第一期シニアから次世代へ襷渡し。「恵みの雨」の下で記念植樹(その1)
4月9日(火)は足尾の荒廃地での森づくりのスタートから携わってこられた「第一期シニア」の先輩方から次世代への襷(たすき)渡しと記念植樹を行いました。
朝から強い雨模様で、松木川は川幅一杯に茶色く濁った水が流れていました。川幅一杯に水量が上がるのも久しぶりです。濁り水を見て、源流の山々の荒廃地の広がりを感じました。
森びと広場の9時の気温は10℃、雨のせいか体感温度はもっと寒く感じました。薪ストーブに火が入れられ、暖かくなった作業小屋でコーヒーを飲みながら責任者の大野さんから一日の作業計画が提案されました。
午前中は2班に分かれ、1班10名は昨年「根回し」をしておいた第一期シニアの記念樹のカツラを掘り起こし、森びと広場に植樹。2班5名は「民集の杜北」から木の葉が黄葉(黄に色づく)する樹高3m、幹の太さ3㎝ぐらいのイタヤカエデ2本とカツラ1本、野木町煉瓦窯を守る会の皆さんが植樹した旧谷中村の実生から育てた桑の木1本を「こころの園」に移植する作業。
午後は、シニアの先輩方から森づくり20年の想い出や教訓を次世代に伝えていただく「たすき渡し」。その後に、足尾町に移住し5年、かじか荘での勤めを終えて、遊働楽舎“みちくさ”の舎人に専念する橋倉喜一さんの激励会を行うことになりました。
根回ししたカツラの木は第一期シニアと同じく樹高約4m、8本の幹に分かれ、根の周りの土も大きいため、どのように運び出すか、シニアの先輩や次世代から「獣害柵と単管パイプで神輿をつくって運んだ方がいい」「いや、地面を滑らせながら運んだ方がいい」「まずは現場に行って考えた方がいい」など早速意見のぶつけあいが始まりました。「まずはやってみべえ」と臨機応変に対応できるように必要な道具を準備し作業を開始しました。
2班の「民集の杜北」に入ると枯れたヤシャブシの幹が折れて道をふさいでいました。小さなサルノコシカケが密生していましたので風と強い雨で折れてしまったようです。菌類と土壌動物に分解してもらえるよう森の中に移動しました。
目印の付けてある2016年、2018年植樹地の幼木を分散して掘り起こしました。根を傷めないように、土を落とさないように慎重に掘りあげ、軽トラで「こころの園」に運び、イタヤカエデとカツラの幼木は、階段西側のイロハモミジ、ミツマタの列に植えました。
松木郷を訪れた皆さんに、春はミツマタの黄色い花やアセビの白い花を、秋にはイロハモミジの紅葉、イタヤカエデ、カツラの黄葉を楽しんでいただけたらと願い。
桑の木は階段東側に植えました。民集の杜内では先に生長したサクラやシラカバに光をとられてしまうので、十分に太陽の光を吸収して生長し熟した桑の実が動物たちのご馳走になればと願います。
「こころの園」への移植が終わり、1班を見ると、掘り上げたカツラの移動に苦労をしているようでしたので2班のメンバーは応援に入りました。
根をフレコンの袋に入れ、ロープを付けて引っ張りますが、でこぼこで登り斜面を引き上げるのも容易ではないようでした。ベニヤ板2枚を交互に引き直し「せーのっ!」「よいしょっ!」と声かけながら引きずりました。途中から軽トラにロープをつなぎ引っ張りましたが、“みちくさ”東側の広場が狭くバックが出来ずに、人力に戻りました。先でロープを引く人、フレコン袋を引く人、押す人の息を合わせ、力を合わせて何とか“みちくさ”まで運び上げました。一同拍手です。さて、ここからがまた一難です。軽トラの荷台にどう乗せるか。矢口さんがベニヤ板2枚を重ね荷台に立てかけ、みんなで一気に引き上げました。
臼沢の階段作りも人力で660段を作り上げましたが、人間が団結した時に出すパワーのすごさを感じ、皆さんいい笑顔を見せてくれました。
森びと広場の“うんしゅう亭”西側に運び、記念植樹です。植える穴に降ろすと、根張りをよくするために黒土を30袋入れていた為か深さが足りず、木を倒して根の下の穴を掘り返しました。降り続く雨で泥沼のようになっていましたが、シニア・次世代、手分けして穴掘り、支え棒、獣害柵の準備、設置を行い、無事、カツラの記念植樹をすることができました。皆さん泥だらけになりましたが、最高の笑顔で記念写真に納まりました。お疲れ様でした。
昼食は、足尾町のご婦人方が運営する「子ども食堂」のお弁当と橋倉さん、済賀さんが愛情込めて仕込んでくれた“けんちん汁”です。冷えた体が温まりました。ごちそうさまでした。
(午後の活動は「その2」へ)
本日の参加者は、鎌田さん、松村宗さん、橋倉さん、山本さん、本間さん、大野さん、加賀さん、済賀さん、柳澤さん、坂口さん、山内さん、山田さん、矢口さん、田村さん、林子さん、筆者清水でした。
(報告:清水 卓)
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