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2020年11月の22件の記事

2020年11月 3日 (火)

中倉山「無言の語り木」(孤高のブナ)を元気にする恩送り

 本日11月3日(火)は、『中倉山「無言の語り木」(孤高のブナ)を元気にする恩送り』を行いました。

 煙害の影響で、今も”孤高のブナ”の生きる北斜面は表土がなく、風化した岩山となっています。大雨が降るとわずかに残る土壌も流出し、煙害に耐え120年以上生きているブナの根がむき出しとなってしまいます。当会は「無言の語り木」(孤高のブナ)を守ろうと、林野庁の指導もいただきながら、根を守る活動を行っています。

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 昨年は、林野庁の皆さんや宇都宮ハイキングクラブ、森ともの皆さんと一緒に、黒土と植生袋を背負い上げ、根がむき出しとなった斜面に植生袋を貼り付けましたが、今年は、コロナ禍でもあり、感染拡大防止の観点から、今回は森びと関係者10名で行うことにしました。

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 各自、10リットル入りの黒土を背負い、登山口を9時に出発。一路ブナを目指しました。登山口からは九十九折の急斜面、すぐに汗が吹き出します。小休止を取りながら登り、1時間ほどで最初の尾根に到着しました。

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 ここから中倉山の尾根を眺めると、一本スクッと立つ木が見えます。これから会いに行く孤高のブナです。

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 息を整え、尾根筋を更に上ります。青空が広がり、南側の山々の紅葉が目に飛び込んできます。疲れも一気に吹き飛びます。

 

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 登り始めから2時間。11時に待望のブナと再会です。

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 荷物を下ろし、早速、植生袋づくりです。2人1組となり、10リットルの黒土で草のタネが入った植生袋を2つ作ります。

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 ブナの根が伸びる北斜面を確認すると、むき出しとなっている根を見つけました。昨年貼り付けた下の段です。

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 出来上がった20 袋を斜面に貼り付け、鉄の杭で止めました。土壌流出地からすると猫のひたいほどかも知れませんが、木にとって大切な根端を守ることが出来ました。

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 ブナは葉を落とし、冬に備えています。

 気候変動によって巨大化する台風や豪雨に耐え続けるブナは私たち人間に「暮らしの転換」を訴えているように思います。

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 2年前から張り付けた植生袋からは草が生え、もとの草地と一体化しています。引っ張っても取れず、土壌をしっかりと抑えつけていました。芽が出るとシカにたべられ、それでも根を張り、芽をはやす姿に涙が出そうになりました。

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 中倉山を愛する登山者のみなさんの“ブナを愛する心”にも感謝申し上げます。

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 作業を終え、森びとを代表して清水理事がお礼の言葉を述べ、ブナをバックに記念撮影を行いました。

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 南斜面に座り、紅葉する山々を眺めながら昼食です。ひと味プラスされます。

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 昼食を終え、下山の途につき、尾根筋から北側の松木方面を眺めると、荒廃地の中に小さいながらも紅葉する森が見えます。当会が15年前から多くのボランティアの皆さんと育てた森です。

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 松木川上流部の荒廃地に森が蘇るまでには、どれほどの労力と年月がかかるのでしょうか。人間が壊した自然は人間の手で直さなければなりません。一人の力は小さいですが、多くの森ともの皆さんとこれからも木を植え、いのちの森を育てたいものです。

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 下山は膝を痛めやすく、70才を超える先輩スタッフにはこたえます。背負う荷物を分担し、休みながら歩き、無事登山口までたどり着くことができました。

 

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 「ブナを元気にする恩送り」に参加していただいた森ともの皆さん、お疲れ様でした。横断幕作成に協力をいただきました、JREU大宮の皆さんありがとうございました。

 本日の参加者は、松村宗さん、山本さん、清水さん、宮原さん、菅野さん、小柴さん、木村さん、 太田さん、野澤さん、筆者・小川でした。

(報告・小川 薫)

2020年11月 1日 (日)

穏やかな日差しの松木渓谷で紅葉狩り

 本日は11月1日(日)。早いもので今年も残すところ、あと二か月となりました。

日光方面は紅葉を楽しむ車で渋滞ですが、足尾方面に向かう車は少ないようです。

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 遊働楽舎(愛称:みちくさ)の寒暖計を確認すると9時の気温は9℃。松木渓谷は青空が広がり、とても気持ちのいい天候です。本日は“舎人見習い”の弘永スタッフと一緒に舎内の掃除、湯沸かしなど、松木を訪れる森ともの訪問準備を整え、のぼり旗を立てて、“みちくさ”をオープンしました。

 

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 日光の混雑を避けて、足尾ジャンダルムにロッククライミングに向かうクライマーや登山者、松木渓谷へハイキングに向かう家族などが“みちくさ”前を通過していきました。帰りに寄ってくださいと声をかけました。

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 放射線量を計りながら、臼沢の森や中倉山を眺めると紅や黄色に色づいた木々が目を楽しませてくれます。ゆっくりと時間が流れていくようです。

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午前中は、11月3日に開催する『中倉山「無言の語り木」(孤高のブナ)を元気にする恩送り』の準備を行いました。根を守るための植生袋と10?の黒土、止め金具、背負子など。その後、小川さんと弘永さんは登山口までの道の落石確認に向かいました。

今年はコロナ禍での活動のため、森びと関係者での保護活動となります。来年は多くの森ともの皆さんと保護活動が出来ればと思います。

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 準備を終え“みちくさ”に戻ると、自転車を押した男性が立ち寄ってくれました。砂利道で自転車に乗るところではなかったと嘆いていましたが、初めて松木渓谷を訪れ、さわやかな風と紅葉を楽しんでいただいたようです。3日間の休暇を取り、大阪から電車を乗り継ぎ、わたらせ渓谷鉄道で足尾まで来てくれました。森びと手拭の購入ありがとうございます。

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 午後になると、松木渓谷を散策した帰りに足利から訪れたご夫婦が立ち寄ってくれました。「静かで、さわやかな、いいところですね」と旧松木村を気に入ってくれた様子です。山登りが趣味のようで、足利の織姫神社から日光の神社まで3日かけて歩く計画を立てているそうです。最新の山の地図には、中倉山への登山ルートと孤高のブナが紹介されていることを教えてくれました。新緑の時期にもお越しください。お待ちしています。

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 中倉山に太陽が隠れると一気に寒くなります。本日最後の訪問者は千葉県柏市の方です。

シカなど動物が見られることを楽しみに来たそうですが、あいにく出会えなかったようです。森が生長することで、シカ以外にもアナグマが住み、クマもエサを求めてやってくることを紹介しました。

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 多くの皆さんが松木の杜を散策し、楽しんでくれたようです。ブナの葉は黄色く、カエデの葉は紅く色づき、陽の光を浴びて輝いています。松木の森・杜の紅葉はこれからです。静かな、ゆっくりとした時の流れを感じに足を運んでください。多くの森ともの皆さまのお越しをお待ちしています。

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本日の放射線量 0.116μsv/h、舎人は小川さん、見習の弘永さん、筆者・清水でした。

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