねると、「ストレスが溜まらないことだ!」と、言われました。幼い木に向かって、水を与え、草を取り、太陽の光を与え、日毎に伸びる木々が巨木となっていくことを願うと、無心になれる。その後、一杯呑みながら、笑ったり、怒ったりして話しこむことが楽しい、と言ってくれました。
 「森びと那須クラブ」の植樹際は11月3日に行われます。また、クラブの皆さんが作った餅米が収穫されました。餅米(こがねもち)は、湧き水、無農薬、天日干しで作られ、欲しい方にはお分けしたいと、と言っていました。市価の半額で(送料着払い)でどうですか、と言っていました。問い合わせは、大野さん(電話:0287-63-4373)に電話してください。世界各国の一部企業による食の犯罪が暗躍しているなかで、シニアの皆さんのチャレンジには脱帽でした。

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2008年10月29日 (水)

巨大システム下では、まず、自然を受け入れること。

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 苗木分け作業の目途がついて、本日は事務局が最後の追い込み作業をしました。作業しながら聴いていたラジオニュースによれば青森県の岩木山、我が友が住んでいる旭川市で雪が降りました。こんなニュースを聴いて、今年は暖かい日が一週間ほど遅れている、と感じました。昨年の今頃は、足尾周辺の落葉樹の葉は枯れて、道路に落ちていました。ところが今年は落ち葉が少なく、東武日光駅から足尾に向かう途中、日光市内の道路には昨年と比べて車が多いと感じました。
 東武鉄道で通っている私にとって、今日ほどに、秋の森の恵みを身体で感じたい方々の多さにびっくりしました。この時季、東武鉄道は「フリー切符」販売し、日光の良さを味わっていただくキャンペーンが、的を得ていると感じました。本日は、秋、真っ盛りの日光でした。
 そんな中、霜が降る前の苗木分け作業を行い、本日は1360本の若木に元気を与えることができました。16時頃には、ニホンジカが鳴き、自分たちのテリトリーから出で行けというメッセージがありましたので、ちっぽけな私たちは帰路につきました。巨大なシステムの中で生きている私たちにとっては、これは仕方のないことです。アキグミを頬張る時間を奪ってはならないのです。そんな気をもって、本日の作業は終わりました。

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2008年10月28日 (火)

来春に向けて、階段造り始まる

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 秋も深まってきました。日光駅から足尾町へ向かう国道沿いの山々も色づき始めました。ここ臼沢地区の木々も色づき始めました。明日で苗木分け作業が終わり、年内は来春の森づくりの準備を行います。昨日は、日光地区森林組合のご協力を得て、植樹会場用の階段造りに使用する間伐材を切って、運搬しました。木は檜で、長さ130㌢程に切った230本の檜を運び出しました。
 階段造りは、まず、草刈りを行い、その後、1人ひとりが間伐材を持って、約200㍍の距離を登ります。標高950㍍地点の階段は約100㍍(50㍍×2本)程の間に間伐材を埋めていきます。雨などで土砂が流れないように、また、登りやすいように高さを調整しながら階段を造ります。
 1千㍍に届く場所での作業であるため、事務局は北風が吹かないように願っています。階段造りに協力してくれる方を募集しています。色づき始めた苗木に癒されながら、心地よい汗を流してみませんか。階段造りは来月15日から18日の4日間に行います。

2008年10月25日 (土)

