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2024年5月の25件の記事

2024年5月 4日 (土)

自然界と人との出会いは森と生きる常識を養う

132       2013年調査登山
 今日も足尾ダム駐車場は満車で、路上駐車があるかもしれない。その多くが中倉山登山者の車かもしれない。登山者は、山頂からの稜線上に生きる「孤高のブナ」(私たちは「無言の語り木」と呼んでいる)に宿る木魂に耳を傾けているのかもしれない。皆さんには人と自然界の“つながり”をつかんでもらいたい。20240504 20240504_2     2013年夏と秋の調査
 先月29日、森びとプロジェクトは「中倉山のブナを元気にする恩送り」を実施した。その報告をホームページで読むと、大雨や雪解けで流される土砂を防ぐブナの根の手入れでは、樹と人との“つながり”を知った方々の常識が活動に現れている気がする。20240504_3     2013年のブナの実

 昨年11月の「ブナを元気にする恩送り」に参加した父親が今年1月に急死、その息子さんが「父の背中を追いかけたい」と思い、4月下旬の恩送りに参加してくれた。また、渡良瀬川下流に住む方は、安心・安全な生活が営めるには上流の足尾の森が元気でないといけないと、足尾での森づくりを手伝いたいと言ってくれた。銅精錬の煙害に耐え抜いて生き抜いているブナと人との出会いが、人と人との“つながり”に結びつき、森と生きる私たちの希望になっているようだ。202405042013       2013年夏のブナ
 このブナを発見したのが2012年。その年、足尾の山を知り尽くしている男性から、稜線上に「ケヤキ」が生えているという話を聞いた。標高1500㍍以上にケヤキは生きられるのかと思い、森びとスタッフ松村宗雄さんと私は中倉山に登った。結果、それはケヤキではなくブナであることを確認。翌年の夏と秋にブナの観察を行い、現在に至っている。足尾の山を知り尽くす川口市の男性に出会うことがなければ、年間何百人もの登山者が中倉山の「孤高のブナ」に会いに行くことはなかったと振り返る。

P6135129 「みちくさ」での出会いは自然界と人の心を結び付け、人は樹々に恩返しをしながら安全・安心な生活を担保できるという常識が心に育まれていく。自然界と人との大切なつながり”を極端な気象の中でみつけていきたい。(森びとアドバイザー・高橋佳夫)

雲ひとつ無い天気の中、新人舎人は大忙し!

 今日(5月3日)の足尾は快晴!気温は24℃と、これ以上は無いという気持ち良さ。今日で2度目の”みちくさ当番”の山田サポーター、古河橋ロータリーに到着するや否や、「古河橋三人男」に紹介され、緊張気味に自己紹介をしました。

Dscn9756 三人の足尾町民に、”森びとの山田”の顔を覚えてもらい、これからの取り組みに活かしていけると良いなと思いました。

 4月29日の「孤高のブナ・希望のブナ」保護活動と、ゴールデンウイークが相まってダムゲート駐車場は、中倉山へ向かう登山客の車で溢れかえっていました。

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 みちくさに到着し、開所準備をしていると、群馬県安中市から来られたご夫婦がやってきました。毎年「緑を育てる会」の植樹祭に来ていたが今年は来れなかったので、今日来てみたとのことでした。その感想をノートに記してくれましたが「私たちは、便利さや発展の影を知っていないといけない!と感じました。」という言葉が印象的でした。

 次に来られたのは、足尾ジャンダルムを直登してきた、仙台からのお二人です。自然豊かな松木沢が大好きで、何度も来ているとのこと。その自然を創り出している植林ボランティアの皆さんに感謝です!と笑顔で話してくれました

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Dscn9773 また、福島県から松木に釣りをしに来られた二人は、臼沢の森を見ながら「釣果はゼロながら豊かな自然があったから,それだけでいいんです!」と言っていました。

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Dscn9784 7人目のお客様は、「以前お会いした方だな?」と思っていたら、キツネの写真を沢山寄付してくれた大澤さんでした。その口から嬉しい言葉が飛び出してきました。「日光・足尾の自然と人の暖かさが好きになり、中古の家を買った。月1回は森作業を手伝いたいので、連絡をして欲しい!」と。私たちは、ビックリするやら嬉しいやら、二人で顔を見合わせました。

