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2010年6月の11件の記事

2010年6月29日 (火)

ドングリの幼木と共に育つ児童の心

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 首都圏の梅雨は雨が降ったり止んだりの日が続いています。今年発芽したドングリにとってはポット内が乾燥せず、その上太陽からのエネルギーを吸収できるので有り難い様です。今日は川崎市立古川小学校2年生(86名)の「ドングリ教室」が開かれました。児童たちはちょっと蒸し暑い校庭の隅で新しい命を誕生させたドングリが元気に大きくなれるようにと、ひとつのポットに2つ芽生えた命をひとつの新しい家に引っ越しさせました。

今回で4時間目のドングリ教室ですが、本日のドングリ先生は森びとインストラクターの川崎森子さんが担当しました。川崎先生からは、「小さな赤ちゃんのドングリはドングリからおっぱいを吸って、ひとりで大きくなれるように足(根)と手(葉)を強くします。新しい家で独り立ちできるように赤ん坊の苗木に元気をあげてください」という話がされました。

Cimg2842 昨年ピカピカの1年生になったばかりの児童は秋に公園の森でドングリを拾い、学校に持ち帰ってお父さんやお母さんと蒔いたドングリ。そのドングリが根と芽を出し、殆どのドングリに新しい命を吹き込むことができました。今日はその赤ちゃん苗木が元気になるようにと、2年生になった児童は真剣な顔でポットから新しい家(ポット)へ植え替えました。「ポットの中にいる虫は大切なんだよ!」と、虫を土に返した児童たち。「土は虫が作り木は土で大きくなる、ということが児童の身体に染み込んでいるようでした」、と川崎さんが伝えてくれました。(仁平事務局次長発)

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2010年6月26日 (土)

拓大の文化祭を応援しよう!

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昨日、拓殖大学商学部4年生・Yくんからメールが届きました。メールは「5月に行なわれました足尾の植林活動に参加させていただきました。昨年の植林にも参加しましたが、足尾の緑の増え具合や参加者の多さに驚きました。このような植林活動がもっと多くの場所で行なわれ、多くの方に参加してほしいと改めて感じました。この度、私が所属するゼミナールがオープンキャンパスや文化祭でゼミ活動を紹介するブースを設けることが出来ました。5月に行なわれた植林活動の内容や森びとプロジェクト委員会の概要を模造紙にまとめて紹介したいと思っております」という内容でした。

早速、Yくんの創造と実践に敬意を表して返信をしました。文化祭等の開催日が分かりましたら皆さんに紹介しますので、Yくん達の活動を一緒に盛り上げましょう。

ところで足尾現地は梅雨と梅雨の合間の晴れで草木が元気に育っています。勿論、他の生物たちも元気なようです。そんな中で事務局・小川さんや事務局スタッフの皆さんは育苗・育樹活動に汗しています。森の周囲をチェックすることも事務局のひとつの仕事ですが、松木渓谷添いに植えた「絆の森」入り口の看板が何物かによって剥がされていました。現地ではイノシシが棲息している話はありませんので、発見した小川さん達は「爪痕を見ると熊だ」という報告がありました。土壌分解動物から昆虫そして猛禽類と熊が元気に生きていける森がつくられている感じです。Yくんにはこのような情報を伝えてやりたいと思っています。

今年植えた標高1千㍍付近の若木たちも元気です。

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2010年6月23日 (水)

自然を愛する皆さんの熱意で2200本を植えきる

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6月20日の第7回八幡平・ふるさとの森づくりは梅雨の真っただ中での開催となりました。当日は朝から雨が降り、カッパは離せませんでした。それでも今年は何としても植樹をしようと事務局を中心に、セレモニーの準備やテント設営など進めていましたが、途中から雷が鳴り雨脚も強くなりました。この日の岩手県内は落雷により2600戸が一時停電となりました。

11時30分に事務局はやむなく「中止」という重い決断をせざるをえませんでした。即、事務局は連絡できる個人・団体に中止の連絡をしました。ところが12時に近づくと一転雷も雨も止みはじめました。連絡がとれず会場に到着した参加者の皆さんからは「少しでも植樹したい」との声が上がりました。事務局は悩んだ末、参加者の声に押され植樹に着手することにしました。結果、当初予定していた22種2.204本全てを植えきることができました。

Img_0894_3 豪雨にもかかわらず植樹できたのは参加者の熱い思いと昨年の教訓を生かして植樹場所にシートを被せたことでした。悪天候の中、参加された皆さんの熱意に感謝し、雨の中で植樹をして頂き本当にありがとうございました。とくに盛岡森林管理署の伊藤署長も最後までお付き合い下さってありがとうございました。準備に汗してくれましたボランティアの皆さん、事務局員の皆さんお疲れ様でした。植樹後の記念撮影には126名の皆さんが参集してくれていました。(みちのく事務所 仲崎発)

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2010年6月21日 (月)

異常気象は人災である?!

