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2019年11月の19件の記事

2019年11月30日 (土)

松木村は雪化粧。シンボルツリー樟(クスノキ)の冬囲いも終わり、竹のシンボルツリーが出来ました。

今日11月30日は、遊働楽舎“みちくさ”前のクスノキと“森びと号”(軽ワゴン車)の冬支度を行いました。昨日の冷え込みで足尾の山里には雪が降り、雪化粧で迎えてくれました。

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“みちくさ”の「シンボルツリー 樟(くすのき)」は2017年に植樹しましたが、この冬に松木(足尾)の厳寒に勝てず枯れてしまいました。翌2018年、その場所に他の樹木を植えるため掘り起そうとしたとき、若芽が何本か見えました。枯れたと思っていたクスノキから“ひこばえ”が生え、驚きと同時に、大切に育てようと生長を見守りました。その冬は、藁(わら)で菰(こも)囲いを行い、今年は樹高2.8メートルに成長しました。

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今冬も松木の強烈な寒さから常緑のクスノキを守る手助けをするため、菰囲いを計画しましたが、樹高が高くなり昨年のように藁で囲もうとすると4段、5段に積み上げなければなりません。

材料の準備と組み上げに手間がかかること、強風に耐えられるかなど、様々考え、竹だけでやろうと決めたのは3日前です。それから竹の切り出しを行いました。竹細工で使うような竹ではないため、曲がりや癖があり、切り出しにも手間がかかりました。
屋根の形もどうするか、いろいろ考えましたが、結局は「霜が当たらなければ良い」と結論を出し、長さ3メートルの真竹約60本を準備、屋根の藁は森びとスタッフの小井土さんが提供してくれました。

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来春も元気に枝葉を広げてくれることを楽しみに、寒さ(気温4度前後)の中、曲がった竹に四苦八苦しながら作業を進めました。井桁に組んだ竹の囲いを4組つくり、屋根は藁を竹で挟み、150㎝×120cmの平屋根をつくりました。

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組み上げにも苦労しましたが、“みちくさ”前に「竹のシンボルツリー」が出来上がりました。

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中をのぞくと、竹の隙間から光が入り、クスの葉がキラキラと輝いて見えます。風の通り抜けも良いので、強風にも柔軟に耐えることでしょう。

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終了後来年の対策はどうするのか話題になりましたが、樹高はもっと高くなるし、「来年のことはその時に考えればいいよ」で落ち着きました。みどり市の大木さんから、いつもおいしい漬物(白カブ、赤カブ)をいただきました。ごちそうさまでした。

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 菰囲いが一段落した後は、“森びと号”の冬タイヤへの交換とビニールハウス内のポット苗に撒水をしました。

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 今日の森作業を終えて一句

     冬支度 
     凍てる松木(足尾)の 
       クスノキかな
          松村宗雄

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今日のスタッフは、清水、福原、弘永、筆者・松村(宗)でした。

2019年11月29日 (金)

氷点下の中で育てる南相馬市・鎮魂復興の森の防潮堤苗木

 今日(11/29)の南相馬市の朝の気温は氷点下4度、手がかじかむ冷えでした。9時30分に応援隊スタッフは育苗場に集合、ホットコーヒーを飲みながら森作業の打合せを行いました。

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1129_3  12月15日には今年最後の年末の森作業が9時から行います。JR東労組の各地方からプレゼントされた貴重な苗木、群馬県から運んでくれた長井さんからいただいた苗木への思いを受け止めて、応援隊スタッフは苗木を育てます。

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1129_5  今日の作業の応援隊スタッフは、松林、岩橋、筆者でした。(報告 東城敏男)

“命を支える森は人間の都合ではつくれない”・・・・・「森びとの心構え」その④

 巨大台風や大雨で土砂が流され、甚大な被害をうけている私たち。足尾・松木沢の周辺でも土砂が流されている箇所がある。私たちが2005年から育てている「臼沢の森」は「土砂流出防備保護林」として栃木県に管理されている。お陰様でこの森では土砂流出がない。森内では大きな岩を幹がガードし、地表には苔が生えている。

