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2025年10月25日 (土)

「若者や子供たちに何を残していくか」“いのちの森”を歩き考える。

 10月21日(火)、今日はJREU千葉OB会9名、JREU東京OB会6名の皆さんを「松木郷の森」に案内しました。

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 “みちくさ”の温度計を見ると9時の気温は9度と冷え込み曇り空でしたが、9時40分頃、千葉と東京の皆さんが到着すると徐々に青空が広がっていきました。

 冷え込んだ“みちくさ”内を薪ストーブに火を入れ暖め、OB会の皆さんを迎え入れミーティングを行いました。

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 「森の案内」に先立ち“森の番人”高橋佳夫さんより、荒廃地での20年の森づくりへのお礼が述べられ、地球温暖化によって大気と海洋が変化し、世界各地に被害をもたらしている現状の中で、いのちと暮らしを守るために、「シニアの経験をもとに、若者たちにどんな恩返しができるのか。森に入り若者や子供たちに何を残すのかを考えよう」とあいさつが述べられました。

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 まず、「森びと看板」から「森の案内」を開始しました。森づくりを始めるにあたって、シカの食害防止の獣害柵作り、植樹用の黒土を運ぶために間伐材で660段の階段をつくりました。この階段作りの指導をしてくれたのが今日の参加者の一人、JREU千葉OB会の相川好夫さんです。2021年から22年の冬に朽ちてしまった階段を作り直しましたが、現在も草刈りや獣害柵点検など森の手入れに生かされています。

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 次に、「民集の杜北」に向かいました。足尾銅山の「遺跡」ともいえる銅を精錬する過程で出た鉱滓「カラミ」の堆積場(閉山後も管理されている場所)に、酸性土壌に強い樹種ヤシャブシの木が2本生えています。70年前から緑化事業が進められていますが、皆さん森が回復する困難さを感じていました。

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 「民集の杜北」の中に入り、JREU千葉の植樹地に向かいました。杜のトンネルを抜け左に曲がると朽ちた「JREU千葉」の看板が見えます。

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 植樹当時の写真と見比べてもらい、木々の生長に驚かれていました。今回、千葉OB会の皆さんはこの朽ちた看板のリニューアルを行うため、事前に看板をつくってくれました。

Cimg1585【2014年10月18日にJREU千葉地本が植樹】

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 支柱は事前に森びとスタッフが準備し、千葉の皆さん全員で看板の取り付け、ネジ締めを行いました。植樹当時40㎝~60㎝程だった苗木は10mにも生長し、周りに見えた山が見えません。

 林床にクリのイガがたくさん落ちていますがクリの実は見当たりません。サルやクマなどの食料となり“いのちの森”に育ちつつあることを感じていただきました。

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 林床にはキノコが顔を出し、枯れた木を分解してくれています。「木は枯れても次の木の栄養になり森を育てる」という故・角岸幸三さんの言葉が思い起こされる森の様子です。

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 鳥や動物たちが運んだ木の実や種が植樹をしていない西側のヤシャブシエリアに活着し、新たな森の仲間になっています。人間がつくった「森の恵みのお礼」に動物たちが新たな森をつくり始めている様子に、植樹を行なってきた皆さんも笑みを浮かべていました。

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 その後、森びと広場の記念樹エリアに植樹をしていただきました。記念樹は千葉OB会が「シラカシ」、東京OB会は「ムクノキ」です。どちらも人間の暮らしに欠かせない木です。

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Img_0181【JREU千葉地本OB会の皆さん】

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P1000832【JREU東京地本OB会の皆さん】

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 昼食後、杜を歩いた感想を聞きながら意見交換を行いました。

・千葉の仲間たちとドングリの苗を育て、トラックで足尾に運んだ。自分が植えた荒れ地が立派な森になっていた。良かったなー。スタッフの皆さんに感謝する。若い仲間と一緒に活動していきたい。

・杜を歩いて、足元に落ちていた鳥のフンに種があった。「森が森をつくる」と言われていたが、もっと森が大きくなっていくことを実感した。後輩に伝え森の手入れに参加したい。

・20年経って、目で見て森ができていることがわかる。渡良瀬川沿岸で育ち、子供の頃「川に行くな」と言われた。洪水の危険もあるが鉱毒があることを教えられた。荒廃地の再生も温暖化も元に戻すのは人間。これからの若者たちに何を伝えていくか考えていきたい。

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 20年の森を歩き、短歌が一句紹介されました。

 ~ 森びとの 苦労報われ 荒山は 緑の風吹く 森よみがえる ~ 詠み人 山姥

 現役時代に培った“労働者魂”と“情熱”を持ち続けてきたOB会のリーダーの皆様のおかげで20年の森から「母なる森」へと育てていく道筋が開けてきたようです。

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 「松木郷」の紅葉はこれから一気に進むことでしょう。厳しい冬を乗り越え、生き物たちが目覚める「新緑の春」に、多くの若者や家族の皆様を「松木郷の森」に案内できることを楽しみにしています。

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 今日の森の案内は、高橋さん、橋倉さん、済賀さん、坂口さん、林子さん、田城さん、永島さん、筆者清水でした。

(報告:清水 卓)

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