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2008年11月の17件の記事

2008年11月30日 (日)

森づくり仲間の絆を世界へ

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 明日はアジア・アフリカの皆さんと荒廃地の植生回復をめぐって議論します。本日はそのための準備をしました。午後の足尾現地の気温は4度、対岸の山にはうっすらと雪が積もっています。雪景色を見ていると、昨年同様、アジア・アフリカの皆さんには初めての雪に彼らの喚声が松木沢に響くだろう、と思いました。
 JICA横浜が研修している「アジア・アフリカ地域荒廃地の植生回復研修」の一部が、明日、日光市で行われます。7ケ国12名の森林関係公務員、大学の講師や研究者が、足尾でのふるさとの木によるいのちの森づくりを視察、各国での森づくりに活かしていく、といいます。
 それぞれの方々は自国では専門家なので、私たちは彼らに何を報告するのか、と緊張します。しかし、所詮は人間の傲慢な生き方が根本的な原因でありますので、あえて私たちが旧足尾銅山跡地で森づくりを行っているのか、を伝えられればと思っています。
 スコップや苗木、腐葉土を植樹会場まで運び、視察及び植樹が安全にできるように足下を整理しました。下山途中、小さないのちの森は紅葉を終えた葉が落ち、その木々の間からはカシ類の緑色した葉が目立っていました。試験的に植えているカシ類は冷たい風に震えながら背筋を伸ばしていました。明日、4回目の冬に向かって生きているカシ類をアジア・アフリカの皆さんに見てもらって、森づくり仲間の絆を太くしたい。

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2008年11月28日 (金)

安全に妥協は許されない

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 昨日は古河機械金属㈱足尾事業所の案内で、廃坑後の施設を見学しました。備前楯山の周囲の山々は江戸時代から掘られ、その坑道は延べ1000㎞を超えると言われています。この坑道には湧き水が流れ、水には様々な鉱物が含有され、化学変化を起こしながら水は流れています。この水は害にならないように中和され、川に流されます。しかし、水に流されてきた様々な含有物は専用のたい積場に溜め、川に流れないように管理しています。
 これらの施設は各箇所で毎日点検されています。大雨や地震などが起こったときには、徹夜で監視している、といいます。安全が確保されている影には安全を守る人がいました。見学した施設は50年間以上も人の目と手で監視されていました。
 ところで、本日は日光中禅寺湖周辺の「千年の森」(私達が言っている森)を、東京農大の学生さんと一緒に調査する予定でした。本日の天気予報は雨ですので、標高1500㍍付近は雪です。足尾から中禅寺湖へ車で向かうには、雪用タイヤもしくはチェーンが必需品です。ところが足尾事業所で森びと号タイヤをチェックすると、雪用タイヤに交換してあるはずの森びと号はノーマルタイヤでした。急遽、日光市内でチェーンを買い求めようとしましたが、店には売っていませんてした。
 雪の「千年の森」調査は断念し、東京へ引き返しました。何事も安全が第一ですが、それを確立させていくためには基本的な点検(チェック)と判断(断念)の大切さを痛感しました。

2008年11月26日 (水)

強者どもの森づくり

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 足尾の森づくりは強者シニアで支えられている、と言っても過言ではありません。春の草刈り、春と秋の階段づくり、そして辛いけれど重要な苗木分け作業を、平日に手伝ってくれています。若者たちが作業に来ると、スコップやチェーンソー、そしてカケヤ等の道具の使い方を真剣に教え、また、協働作業のイロハを教えています。家では奥さんの介護もしながら、その奥さんの理解を得て、手弁当で支えてくれています。
 そんな強者シニアの慰労会の2日目は、「浜離宮恩賜庭園」を散策しました。やっと紅葉らしくなってきた木々を見ながら、庭園内に生えている木を調べてきました。公園の一角に、冬だというのに花を咲かせている木がありました。「何だ!」、「これは見たことある。赤い実を付けるやつだ」などと、言っていましたが、公園の掃除をしていた方に聞いてみると、「バットを作る木だ」と言われました。誰かが「それはアオダモだ!」と言ったので、それで一行は納得したようです。
 私は奥日光の西湖周辺に生きている巨木のアオダモを思いだし、アオダモは落葉樹なのだがなあー、と思い、調べてみるとそれはシロダモでした。後日、シニアの皆さんにそのことを連絡しました。強者シニアの皆さん、来年も頑張りましょう。

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2008年11月23日 (日)

未来のために厳しい目を光らせよう!