Dscn9787 今日の舎人は大忙し。お客様の受け入れの合間には、民集の杜に咲く花々(スミレ、ヤマユリ、フデリンドウ)の所在場所の確認を行いました。

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そして、4月29日に東京から見えた親子(母・娘)が植えた記念樹(キバナフジ)にマルチングを行いました。強い日差しでも根元が乾かないように、杉皮を被せてあげました。大きくなる前に藤棚を創ってあげなければなりません。黄色の花が咲くのが待ち遠しい松木沢です。

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 今日は舎人も大忙しでしたが、喜びと充実の一日でした。

                      今日の舎人は 山田浩、橋倉喜一でした







2024年5月 3日 (金)

自然界と人との”つながり”を探す足尾での出会い

20240503 2011年5月、足尾・松木渓谷入口にオープンした「遊慟楽舎」(愛称名・みちくさ)。オープン目的は自然界との出会い、人との出会いである。様々な出会いから自分の狭い世界を拡げたいと願ってオープンしてから13年目。「みちくさ」の番人(舎人と呼んできた)を振り返ってみると、様々な出会いがなかったならばひとりよがり的な人生になっていたかもしれない私。20240503_2 20240503_32024050320  松木渓谷周辺の草地には鹿、猿、アナグマ、野ウサギ、ツキノワグマ等の動物の糞があちこちに落ちている。しかし、いつの間にかその糞は粉々になって草の陰で見えない。フンコロガシの仲間達が糞を分解している。糞の中には動物たちが食べた草や木々の種が混じり、フンコロガシの仲間によって地中に運ばれるか、運ぶ途中で草原に落ちる。足尾の草地にはアキグミが多く生えている。それは昆虫たちが運んだのかもしれない。秋、アキグミの実が熟すと野鳥やキツネ等の栄養源になっている。勿論、私たちが食べても美味しい。また、アキグミは光合成を行って、私たちの生存に欠かせない酸素を生産している。20240503_4  「みちくさ」での出会いがなければ自分のいのちは草木や生きものたちと“つながっている”ということすら体験できなかった。人間社会での人と人の“つなかり”、見ようとしないと見えない自然界と人との“つながり”は人間を含む生きものたちの生存の常識であることを知ることができた。20240503_5

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 今日から75歳の森びとシニアスタッフの橋倉さんがその舎人に専念している。以前から番人をしてくれたが、「みとくさ」の主になろうとしている橋倉さん。森びと次世代シニアの山田さんも次の舎人を目指している。人間の都合で壊した森を甦らせたいと願って育てている森の若葉の風に触れてみませんか。森づくりアドバイザー・高橋佳夫

2024年5月 1日 (水)

春の「孤高のブナの恩送り」と森作業

Dsc01002_2 4月29日(祝)は晴天の下、私たちとその仲間たちは「中倉山のブナを元気にする恩送り」と松木郷の森作業を行い、怪我もなく終了することが出来ました。
7時になると、「足尾に緑を育てる会」様よりお借りした足尾ダムゲート内の臨時駐車場に参加者が続々と集まりました。早速、乾燥した黒土と種の入った袋を各自のリユックザックに入れて登山道を目指しました。

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Dsc00893_1_2 しばらく登ると稜線に着き、そこからは凛と立つ“無言の語り木“「孤高のブナ」の元気な新芽が私たちを出迎えてくれました。

Dsc01033_4 参加者全員が中倉山の稜線に到着し、11時から保護作業を行いました。まず、森びとの済賀さん、山田さんから種の入った袋に乾燥した黒土を入れて、根の周りの崩壊地に張付けるためのレクチャーがありました。その後、二人一組のペアになって植生袋をつくり、ブナが元気になるようにとの思いを込めて地に張付けました。Dsc00953_3

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Dsc00973_3 昨年に引き続き参加して頂いた那須拓陽高校の池田先生と生徒の皆さんはブナが更に元気になる様にと願い、学校で作った腐葉土を持参してくれました。黒土と一緒に種が入った袋に入れて張付けてくれました。

