“段取り八分”の意味を教えてくれる森づくり・・・「森びとの心構え」その⑨
冬将軍が“ビュービュー”と吠えるころになると獣害防止柵のチェックが重要になる。特に、「臼沢の森」入口から約200㍍登った「臼沢の森」頂上の柵をチェックしなくてはならない。
傾斜30度以上あるガレ場を登った所の北斜面は草も生えず、小石だらけの荒れ地で、地表は強風や雨、雪の力でその都度小石が流され、柵と地表間に穴が開いたように空間ができる。鹿たちはこの状況をよく覚えているらしく、この部分に体当たりをするなどしてここから侵入しているらしい。
このような事が分かったのは植樹はじめて数年後のことだった。植林は頂上付近に進んでいなかったので、鹿の進入は森の両側の柵をチェックしていた。頂上付近の荒れ地から侵入しているとは思っていなかった。小石だらけの荒れ地はなんともできないために、その後の獣害対策は二重の柵を設置するなどで幼木が自立できる環境をつくった。
奥山に森をつくるということも“現地を知る事”からはじまる。現地、現場をつかんでから森作業が実態に合い、事故や怪我が防げ、作業の無駄も省ける。(理事 髙橋佳夫)
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