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 本日は第2回理事会が開かれました。新事務所での会議でした。理事会では、後期事業の経過を振り返り、新年度の事業に向けた基本的な事柄を審議しました。理事会後は、一年間ボランティア作業に協力してくれた方々の慰労会を開きました。
 理事会では、来年の「森と生きるキャンパスフォーラム2009」の開催をめぐって審議し、来年3月に開催される通常総会までに、フォーラムの企画案を創りだしていくことにしました。その内容は、今後は外材は輸入できない日本、反面、日本の森には間伐しなくてはならない森が多い、親子の住宅ローンに悩む日本人、住宅事情が悪い日本、しかし日本文化の良さや政府や企業の住宅政策の本物がつかめない日本人が多い等の社会事情を分析することにし、そのうえで森の大切さを日本人に発信していくことにしました。
 また、慰労会では草刈り、苗分け、撒水作業、階段づくりを積極的に手伝ってくれたシニアの皆さんの作業報告を理事会と支援団体は聞きました。
 昨日は、川崎市の「わっくら」という会の皆さんの月例会に招待され、髙橋理事はふるさとの森づくりの話をしてきました。倶楽部の皆さんは強者ばかりで、川崎市民の厳しい目をもっていました。倶楽部の皆さんは市民の神経として存在し、その責任を果たしているようでした。
 理事会にしても、倶楽部にしても単なる仲良し倶楽部が集まっているのでなく、社会の出来事に機敏に反応し、できることを具体的に実施していくことが大切であり、それが市民に理解され、この輪が拡大していくことが私達の課題であることを再認識しました。

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2008年11月21日 (金)

人間は、大自然のもとで生かしてもらっている動物にすぎない

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 「芸術の秋」という言葉を実感できる朝が19日でした。私達人間は、自然(=秋)の素晴らしさを絵や写真、俳句等に創作して楽しんでいます。その対象物は人間が創りだしているのでなく、主に森林が創りだしてくれています。同じ対象物を作品にしても、その魅力は創作者の人間性にあるようです。19日の旧足尾銅山跡地はそんな気持ちにさせてくれました。
 私の好きな画家の1人に田崎廣助氏がいます。田崎氏は、阿蘇山や浅間山の風景を描いていますが、創作する前にはその山を360度から見て回り、山にも登ったりします。そこには「浅間山とそこに生きているもののすべてが手を取り合って生きている。人間もこの大自然のもとで生かしてもらっている動物にすぎず、その知恵と学問を利用して自然を破壊してはいけない」(田崎廣助画伯)、という考え方があるようです。
 ところで安田喜憲先生から「自然と生きる環境生命文明」と題した、「第9回国境を越えて野鳥の保護を」というシンポジウムの案内が事務所に届きました。今月24日(月)・13時から17時まで、場所は「砂防会館」、参加費は1人1000円です。基調講演は柳生 博(日本野鳥の会会長)シンポジウムのパネリストは、ライ・ヤマモリ(エコロジスト)、中貝宗治(豊岡市長)、安田喜徳(国際日本文化研究センター)です。(問い合わせ先:日吉神社:052-400-2402、花園神社:03-3209-5265まで)
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2008年11月19日 (水)

108段の階段が完成しました

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 寒い朝です。布団から顔を出して息をすると、吐く息が白い湯気のように見えました。ラジオニュースを聴いていると、「初雪、初霜が降りました」、という報道でした。足尾も相当冷え込みました。窓から旧足尾銅山製錬所方向を見ると、太陽が茶色の岩山を照らし、その奥には真っ青な空が見え空は澄み切っています。
 昨日は、来年の植樹会場約1000㎡に、二通りの階段108段を作り終えました。15日から始まった階段づくりには約100名のボランティァの方々が集まって頂きました。18歳から60歳過ぎの男性と女性インストラクター、そして昨日は第4期インストラクターの山本さんが職場の後輩(長野さん)と参加してくれました。怪我、事故もなく総延長50㍍程の階段が完成しました。JREUの皆さん、インストラクターの皆さんに心から感謝します。ありがとうございました。
 最後の仕上げをしている時、ニホンザルの親子が植樹会場に入り込み、草の根を頬張っていました。作業の手を休めてそんな猿の親子を見ている皆さんの顔を見ていると、心が和んでいるようでした。
 とにかく冷え込んでいます。ブログを更新している手が冷たくなっています。
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2008年11月18日 (火)

