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2025年10月12日 (日)

先輩の育てた“いのちの森”を歩き、森づくりの苦労と情熱を知る。

 10月10日(金)、今日はJREU千葉のリーダー5名を「松木郷の森」に案内します。

台風22号が遠ざかり朝から青空が広がりました。“みちくさ”の温度計を見ると9時の気温は15度。室内の清掃とお湯を沸かし受け入れの準備をしました。

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 10時に千葉の皆さんが到着し、自己紹介。責任者の長谷さんは足尾の森に来たことがありますが、他の4名は初めての「松木郷」入りです。なぜ足尾の地で森づくりを始めたのか、経緯を説明し「森の案内」をスタートしました。

 

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 足尾で最初に木を植えた「臼沢の森」に向かいました。森づくりを始めるにあたって、シカの食害防止の獣害柵作り、植樹用の黒土を運ぶために間伐材で階段をつくりました。

 この階段作りの指導をしてくれたのが参加者の先輩である相川好夫さんでした。当時、森びとスタッフは千葉県南房総市和田浦の「花嫁街道」で階段作りの手ほどきを受け、足尾に戻り階段を660段つくりました。2021年から22年の冬に朽ちてしまった階段を作り直しましたが、登り始めのクリの材でつくった階段は今も健在です。

 何万人ものボランティアの皆さんが安全に植樹できたのも先輩(相川さん)の「花嫁街道」保全の経験に基づくものであることを伝えさせていただきました。

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 森に入った第一声は「森の中は涼しい、空気が気持ちいい」でした。木々の葉が日差しをやわらげ、木の根を落ち葉と苔が覆い保水力を高めている様子や転げ落ちた岩を細い木が止めている様子が見られ、「土砂流出保護防備林」としての機能が少しづつ発揮されている様子なども見てもらいました。

 M&mベンチで一休み。当時は前方に中倉山が見えましたが、今は森が広がっており、森の生長に笑みをこぼす様子を想像し、看板を囲んで記念写真を撮りました。

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 次に、2014年にJREU千葉の皆さんが植樹を行なった「民集の杜北」に向かいました。

「あの黒いものは何ですか」と杜の入り口で質問をいただき、銅を精錬する過程で出た鉱滓「カラミ」の堆積場で閉山後も管理されている場所であること、そこに、緑化で種の撒かれたヤシャブシの木が2本生えていますが、森が回復する困難さを感じていました。

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 民集の杜北の中に入り、JREU千葉の植樹地に向かいました。杜のトンネルを抜け左に曲がると朽ちた「JREU千葉」の看板が見えます。

 植樹当時の写真と見比べてもらい、木々の生長に驚いていました。朽ちた看板は21日にOB会の皆さんが来てリニューアルしてくれます。

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 林床のあちこちにキノコが顔を出し、枯れた木を分解してくれています。北側の獣害柵の脇を歩くとシラカバの木に立派なキノコが生えていました。ヒラタケに似ているのですが、素人には毒キノコか判別できないので、後で調べるとウスヒラタケ(食用)でした。木の実の他にも森の恵みが育っていました。

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 12時40分、遅めの昼食をとり、午後は森びと広場の記念樹エリアに植樹をしていただきました。記念樹は「ナツツバキ」です。可憐な白い花を咲かせてくれます。事前に掘った1mの穴に20ℓの黒土を最初に8袋入れて元の土と混ぜてもらいました。後から4袋を入れて混ぜ参加者それぞれの思いを込めて幼木を植えました。

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 “みちくさ”に戻り、杜を歩いた感想を聞きながら意見交換を行いました。

・来る前は、山なので土があるのは当然と思っていた。ここまで砂と石で乾燥し、土壌からつくらなければならない様子を植樹前の写真で知りました。森に入り、空気が違う。入っただけで温度が下がる。労働現場とも関係する。猛暑下で働いており、環境にも関心を持たなければならない。

・桜の開花時期が早まっているから花見の日を変えればいいと思ったが、目の前のことだけではなく、その背後にある(地球温暖化)ものを考えることの大切さを学んだ。

・2年経って新たな生き物が森に来ている。驚きと森ができると生態系が回復してくることを実感。あきらめることなく続ければ森は再生していく。感じた私たちが活動していかなければならない。

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 と、森づくりも鉄道現場の労働も、人間・仲間の命と安全、生活を守っていくものであると、先輩の森づくり意志を継承していく気持ちを伝えてくれました。

 帰る準備をしていると“みちくさ”の前に“森の友だち”アナグマが顔を出し、JREU千葉の皆さんの見送りをしてくれました。「母なる森」へと育てていきましょう。

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 今日の森の案内は、橋倉さん、済賀さん、筆者清水でした。

(報告:清水 卓)

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