春を待つ樹木のささやきを聴く「立春」
明日は暦のうえで春(立春)。と言っても気象の統計ではこれから一週間ほど寒い日が続くと言われている。
足尾の猿たちはこの期間が頑張りどころ。ニセアカシヤの樹皮を食べて寒さを乗りきっていることを思い出す。啓蟄を過ぎるとヤナギは甘そうな香りのする蕾をつけて、猿を落ち着かせている。山奥では、冬眠から覚めたツキノワグマもヤナギの蕾を食べている動画を観たことがある。
草木が芽吹くまでのつなぎの餌となっているヤナギ。どうして寒風が吹く時季に蕾を膨らませるのか不思議だ。周囲の草木が芽吹く前に、ヤナギに寄ってきてほしいからなのか。子孫(受粉)を残す知恵がそうさせているのか、樹皮を食べられないように蕾に気を引き付けるのかは分からないが、長生きしていくためのことであることは確かではないか。
先人はヤナギの樹皮を煎じて頭痛薬にしていたという。頭痛薬のアスピリンはヤナギの樹皮から作られたという。明日は春を待つ樹木のささやきに耳を傾けたい。(理事 髙橋佳夫)
コメント