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2025年8月31日 (日)

“猛暑”の「松木郷」も、木々は秋の準備を始めています。

 8月30日(土)、日本各地で猛暑日の予報が出されています。9時の“みちくさ”の温度計は30度。広場を風が吹きぬける作業小屋は28度でした。足尾「松木郷」は青空が広がっていました。

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 今日は舎人担当2回目の永島さん。午前中の応援に橋倉さんが来てくれました。オープン準備を済ませ、放射線量測定を兼ねて「りんねの森」を歩きました。

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 「赤土の植樹地」に入るとヤマボウシの生長が目につき樹高を測ると2.8mでした。

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 私たち人間は「暑い暑い、早く秋が来ないかなー」と言っていますが、モミジやサクラは葉が紅くなりはじめ、トンボの“アキアカネ”や“ミヤマアカネ”も体が徐々に赤くなり、秋の備えをしています。

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 「湿地の植樹地」を眺めると水が流れ落ちるエリアの生長が良く、カツラが生長頭です。永島さんに立っていただき比べてみました。3.6mありました。

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 樹高を測っているとカツラの葉に蝶が飛んできたので、「オオムラサキか!」とカメラを向けると、なんと白に黒い縁取り、裾が赤い“アサギマダラ”でした。松木郷を飛ぶ“アサギマダラ”の話は聞いていましたが見るのは初めてでした。

 海を越え1000km以上の長距離を旅する蝶が「松木郷」に立ち寄ってくれる。「道の駅」ならぬ「蝶の駅」になったのかと感慨にふけりました。

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 「土壌改良地」と「砂地」の南側にヤシャブシの木が2本生えており、そのタネが両植樹地に活着しました。「土壌改良地」は植樹したサクラやモミジ、ヤマボウシなど落葉広葉樹を覆いつくしたため、植樹木の生長を促すために取り除きましたが、「砂地」にはヤシャブシを植栽しているので、他のヤマハンノキやシラカバとの競争を見守っています。上から眺める両植樹地の生長過程の差が一目瞭然です。「砂地」のヤマハンノキで大きいものは7mを越えました。

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 大型化する台風やゲリラ豪雨によって松木川の河川敷きが大きく削られるようになりました。源流には砂防ダムもつくられていますが、木の根で河川敷が崩されるのを押さえられないかとその土地にあった樹種を植えています。かつて松木村に生息していた昆虫や生き物たちが命をつなぎ、立ち寄ってくれる「母なる森」に生長するよう手入れを行っていきます。

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 “みちくさ”に戻り、橋倉さんと交代。12時20分頃、登山者のグループ10名が小休憩で立ち寄ってくれました。東京から登山ツアーで足尾入りし、テント泊して松木川源流の山を楽しむそうです。気を付けていってください。

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 続いて12時40分頃、山登り4人組が“みちくさ”の前を通過、後ろ姿を見送りました。気温は34度に上昇していました。熱中症に気を付けてください。

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 9月20日~26日は「秋の彼岸」です。15日にお墓と祠周りの草刈りを行います。永島さんが「上の墓」に行ったことがないと言う事で、場所の確認に向かいました。

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 お墓のある高台から整備が進む松木川上流の砂防ダムを眺めました。双眼鏡で見た岩山のジャンダルムが目の前に迫り「おー!」と声が出ました。

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 河川敷に降りるとバッタが飛びますが姿を見つけられません。着地場所を確認して近づき目を凝らします。河原の石と同系色の“カワラバッタ”です。これも初めて見ました。下の写真の中から見つけてみてください。舎人2人による、ミニ「森は友だち」探しになりました。

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 9月も暑い日が続くようです、“みちくさ”ではコーヒー、お茶の他、「冷たい水」も準備しています。皆様のお越しをお待ちしています。

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 今日の舎人は、永島さん、橋倉さん、筆者清水でした。

(報告 清水 卓)

8月最後のみちくさ。

8月最後の日。足尾・松木は少し強い風が吹いたものの、気持ちの良い一日でした。気温はお昼前で32度。以前(んー十年も前)なら「30度を超えたかぁ、暑いなぁ」なんて会話をしていた覚えがありますが、連日40度近くが当たり前になっている昨今では、この気温でも部屋にいると涼しくさえ感じられ、なんだか感覚がだいぶ狂ってしまったような気がします。

