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2019年7月29日 (月)

世界に誇れる森に育て上げたい足尾・松木沢の森・・・育樹祭報告その➄

 東海地方が梅雨明けした。天気予報では一気に猛暑日が襲ってくるらしい。足尾「臼沢の森」に入ると、外気温と林内温度差が約10度ある。木々も必死になって猛暑を乗り切っているのだろう。育樹祭の最後は、中村幸人理事長から挨拶をいただきました。

Photo  理事長は、「ご来賓の方々から有意義なアドバイスを沢山いただきました。これからの育樹に是非活用させていただきたいと思っています。森ともの皆さん!草刈りご苦労様でした。今後学んでいただきたいことがあります。雑草という名前の植物はありません。それぞれみんな名前があります。それぞれの草は、自分たちにあった環境の下で生活しています。ススキやチガヤはどちらかというと乾燥した痩せた土地、ヨモギはちょっと湿った土地の肥えたところに生きています。草を刈り取る作業をしながらでも気を付けてみると、そこの土地の状態がわかります。そうすると、そこに植えた木がどのような状態にあるかということも分かります。 

Photo_2  私は、研究者の目で森を見て、厳密に言えば木は育っていますけれども森林の生態系としてはまだ途上かなと思います。本来の生態系を発揮するには、あと4,50年かかると思っています。ただし、植えられている樹木というのは潜在自然植生の構成、本来この土地にあるべき自然の森の植物です。これは非常に重要なことです。森の回りに、様々な動物が寄ってくる。それは間違いなく、この森が生物の多様性を大きくしているということです。その動物たちが、いろいろな樹種とのかかわりから、動物によってその種子が運ばれる、様々な動物が森を利用することによって色々なところに種子がばら撒かれ、今後の森の広がりにより大きな効果が期待できます。

2  本来の自然の森、ブナの森というのがこの地域の潜在自然植生です。5,60種類の植物で構成された多様な森です。植えられたブナは自然にすくすくと成長していますけれども、植栽された樹種のうち、数本が優占林になるには4,50年かかると思います。私たちは森の生物多様性が形づくられていく過程を15年目の節目として確認することができました。

Photo_3  これからは植樹でなくて育樹を続けていきます。その中では森がより充実した生物の多様性にとんだ、われわれが本当に望む豊かな生物社会になっていくことを祈念したいと思っています。先ほど、世の中がイケイケドンドンに戻ってしまい、環境問題の意識が薄れてきているということですが、この環境問題は待ったなし、避けて通れない非常に大事な、人類の生存がかかっています。活動は2,3年後退しても、私たちは成し遂げなければならない大きな課題です。その課題解決のために日本は一番適した所だと思います。日本列島ぐらい生物にとって豊かな気候や土壌環境はありません。雨が沢山降って、気候はマイルドで温帯気候、すべて放って置けば森林になるという中で私たちが他の国にアピールできるものが沢山あります。自然と共にそれを学習しながら、それをゆくゆくは日本から海外に、そして地球全体に貢献できればと思います。参加の皆様、今日はご苦労様でした、有り難う御座いました。 (挨拶は短くしました。理事 髙橋佳夫)

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