心に植えた森づくり15年の宝物・・・その④
「列車と動物衝突増加」という新聞記事を読んだ。その中で「シカが嫌うライオンのふんから抽出した成分を含んだ特殊な液体」を散布したら効果が出ていると書いてあった。どの位の効果なのかと疑問をもった。
今頃から来春までの間、禁猟区の足尾・松木沢では鹿、ウサギ、猿たちとの知恵比べだった。森づくりは誰もが初めてのことであったので、その知恵などはそう簡単に湧いてこなかった。TVやラジオ、新聞等のニュースで知ったことは、即、話し合った。そのひとつにライオンの尿が効き目あるという話になったが、高価なために断念した。
後になって、日本の鹿はライオンの匂いを嗅いだことはなく、その恐ろしさも知らないのだから、効き目は最初だけではないかという話になった。
効果があったのは、鹿は蹄が敏感なので漁網が良いというニュースを聴き、理事の岩橋さんが使わなくなった漁網を探してくれた。「臼沢の森」周囲に設置してある柵の外側に漁網を張った。しかし、漁網の効き目は2年~3年間だったと記憶する。網が劣化すると効き目がなくなることを知った。
スチール製の柵も劣化すれば、動物は少しの隙間に体当たりをして森に侵入した。15年経って、森の木々は大きくなり、鹿が食べたい柔らかい葉や幹に口が届かない。いつもなら、この時季は獣害対策に気をつかう足尾スタッフだか、鹿が森内に侵入しても気持ちに余裕がある。
初挑戦だから知恵を持ち寄って話し合ってきたと言うが、内実は、知りえた事を足尾の場で実行してきただけである。とは言え、様々な情報を知ろうとするスタッフの情熱がなければそれはできなかった。森を育てるということは、自然界の不思議で魅力的なメッセージを森づくりの心得や形にしていくようなものかもしれない。
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