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今日は日光から車で足尾に入りましたが、皆さんに少し悲しいお知らせをしなければなりません。なんと足尾のローソンが昨日をもって閉店してしまったのだとか。足尾の町の人たちだけでなく、行き来する人たちの休憩どころとしても、そこそこ利用されていたお店だったのですが……。これからは必要なものを日光で計画的に買ってから来なければならず、足尾も少し不便になりそうです。

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午前中は、釣り人が数人、笑顔で通り過ぎていきました。きっとたくさん釣れたのでしょう。

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宇都宮から来たという2名のハイカーの方も「少し奥まで行く」と言って通り過ぎ、午後に立ち寄ってくださいました。少し先のガレ場あたりまで行ってきたそうで、歩くにはやっぱり暑かったようでした。栃木の山を普段から歩いている方々で、中倉山から見たこの場所に興味を持たれたそうです。もう少し涼しくなれば歩きやすくなると思いますので、ぜひまた違う季節にも遊びにいらしてください。

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この日はほかに、動画の撮影や草刈りをして過ごしました。少しずつ、生き物たちの季節も秋へと向かっているようです。(舎人 武田、小柴、小黒(記))

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2025年8月26日 (火)

1年の森づくり計画が、皆の意見で具体的になった!

 8月24日(日)、足尾・松木郷の天気は晴。9時の気温は24度です。昨日は高校生の「森は友だち探し」が開催され、栃木県・那須拓陽高校と群馬県・樹徳高校の生徒、先生、保護者の皆さんが各校の先輩たちが植樹した木々の生長を観察しました。

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 渡良瀬川源流の上流に位置する松木川。足尾銅山が最盛期の時代は木々を失った山に雨が降ると下流域に洪水被害を与えました。100年の時を経て、次代を担う高校生が松木川源流の森再生に汗を流し、40㎝程の落葉広葉樹が4mもの樹高に生長しています。

 参加した高校生が「何もないところに初めから再生する森を見て、森を再生させる難しさを知りました。」と述べてくれた言葉は、20年の森づくりを献身的に支えてきた森びとスタッフの心に響きました。参加された各校の生徒の皆さんと一緒に、多様な生物が命を育む「母なる森」へと育てていく決意を新たにしました。

Dsc05941(8/23 高校生の「森は友だち探し」での意見交換)

 今日の午前中は、昨日の片付けを行い、午後は森づくりスタッフのミーティングを行います。「うんしゅう亭」のテーブル、椅子を片付ける班と、民集の杜西に作った木製ベンチの片付け班に分かれ作業を開始しました。


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「うんしゅう亭」では、テーブルと椅子を取り出しやすいように分けて片付けました。

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 「民集の杜西」では、高校生の皆さんと緑の中での意見交換に使ったロの字の木製ベンチを、通路の部分を撤去し、両脇のベンチは森の散歩の休憩場所として残しました。

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 緑が美しい見事な杉苔が広がるその先には、キノコが顔を出していました。

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 皆さん手際が良く、二つの作業が思いのほか早く終わりました。昼前に「民衆の杜北」の森の手入れ(枝払い)を終わらせようと、道具を準備し杜に移動しました。

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 丁度お昼ごろ、「民衆の杜北」の枝払いが終わりました。汗びっしょりですが、充実感も!

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 昼食の後は、向こう1年間の「森作業」と「エコ散歩in足尾」の具体的な作業計画を、皆で話し合いました。

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 足尾町民の皆さんから提供していただける「シャクナゲ」、「メグスリの木」、「山椒」、「山ウド」などを10月末に移植する事や、冬場は桜街道の周辺の枝払いや獣害柵点検と補修。春先は、ドウダンツツジやレンギョウの移植など、作業時期や方法など矢口スタッフの積極的なリードでスケジュールはどんどん具体化していきました。終了後「良い話し合いができ、これで計画が立てやすくなりました」と清水副代表。運営委員2年目の筆者も、向こう1年の作業計画のイメージがついて有意義なミーティングでした。

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 15時半過ぎ、ミーティング途中に降り出した雨も小雨になったところを見計らい、皆、松木郷を後にしました。帰宅後、橋倉さんからラインが届き、その後の足尾は雷雨と停電で大変だったことを知りました。橋倉さん、皆さん、お疲れ様でした。

 本日の森作業参加者は、柳澤さん、矢口さん、深津さん、武田さん、済賀さん、加賀さん、大野さん、橋倉さん、清水さん、筆者・田城でした。 

(報告者:田城 郁)

