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2019年10月の22件の記事

2019年10月 3日 (木)

子供たちと若者の叫びに応える大人でありたい

 先月、アメリカ・ニューヨークで開催された国連気候行動サミットに向けて、“温暖化防止”、“気候正義”を求めて、世界中で子どもたちや若者を中心に150カ国、4,500ヵ所、700万人以上の参加者が手を取り合って声をあげました。
 USATODAY紙によると、今回の気候デモへの参加者は、アメリカ・ニューヨーク25万人、オーストラリア・メルボルン10万人、ドイツ・ベルリン27万人、ドイツ全体150万人、イギリス・ロンドン10万人、東京5,000人と報道しています。

Img_20191003_193338_2           (9月20日朝日新聞)

 このまま地球温暖化が進み異常気象が当たり前のように頻発すると、一番被害を受けるのは未来ある子供たちや若者世代であり、その象徴的存在がスウェーデン人のグレタ・トゥーンベリさんです。
 この子供たちや若者の声に応えた企業がありました。イギリスの化粧品会社・RUSH(ラッシュ)は世界38カ国の店舗とオンラインショップで営業を停止し、参加は社員の任意ということでした。また、スノーボード用品メーカーのBURTON(バートン)でもオフィスと店の営業を停止し、それぞれのデモ行進に参加をする場合は、勤務扱いとなり、参加をしない場合は有給扱いとしたそうです。この他にも、フットウェアブランドのKEEN JAPAN、アウトドアメーカーのパタゴニア日本支社、通販会社のフェリシモなどもグローバル気候マーチへの賛同をしました。

20191003_192941_2 「国連気候サミット」を呼びかけたグテーレス事務総長は閉会スピーチで、「77か国が2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げ、70か国が2020年までに国としての対策を強化させると表明した」と話をしました。しかし、ここには温室効果ガス排出上位5か国(中国、アメリカ、インド、ロシア、日本)は含まれていないようです。環境汚染をしている上位5か国は、世界の子どもたちや若者の声を無視し、グレタさんから「温暖化防止のための行動を怠り続けるならば、あなたたちは悪だ」と、言われてしまいました。

 このサミットでは日本政府、安倍首相のいつもの元気はなく、小泉進次郎環境大臣のスピーチも意味不明の”セクシー”という言葉が失笑されました。その上、日本はG7の中で唯一、石炭火力発電を国内外で推進していることに世界各国から非難をされてました。


 当会は、地球温暖化に対して何か効果的な対策を打つことはできないか、未来を生きる子供たちと私たちのために地球を守りたいと15年間森づくりをすすめ、足尾では70,000本以上の木を植えてきました。地球温暖化防止には、温室効果ガス、中でも二酸化炭素の大気中の濃度を増加させないことが重要であり、森が吸収源として大きな役割を果たしています。20190723_193101_3

 今年5月、フィリピンでは卒業を控えた小学校から大学までの生徒らに、卒業の条件として“10本の木を植えること”を義務付ける法律「Graduation Legacy For the Environment」(環境を改善するための卒業遺産)が制定されました。法案を起草した国会議員のゲーリー・アレジャノさんは「この法律は若者たちの意識を高め、サスティナブル(持続可能な)な資源活用を促進していく」、「毎年小学校から1,200万人、高校から500万人、大学から50万人が卒業する。毎年少なくとも1億7500万本の新しい木が植えられることになる」などと語っています。森林破壊により、毎年森林が現象している現状を鑑み、次代を担う若者に植林を通じて二酸化炭素の吸収や森林破壊防止のほか、環境への関心を高めるために多少強引かもしれませんが、良い環境教育だなと感じました。Cimg2856_2

(2010年、川崎市古川小学校での環境教育授業の様子)

 日本でも学生に限らず、地球温暖化防止のために国民参加の植林活動を官民が一緒になって進めていくことこそ、グレタさんら若者たちの行動に応えることになるのではないかと思います。(東京事務所・小林敬)

2019年10月 1日 (火)

秋の夜長に模索する森に寄り添う暮らし方

Photo  上の写真は森びとを設立した当時から木を植えている「臼沢の森」の最頂地。苗木の廻りの草を刈った後に、苗木が太陽からのエネルギーをもらって越冬する準備をはじめている。この苗木たちは何度も鹿や猿、ウサギたちに食べられ、その上、私たちの都合で草との競争で負けそうになったがそれに耐え抜いて元気に育っている。

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Photo_3  この「臼沢の森」の育樹作業に向かう途中には旧松木村の祠が鎮座している。祠(上)の写真の左側にはヒガンバナが咲いている。写真を拡大してみると蝶が蜜を吸っている。今年の秋の育樹作業は“いにしえの松木村の村人の暮らし”の様子がスタッフたちの志を支えてくれていると思う。 

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今年も実をつけてくれた森びと広場の柿

 国連「気候行動サミット2019」(グテレス事務総長)へ送った「地球温暖化にブレーキをかける要望書」の2項に、「パリ協定」締約国と地域は「パリ協定」の完全遵守を「義務」とし、温室効果ガス排出の実質的ゼロを2050年までに実現させる義務があることを誓約する事、を要望した。

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Photo_6  新聞紙上では、グテレス事務総長の要請に対して、77カ国が「2050年までにゼロとする目標を公表した」と報道されている。会議では、「パリ協定」を批准していないロシアは批准表明をしたこと等、これまでと違った温暖化防止への取り組み姿勢も報道されている。残念なことに、日本政府は「石炭火力への依存姿勢が国際的批判を浴び」、サミットでの発言の機会を与えられなかった。 

Photo_8  私たちは国連へ提出した要望書に対する国連のコメントを期待している。7月の「G20サミット」へ向けて要望書を安倍首相へ提出したが、残念ながら安倍首相(政府)からの返事はなかった。

Photo_9  15年前、当会は温暖化をなんとか防ぐことはできないかと森づくりを始めた。来年は「パリ協定」の実行年。締約した日本(人)として何をなすべきか、次世代を生きる若者たちの生存の基盤である地球をこれ以上衰弱させないために、何を遺していくのか。「パリ協定」スタート年を迎える中で、当会は会員と今後10年の進路を話し合っていかなくてはならない。

Photo_10 秋を彩るヒガンバナ(みちくさ庭園にて)

 森びと設立15年(12/10)を迎えて、生物社会にある人間社会の政治もこれ以上劣化させてはならないという主旨を言い続けた故・岸井理事長の遺志を、そして宮脇昭最高顧問の志を、そして支えてくれた会員の願いを今後10年の事業に遺すために模索しなければならない。秋の夜長はそんな時を与えてくれる。その基盤は、15年間の森づくりで培った“山と心に木を植えた”宝物であると思う。

(理事 髙橋佳夫)

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