2025年12月 8日 (月)

いのちの森から学ぶ—気候危機の時代を生きる私たち

    12月7日、宮城県ファンクラブは仙台市荒浜・名取市閖上の「いのちの森」の観察会を行いました。7名の仲間達と山形県ファンクラブから伊藤さんと荒川さんが参加してくれました。

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Dsc01387    2025年は、最高気温41.8℃を観測した日本、二酸化炭素排出量が過去最高になった地球、「パリ協定」の目標である気温上昇を、1,5℃以下に抑えられないことが確実になった気象状況下で、生きていかなければなりません。気候危機と向き合い、命と生活を守るため、危機意識を共有し、自然環境と人間のつながりを考える人づくりを目指しています。(報告:宮城県ファンクラブ・林雄一)

「森は友だち!」冬場の獣害防止作業に若者がボランティア参加。

 12月7日(日)、10時の気温は5度。足尾・松木郷には5日に降った雪が少し残っていますが、快晴に恵まれ絶好の作業日となりました。

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 今日の森作業には、栃木県芳賀町芳賀中学校3年生2名がボランティア参加してくれました。中学校の総合の科目でSDGs(Sustainable Development Goals・持続可能な開発目標)の授業を行い、自分たちに出来ることは何があるか相談し、ボランティア活動を行うことにしたそうです。

 世界を変えるための17の目標の15「陸の豊かさも守ろう」を選び、栃木県内で活動する団体を調べ「森びとプロジェクト」を選んでくれたそうです。

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 今日は、「臼沢の森」と「臼沢西の森」が冬場はシカやウサギによる樹木の樹皮や若い芽が食害にあうため、食害防止のために森を囲む獣害柵の点検・修繕を行います。

 3班に分け、「臼沢の森」西側を1班、済賀さん、松村宗さん、永島さん。東側を2班、加賀さん、坂口さん、田口さん。「臼沢西の森」を3班、鎌田さん、橋倉さん、筆者清水。そして、芳賀中3年生のI君、K君。保護者にも同行をお願いしました。

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 「臼沢の森」に向かう坂道の途中でアナグマに出会いました。中学生は初めて見るアナグマにビックリ!、「森の住民」は中学生が来るのを待っていてくれたかのようです。

 

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 「臼沢の森」入口で3班に分かれ、1班、2班は柵沿いに登りながら、亀甲金網と樹脂の幹ガードで穴をふさいでいきました。柵が倒れているところはロープで引っ張りました。

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 「臼沢西の森」は、柵の上部が曲げられているところが多く、サルやクマが出入りしているようです。曲がったところを手で直し、針金で柵を支柱に縛りました。

 砂と岩の斜面に土留めをして黒土を入れて植樹をした場所なので、足元の土壌はもろく、中学生たちは慣れない急坂を登るのにも苦労している様子です。各自には針金とペンチを携行してもらい、破れた柵の修繕と支柱への取り付けを行ってもらいました。金網に手をかけながら滑り落ちないように補修していきました。

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 上側の柵から山の上部を見ると、ヒビの入った岩が露出しており、動物ばかりでなく斜面からの落石でも柵が倒され、網が破られる様子を見て、荒廃地で森をつくることの大変さを感じ取ってくれているようでした。

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 「臼沢西の森」の補修を終え、次は「臼沢の森」に移動。森の下部東側の柵に土砂が堆積して下がり大きく穴が開いた場所と、柵の下に大きく穴開けられた場所を獣害柵でふさぎました。

中学生も修繕に慣れてきて、穴の開いたところに柵を取り付け、手際よく針金を巻き付けていきました。獣害柵が不要になるぐらい森が蘇えることを願い、午前中の作業を終了し下山しました。

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 午後は「民集の杜北」を案内し、鎌田さん、橋倉さんが森づくりの経験を伝えてくれました。草地を耕して木を植え、木々の生長に伴って生き物たちが森に帰ってきている様子や、風や鳥、動物たちがタネを運び発芽した樹々が森を豊かにしている様子を観察しました。

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 「臼沢の森」の獣害柵修繕に向かった1班は西側の柵12か所の穴をふさぎ、2班は4か所の穴と、倒れた柵の修繕を行いました。急斜面を登るにも足元の土壌が崩れやすく、資材を担いでの作業は容易ではありません。臼沢を3分の2ほど登った「JR貨物労組の植樹地」付近で作業に区切りを付け下山しました。

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 終了ミーティングを行い、荒廃地に「いのちの森」を再生するボランティアに参加した中学生からは、