2025年8月25日 (月)

高校生の「森は友だち探し」、“森の友だち”が見つかりました。(その2)

 8月23日(土)、栃木県・那須拓陽高校から9名、群馬県・樹徳高校から15名の生徒、先生、保護者の皆さんを足尾・松木郷の杜に案内しました。

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 午後は、苔むした「民集の杜西」の中での意見交換です。前日に“桜街道”の両脇に丸太と甲羅板でベンチをつくりました。思い思いの場所に座っていただき、大野スタッフの進行で午前中に歩いた杜の感想を出していただきました。

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高校生からは、

・山に木がなくなった写真と現在を見比べて、かなり木が生え始めている。村人たちは去ってしまいましたが、きっと喜んでくれていると思います。

・足尾銅山のことは学校で知りました。参加して良かった。自分が思っているより色々なところに被害が出ている。はげ山を見ると人間のやることのエゴを感じる。

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・生き物が好き。今日はトンボ、セミ、カエルを見た。数十年前、生き物がいなくなった。森びとのおかげで生き物の命が続いている。

・人間は自然とつながっている。自然も地球温暖化も直していきたい。

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・孤高のブナを元気にする活動に参加している。初めて再生する森を見て、森を再生させる難しさを知りました。

・森の中は涼しい。自分が住んでいる所と比べると空気もきれいだ。参加出来て良かった。

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先生からは、

・緑が増えてきたのかなと思います。最初(10年前)から環境学習・植樹にかかわってきました。生徒のみんなが見て、今日感じたことを後輩に伝えていくことが大切です。

・何もないところから木を植えてきた。まだ木が細いので土壌が薄いのかと思う。生き物が増えてきたと思うし、空気もおいしい。先輩が卒業し、次の世代へ引き継いでいかなければならない。

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・2016年から植樹に参加。10年で森が再生するのかと驚いた。教室では学べない「過去・現在・未来」が学べる場だ。

・20年前から参加。その頃はもっと緑が少ないところだった。ネイチャーボランティアの学べるところ。今回は卒業生も参加している。森の中は風が気持ちいい。100年前も200年前も同じように感じていたのではないか。

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など、参加者全員から感想をいただきました。ありがとうございました。

 意見交換の最後に森びとプロジェクトから、両校の生徒の皆さんが「森は友だち探し」に参加された記念に「記念樹」を植える提案をさせていただきました。植える木の種類は生徒の皆さんに考えていただき、「森びと広場」に植樹をしたいと思います。

 「うんしゅう亭」に戻り、記念品として「森びと手ぬぐい」を贈呈し閉会となりました。

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 気温40度を超える猛暑、山火事、1時間に100㎜を超える豪雨・洪水と土砂崩壊、1日で2mを超える降雪、日本ばかりでなく世界各地で気候変動の影響が目に見える形で人々の暮らしと命を奪っています。

「想定外」から「想定内」へと意識と暮らしの転換を図らなければなりません。

 「地球温暖化にブレーキをかけよう!」と足尾の荒廃地に木を植えて20年。高校生の皆さんが感じたように、トンボやセミ、カエルやヘビ、キツネやウサギ、アナグマやツキノワグマ。土の下ではミミズやササラダニなどたくさんの生き物たちが命をつなぎ、「母なる森」を育てています。私たち人間は森がなければ生きていけない存在であることを、「森の友だち」から教えられました。

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 「森は友だち探し」に参加された栃木県・那須拓陽高校、群馬県・樹徳高校の生徒、先生、保護者の皆さま、大変ありがとうございました。

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 サポートさせていただいたスタッフは、鎌田さん、松村宗さん、橋倉さん、大野さん、加賀さん、済賀さん、田口さん、山田さん、大山さん、筆者・清水でした。

(報告:清水 卓)

高校生の「森は友だち探し」、 “友だち”が見つかりました。(その1)

 8月23日(土)、松木郷は雲間に青空が広がり、9時の気温は24度。日中は30度を超える夏日になりました。今日は栃木県・那須拓陽高校から9名、群馬県・樹徳高校から15名の生徒、先生、保護者の皆さんが足尾・松木郷に来てくれました。

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 10時過ぎ、森びと広場の「うんしゅう亭」に全員が集合し、大野スタッフの司会でオリエンテーションを行い清水副代表から、両校の皆さんの環境学習を通じた森づくりや中倉山のブナ保護活動への協力に感謝が述べられました。

