森(樹木)の宝物を暮らしに活かす人の知恵!?
記録的な大雪と向き合って春を待っている地方の皆さんの苦労からは自然(森)と生きていくことの難しさを感じる。そのむずかしさのいくつかも、この大地で森と生きていく知識を雪国の知恵として築いてきた先人。雪降しは大変な作業ですが、何百年間も何十㌧という雪に耐えているのが柱(森の樹木だ)と草だ。鉄やセメントにしてもその昔は草木だった。
ところで森の樹木も大雪に耐え抜いている。樹氷は美しく見えるが、樹木からすればずっしり重い雪と寒風に耐えなければならない。どうして何十㌧もの雪の重さに耐え抜くことができるのか。1千年以上前に建築された奈良の法隆寺はどうして木が折れないのか。
樹木を支えている理由は、樹木の植物細胞にある分子「セルロース」が束丈になって植物を支えているという(『毎日新聞』)。この「セルロース」を分解すると、セルロースナノファイバー(CNF)という髪の毛の太さの1万分の1程度の繊維がありこれが強いという。
なんとその強さは鉄の5倍もあり、炭素繊維(カーボンファイバー)に匹敵する。この軽くて頑丈な素材はプラスチック等の代替材料に使えるという。だが燃えやすく、水に溶けやすい欠点がある。石油依存の社会からの脱却が期待されている。
「夢の新素材」(軽くて強い・熱による変化が小さい・酸素を通しにくい・二酸化炭素排出が少ない・環境に優しいバイオマス素材)として開発が進むと、森が衰退してしまうのではないかと心配する。
来月25日(日)は当会の第13回通常総会が東京で開かれる。地球の悲鳴に応えられる森と生きる知恵を現代の暮らしに活かしていく議論に期待したい。(理事 髙橋佳夫)
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