 自然界では小さな存在でしかない私たち

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 霜が降らないうちに苗木の冬支度は終わりそうです。本日で苗木分け作業の目途がつきました。天気予報では今月下旬には冬型になり、例年の気温に戻るそうなので心配していましたが、目途がついたので一安心です。今日は、JREUの組合員・雨谷さんと深津さんが手伝いに来てくれました。作業は事務局の2人とともに4人で行い、980本(49トレイ)のドングリに元気を与えました。
 朝8時00分頃、森びと広場に到着した私たちは作業小屋の整理整頓を行い、モーニングコーヒーで身体を温め、作業準備をしました。その時、対岸の岩山では猿の鳴き声がしていました。ここではニホンザルを見ることが殆どないのですが、今日は朝から岩山に姿を現していました。
 日毎に寒くなるとアキグミの実が甘くなります。この地はアキグミがあちこちに生えています。このアキグミは冬眠に入るツキノワグマが食べますし、猿や鹿そしてキツネ、驚くことに烏もアキグミを食べます。対岸の岩山の中腹にはアキグミが多く生えていますので、猿はこのグミを食べていました。この時に鳴いていたのが猿でした。鳴き声は、冬を迎える猿が朝食を摂っていた時の、親が子へ注意している声のようでした。
 日毎にグミが甘くなるように、苗床の若木の葉も日毎に鮮やかな色になっています。そして若木は葉を落とし、永い眠りに入ります。来月15日は狩猟の解禁日です。ここ臼沢地区は禁猟地帯ですので、日光側からここ安全地帯に鹿が移動をはじめます。これからは天気予報が気にかかる日が続きます。

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2008年10月24日 (金)

 凄まじい勢いを感じさせる幼木の根

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 「木は根、根は土」と言います。どんなに丈夫な木でも土が悪ければ大きく育ちません。“この土は悪いから”、と言って、木はそこから他の地に移動することはできません。ゆえに根は、水や酸素等を求めて、岩の割れ目などに何十㍍も伸びていきます。それが地中の中では土砂崩壊を防ぐことにつながり、表土では生物たちの餌や住居につながっています。枯れても柱になったり、和紙になったりして、何百年も生きつづけて人間を癒やしてくれています。
 上の写真のように、昨年秋に蒔いたドングリは、経った一年で80㌢もの根を小さなポットに張り巡らします。苗木分け作業は、「ドングリに元気を与える作業です」、と言っていますが、作業を振り返ってみると、文字通り生命(いのち)の森づくりだなあー、と実感します。
 本日も小雨でした。雨ですと土に水分が多く含み、ポットの中も水浸しとなり、根は窒息状態です。この状態から根を守り、少しでも元気になるように少し乾いた土をポットに入れています。本日は、560本の苗分けをしました。また、今年植えた樹木の調査をするために、調査樹木を特定する作業も行いました。今年植えた樹高30㌢以下のブナでも、写真のように黄色の葉に衣替えしているようでした。やがてこのブナは巨木となり、私たちへ豊かな心と安心を恵んでくれるのだろうと思うと、小雨降るなかでの作業にもやり甲斐を感じます。
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2008年10月23日 (木)

背に北風を受けました。間もなく足尾は冬です。

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 今日の朝はご覧の通り、足尾町の赤倉地区は雨雲が覆われていました。天気予報通りに雨の一日かと思いましたが、雨は小雨で降ったり止んだりでした。風が吹くと北風で、これがじっとしている苗木分け作業には堪えました。
 昨夜は、千葉の会員から送られた里芋とゴボウ等を切って、中鍋一杯のけんちん汁を作りました。一晩寝ねかしたけんちん汁を鍋に入れ、森びと広場に持って行き、昼食に、皆さんに食べてもらいました。味はみそ味にして、群馬のこんにゃく、椎茸、油揚げ等で整えました。あるインストラクターは3杯もお代わりするほどの美味しさ?、でした。
 本日は、昨日も来てくれた森戸さん、事務局スタッフの小川さん、神田さん達によって、苗木分け作業がはじまり、午後3時頃には、43トレイ・860本の苗木分けができました。また、小川さんは、来月にはじまる階段造り(11月15日から18日まで)の下見をしました。
 この頃は、足尾町内には大型バスが所狭しと走る時が見えますが、本日は足尾ダム付近でスケッチをしている皆さんを拝見しました。是非、足尾町の歴史をも思い浮かべながら絵を完成してほしい、と、思いました。足尾ダムには様々な歴史が折り重なって現代があります。