Photo_5 間もなく「臼沢の森」にも雪が降る

Photo_6  苔は地に水分が少なければ生えていけない。この地には水分が多く含まれているのだろう。

Photo_7  これまで森づくりには私たちの反省がある。苗木を植えてから最低3年間位は周りの草を刈らなければ苗木は草との競争に負け、寒風吹く中でも獣害防止のチェックを怠れば苗木の幹はかじられる。ところが、私たちは色々な理由を付けて草刈りや獣害防止作業をいい加減にしてきた時があった。

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Cimg0201  人間の都合で苗木たちの生長を妨害してきた体験をしてきた。私たちの命の営みを支えている森を育てていくためには、足尾・松木沢の生きものたちの一員としての森への働きかけが必須である。そこには“命を育む人間の我慢・自己犠牲”が伴うようだ。

Photo_8 生存が不安定な地球を子供たちへ渡せない。(理事 高橋佳夫)

岩手山麓の「八幡平ふるさとの森」を見護る活動を話し合う

 昨日(11/28)、岩手山麓の八幡平の森の木々たちは間もなく深い雪に埋もれます。

Photo 昨年の岩手山

 今年3月、みちのく事務所を閉所しましたので、元所長の田中さん、秋田県ファンクラブの今村さんと「八幡平ふるさとの森」を育樹・観察する打ち合わせをしました。まずは、圧雪と凍結、寒風に耐えぬき、強酸性の土壌という厳しい環境にありながら生き抜いている木々たちに応える義務があることを意思統一しました。また、「半世紀前に失われた“光輝くわが故郷“を願った」元松尾鉱山の学校を卒業した児童の思い、毎年参加してくれた植林ボランティアの願いを裏切らないように、この森を育樹・観察していくことにしました。

Photo_2 春の岩手山

  そのための母体として「森びとファンクラブ」の結成と活動計画を今後話し合っていくことにしました。

Photo_4  盛岡市内から岩手山方面を眺めると、以前に見た岩手山の雄々しい姿が頭に浮かびました。

(報告 大野昭彦)

2019年11月28日 (木)

“命をつなぐ営みの循環を変えてはならない”・・・・・「森びとの心構え」その③

 当会の活動足尾・松木沢フィールドは雪が少ない。鹿にとっては餌を探しやすいのか、冬になると雪深い尾瀬の方から松木沢に鹿が集まる。禁漁区ということもあって、本格的な冬を迎えるこれからは鹿の群れに遭うことが多い。

2010 「松木の杜」2010年

201910 「松木の杜」2019年

 積雪が多い年には鹿の死骸が目に付く。春になると死骸から異臭が出て、その臭いで気分を害するので穴を掘って死骸を埋めてやったことがある。ところが翌日になるとその穴は掘り返され、死骸は何者かに食べられていた。その後は、死骸を埋めず、死骸は森の中へ移動している。

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3_1  3年~4年前にはキツネが「森びと広場」に顔を見せていたが、その後は足尾ダム周辺まで縄張りを拡げ、人がビニールを持っているとそれを奪おうとしているという。先月には、足尾町赤倉周辺のゴミ箱を漁っていた。

Photo_2  死骸の臭いは気分を害するとか、可愛いからと言って餌を与えてしまうと、生きものたちの命をつなぐ営みの循環を狂わせてしまうことに気づかされている。

3_2  生きものたちの複雑で、未知の絶妙なバランスが、私たちの暮らしに無関係ではないということを実感している。「食物連鎖」の頂点にいる私たちもこの循環のなかで生かされている。人間の都合も“ほどほど”にしなければ、”バチが当たる”事を覚悟しなければならない。“生物社会の一員に過ぎない”私たちである。(理事 高橋佳夫)

2019年11月27日 (水)

“森の恵みは独り占めにしない”・・・・・「森びとの心構え」その②

 15年間で7万本以上の木を足尾・松木沢に植えながら森に寄り添って生きる心を養ってきたが、“森びとの心構え”とはどのようなことか。「気候非常事態」とその対策は“待ったなし!”というこの世の中に生きる私たちにとって、それは大切な宝物のように思う。

