新たな10年の森づくりへ、志と情熱を振り返る・・その8
足尾の猿たちは寒風の吹く中でも群れをつくって支え合って生きています。地獄谷のような温泉には入れませんが、20日のような温かい陽をいっぱい浴びています。
今月インドで感電して弱っている猿を群れの猿が生きかえした映像が流れていました。日本では石川啄木が猿に扮して人間に問いかけているエッセイがあり、それは現代の人間の暮らし方に警鐘を鳴らしています。
現代はインターネットが波及して知的に武装している方が多いはずですが、民意を無視した政治の暴走や自然の猛威に対してその知識が有効に生かされていないようです。
当会は、2009年3月、大人の絵本『サルと人と森』を自費出版しました。この絵本は啄木が猿に扮して人間の暮らし方を警告しています。この絵本は現在、14刷を迎え、これまで各地での朗読会、ラジオ放送やテレビ報道等で紹介されてきました。
14年には、宮城県立高等学校の試験問題に絵本の一部が採用されたり、北海道旭川市の小学校生徒たちからはたくさんの感想文が事務所に届けられたりしました。
「思考を停止し、単純な答えにすがりつくという社会の風潮」がありますが、私たちはそれに流されずに猿の警告に耳を傾け、人間の思考力を発揮して、悪政治の暴走と自然の猛威に向き合っていきたいものです。
当会の出版物発行事業は、猿に扮した先人のメッセージを現代の暮らし方に活かしています。(理事 高橋佳夫)
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