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2017年3月26日 (日)

困難なことに立ち向かうには、やはり“つもり人”ではなく、“つくる人”

 昨日、福島県南相馬市で「地産地消・エコな暮らしを考える市民フォーラム」が開催されました。会場には70名ほどの市民が集い、未来の子供や孫に誇れる南相馬市の“新しいふるさと”について、食とエネルギーの問題から話し合いました。

 冒頭、劇団「赤いトマト」主宰・大河原多津子さんによる一人人形劇「太郎と花子のものがたり」が上演されました。2011年3月11日、福島第一原発事故によって、仕事と生活を破壊されたシイタケ農家の物語で、放射能の恐ろしさと農民の怒りと苦悩がリアルに伝わる人形劇でした。

P2250008  運営は、南相馬市鎮魂復興市民植樹祭応援隊(通称:応援隊)の市民と当委員会で行いました。司会は、応援隊事務局の小川尚一さん、主催者挨拶は大野昭彦理事、来賓として桜井勝延市長からご挨拶をいただきました。桜井市長からは「今日(3/25)は脱原発都市宣言の発出から2年。脱原発都市宣言を出さざるを得なかったのは、原発の再稼働が目論まれていたから。被災地や亡くなられた方を冒涜している」「昨年7/12に小高区の避難指示解除を受けて、教育機関に人工芝を張ったら、子どもたちは喜んでくれた」「幸せは今生きていること、地域と連携して人々を認め合うことだ。お金ではなく、この地域に生きて誇りを持つことが出来ることを進めていきたい」「この地域が最もいのちを大切にしている市だと言えるようにしていく」などとご挨拶がありました。また、民進党衆議院議員・金子恵美さんより祝電メッセージを頂戴しました。ありがとうございました。その後、応援隊の東城敏男さんから応援隊の活動報告を行い、シンポジウムが始まりました。

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P2250049  シンポジウムの進行役は毎日新聞・明珍美紀さんが行い、パネラーには一般社団法人南相馬農地再生協議会代表・杉内清繁さん、いととんぼ代表・田中京子さん、劇団「赤いトマト」主宰・大河原多津子さんが登壇されました。

P2250110_2  杉内さんからは「原子力は安全だという神話のもとに生きてきた。しかし、3・11後自然環境をベースにして生きていくことが必要だと感じた」、「菜種は国産のものを使用、海外の菜種は遺伝子組み換えのもの」、「3・11以降、復興を支援してくれる官民合同チームがマヨネーズやドレッシングを商品としての研究開発、売り場まで含めて取り組んでいる。地元にできるだけ広範に知れ渡るようにPR活動を考えていきたい」などと発言がありました。

P2250067  田中さんからは「(3・11を経験して)絶対に教わった技術を継承していかなければならない」、「(いととんぼでは)50ベクレル以下の農作物を販売している」、「南相馬市では進んで参加する人は少ない。いろんな意味で分断されており、温度差がある。一人ひとりが心の豊かさを持って、市を良くしていく心意気が必要」、「コミュニティが必要。第1・3水曜日に30名ほどでパッチワーク教室を開催。まだ身内が見つからない人もおり、心の復興はまだだ。地道なところから始めて元気になってほしいと開催する」などと発言がありました。

P2250073  大河原さんは「有機農業を40年以上やってきたが、3・11を受けて顧客が3分の1になってしまった」「(産直所に)クラウドファウンディングでソーラーパネルを設置した」、「他県の団体などが応援してくれ、週1回Facebookなどで発信している」などと発言がありました。

P2250098  会場からの発言では、「先に目覚めた人が良心的に行動していく。残念なことにそれが一部の人に限られていて、大部分の人は今の大きな流れに逆らえないで生きているのじゃないのかと思う。いかにして私たちが正しい考えを一人でも多くの市民に伝えていくことがテーマになるのではないかと思います」「マスコミがもっとしっかりとして正しいものの代弁者になってくれれば、原子力発電の問題にしろ、食料を6割以上も輸入している先進国はないそうです。そのようなことを考えたら、地産地消は言われるまでもなく当然なんです」など意見を頂戴しました。

P2250100 桜井市長からは「2030年までに市民が使う電力は賄える。風評被害は自分で動かないと変わらない」と発言をいただき、私たちは3・11以降の市長の行動力・発信力を学ばなくてはなりません。

P2250096  明珍さんから「脚本家の倉本聰さんに取材をした際に、原発問題は政治的な感じがして一歩引いていたけれど、日本で原発事故が起きてしまった。これは立ち上がらないといけないと、自らいろんな集会に参加出るようになったとおっしゃていました。ですから切実な状況であることは、変わりないと思います」と紹介がありました。

P2250054 最後に、明珍さんから「子どもたちにふるさとを残していくために何を実践していくのか」と問いに対して、大河原さんからは「息子は29歳で有機農法をやっていく決意を固めている。トルコのモデル的な有機農法に刺激を受けて、楽しく明るくやっており、脇を旦那の仲間などで固めている」「地球環境を相当汚してきた世代の人間だから、みんなが将来の子供たちに何を残していくのかを考えて行動すれば、間に合わないことはない。ドイツは国を挙げてやっているんです。日本にできないはずがないんです。そのためにまともな政治家を選ばなくてはならないし、正しくお金を使ってくれる企業を応援しなくてはならない。ちまちましたことでも私たちのできることは必ずあると思うんです」と語られました。

 田中さんからは「ここ(南相馬市)にいる以上、しっかりと大地に足を踏ん張って、水・自然・子育て環境を守っていき、地域の発展と活性化に頑張って、子どもたちに背中を見ていてほしい」「南相馬が好きだ。だから残るんだ、だから頑張っていくと確信が持てるようになってきたので、それを育てていく」。

 杉内さんからは「水や自然のものはタダで手に入ると思っていたが、そういう環境が窄められてお金に換算される時代になってきた」「次の世代につなげていくために、関心のある点を考えながら、かつ地域社会や自然環境など目が輝く面白い地域づくりをつくっていく」。

Photo まとめでは、明珍さんから「本当は東京でこのようなフォーラムを開催するべきだと思う」、「新しい福島をつくる気持ちを持ってやっていきたい」、「正直に放射能の数値を出して、そのうえで判断をしてもらう」、「今日のフォーラムでのキーワードが3つ。食・エネルギーそしてコミュニティの力。これが必要なのは南相馬に限らず、日本のどこの地域でも抱えている問題だ。それと行動するには仲間づくりが必要である」ことが延べられました。

 参加された皆さんからアンケートをいただきましたので、一部紹介をします。「考えることが多くありました。次回もフォーラムを開催してほしい」(70代男性)、「家の中にばかりいて、いろいろな話が分からず、フォーラムに参加して良かった。知人の誘えばよかったと思いました(70代女性)、「関係者の皆様、これからも続けて下さい。ご苦労様でした。負けるな・ファイト」(70代男性)。

 今フォーラムの開催にあたりまして、南相馬市、南相馬市教育委員会、福島民報、福島民友新聞社、NPO法人つながっぺ南相馬、原町地区連合より後援をいただきました。この場をお借りしまして、お礼を申し上げます。ありがとうございました。

(事務局・小林敬)

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