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2008年10月の24件の記事

2008年10月18日 (土)

「森と生きるキャンパスフォーラム」・・・その⑥

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 第2部・「若者たちの挑戦」の最後は、当委員会のインストラクター水落一郎さんの報告です。彼は、栃木県日光市足尾町のはげ山に何故、私達は植樹をしているのか、を報告しました。鉱石採掘のための伐採、山火事そして煙害によってはげ山となった足尾の歴史。50年以上の緑化事業でやっと木が生えてきた足尾の山々。この山々にふるさとの木によるふるさとの森づくりは、宮脇昭先生の厳しい指導のもとで行っている様子。3年前に植えた木々は2㍍を超え、根もしっかりと大地に張っていることが報告されました。そして、なによりも小学校児童から生徒と学生等、多くの皆さんと一つの目標に向かっていることの力強さと、嬉しさを毎年大きな輪につくりだしていることが報告されました。
 何を伝えたかったのかと尋ねてみたら、彼は、森づくり運動を通じて「植物も私も一つの命、国籍が違うとか、人種がどうだとか、ということは関係なく、ひとつの地球上の大切な命として、全ての命が支えあえる社会をみんなで実現していきたい」、ということでした。
 北極海では今年の海氷面積が小さくなって、「小ささは過去2番目になった」、と新聞報道されました(米・雪氷データセンターの発表)。北極は地球温暖化の影響がさらにでやすくなってきているようです。地球とともに生きていこうとする私達は、声を大にして、経済成長のための「持続可能な社会」の実現を見直していかなければと感じます。

2008年10月16日 (木)

 人と自然に優しい心が育む八幡平の森づくり

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 19日は第4回「八幡平・ふるさとの森づくり」です。みちのく事務所に電話をしてみると、「準備は万全です。紅葉も順調に色づき、天気予報では当日の天気も良いので最高の紅葉が期待できる」と話していました(みちのく事務所・仲崎事務次長)。
 森づくりの準備で大切なことはドングリ収集とその保管です。同事務所では、今月4日と11日に県民の森に会員とその家族が集まってドングリ拾いを行いました。しかし、結果は1万個程度の収集であったため、心配になった仲崎さんは、その後、岩洞湖周辺で家族とともにドングリ拾いを行いました。ここではミズナラ、コナラ、カシワ等を拾うことができました。さにら嬉しいことは、今年も平舘小学校の児童たちからトチノキの実と栗の実一千個以上が事務所に贈られてきました。3年連続の贈り物でした。
 校長先生と児童達の森を大切にする心が育まれていることを感じた瞬間でした。児童達がドングリを拾い、そのドングリが多くの大人や子どもたちによって、楽しそうにドングリの命が吹き込まれている様子を見ている児童達。そして、この子どもたちもドングリを蒔いている場面を見ていると、子どもたちの心に木がしっかりと植えられている気がします。これを3年間も継続している校長先生たちの自然と人間の命を大切にする心と努力に、敬意を表します。今年も秋晴れの紅葉に囲まれて、第4回「八幡平・ふるさとの森づくり」はまもなく開かれます。

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2008年10月15日 (水)

地球と生きるということは、具体的でなければなりません

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 13日は、第1期インストラクターの塚崎さんとお会いしました。目的は新種シモツケコウホネの棲息地を観るためです。コウホネは水草の一種ですが、新種のシモツケコウホネは地元(旧今市市小代)では「カワワカメ」と呼ばれていたように、葉がワカメのような形をしています。普通、コウホネの葉は丸い形になっていますが、この新種の葉はワカメのようになっています。
 このコウホネが棲息している小川は延長50㍍ほどしかありません。この短い小川には、ホトケドジョウ、カワニナ、マツカサガイ等の水中昆虫をはじめ、ベニシジミ、オオアオイトトンボ等の昆虫たちが生きています。塚崎さんはこの小さな生物の世界を保存する活動に参加しています。彼女は、「この周辺の田圃は区画整理と護岸工事が予定されているので、この小川の上流がU字溝になってしまうことが心配です」と、言っていました。この生物たちの世界は行川から流れてくる清らかな水と、水中昆虫による水の浄化によってつくられているようです。
 その後、塚崎さんはヤマナシが棲息している場所に案内してくれました。サルナシでなく、今では極めて珍しいヤマナシの巨木を観ることができました。幹の太さは周囲60㌢程で、樹高は20㍍はありました。落ちている実を食べてみると、梨の味がしました。塚崎さんは種を蒔くと芽が出る、というので種を持ち帰えりました。
 「この地はダム建設が計画されているから、反対運動をつくっています」、と塚崎さん。食の安全が危ぶまれている今日、ミネナルが豊富な時季の野菜や 果物の本物の味をしらない私たちにとって、本物の野菜や果物を知ることが私たちに求められています。地球とともに生きていく、ということは具体的な出来事に自分の価値観を明確にし、できることを実践していくことだと思いました。塚崎さんの目は、透き通って生き生きとしていました。塚崎さんありがとうございました。

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2008年10月14日 (火)

