支え合うことの嬉しさを感じる暮らしが“幸せ”
獣と距離を保って人間が生きていくためには“心くばりと我慢”が必要な気がします。獣はいのちを維持するために、餌を求めて必死になって柵やネットに何度も体当たりします。反面、人間と獣との距離を一定程度保っていると、獣は自然界の中で生きている様です。
“心くばり”とは距離を保つということあり、そこには優しさと厳しさが同居しています。“我慢”とは、生き物たちの生息環境を人間の都合で犯さない、ということではないでしょうか。
人工飼育で育ったトキが野生に放たれて30数年が経ち、そのトキが野生で子育てをしています。そこには人間の“心くばりと我慢”による、トキが生息できる環境づくりの努力があるではないかと思います。
人間の一時的な欲の追及・利益優先による乱開発の反省、農薬散布の見直し等によって、自然環境の循環が回復しつつあります。その結果、野生に放ったトキが野生で子育てをしている、という嬉しいニュース。
自然の生き物たちとの距離を保った“心くばりと我慢”を暮らしに取り入れている地元の方々は、多分、本ものの”幸せ”を実感しているのではないでしょうか。
「心くばり」は優しさだけではなく、時には“厳しさ”も必要です。そうでないと生き物との距離が保たれません。フクシマ原発事故によって自宅で暮らしができない方々の一部は、自宅がイノシシに占拠されているところがあります。これも人間の傲慢な暮らし方が原因であるような気がします。
椅子に座って森を観ていると、カモシカやリス、鳥のイカルたちから、そんなメッセージが人間に送られている気がします。21日の足尾・ふるさとの森づくりでは、参加者の皆さんとそんな事を語り合いたい。(理事 髙橋佳夫)
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