前に向かってスクラム組んで「希望の森づくり」を進める
3月3日の「希望の森づくりシンポジウム」のパネルディスカッションでは、当委員会岸井理事長コーディネートのもと、造園家の涌井雅之さんと南相馬市桜井勝延市長の3名により「防災林再生~森林を活かしたまちづくり~」について議論が交わされました。桜井市長からは震災及び原発事故発生時の状況と現状、防災林の再生と復興に向けたまちづくりについて語られました。「3・11から何も変わっていない」という市民が多いということも言われるなど苦しい胸の内が言われました。
涌井さんからは自らの足で被災地を見て、「(復旧・復興は)日本人全体の課題」「未来のために何を残すのか」「(防潮林は引き波による被害を抑える効果があるので)多重防御の体制を作ることに意味がある。同時に内陸の農地にとっても価値があると思う」などと言われていました。
最後に涌井さんから「海と山が繋がっていること、都会と森と畑がしっかりと繋がっていることを南相馬市がモデルとなって作って欲しい」とエールが送られると、桜井市長から「そういう意気込みを持って進めていく」と力強い言葉がありました。
質疑は3人からありました。1人目はJR東日本の労働組合「JR東労組」の中西忍さんでした。「私たちは労働組合として、震災と原発の事故からの鉄道の復旧ということもあるが、被災地をどう支援していくのかということも課題です」「昨年から(南相馬市に送るために)組合員1人2ポット、10年間で100万本のポット苗づくりをスタートさせました」「首都圏ではポット苗置き場の確保に苦労している。私たちの育てたポット苗の置き場を予定されているのでしょうか」と意見があり、桜井市長からは「責任を持ってあたっていく」と返答がありました。
2人目は、地域の再生について中小企業のリーダーをされている方でした。「たくさんの方々がボランティアに来てくださり、本当に頭が下がる」「(涌井さんの提案のあった全国都市緑化フェアの招致)シンボル事業を立ち上げることによって、フロンティア事業・リーディング事業が引っ張られていくのではないか。是非それを実現するために涌井さんにお願いしたい」と意見があり、涌井さんからは「南相馬市民の方々自身が光り輝くという決心がなかったらできないんです。その決心があるのだったらお手伝いをします」と返答がありました。
3人目は、下江井(しもえねい)にお住まいの方でした。「海岸防災林の効果は私も良いと思っておりますが、しかし私の家は松の木や松の根がサッシを破り、今や屋敷に散乱しており、被害を増大していました。これが海水だけならば被害は軽かったかと思います」「防災林にはツバキの木を植林してはどうかと思います。ツバキは潮風にも強く、花もきれいですし、種を取り、ツバキ油もとることができます。他にもカシの木とか広葉樹もあると思います。クロマツを植林するならば、先ほどの木と併用混合林にしてはどうかと思います」と意見があり、岸井理事長と涌井さんから「海岸線はクロマツなどを植えますが、内陸には土地本来の樹種を植えていく」と返答がありました。
シンポジウム終了後、ロビーでは千葉県の房総半島から相川インストラクターが持参して下さった約150本の菜の花・カーネーション・キンギョソウを参加者へ配布をしました。あっという間になくなってしまうほど、好評でした。
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