2005 2005年の臼沢の草地

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2019_2 写真上:2019年の臼沢の森階段と下:臼沢の森の紅葉

 足尾・松木沢の森と草地には、間もなく冬将軍がやってくる。熊は冬眠に入るが、鹿は尾瀬の方からも積雪の浅い松木沢にやってくる。猿も寒風の中で命をつなぐ餌を探し求める。カワラヒワの群れはヤシャブシの実をついばみ、春を待つ。春になると、猿はいち早く桜の蜜を舐め、体力を回復させているようだ。

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7  森を育てている当会にとっては、鹿や猿そしてウサギ等から苗木を守らなければならない。寒風の中で、獣の侵入を防ぐ柵やネットのチェックと補強作業をやってきた。そこで気づかされたことは、完璧に獣害を防ぐということはできないということであり、森の恵みは独り占めにしてはいけないということであった。

Photo_2  私たちが植えた木々の樹皮や実を鹿や猿等が食べてくれることは、全ての生きものたちの命をつなぐ営みの循環を護っていることではないか、という事実に立つことができたからである。

2  そのように考えると、地球(森や海)は独り占めにしてはならないのではないかと思う。自然の恵みはすべての生きものたちの“共有資源”という視点に立って、“森に寄り添う暮らし(社会)”を考えてみたい。(理事 高橋佳夫)

2019年11月25日 (月)

晩秋の足尾・松木沢は心安らぐ世界

 11月23日、足尾に住居を移してから、ひとりで松木沢を歩いた。天気は、山々や草を見ると、秋の終わりを悲しむかのような、冷たい小雨の降る生憎であった。それが幸いして思わず立ち止まってしまう景色に遭えた。その景色は、中倉山や足尾ジャンダルムも、そして秋の名残の「臼沢の森」は霧に霞んで一幅の絵を見ているような錯覚に陥った。思わず「いいなぁ!」と呟いてしまった。

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 歩き始めるとヤシャブシの実から滴り落ちる雨、草紅葉の一角を占めるチカラシバの繊毛に溜まる沢山の雨滴、その上には紅葉の盛りを過ぎた緑、黄、赤のグラデーションを魅せているヤマモミジ。その下に目を落とすと、緑の苔の絨毯に舞い降りたモミジの葉、そのひとつ一つが心を和ませ、安らぎを与えてくれた。

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 一番心に染みたのは、「臼沢の森」に上る階段に降り積もった落ち葉だった。15年間の森づくりの辛さや悩んだ事が頭に浮かび、「ここまでやってきて良かった!」という喜びが胸を熱くした。

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 仲間が待つ「みちくさ」に戻ってくると、石にペイントした”オジサン達”が出迎えてくれる。そこに幾つかベンチが設置されている。今年は出遅れてしまったが、来年は一人のハイカーとして座って、松木の秋を満喫してみたい。

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 冬将軍が間もなくやってくる時の気がかりは、「みちくさ」前のクスノキだ。昨年は、松村宗雄スタッフの渾身の作である藁束で作った”モガリ”で冬の寒さをしのいできたが、今年は、その木が3メートルを超えた。

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 防寒対策は11月30日に行うというので、スタッフたちの和の技と「足尾isハートランド」のシンボルツリーとなってほしいクスノキへの情熱を楽しみにしている。(報告 橋倉喜一)

2019年11月24日 (日)

来月10日は森びと設立15年、支えてくれました森びとに感謝します

Photo 「臼澤の森」

Photo_2 「民衆の杜」

 明日から2週間もすると当会設立15年(12/10)である。足尾の森はこげ茶色の森から灰色に変わり、様々な寒風の声で合唱がはじまる。15年前は様々な歌声はなく、ヒューという草地の声だけだった気がする。

Photo_3 センダイムシクイ

Photo_4 ニホンカモシカ

Photo_5 バッタの仲間

 15年間で1万人以上の森ともに育てられている森では、ツキノワグマから目に見えない土壌動物たちの命をつなぐ営みがある。「臼沢の森」では大雨にも負けない機能を発揮し、土砂をガードしてくれている。コナラやカエデの仲間は実生が生え、いずれ来る森の主役の番を待っている。

