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2024年5月27日 (月)

第7回エコ散歩で明治神宮100年の森を散歩しました。

 5月25日(土)は100年前に人の手によってつくられた明治神宮の森で散歩を行いました。JR原宿駅西口を出ると大きな鳥居がそびえたち、多くの人で賑わっていました。駅南側の広場では音楽イベントが開催され、にぎやかです。天気は快晴、汗ばむ陽気で地面のアスファルトの温度を測ると55.8℃、木陰で参加者を待ちました。

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 参加者が揃い、参道脇の森に入り自己紹介。森のなかはヒンヤリとし、23.4℃。自然のクーラーです。

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 森の案内は、森びと植生アドバイザーの中村幸人先生。散歩にあたり明治神宮の成り立ちが紹介されました。

「この森はつくられた森。全くの原野だったこの地に日本国中から在来の植物・樹木を植えたのがちょうど100年前。1926年ぐらいに植樹がスタートしました。日本国中から結構大きな木を持ってきて、365種類、12万本を植樹しました。先頭に立ったのが植物生態学者の本多静六先生。本来の自然の森は常緑広葉樹で、それまでの森はスギやヒノキなど針葉樹を植えることが多かったのです。喧々諤々議論し、最終的に本来の自然の森、神々が宿った常緑樹の森を目指しました。

 日本各地の木を植えて、その中で競争がおきて最終的にはその土地に合ったものが生き残る。針葉樹から広葉樹に入れかわることを予測して365種、12万本植えられました。100年たって、ちょうど今入れかわる時期。広葉樹の中に針葉樹が見られるが、勢いを無くし広葉樹に追い抜かれる。そういう場面が出てきます。どういったものが生き残るか、100年前に植えられた当時を思い返しながら森を見ていきたい。」

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  今回は、小学2年生の女の子がお母さんと一緒に参加してくれました。「森の宝物」を探す「ビンゴゲーム」を手に持ち、南参道の西側通路から森の観察をスタートしました。

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 川の流れる石橋の所で林内の様子を観察。常緑広葉樹のウバメガシが大きくそびえ立ち、中村先生から「海岸の風の強いところにある木。本来ここには無い木で、西日本から運ばれたもの。一代で終わり。100年で交代する。」

 参道の反対側には大きな落葉広葉樹のケヤキがあり、水辺を好むことから、「自分の都合のいい所に植えられたから生長する。更新し世代交代する。植物は動けないから競争し、我慢するしかない。」と、その土地の条件に適応する木は世代更新しますが、適応できない木は次世代に更新できないことが示されました。

 

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 林縁(マント群落)には胞子で増えるシダが生え、鳥散布によってアオキやサカキやヤマグワ、ネズミモチなどが生えています。植えた木の他に鳥散布で増えていますがまだ充分ではないようです。本物の森は形だけでなく、本来そこに生きる動物、植物が戻った姿で、生物の共同体です。周りに原生林の無い東京では、あと300年はかかるのではないかということです。

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 その他に、自然薯やヘクソカズラなどつる植物も伸び、クソカズラの葉の匂いを嗅いだ小学生は「ダイコンおろしの匂い」と表現してくれました。名前から「くさい」というイメージでいましたが、「確かに」と皆さんうなずいていました。

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 いつの間にか、参道入り口の喧騒も消え、厳かな気持ちとなっていきます。大鳥居をくぐると参道両側にスダジイが大きく樹幹を広げています。明治神宮や外苑の優生種はスダジイとのこと。また倒木によって森が壊れた(明るくなる)場所には、70年~80年土の中で眠っていたアカメガシワが芽を出していました。

 林冠が空いた場所では世代交代が始まり、クスノキやスダジイが競争を始めています。

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 本殿に到着し、しばし休憩。苦戦したキノコとチョウチョ。「森の宝物」が全部見つかりビンゴ!小さな“森の友達”に手作りのプレゼントが手渡されました。

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 休憩後は中村先生のクイズで森の散歩を楽しみました。

「幹から樹液を出しているのはなんでだろう?」

 答え:カシノナガキクイムシが入ったアラカシが、虫が入らないように樹液を出している。

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「木が倒れた後に出てきた植物は?」

答え:土の中で眠っていたニワトコ、カラスザンショウ、アカメガシワ、ナンキンハゼ。

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 葉っぱの1割は鳥や虫に食べられ、9割は土壌動物が分解し、土壌中の水分も安定してくれます。そして、この明治神宮の森の“守りびと”が林床や参道の落ち葉を集め、森内に返して自然に戻します。自然の豊かさ、癒しを与えてくれてくれる100年の森。

Photo ・ワラジムシ(3mm)※マクロレンズで拡大

Photo_2 ・トビムシ(2mm~3mm)

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 四季折々、「明治神宮の森」を散歩しながら観察を行います。皆さまのご参加をお待ちしています。

(報告:清水 卓)

 

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