なにごとも基本を忘れずに

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 昨日は51段の階段を作りました。21名で作業をしましたが、昨日は改めて基本的なことと実態を踏まえることの大切さを学びました。
 51段の階段には102本の立て杭を使います。学んだ一つは、杭の頭が割れないように叩く杭の周囲を削っておくこと、二つめには、杭が土に入り易いように杭をカットするには太い部分をカットするのでなく細い部分をカットすること、そして30度程の傾斜を約200㍍登っていく人のことを考えると階段の幅を短くつくること、が大切であることを相川さんから学びました。
 苗床では、2年~3年目の苗木に「お礼肥」をしました。一年間よく生長して美味しい果実をつけ、人間や動物に有り難い恵みを与えてくれた感謝の気持ちを込めて、来年も恵んでください、と堆肥をしました。苗木は未だドングリをつけませんが、ポット内にしっかり根を張ってください、と気持ちを込めて肥料をやりました。
 昨日は、昼過ぎに古河機械金属㈱足尾事業所の方が森びと広場を訪れ、森づくりの現場を視察しました。事業所の方は、来年以降の森づくりの現場を事務局と調査してくれました。

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2008年11月16日 (日)

45段の階段を作りました

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 小雨が降る中での作業でしたが、45段の階段と草刈りを行いました。作業には第1期森びとインストラクターの相川好夫さんが、房総半島の和田浦町から参加してくれました。足尾の森づくり会場の階段づくりは相川さんの指導から始まっています。相川さんは午前4時に自宅を自家用車で出発、足尾には9時に到着しました。本日の作業は相川さんの指導で開始され、ボランティァの方は2グループに分かれて階段づくりを行いました。
 草刈りは刈払い機を二台使っての作業でした。昨日に引き続き、上へ上へと草刈りを行いました。刈った面積は再来年の分までとなりました。怪我や事故もなく作業を終了しました。ボランティァの皆さん、インストラクターの皆さん雨の中お疲れ様でした。

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階段づくりをはじめました

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 昨日から階段づくりをはじめました。階段は、来年5月下旬に予定している「足尾・ふるさとの森づくり」植樹会場用です。会場は海抜1千㍍程の所で、傾斜が30度程あります。この場所に階段を作るために、ヒノキの間伐材、道具等を海抜800㍍付近から運び上げます。
 階段づくりに集まってくれた31名のボランティアの皆さんは作業説明を聞いた後、草刈り・間伐運び・杭作り・スチール製階段設置のグループ毎に作業をはじめました。天気は曇り時々晴れ、作業は2005年から植えた木々の葉が鮮やかに色を付けた小さな森の階段を登り降りしながら行いました。作業には、家族で参加してくれた方、インストラクターの皆さんそしてJREUの組合員の皆さんとそのOBの皆さんが集まってくれました。みなさんお疲れ様でした。
 間伐材は日光森林組合様から提供していただきました。毎年のご支援に感謝申し上げます。
階段づくりは18日まで行われますが、本日は雨の日曜日です。事務局は間もなく現場に出発です。今日も安全第一で作業をすすめます。

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2008年11月14日 (金)

旧松木村の村民の心に近づきたい

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 昨日は、きもの教室の講師をしている方と話す機会を得ました。足尾の森づくりをしている旧松木村の話になると、その方から、「来年はそこで桑の木を植えさせてください」、と言われました。さらにその方は、「絹は100年間も生きつづけ、日本人にとって欠かすことのできない品物です。これは蚕が生産してくれる繭を原料にして織られ、蚕の餌は桑の木の葉です。旧松木村の村民は養蚕で現金収入を得たという話を聞いて、是非、桑の木を植えたい」と言ってくれました。
 私たちが森づくり運動している場所は旧松木村の跡地です。亜硫酸ガスの煙害で桑の葉やアワ、ヒエ等が全滅となって、村民はこの村を去らざるをえなくなりました。当時は、養蚕が行われていた、といわれています。この話を講師にお聞かせしたところ、前述した話になりました。是非、来年は桑の木を植えてみよう、と思いました。
 この時季、黄緑色した蚕のようなものが葉を落とした木々の枝から下がっていることを見かけます。昭和20年代の子どもの頃は「ヤマカイコ」と言っていた記憶があります。今はあまり見かけませんが、それはウスタビガという蛾の繭です。とても美しく、自然な黄緑色しています。絹の着物を羽織って生活するという余裕はありませんが、何故か、日本人は誰でも着物を着てみたい、という気持ちがあるのではないでしょうか。そんな気持ちにさせてくれているのが、蛾であることを改めて考えさせられた一時でした。
 来年の森づくりは、少しでも旧松木村の村民の心に近づければ、と思いました。写真はインターネット上の写真です。

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