植物や動物が作れない大切な栄養素(ミネラル)を育てる森
足尾銅山精錬所跡
大雨で土砂崩壊、深層崩壊が各地で起きているが、大雪が溶けだす時にも土砂は流れる。近くに住む人にとって見れば災害に遭って大変な暮らしを強いられる。気象の変化に向き合う知恵が大事だ。
「ミネラル」(カルシウム、リン、カリウム、硫黄、塩素、ナトリウム、マグネシウム等の元素)は生命を維持する重要な栄養素のひとつだ。ところが植物も動物もミネラルを自分で作ることはできない。ゆえに植物は土壌からミネラルを吸収し、動物は水や植物からミネラルを摂取する。
森に降った雨や雪の水は蒸発し、地中に染み込んでいく。地中に染み込んだ水は植物に吸い上げられて大気に戻る。地中に染み込んだ水は時間をかけて栄養豊富なミネラル分を含んで川から海へ流れ、植物プランクトンや動物プランクトンの栄養になる。まさに森は生命を支える源と言える。
生命を維持する大切な栄養素をつくる土壌と森が、大雨や大雪によって流されてしまうことは命を縮めていくことになる。想定外の異常気象と向き合う知恵は“森と暮らす”という視点に立つとみつかる気がする。(理事 髙橋佳夫)
コメント