◇K君「山を登るのは大変、針金を縛るのも大変だった。皆さんは20年やってきている。皆さんのおかげで森が出来ていることを学びました。ありがとうございました。」

◇I君「森林がつくられる前の、元(荒廃地)の状態から学んだ。森を育てるという普段できない体験をさせていただきました。ありがとうございました。」と感想とお礼が述べられました。

 高校受験を控える中で、地球環境と人間(生物)の命を大切にする心を育む「森づくり」ボランティアに参加していただきましたI君、K君、保護者、並びに芳賀中学校の皆様、森びとプロジェクトの活動へのご理解とご協力ありがとうございました。

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 今日は森の大切な友だち、アナグマ、サル、キジ(メス)に出会うことが出来ました。来年は、木々が緑に生い茂る季節に、森の手入れにお越しください。森びとスタッフ一同、お待ちしています。

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 本日の森作業参加者は、鎌田さん、松村宗さん、橋倉さん、加賀さん、済賀さん、坂口さん、田口さん、永島さん、芳賀中学校3年生、保護者、筆者・清水でした。

 

参考:【SDGs15目標の内容】

持続可能な形で森林を管理し、砂漠化に対処し、土地の劣化を食い止め、逆転させるとともに、生物多様性の損失に歯止めをかけること。

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(報告:清水卓)

2025年11月27日 (木)

足尾は晩秋の趣です

11月24日、三連休の最終日という事で中倉山への登山者も銅親水公園の駐車場を見る限りにおいては少なめです。ついこの間までは、暑い暑いと熱中症を心配していましたが、急に気温が下がり、ほんの一瞬鮮やかに紅葉したと思ったら今日はすっかり葉を落とし晩秋の趣です。

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今日の舎人は、田城さんと二人です。早めに準備をしてくれていたのと、午前中林子さんと20周年記念ビデオの打ち合わせを行うとの事だったので植樹地等をゆっくり見て回りました。所々に固まって生えているヤシャブシも葉のないものや、青い葉を付けているものもあり、手入れをしていないとはいえ何年も変わらず生えているのが不思議な気がしました。

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また、広場に植えた石楠花の株は、それぞれ様子は違っていましたが、花芽も見られ来年の開花が今から待ち遠しいです。

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午後は、明日のゴミ搬出の準備として、ゴミの分別や梱包を行いました。みちくさも今年最後のオープンなので、来訪者の集計や会計の締めを行っていると、重装備のクライマーが立ち寄って行きました。宇都宮からジャンダルムの下見をしてきたとの事でしたが、思ったより岩が脆く危ないところだという事でした。

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今日最後の来訪者を見送り、無事終了しました。

今日の舎人は田城と坂口でした(報告者:坂口)

2025年11月25日 (火)

お世話になった人と森への恩返しの日

 本日11月25日(火)の足尾は、曇り時々雨でした。8時半の気温は3度と肌寒く、いつものようにストーブに火入れ暖を取りました。

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 作業の打ち合わせでは、①約半年間のごみ処理、②臼沢の森の獣害柵点検、③ダム・ゲート(カードキー)、通行証などでお世話になっている栃木県県西環境森林事務所の方の「臼沢の森」の案内をそれぞれが手分けして行うことにしました。

 先ず、柳澤さんのトラックに黒土の袋やボロボロに劣化したブルーシート、トレーなどが入っているフレコンバック3袋を積み込む。山内さんのトラックには、ガラス、電池、演台に使用したビールケースなど積み、永島さん、田口さんを助手に足尾ストックヤードに運ました。森びと広場がかなりすっきりしました。

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 「臼沢の森」の点検には、加賀さん、済賀さん、田城さんの3人は自ら希望しました。30度もある急斜面に設置されている獣害柵を点検しました。至る所で鉄柵が破られたり、丸く穴が開いていたり、明らかにシカが入ったと思われる形跡が55か所もありました。これでは、先輩たちと一緒に造ってきた20年の森がシカに「フリーなレストラン」になってしまう、と早急に修繕するために何が必要かなどを3人で話し合いながら下山しました。

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 栃木県県西環境森林事務所(=県西)の方の森の案内は、清水さんと筆者で行いました。

 今月12日、栃木県県西環境森林事務所の落合所長に臼沢20年の森を見て欲しいと相談しましたら、快く受けていただき「松木郷の森」に来ることになりました。本日は「臼沢」が日光治山事務所の管理だった頃から「臼沢」を知り、森づくり10年の森びとの記念イベントに来ていただいた森林部森づくり第三課総括補佐の大島さん、通行証を担当している大塚さんの二名の方に来ていただきました。

