風雪に負けず「ブナの森」を目指して保護活動。
11月3日(月)に開催した「足尾・中倉山のブナを元気にする恩送り」には38名(登山班32名、地上班6名)のボランティア、森びとスタッフが参加し、「孤高のブナ」の根を守る活動と「希望のブナ」(2023.4.29に植林)の生長観察を行いました。
今回は橋倉スタッフの呼びかけに応えてくれた足尾在住者3名が参加してくれました。慣れない登山のため早めに出発したいと、朝6時に足尾ダムゲートに到着。山田スタッフのサポートで登山口に向かいました。
「足尾に緑を育てる会」様からお借りした松木川を渡った右側の広場(仮設駐車場)に、乾燥させた黒土と草の種子の入った袋(植生袋)のセットと資材を準備し参加者を待ちました。
6時の気温は4度と寒い朝となりましたが、6時50分頃から順次参加者が到着し、植生袋を1個~3個、体力に応じて荷揚げしてもらいました。
7時30分に参加者全員が出発。仁田元川沿いの道路を歩いていると雨が降り出したため、カッパを羽織り登山口を目指しました。このまま活動を継続できるか不安になりましたが、同行していた日光森林管理署・中村署長から「山の尾根筋が明るくなってきたので、じきに雨は上がるでしょう」というコメント通り、登山口に到着すると雨が上がりました。
8時20分、登山口で待っていた皆さんに合流し、濡れた登山道で滑らないように、みんなでゆっくりと登りました。雲間に青空が見えるようになり、最初の尾根に出ると低気圧の影響か風が強くなりました。
中倉山の南斜面の迂回路を歩くと南側の山々が紅や黄に染まり、見事な紅葉に参加者の皆さんから「きれいだなー」と感嘆の声が上がりました。10時40分には、全員が到着。
尾根に立つと飛ばされるような強風です。4月29日のブナ保護時は風速15mでしたがそれ以上の体感です。風に当たるとすぐに手がかじかみます。“ビュービュー”と風切音が聞こえ「孤高のブナ」は大きく枝を揺らしていました。
風を避けるため南斜面に下がり、山内さんと山田さんの指導で植生袋に黒土を入れる作業を行いました。
その後、北斜面の崩壊地に移動し植生袋を張り付けました。松木川源流の山が白い雲に覆われてきたと思ったら雪が吹きつけてきました。みなさん寒さをこらえながら袋が飛ばされないようにペグを打ち付け、51袋を張り付けることが出来ました。
根の保護活動終了後は南斜面に下がり、地面のむき出しになった場所と草地に水を流し、豪雨が降った時の違いを実演しました。むき出しの地面では小石が流され、土砂が流出する状況がわかりました。一方の草地では、水が吸収され土砂の流出を抑えていることがわかりました。2017年から根を保護し土砂の流出を抑える活動を行っていますが、少しづつですが斜面の崩壊を食い止めることが出来、カラ松が生えだすなど森の再生の可能性を見ることが出来ました。
4月29日の観察では「希望のブナ」の樹高は120㎝でしたが、147㎝に生長していました。生長の速さに、温暖化がブナの生長にも影響しているのかと心配になりました。
生長観察後、森びとプロジェクトより筆者・清水からお礼を述べさせていただきました。その後、ブナの保護活動への協力・助言をいただいている日光森林管理署・中村昌有吉署長より挨拶をいただきました。
今回、「孤高のブナ」の命名者である元毎日新聞記者・浅見茂晴さんが参加され、「孤高のブナ」が私たちにどんなことを伝えているのかをうかがいました。
「15年ぶりに足尾に入り緑が根付いていた。コツコツやってきたことが緑の回復につながっており驚かされました。いつか“孤高のブナ”の“弧”が取れてたくさんのブナが生える様子を見たいと思います。そういう日が来ることを確信だけは持っています。これからも活動を続けていきます。」と話していただきました。
その後、参加者の足尾在住者の木藤さんと、40年前荒廃地の緑化に取り組まれた日光森林管理署署員の吉江さんより感想をいただきました。
今回は谷川岳の自然保護活動と重なりブナ保護活動に参加できなかった“みなかみ山岳ガイド”を行っている松原さんから、谷川岳にある「肩の小屋」の老朽化したトイレの現状を聞きました。年間4万人もの登山者がいる人気の山ですが、設置から30年以上経過し、トイレ数も少なく汚泥の処理、維持管理にも苦労されている状況のようです。
『誰もが、気持ちよく使える「人にも環境にも優しい」トイレを!』と群馬県みなかみ町が整備プロジェクトを立ち上げ取り組んでいることに協力したいと、参加者の皆さんに賛同をいただきカンパをいただきました。松原さんを通じて町に届けたいと思います。賛同いただいた参加者の皆さまありがとうございました。
12時に下山を開始し、怪我人もなく終了することが出来ました。「中倉山のブナを元気にする恩送り」に参加いただいた皆さま、大変ありがとうございました。
次回の開催は2026年4月29日(水・祝日)の計画です。ご参加をお待ちしています。
(報告者 清水 卓)





































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