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2020年1月 7日 (火)

森に寄り添った先人の知恵が詰まった「春の七草」

 本日は1月7日。松の内が明け、1年の安寧を願い玄関の松飾りやしめ飾りを片付けました。そして、お節料理で疲れた胃を休め、1年を健康に過ごせるようにと食べられる「春の七草」の日です。

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 7種の野菜(野草)を刻み入れた「七草がゆ」は、邪気を払い万病を除くともいわれ、野菜が乏しい冬に不足しがちな栄養素を補うという効能もあります。七草粥の風習は古く、中国の「七種菜羹」が日本に伝わり、日本文化・日本の植生と習合することで生まれたものと考えられているようです。
「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ・春の七草」は、胃腸や下痢、止血、アトピーなど薬効があり、自然(森)に寄り添って生きてきた先人たちが暮らしの中で得た知恵が詰まった食べ物だと知りました。
 しかし、生まれてこのかた「七草がゆ」を食べたことがなく、スズナ(かぶ)、スズシロ(大根)は近所にある農家の共同直売所で購入出来ますが、小寒のこの時期に家の近くの畑の畦を探してもセリやナズナなど他の5種を見つけることが出来ません。

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 スーパーに足を運び、野菜売り場を見ると「七草セット」が売っています。九州地方で生産されたものでしたが購入し、「七草がゆ」を作って食しました。セリの苦味がアクセントになり胃に優しい粥を美味しくいただくことができました。

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 現在は、冬でも野菜はふんだんにあり、キュウリやトマトなど夏野菜も店頭に並んでいます。ビニールハウス栽培や、温暖な地域で栽培された野菜など、地球上のどこからでも「食材」が運ばれてきます。「欲しいものがいつでも手に入る」生活は「便利」な一方で、熱帯雨林など森林が伐採され農地へ転用されたり、ビニールハウス内を「夏の気温」に保つための燃料や、海外からの輸入(空路・海路)に大量の燃料を消費し、温暖化ガスの排出を高めてしまいます。
 その結果が、昨年の台風15号や19号のように勢力を拡大させ、猛威を振わせてしまっているのではないでしょうか。「暮らしの見直し」をしなければなりません。

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 日本には四季があり、先人たちはその季節を感じ、その時期に採れる野菜を食してきたのだろうなと考えながら近所の野菜畑を見ると、露地栽培の“ほうれん草”は太陽の光を最大に吸収しようと葉を横に広げています。寒さに耐えられるように葉を厚くし糖度を増します。「緑臭い」「味が濃い」などと表現されますが、こうした野菜を摂ることで味覚、嗅覚、滋養が高められてきたのだと思います。
「今だけ、金だけ、自分だけ」の風潮に染まらず、「欲張らず、必要な分だけ、地産地消の暮らし」を心がけた1年にしたいと思います。

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 足尾の「みちくさの庭」では、春を待つ草花がじっと寒さに耐えています。ヒガンバナやイチゴは緑の葉を広げています。ミツマタは鈴なりの蕾をつけ花開く日を待っています。
2020年は「パリ協定」の開始年です。世界のリーダーたちは自国の利益・権益を守るために対立しているようですが、「地球人」の視点を持ち、多くの森ともの皆さんと一緒に森を元気にしていきましょう。

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(筆者・清水 卓)

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