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2008年10月22日 (水)

会員の真心が足尾に届きました

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 朝、8時30分頃に森びと広場に到着。6時頃は毛布と布団がないと寒いー!という感じでしたが、太陽の陽が当たると、温かい感じがする朝でした。作業場の掃除をしたあと、苗木分け作業をはじめました。9時30分過ぎにはインストラクターの森戸さん、JREUのOB・生沼さんが広場に到着し、一緒に作業を進めました。ラジオ放送を聴きながら、放送の批判をしたり笑ったりして作業を行いました。昼食では、それぞれが持ってきた弁当とおかずを食したのですが、本日は3人が卵焼きを持ってきましたので、その味を比べました。やはり先輩の奥さんが作った卵焼き、そして先輩が作った卵焼きの味と焼き方には負けました。
 昨日の夕方、千葉県の会員の二人から宅急便が届きました。箱を開けてみるとゴボウと里芋等の野菜、そして鰺の干物が入っていました。その晩に私はキンピラゴボウを作りましたので、昼のおかずにキンピラを持っていきました。この味には先輩の口から美味しい、と言わせました。千葉県の会員の皆さん美味しい食材を送っていただきありがとうございました。
 本日は、42トレイ・840本の苗木分けを行いました。それにしても千葉県の会員の皆さんからの贈り物には感謝です。足尾の地で泊まりがけで作業している私たちには、長持ちする安全な食材がなによりもありがたいことです。まして、社会的には一部企業と一部官僚による利益優先のために、食べ物が農薬漬け、毒の漬けになっています。本日はこうした中で、信頼できる友のまごころが届き、“ありがとうございました”を感じた日でした。

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2008年10月21日 (火)

 国境を越えた本物の森づくりをめざした看板づくり

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 本日は、事務局員の松村さんが2箇所の苗床に撒水しました。群馬県のスタッフ2名(小井土さん、柳沢さん)は、足尾森びと広場に設置する大看板用の間伐材を運搬しました。
 足尾ふるさとの森づくり以降、一週間も秋晴れが続いています。その上、乾燥も続いていますのでポットの中は水不足です。苗分けした若木や命を吹き込まれたドングリは、雪が降る前に少しでも毛根に元気を与えようとしていることでしょう。そんなことを考えながら、色づいた葉をつけている若木、そして遮光ネットと藁のマルチングの下で根を出そうとしているドングリに水を与えました。
 来年は、足尾で森づくりをはじめて5年目を迎えます。5年前に植えた樹木は3㍍以上の樹高になっています。足尾・旧松木村の跡地には着実に生命(いのち)の森が大地に根を張っています。100年先のこの森は、自然環境と人間の命を大切にする方々の熱意と継続によってつくられています。
 5年を記念にして、「森びと広場」入り口に大看板を設置します。古河機械金属㈱足尾事業所の許可を得て設置する看板は、足尾の生態系と松木村の歴史そして私たちの森づくり活動を紹介していこうと考えています。180㌢四方の看板を支える支柱の大きさは、直径40㌢×長さ3㍍もあるアカマツです。このアカマツを足尾まで運搬しました。
 この看板は、松木沢を散策するハイカー、春から夏に多い釣りファン、緑化作業をしている皆さんへの案内と訴えです。皆様のアイデアをお待ちしています。

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2008年10月20日 (月)

