森の出来事を真剣に観よう!
先週、みちのく事務所から「今年はブナの実が取れない」という連絡がありました。ほぼ同時期に秋田県のインストラクターからも、「白神周辺ではブナの実が取れない。12湖周辺を案内しているガイドの方からは、ブナの花が咲いていた頃に寒かったので実が熟しない」、という話がありました。ブナの実を撒いてブナの苗木を育てようとしていたみちのく事務所では苗木づくりで苦慮しています。多分、ブナの実を餌にしているツキノワグマやネズミ達は越冬する前の食探しに必死になっているでしょう。 そんな中、足尾・松木の杜ではクワノキ、ユキツバキゃヤブツバキの葉が、松木の杜内の小豆の葉が何物かによって食べられています。今年5月下旬に植えた苗木が、越冬前にして食害に遭っています。
ところで「シイナ現象」という現象が起こると言われています。樹木に実がなってもその実が形ばかりで、栄養価の低い実になっている、と言われています。この実を食べて越冬する動物達からすれば、このような時季には必死になるのが当然です。
植物の三大栄養素はチッ素、リン酸、カリと言われていますが、チッ素は葉の栄養、リン酸は実の栄養、カリは幹や根の栄養源になっています。土壌中のリン酸の活動が鈍ってしまうと、ブナの実の栄養価は低下します。このような現象が「シイナ現象」と言われているそうです。木は根、根は土が命でかすら、「シイナ現象」は土壌が弱り、土壌の微生物が生きていけなくなっているのかもしれません。栄養価の低いドングリが日本の森に蔓延してしまうなら、生物が生きていけなくなってしまいます。今、森の出来事を真剣につかみ取り、その対策を講じる大切な時のようです。
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