Dsc00951_3 また、生長観察用の獣害ネットを外して「希望のブナ」の根の周りにもその腐葉土を入れて頂きました。小さいながらもブナの子孫は枝を伸ばし、新芽を沢山付けていました。普段は柵に囲まれて姿を見ることができない子ブナと親ブナが対面ができました。私たちは、親ブナと子ブナの逞しい生長を願いました。尾根筋の斜面一面に生えている笹がニホンジカの餌になっているようだした。しかし、希望のブナの根の周りだけは笹の葉が広がっていました。子ブナの生長にとっては柵が役立っているようで、腐葉土を敷いた後はしっかりと柵を囲いました。

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Dsc01022_2 参加した33名は65枚の植生袋を張り付けてくれました。終了後に、主催者を代表して清水副代表からお礼が述べられ、参加者から感想をいただきました。
 初めて参加された古河市の石塚さんは「渡良瀬川の下流に住んでいますが、上流の足尾の山の植生が回復しないと安心・安全という生活が営めない。今後は、森を育てる活動にも参加したい」と述べられました。続いて、昨年11月3日のブナ保護に参加された父が今年1月に急逝され、慰霊の思いを込めて参加されたご子息の中山雅人さんからは「今回参加して、はじめてこの活動を知りました。父の背中を追いかけながら今後は、自分が活動にかかわっていきたい」と述べられました。最後に、那須拓陽高校の生徒さんは、「昨年、希望のブナを植えました。今日観察出来て生長を感じることが出来ました。参加してよかった。また、活動に参加したい」と述べてられました。
「地球沸騰化」と言われるほどに気候変動が激しくなる中で、参加者一同は親子ブナが自然災害にも耐えられるように中倉山の森を育て、足尾の煙害・松木村廃村の歴史を後世につなげてほしいと願いました。山頂で昼食をとり、全員がケガもなく下山して帰路につきました。

Dsc01041_2 多くの皆様のご協力をいいただきまして、大変ありがとうございました。


松木郷の遊働楽舎“みちくさ”をベースキャンプに待機しているスタッフは、「森びと広場」北側の斜面「こころの園」に、松村宗雄さんが持参してくれた自宅で育てた白南天を植樹しました。

Img_0039_2 「中倉山のブナを元気にする恩送り」に参加されたTBS有志の皆さんは、中倉山下山後に故・岸井成格さん(元NPO法人森びとプロジェクト理事長、NEW23やサンデーモーニングに出演)の育てた森の観察に立ち寄ってくれました。「臼沢の杜」と、岩の多い斜面を開墾して植樹した「臼沢西の杜」の木々の生長を見学していただきました。

Dscn0771_2 また、那須拓陽高校の生徒の皆さんは、2018年に先輩方が植樹をしたエノキの成長を見て喜んでくれました。かつて松木村にはオオムラサキが飛んでいたことを松木村の子孫から聞き、オオムラサキの餌となるエノキを植えていただきました。

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(作成者:橋倉喜一、済賀正文)

持続可能な社会に向けた風力発電の裏で

 洋上風力発電は、再生可能エネルギーの切り札として大きな注目がされています。特に、秋田県は秋田港および能代港における洋上風力発電の日本初の商業ベースでの事業とされています。また、風力発電で得た電力は、再エネ全量買い取り制度によってすべて電力会社が買取るという制度となっています。

1c60a18ef0ac4107a5518c369c64215f しかし、問題はその中身です。電力会社は、自らの資金で風力発電の電力を買取るわけではないのです。風力発電の買取り価格から石炭発電の燃料費を差引いた分を消費者が負担するという、まさに電力事業者が儲かる仕組みになっているのです。つまり、風力発電を建てれば建てるほど国民の料金負担は増え、事業者は大いに儲かる構図となっている、ひどい話しです。それでなくても庶民は、低賃金、物価高で苦しんでいる中、さらに負担を強いられいます。E420696bcde14d3aa906c185c24e158e 地球温暖化対策は急務です。これは、富める人も貧しい人も地球すべての生命に対しての危機なのですから、温暖化対策には不平等があってはならないと思います。私は、微力ながら出来る限り森の再生に携わり続けていきたいと思います。(運営委員・大山博延)

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