« 海洋と大地から忍び寄る自然界の“しっぺ返し” | メイン | 「鎮魂復興市民植樹祭」を支える応援隊の願い »

2020年2月17日 (月)

地球の悲鳴が聞こえる!「科学技術万能」の幻想から「世界の森を元気にする政策」への転換を!

昨年9月に発生したオーストラリアの火災は今も燃え続けています。その被害面積は、少なくとも1110万ヘクタール。ブルガリアの国土面積に相当し、2019年のアマゾン大規模火災の被害範囲の5倍以上と言われています。
シドニー西部にある世界遺産ブルーマウンテンの森林の約80%が消失。森に暮らすコアラやカンガルーなどの野生生物の犠牲は、10億匹以上と言われています。そして、推計3.5億トン以上の二酸化炭素(CO²)が排出され、温暖化を加速させています。

Pa143846  地球温暖化によって気候の変化が極端になり、2月9日にはオーストラリアを豪雨が襲い、山火事が収まる一方で、洪水が発生。車や家が水没し倒木で交通が遮断され電柱の倒壊によって停電が発生。人々の暮らしに大きな被害をもたらしています。

Photo_6 インターネットを通じて、山火事の被害にあった山々の様子を見ると、私たち森びとが植樹活動を行う足尾の山々・松木渓谷周辺を想起させられてなりません。煙害や山火事によって木々を失った山に大雨が襲い、表土が流され、下流域に甚大な被害を発生させました。当時の荒廃地の広さは、総理府資源調査会『渡良瀬川流域水害実態調査』(昭和28年版)によると裸地(鉱煙濃厚にして、植物生育不能)は2,598ヘクタール。激害地(森林経営不可能、耐煙樹種植栽)は4,518ヘクタール。合計7,216ヘクタールに上ります。

100

Pa143735

 森びとが15年で育てた“臼沢の森、松木・新松木・民集の杜の合計は4.7ヘクタールです。足尾の人々や省庁・行政、ボランティアの皆さんの努力により徐々に緑が蘇っていますが、荒廃地全体を緑化するにはまだまだ多くの年月を要することを実感します。

Pb038736_3

 P1251180

オーストラリア火災の被害面積を対比すると、煙害被害地(当時)の約1538倍、森びとの植樹地の約233万4237倍に上ります。植生回復にどれほどの時間と労力を要するのかを考えると気の遠くなるような広さです。

Photo_8 (関東森林管理局HPより) 

 日本政府は1月21日、温室効果ガスの削減に向け、「パリ協定」に基づき決定した長期戦略を補完するための新戦略「革新的環境イノベーション戦略」を決定しました。環境・エネルギーに関する研究拠点を新設し、今後10年間で官民合わせて30兆円の投資を行い、2050年までに世界全体の二酸化炭素(CO²)排出量を600億トン以上削減できる技術確立を目指すとしています。具体的には、「二酸化炭素(CO2)を吸収する素材を使ったコンクリートの実用化」や「CO2を大量吸収する藻を原料にしたジェット燃料の製造」などに取り組むとしています。

Epson046  (2020.1.17 読売新聞)

P2161584

 環境問題は政治課題ですが、「人間の技術力や科学力で自然をコントロールできる」という傲慢な姿勢が見え隠れしています。「パリ協定」スタートの年。生物社会の一員として森に寄生してしか生きられない「人間」であることを自覚し、二酸化炭素(CO²)を吸収し、すべての生物に「酸素」を供給し、「食料」を提供してくれる世界の森と海を元気にする政策を発信すべきである。(理事・清水 卓)

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/330076/34202433

地球の悲鳴が聞こえる!「科学技術万能」の幻想から「世界の森を元気にする政策」への転換を!を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

森びと検索

最近のトラックバック