2014 2014年の「松木の杜」

192019102 2019年の「松木の杜」

 当会の合言葉は「山と心に木を植える」としているが、1年間に100日以上も足尾の森作業をしているスタッフたちの心にも木が植えられている。価値観の違う大人たちが心をひとつにして15年間も森作業をしているのだから、そこには“森に寄り添って生きる人間の心構え”が培われてきた。

P6305453  常に、“目配り、気配り、心配り”を持って、自然に向き合いながら森作業を体験しながら積み重ねてきた“森びとの心構え”は、次世代に遺す大切な“森びとの宝物”のようだ。

15年間の森づくりを支えてくれた皆様に、心から感謝申し上げます。(理事 高橋佳夫)

2019年11月21日 (木)

冬将軍を迎える準備をすすめる足尾・松木沢

 足尾町の朝、薄氷がはり、昨日、日光駅から足尾町へ向かう途中の男体山はうっすらと雪化粧していました。日本には冬将軍がやってきたようです。

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Photo  透きとおった青空の足尾・松木沢の朝の気温は3.5度。小屋では福原さんがストーブに薪を入れ、広場では松村さんは運んできたU字溝を降ろし、鎌田さんが作業準備。それからホットコーヒーを飲みながらの打合せ。はじめはそれぞれの健康状態を確かめ合い、シロダモ苗をハウスに移動し、これからの撒水準備を整えました。

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Photo_3  ビニールハウスは使わずに放置状態だったので、ハウス内外の草取りを行い、防草シートを張って来春の育苗作業に備えました。

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Photo_6 シロダモはハウス内で越冬

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Photo_8 上:草だらけのハウス内、下:来春を待つハウス

 昼過ぎ、加賀、柳澤スタッフが甲羅板と鉄筋をトラックに積んで森びと広場に到着。全員がそろったので昼食を食べ、午後の作業に入りました。

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Photo_11  「臼沢西の森」の土留め用に運んだ甲羅板を広場の片隅に降ろし、甲羅板を支える鉄筋はハウスに保管しました。その後は、全員でハウス周辺の草取りを行い、ハウス内外の整備を終了させました。太陽が中倉山に隠れはじめたので本日の作業は終了です。作業小屋でコーヒーを飲みながら「みちくさ」屋根の修繕方法の意見交換を行い、薄暗くなってきたので帰路に着きました。 

Photo_12 昼頃の「臼沢の森」

本日の作業は、鎌田、松村健、加賀、柳澤、福原そして筆者でした。(報告 高橋佳夫)

 

2019年11月18日 (月)

間もなく越冬を迎える足尾・松木沢で森作業

 昨日の「秋の感謝デー」では約14㌖の探索路(仮称「足尾古道」)を歩きました。その後の筋肉痛を感じながら、今日は越冬準備作業をしました。

1  間もなく霜が降りる季節となりましたので、天空の森に旅立った故・竹内さんが南相馬育ちのシロダモの芽を枯らしてはならぬと、その苗の移動先のビニールハウス内を片付けました。

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3  このハウスに獣が侵入してはならぬと周囲を柵で囲んでいますが、その入口に強靭な柵を柱に縛り付けました。写真は、その針金を曲げることが大変そうな仁平スタッフ。握力は歳と共に弱ってしまったのか、写真の表情とは真逆でした。10時すぎると秋の青空と太陽が汗を滲ませてくれました。なんとも贅沢な時間が過ぎていると感じました。

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6  ハウス内は洗浄機とタンクも設置し、21日の苗木移動を待つばかりにしました。遠くからは雄鹿が雌を呼ぶ声が聴こえ、これからは尾瀬方面からこの地に集まる越冬鹿たちとも向き合うことになります。

7  今日の作業は仁平、丹橋でした。「臼沢の森」の秋祭りは静かになってきました。 (報告 高橋佳夫)

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