 地球と生きるための熱意を100名が共有

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 秋晴れの中、300年間も生きつづけているミズナラのドングリに命を吹き込むことができました。第8回「足尾・ふるさとの森づくり」は、私たち人間が地球とともに生きていけることを願っているボランティァの皆さんによって、9429個(現場では8993個と報告しましたが計算間違いでした)のドングリに命を吹き込みました。
 当日は、日光周辺の交通渋滞で昼過ぎからの苗づくりとなってしまいました。鹿沼農業高等学校の先生と一年生の生徒の皆さん達は車で5時間もかかり、また、拓殖大学の四年生達は午後3時頃になって到着しました。現地は携帯電話が通じませんので、スタッフは通信可能な足尾ダムゲート付近に待機している事務局員までの間を行ったり来たりして拓大生の進行状況を把握。そのスタッフが「まもなく拓大生が到着します!」と、森びと広場の皆さんに報告。その後、まもなく拓大生4人が現場に到着すると、参加者は彼らを温かい拍手で迎えました。数時間以上もかけて苗づくりに参加してくれた彼らの熱意を、参加者一同とスタッフ・事務局が共有できた瞬間でした。
 彼らが一人20個のドングリを蒔いたトレイを苗床に置き、マルチングをした後に主催者側から活動報告を受け、来年5月下旬の森づくりに再会することを誓って解散しました。準備と運営に協力してくれましたインストラクター、JREUの皆さん、そして参加してくれました皆さんに感謝します。ありがとうございました。
・来賓のご紹介:独立行政法人水資源機構・草木ダム管理所 五十崎誠 様からご挨拶を頂戴しまし た。
・蒔いた種(クリ:287個、コナラ:1783個、ヤマボウシ:1569個、ウワミズザクラ:436個、ミズナラ:4680個、ハウチワカエデ:720個)

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2008年10月11日 (土)

森びとインストラクターの皆さん、本物を見抜け!

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 第4期「森びと教室」の5回目講義が始まりました。講義内容は、1時間目は宮下正次さん(当委員会理事)の「森も人も病んでいる」と題した講義、2時間目は辻岡幹夫さん(栃木県環境森林部森林整備課長)の「足尾の自然と鹿の特性」と題した講義でした。
 宮下さんは、森林の立ち枯れと人間にガンが多発している日本の現状(原因)を、ミネラル不足・微生物が生きられないところから解明されて報告し、この状況を救うのは炭しかない、と炭の効用に関して提起されました。続いて、辻岡さんは、7年間も日光の自然界で調査してきた鹿の特性と、この鹿の自然界への害などを報告してくれました。
 鹿が増えた原因(繁殖が旺盛な鹿の特性と温暖化などによって降雪が少ない関連など)は結局、人間がつくりだしていること(辻岡さん)、また、ミネラル不足・微生物が生きていけない原因は、人間の豊かさだけを求めた結果によるもの(宮下さん)、というように、人間の生き方・考え方が原因であることが二人の先生から私たちへ訴えかけかけられました。
 自然と人間社会の本物を見抜かねばならない、ということをインストラクタへの皆さんは突きつけられたようです。明日は、100年先の命の森を形成するドングリに命を吹き込むアドバイスをするインストラクターの皆さんです。

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2008年10月10日 (金)

 十三夜の前日、人は、万人ために怒ることも大切だ

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 12日は、第8回「足尾・ふるさとの森づくり」です。今日は、事務局員とボランティアの皆さんで森づくりの準備をしました。当日は、7800ヶのドングリに命に吹き込み、100先の命の森を形成する主樹を育苗させます。
 木は根、根は土ですから、本日は小さなポットの中で根を充満させることができる土と堆肥、腐葉土を用意しました。今回は、ミズナラ、コナラ、ウワミズザクラ、ヤマグリ、ハウチワカエデ、ヤマボウシの命を吹き込みます。種は全て日光周辺の巨木から生まれたものです。ツキノワグマやシカこは申し訳ありませんが、ドングリを少々いただきました。
 五穀豊穣に感謝する日の一日は、明日の十三夜です。新米の甘さと小豆の甘さがミックスしたおはぎ、柿と栗の香りと甘さに感謝する心が十三夜です。モズやツキノワグマも感謝する時季は人間と同じようです。ちょっとした儲けのために人間の生命や自然環境を犠牲にしている社会現象が蔓延していますが、社会を構成している私たちにが失っていることは「人のために怒る」ということではないかとおもいます。「怒る」と自己犠牲がともないますが、何事も自己犠牲が伴わないとうまくいのが社会ではないでしょうか。足尾・松木沢にもススキが秋風に穂を揺らせ、モズの声が一段と晩秋を感じさせてくれています。
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2008年10月 9日 (木)

