“真の文明は、これ以上、大地と海を温めず、生物社会を乱さず、人を殺さざるべし”
この時季、足尾・松木沢の草地を見ていると小さな花に集まり、虫が蜜を舐めている。動けない草にとっては、いのちを繋ぐ有難い虫たちの支え合いだ。花の蜜も夏には虫たちのいのちを繋ぐ栄養になっていく。
やがてこの草は虫たちの受粉で実をつけ、鳥や動物たちの餌となり、地面に落ちた種は次の草となる。畑や田んぼの中でもこのような“つながり”があって、私たちの胃袋を満たしてくれる。
足尾で見かける鹿の死骸は色々な生きものたちの餌となり、やがて土に還っていく。死骸を独り占めにしている様子は見たことがない。食は“ほどほど”のようだ。そんなことが生態の“バランス”となっているようだ。
地球(生態)は「つながりとバランス」が整っていることが大事な気がする。食物連鎖の頂点にいるのは人間だが、人間社会では「〇〇ファースト」がひとつの潮流になって、貧困が増え、格差が拡がっている。
「真の文明は 山を荒さず 川を荒さず 村を破らず 人を殺さざるべし」(田中正造の日記より)とは、全ての命は森に支えられている、命の源は森であり、人間は生物社会の一員にすぎない、という考え方が根底にあったのではないかと思う。現代においては、「真の文明は、これ以上、大地と海を温めず、生物社会を乱さず、人を殺さざるべし」と言いたい。
このような意見交換がつくりだせたのかは不安だが、ミシガン大学生達との交流では、地球温暖化にブレーキをかけていく“連帯”が芽生えた気がする。スタッフの鎌田さん、小川さん、太宰さん、宮原さんお疲れ様でした。(理事 髙橋佳夫)
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