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2019年10月16日 (水)

森の機能を発揮する“松木の杜”たち

台風19号が巨大な勢力を保ちながら12日に本州に上陸し13日にかけて東日本を縦断しました。年間降水量の3割から4割が1日~2日で降り、その結果、37河川で52か所の堤防が決壊し多くの被害を発生させました。(14日夜NHKニュース)

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足尾・松木沢、久藏沢、仁田元沢を源流(足尾ダムに源流の碑)とする渡良瀬川の支流では秋山川、巴波川、思川(思川の支流の黒川を含む)が氾濫し大きな被害を出しました。

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足尾の植樹地が心配となり、台風一過となった昨日14日、鎌田スタッフと調査に入りました。久藏沢にかかる橋と松木川にかかる橋は、橋のすぐ下まで土砂が上がり、橋が流される一歩手前の状況でした。
岩肌の多い足尾の山々には沢沿いに砂防ダムがつくられ、落石の力を弱めています。三川が合流する足尾ダムが最後の要となるのでしょう。足尾ダムがなかったら下流域に一気に土砂が流れ込み被害を拡大させてしまうのではないかと考えると、森の再生は急務だと思いました。

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北斜面が草地の「民集の杜」では、落石と堰堤からの水流により金網とポールが曲がり早急な補修を計画しなければならない状況でした。金網の点検をしていると立派な角の雄鹿が鳴き声を上げ、群れに警戒を伝えていました。

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急斜面の「臼沢の森」は豪雨で表土が流されているのではないかと心配し確認に向かうと、臼沢の森の入口の第二ゲートに土砂の流出した様子はなく、ひとまず安心しました。
木の階段が崩れていないかと森の中に入ると、木々の葉っぱが降雨を受け止め表土に落とし根が吸収しているようで、表土が崩れた様子は見受けられませんでした。また、細い幹の木が根元で落石をガッチリと受け止めていました。

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松木の杜、新松木の杜も土砂の流出はありません。生長過程の落葉広葉樹の森は、小さいながらも降水をためる「森のダム」の役割を果たしているようです。

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年々、台風が巨大化しているように感じますが、台風19号(ハギビス)は米航空宇宙局(NASA)と海洋大気庁が連携し気象観測衛星「スオミNPP」によって宇宙からとらえられていました。日本に上陸する前の渦状の雲の幅は南北で2000キロ以上に及び米国内では「スーパー・タイフーン」と紹介されていました。

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川の氾濫に備えることなど防災対策は行政の役割として当然ですが、気候変動の根本問題である温暖化ガス(CO²)排出削減は各国政府の責任において取り組まなければなりません。9月23日に米国ニューヨークで「国連気候行動サミット」が開催され、国連のグテレス事務総長は、77カ国が2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロとする目標を公表したと明らかにしました。残念なことに日本政府による石炭火力への依存姿勢が国際的な批判を浴びています。長期戦略では50年までの温室効果ガス削減目標を80%減、排出実質ゼロの「脱炭素社会」実現時期は「今世紀後半のできるだけ早期」とするにとどまっています。

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国連「気候行動サミット」で、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんは『人々は困窮し、死に瀕している。全ての生態系が崩壊し始め、私たちは大規模な絶滅を前にしています。それなのにあなたたちは、お金と永続的な経済成長という「おとぎ話」ばかりを語っている。』と怒りの訴えをしました。

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生物社会の一員でしかない人間は森に寄生してしか生きられない存在であることを「巨大化する台風」は気づかせてくれます。台風15号、そして今回の19号によって被災した人々の苦しみに目を向け、CO²の吸収源である森をつくり、海を元気にしていかなければなりません。
(事務局 清水 卓)

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