地球環境「見張り員」からの「注意喚起」が聞こえていますか?厳しい松木の冬を生きぬく生物たち。
松木の木々は葉を落とし、遠目に見る森は茶色に染まっています。それでも森に入ると、モミジの枝は紅く染まり、寒桜が私たちの目を楽しませてくれます。
冬至に入り、七十二候では「麋角解(さわしかのつのおつる)」、鹿の角が落ちる時期です。冬になると食料が少なくなり、角に送る栄養がなくなるためらしい。命をつなぐ手段でもある。食料や縄張りを守るためか日本の鹿は春先に角を落とします。
冬の松木の森には、生き物たちが食料を求めて集まって来ます。猿は群れで行動し木の芽を頬張っています。鹿は枯れ草の根元に緑の部分を探し、木の皮を食む。「見張り員」がいて、人間が近づくと危険を察知し、「キー」「ピー」と高い鳴き声で仲間たちに人間の接近を知らせます。鳥は空から、木の枝から地上の餌を探しています。
立派な角を持つ鹿も、弱ってしまうとあっという間にトンビやカラスの餌食にされてしまう。残酷なようですが命をつなぐたたかいが森の中で繰り広げられています。
人間社会はどうだろうか?
スペインで開催された第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)で国連のグテレス事務総長は「危険な地球温暖化を抑えられるか、今がまさに節目だ。」と野心的な温暖化対策を世界のリーダーに呼びかけました。しかし、パリ協定の実施ルール作りの合意は断念され、2020年の次回会合に先送りする決議を採択し、閉幕しました。
COP25で演説した環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(16歳)は「今、私たちには希望の兆しさえ見えません。私は皆さんに言います。希望はあると。私はそれを見てきました。でも、それは政府や企業から来るものではありません。人々から生み出されるものです。今までに(危機に)気づいていなかったけれど、今気づき始めた人たちの中から生まれるのです。そして、一度気づけば、私たちは行動を変えられます。人々は変われます。人々は行動を変える準備ができていて、それこそが希望です。」と民衆に訴えました。
気象庁は12月23日、2019年の日本の年平均気温の速報値は基準値(10年までの30年平均)を0.92度上回り、1898年の統計開始以来最も高温となる見通しで、地球温暖化が影響したとみられることを発表しました。
気象災害も多発した2019年、温暖化対策は待ったなしです。来年、2020年は「パリ協定」実施年。温暖化ガスを吸収し、多くの生物が寄生し命をつなぐ森を元気にするために、地球の悲鳴に耳を傾け、多くの森ともの皆さんと一緒に“山と心に木を植えて”いきます。
(筆者・清水 卓)
コメント