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 「みちくさ」に10時頃着き名刺交換をして、県から借用している「臼沢」20年の森を観ていただきました。森内では、入り口では混植・密植の樹々の生長、階段を登り幹の細い木が大岩を止めているなど森の機能を発揮していること。また、移植ゴテで木の葉をよけて土を掘って「黒土部分が厚くなっていることや炭素がかなり固定化してきている」ことも確認していただきました。大島さんから「森の機能が高まっている、土が一番大切、その土がつくられてきている」と評していただきました。

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 「みちくさ」に戻り、今年の5月4日のサンデーモーニングの「風を読む」で放送された20年の森づくりと中倉山のブナ保護活動が紹介されたビデオ見て交流を深めました。県西環境森林事務所の大島さん、大塚さん、660段の階段を登っての森の観察お疲れ様でした。

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 昼食後は、果樹園と記念樹エリア内の樹木への追肥と、みちくさ庭のミツマタやアジサイの育樹、来春の花芽を邪魔するヤシャブシを抜きました。森びとスタッフの皆様、お疲れ様でした。

 本日の森作業は、加賀さん、済賀さん、柳澤さん、田城さん、永島さん、山内さん、田口さん、清水さん、そして筆者大野でした。

<報告者:大野昭彦>

2025年11月24日 (月)

松木川源流の「ジャンダルム」はクライマーの皆さんで大賑わい

 11月23日(日)、松木郷は青空が広がり、気持ちのいい朝です。8時半の気温は5度でしたが徐々に気温が上がり昼には10度になりました。

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 深津さんは“みちくさ”内の清掃、永島さんが水源の確認、筆者は放射線量の測定と、分担してオープン準備をしました。

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 9時10分に、男性2人組が立ち寄ってくれました。コーヒーを入れ、話をうかがうと仙台から松木を目指して来られたとのこと。初めて来たので地図を確認しジャンダルムに向かいました。

 9時30分頃、下山してくる方がおり「休んでいきませんか」と声をかけました。茨城から来られた方で、登山ではなく山に泊まることが好きで、昨夜はタープを張り一泊したそうです。

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 その後、大きなリュックを背負った二人組が通過していきました。

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 永島さんに“みちくさ”の番をお願いし、深津さんと筆者は「民集の杜北」の岸井成格さんの記念樹「ホオノキ」の獣害柵交換に向かいました。サルの食害に合うため、柵の上も幹ガードで覆っています。来春の生長を考え、ビニールの幹ガードから金網に交換することにしました。

 

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 「スカート」用の柵を6枚つなぎ、「ホオノキ」を囲いました。天井には「スカート」の切れ端を乗せ、隙間からサルに入られないようにビニールの幹ガードで覆いました。

 これまで目の細かい黒いネットで覆われていたので光の差し込みも弱かったかと思います。陽当たりも良くなったので生長が期待できます。看板の岸井さんも笑みを浮かべているように見えました。

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 “みちくさ”に戻り、永島さんから訪問者の報告を受けました。11時15分頃に下山してきたクライマーが立ち寄り、昨日山に入りテントで一泊したそうです。小山から来られた方で「一人で静かなところに来るのが好きで、足尾にも何度か来ているが、80歳になっても山歩きが出来るよう続けていきたい」と抱負を語られました。朝晩冷え込んできていますが、マイナス10℃でも対応できる寝袋を使用しているとのことでした。またのお越しをお待ちしています。

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 昼頃、朝立ち寄ってくれた仙台の二人組の一人が走って“みちくさ”に戻ってきました。ジャンダルムで休んでいる時に、相方の肩に落石が当たり怪我をしたと言う事でした。永島さんが車で迎えに行き足尾ダムゲートまで送り届けました。ジャンダルムから中倉山を抜ける予定だったそうですが、とんだアクシデントに巻き込まれてしまったようです。途中まで歩いて降りてきていたので少し安心しましたが、病院で検査と治療をしていただき、お大事にしてください。

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 その後も、下山する方が通過していきました。今日は、ジャンダルムにチャレンジするクライマーや山でゆっくり過ごす登山者で賑わった「松木郷」でした。

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 松木郷の紅葉も終盤に差し掛かっていようで、葉を落とした木々と、冬も葉をつけているミズナラやクヌギ、カシワなどは森を茶色く染めています。

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 森びと広場と“みちくさ”前にはアナグマが顔を出しました。人間の存在など気にせず、草に顔を付けてエサを探していました。

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 季節も初冬に入りました。12月から“みちくさ”は閉舎となります。松木郷を訪れた多くの皆さんとの出会いに感謝申し上げます。「鬼が笑う」と言われますが、来春、皆様の訪問をお待ちしています。

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 本日の舎人は、永島さん、深津さん、筆者清水でした。

(報告:清水 卓)

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