 人間は森の寄生虫でしかないことを改めて実感

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 本日は、ドングリの調査をしました。調査内容はドングリの実の付き具合です。足尾町・旧松木村で育つドングリの苗となる実を生む母樹を探しました。3㎝程もあるのではないか、とおもわせるドングリを付けている木々は奥日光にありました。
 奥日光の木々は色づきはじめ、あと一週間も経つと真っ黄色に輝くミズナラの存在を見つけることができました。湯元ではカエデは真っ赤に色づき、シラカンバの葉も黄色に輝いていました。
 大きなドングリが落ちている林には、鹿の足跡や糞があり、鹿が必死になってドングリを食している様子がありました。そんな環境の中でドングリを探していると、人間はそんな自然の中のほんの一部でしかない事が実感できます。800年間以上も生きつづけているミズナラから得られたドングリに、私たちは12日に開く、第8回「足尾・ふるさとの森づくり」でドングリに生命(いのち)を吹き込められます。
 私たちが100年先の地球とともに生きていける自然環境を作りだしている一人として、誇りを感じます。森から教えられる数々の恵みは、100年先の私たちの礎にしていくことが求められています。とくに現代は、身近な森の現場に入って、五感を養うことが第一です。デジタル・バーチャル世界にうもって失っている人間性を養うために、私たちは森から学ぶことができます。

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2008年10月 7日 (火)

 「森びとファンクラブ栃木」を設立

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 第4期インストラクター28名は現在、後期の講座で学んでいます。11月は、青木淳一先生の講義と宮脇昭先生の最終講義を受け、認定される予定です。森びとインストラクターは“山と心に木を植える”の精神をもって、各地で命の森づくりを行っています。しかし、森づくり運動の現実はマスコミで地球温暖化問題が騒がれているほど活発でなく、同時に、森をつくることは難しい問題です。 そんな中、栃木県在住の森びとインストラクターの皆さんは、4日、「森びとファンクラブ栃木」を起ち上げました。クラブは、阿部昌行会長を先頭にして、「山と心に木を植える」ことをしっかり実践していくために設立しました。当日は、日光・菖蒲が浜でドングリ収集を行い、拾った3千個を越すドングリは、12日に開催する第8回「足尾・ふるさとの森づくり」で命が吹き込まれます。
 クラブは、11月中旬の階段造り等の作業を手伝い、来年の3月に総会を開くことしています。テレビ等の広告では、二酸化炭素削減・地球温暖化防止は「エコ商品」に買い替えることだ、とキャンペーンされています。この企業のキャンペーンに流されがちな私たちが多い中、「森びとファンクラブ栃木」の設立は、栃木県に新しい森づくりの第一歩を踏み出したのではないでしょうか。

2008年10月 6日 (月)

 知識を現場で解剖し、森と生きる武器を身体にすり込む若者たち

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 若者研修の2回目の朝は雨でした。7時30分に現場に到着した私たち事務局は、カッパと長靴そしてゴム手袋を整え、秋雨がトタン屋根に当たる音に混じって聞こえるシカの鳴き声に耳を傾け、インスタントコーヒーを飲みながら若者達を待ちました。
 秋雨の中での穴掘りは大変です。雨で地面の草は濡れ、濡れた長靴と手袋を使って、彼らはスコップで穴を掘りますが、そもそもスコップはあまり使ったことがありません。それでも彼らは50㎝立方体の穴を掘り、黒土・腐葉土・枯れ草・掘った土を混ぜ合わせ、丁寧に苗木を植えてくれました。 研修には山口委員長も出席され、委員長は、足尾銅山での労働組合結成と待遇改善・労働環境改善運動の歴史を若者たちへ訴えていました。巷では『蟹工船』が若者たちに読まれていた、という新聞記事などを見ますが、JREUの若者たちが足尾の歴史の現場に起って、先達の労働運動と人間性、煙害で松木村人が村を追い出された歴史、そして鉱毒によって生活といのちが蝕まれた農民達の生き様などを、しっかり身体に染みこませている自然な姿を私たちは見せていただきました。
 彼らが現場を去った後はスコップ等の道具を洗い、3回目の受け入れの準備をしました。午後1時30分過ぎにはガスが晴れあがり、森びと広場周辺は一週間前と比べると赤や黄色に染まる葉が一段と鮮やかになっていました。

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2008年10月 5日 (日)

苗木分け、11980本に元気を与えました

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 朝8時15分、バス1台が森びと広場に到着。社会人・組合員となつて2年目の20歳代の若者たち20数名が松木沢村跡地に起ちました。彼らはJREU(東日本旅客鉄道労働組合)大宮地方本部の研修生です。この研修は本日から三日間この地で行われます。
 100年先も私たちがこの地球とともに生きていくために、山と心に木を植えることが研修のひとつになっているようです。植樹アドバイスは私たち事務局とインストラクター(友田さんと田岡さん)で行いました。各自、苗木三本を持ち、背負子に黒土を載せ、スコップを持って傾斜30度ある階段を登りました。途中、二人のリーダーが顎をだしましたが、仲間達の声援で登り切りました。
 植樹は約1時間程で終わりましたが、若者たちの顔を見ると充実感が漂っている様子でした。彼らが帰途についた頃、苗木分け作業の最終組が現場に当到着しました。本日のボランティアは26名の皆さんでした。午後は雨雲が顔を出しましたが、雨が降り出す前に3540ポット(本)に苗木を分けることができました。苗木分け作業は、5日間で延べ11980本の苗木に元気を与えられました。5日間の苗木分け作業にご協力していただきありがとうございました。

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