「森と生きるキャンパスフォーラム」・・・その⑦

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 第3部はシンポジウムでした。パネラーは、安田善憲さん(国際日本文化研究センター教授)、宮脇昭さん(横浜国立大学名誉教授)、岸井成格さん(ジャーナリスト)、コーディネイターは村田久美さん(当委員会理事)でした。
 テーマは、「命の森へ進路をとれ!」と題して、90分間の討論をしました。シンポの流れは、安田先生には「環境問題への指摘」 → 宮脇先生には「今、世界では何が起きているのか」 → 岸井さんには「本物の森がなかなかつくれないということは、行政、政治のどういう仕組みからきているのか」 → 安田先生には「歴史上で社会が滅びなかったのは森との共存という文明ですし、これが持続可能な時代ではなかったか。今、「持続可能な社会を」、と言われますが良く理解できません。この持続可能な社会ということに関して」 → 宮脇先生には「カーボンオフセットに関して」→ 安田先生には「急激に進んでいる温暖化の地球の未来をどのように推測するか」 → 参加者との質疑・討論 → 最後に、「地球を救うためにはどのような生き方をすればよいのか」、という事に関してでした。この点に関して、安田先生は森を植える者の心は、「地球上の命あるものに囲まれて人間が地上に生を受けたその命を大事にして、しっかり生きるということ」、宮脇先生は、「人事でなく、自分が、あなたが、あなたの愛する人とともに木を植えること。せっかく植えるのだから、やっぱり本物の木を植えてほしい。本物は長持ちするもの、三役、五役を中心にしながら木を植えてほしい」と、岸井さんは、「行政や政治への働きかけをもっと強めていかなくてはならない。それも国境を越えてどこまで広げていけるかです。」、と話してくれました。
 シンポジウムでは全ての生物が100年先、200年先の地球とともに生きていくための、私たちの課題が具体的に分かりました。まずは今すぐ、人ごとでなく、自分が本物のを木を植えて、植えながら命を大切にする心を育んでいく。そのためには、それぞれの場で汗を流し、努力していかなければならないということが分かりました。そして環境問題は極めて政治課題であることも明確になりました。
(訂正)
 昨日の第4回「八幡平・ふるさとの森づくり」のデータは間違っていましたので訂正します。蒔いた数は、ミズナラ、コナラ、カシワを5775ポット・17325個、トチノキ、クリは1539ポット3078個で、合計20403個を蒔きました。また、参加者は総勢106名でした。訂正してお詫び申し上げます。

2008年10月19日 (日)

 18000個のドングリに未来を託しました

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 最高の紅葉日和の本日、岩手県八幡平市にある「県民の森」で第4回「八幡平・ふるさとの森づくり」が行われました。集まってくれた皆さんは総勢180名でした。松尾小学校同窓生の皆さん、平舘小学校の先生と児童たち9名の皆さん、そして盛岡農業高等学校の近藤先生と生徒の皆さんをはじめ、事前の準備と当日の手伝いをしてくれたJREUの組合員、OBの皆さんたちは、6522ポット(18819個)にドングリを蒔きました。午後には北風が吹いてきましたが、ミズナラ、コナラ、トチノキ、クリ等に命を炊き込むことができました。また、地元八幡平市の田村市長からは、来賓のご挨拶を頂戴しました。
 苗木作りは、10数㌢程度のポットに小さなドングリを2~3個蒔くだけのことですが、このドングリがやがて何百年も生きつづけて、創造もつかないくらいの広大な森をつくります。この森があるから雨が降り、水が貯まって田圃に流れ、やがてこの水はプランクトン等を海に与えます。海の生物は森から元気をいただき、この時季になると鮭などが海から山に遡上し、山の生物に海の栄養を届けてくれています。
 世界の主要国の経済がおかしくなり、次第にその影響が各国に広がっているようです。今、大切なことは生物多様性という枠の中での経済、ということを考えてみることかもしれません。現代は、「経済の発展と科学技術の発展は私たち市民・子ども達を不幸にする」ということではないでしょうか。若い頃、「計画経済」ということを聞いたことがあります。森から教えられることは、動植物社会では生産と消費のバランスが整っていることです。
 ドングリを蒔いている子どもたちの真剣な顔を見ていると、子らの未来を不幸にしてはならないと思います。
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