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 その後、両校の先輩が植樹・育樹を行っている「民集の杜北」に向かいました。「民集の杜北」植樹地の東側には、足尾銅山が銅を製錬した際に出た鉱滓(カラミ)の堆積場があり、現在も一部が残っています。

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 100年前の面影を残す堆積場跡には、緑化事業によって荒廃地に種の撒かれたヤシャブシ(空気中の窒素を吸収し肥料に変えられる)が2本草地に生えていますが、煙害(亜硫酸ガスの放出)によって木々を失った荒廃地に緑を回復することの難しさを見ていただきました。

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そして、その西側に2014年から植樹を行っている森びとの植樹地「民集の杜北」があります。

鎌田スタッフより、「ここの土地は豊かな表土を失い、草の下には岩と砂で覆われているのが特徴で、木を植えるにあたっては開墾して岩をどかし、黒土や腐葉土、堆肥、炭を入れて土壌を作り直して植樹を行ってきた」と、木々が生長できる土壌をつくることから森づくりがスタートしていることが話されました。人間が土地に働きかけると杜を甦らせることができる。「負の遺産」から「未来の宝・遺産」へ。この場所から、現在・過去・未来、「母なる森」を想像し、東の入り口から杜に入りました。

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201446(2014年 開墾の様子)

 杜内の案内は大野スタッフ「ふるさとの森づくり」や「桐生ローターアクト」の皆さんが植樹した木々が生長し森のトンネルを形成。この場所では2018年に那須拓陽高校の生徒の皆さんが植樹を行っています。膝くらいの苗木が4mほどに成長しています。

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2018(2018年 那須拓陽高校生が植樹)

 先に進むと樹徳高校の植樹地があります。日の当たる通路から木々の生長によって光が遮られた杜内に入ると一瞬暗く感じますが、みなさん「涼しい!」と木々の葉の蒸散作用を体感しました。

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 2016年、2017年に植樹が行われ、2018年から草刈りなどの育樹が行われました。木々の競争によって樹高が伸び、幹は細いですが、現在は互いに競争しあっている段階です。後輩の皆さんは先輩が植樹した森を確認し、先生方は、膝ほどの苗木が見上げるほどに成長していることに、驚きと喜びの声を上げていました。林床にはクリのイガが落ちており、サルや熊、昆虫たちの食料も供給する森に育っていることを実感されていました。

20177_23(2017年 樹徳高校生が植樹)

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 「糺の森」(ただすのもり)で小休憩。熱中症にならないよう水分補給しました。橋倉さんから「糺の森」と名付けた由来が話され、西の松木川源流にそびえる岩山“ジャンダルム”(通称・足尾のグランドキャニオン)を背に集合写真を撮りました。

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 杜の出口には「ヤマナシ」の木あります。松村宗雄スタッフからこの地に植えられた由来が紹介されました。「栃木県鹿沼市に南摩ダム建設が計画され、この地に生える“ヤマナシ”(果樹のナシはこのヤマナシから改良されてできたもの)が水没してしまうため環境保全に取り組む方が種を採取しました。その種を譲り受け幼木に育てこの地に移植したものです。」と話されました。

「異常渇水時の緊急補給用水の確保」という理由によって人々の暮らす土地や木々が水没してしまいます。古代から食用や器具、彫刻など人間の暮らしに生かされてきた“南摩のヤマナシ”のDNAを持つ幼木を“旧松木村”で育てています。春に白い花を咲かせ、秋に3㎝ほどの実をつけます。

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 1時間半ほどの「森は友だち探し」でしたが、森の「友だち」は見つけられたでしょうか。

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 森の案内を終了し、森びと広場に移動。記念樹コーナーには、2023年に樹徳高校生が植えた「ホオノキ」と2018年に那須拓陽高校生が植えた「エノキ」があります。この「エノキ」の葉はオオムラサキの幼虫の餌となります。成虫はクヌギやコナラの樹液を吸います。「民衆の杜」のクヌギやコナラは樹液を出すようになりました。7月10日、松木の森にオオムラサキが飛んできました。後輩の皆さんに、先輩が植えた「記念樹」の生長を確認していただきました。

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 「うんしゅう亭」に戻り昼食を取りました。昼食は足尾町内の「子ども食堂」のお弁当です。町内のお母さんたちの愛情こもった手作りお弁当をいただきました。

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(報告:清水 卓)

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