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今日は本格的な夏に入ると言われている夏至です。春に植えた稲や野菜そして実を付ける草木は太陽のエネルギーを受けて私たちにその恵みを与えてくれます。ところがこの頃の梅雨季は米作りに感謝する恵みの雨、縁側で紫陽花を眺めて雨と親しむという情緒を感じる余裕がなく、局地的豪雨、雷や竜巻に注意という自然災害から田圃や人家を防衛する意識をもたなくてはならない梅雨季に変貌しているようです。フランスや中国各地でも豪雨と洪水で地域の方々が自然災害に遭っています。これも人間が自然に負荷をかけ過ぎた結果です。これらには対処治療的な対応では自然のからのしっぺ返しに応えることはできません。

 日本各地では参議院選挙モードですが消費税、環境問題、安全保障問題にも私たちは注目し自分の意見をしつかり持たないと誤魔化されてしまうと思っています。足尾・ふるさとの森づくりでは山崎誠衆議院議員が宮脇方式の森づくりを国政に活かしていきたいと述べてくれました。もう一人の方からも「国政の場で“山と心に木を植えたい”」と述べられました。たしろかおるさんは「2001年から5年間、アフガニスタンで子どもたちを支援してきました。平和な社会で子どもたちが学べるようにと、アフガニスタンでも宮脇方式で森づくりを考えてきましたが戦火が悪化し、それを叶えることができませんでした。私・たしろかおるは参議院選に挑戦し、国政の場から“山と心に木を植えたい”。日本、アジアから世界へ拡げていきたい」と志を述べてくれました。頼もしさを感じた「森びと集い」の一幕でした。

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2010年6月19日 (土)

森の文化をきり拓く主人公は私たち?

 明日は第7回八幡平・ふるさとの森づくりです。梅雨の天気が気になりますが予報では曇りの様です。例え雨であっても昨年のように参加者の期待を裏切らない準備をしている事務局です。明日も私たちは極酸性土壌での厳しい森づくりに挑戦していきます。

 極酸性土壌にしたのは人間です。一時の雲上の楽園が永遠と続く中和処理や何百年もかけていのちの森づくりをしなくてはならない負の歴史をつくったのも人間です。この歴史を繰り返してはならないと私たちは“山と心に木を植えて”います。森づくりに参加して感想を送ってくれた皆さん、人と自然の生命を大切にしてほしいと願って木を植えている参加者の皆さんの期待を裏切らないためにも、私たちは負の歴史を繰り返さないために国政にも働きかけています。

 先月の足尾・ふるさとの森づくりには衆議院議員・山崎誠さんが参加しました。山崎さんは「足尾の森づくりの現場に立ちまして感動しています。温暖化が進んでいるからと言って二酸化炭素排出が少ない原子力発電所作りが活発に動きだしています。地域の方々は地域の自然を守りたいと戦っています。私もなんとか建設を食い止めたいと応援しています。今日の現場とそこを重ね合わせると、本当に貴重な自然を守る方々が必死になっていることに感動です。これを全国の多くの皆さんに伝えていきたいと決意しましたし、今日の植林体験を国政に反映したいと思いました」(主旨)と、感想を述べてくれました。

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2010年6月17日 (木)

森と共に生きていく道を探る

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 第17回足尾・ふるさとの森づくりに参加した男性から感想文が送られてきましたので紹介します。

 私は植樹活動には始めて参加しました。動機は以前から自然が好きであったこと、自分の有り余る体力を何かに役立てようと思っていたところ職場の先輩から誘われたから。最初はただ木を植えればいいのか、と考えていたが、土を掘り腐葉土と炭を混ぜ合わせ苗木を植えて土を上から被せるうちに、自分に中に「この木が強く育って立派な森を作って欲しい」という親心にも似た愛情が湧いてきた。たった3本の苗木を植えただけですが、この荒れた土地が豊かな森になればなあーと思った。それと共に自然を破壊するのも守るのも人間だと思った。自然を守っていきたいと思う自分と便利な生活をしたいと思う自分、自然が好きと言いつつ自然破壊をしてきた文明社会の中で生きる自分、植樹活動という自然を守る活動の為に遠路を大量の車を使い排気ガスをまき散らして来る事等、自分や人間の良い部分と悪い分、エゴ、矛盾を感じ考えさせられた。だからと言って何もしなくて良いという事にはならず、やはり自然と人間が共存できる道を探していかなければならないと思う。自分も今回の植樹をきっかけとして小さい事からはじめていこうと思った。

また、自分が植えてきた木が何だったのかよく分からないまま植えていたので、勉強していきたいと思っている。更に、今回は色々な人とあまり交流できなかったので身内だけでなく、他の団体や大学生、専門家の人たちと交流できる時間や機会があったらもっと良いと思った。

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2010年6月12日 (土)

松やナラ枯れの原因は複眼的に調べよう

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 昨日は8時30分から「日本の森を元気にする議員連盟」第2回勉強会が開かれました。講義は大森禎子先生(元東邦大学教授)から「大気汚染と樹木の立ち枯れ」に関する内容でした。当委員会からは高橋副理事長、稲葉理事そして小林事務局員が同席しました。

 出席された議員からは「汚染物質はどこから飛んでくるのか」「その対応策は」、「森林学会ではどのような見解に立っているのか」「炭の効果を実証していくためには」等の質問があり、大森先生の見解が述べられました。当委員会(高橋副理事長)からは「昭和52年から松枯れ対策として虫だけを駆除してきたが松枯れは止まらない。今度は広葉樹(ナラ等)枯れが拡がりこれも拡大するばかりです。木は根、根は土です。土をつくる土壌分解動物が土の酸性化で元気がありません。複眼的な対策が求められています」、と訴えました。学習会の最後に今野東会長は「勉強するたびに危機感をもつ、選挙後はナラ枯れの現場を視察したい」と締めくくりました。

P6110261  9日の夜、NHKテレビで土壌動物の世界が紹介されていました。土壌の菌が毛根に近付くと信号みたいなものを発信し、毛根はそれを受信しているようです。菌と毛根が接触すると毛根は菌にデンプンを供給し、菌は毛根に窒素を与えているそうです。この様子を茨城大学研究チームが映像化していました。

 翌日(10日)、苗床の草取りと追肥を行っているとひとつのポットに2本の苗木が育っている場合があります。こういう場合は1本を他のポットに植え替えますが、土の中では毛根が絡み合っていますので根が切れないようにして植え替えます。写真はその時のものですが、白く見えるのが菌です。テレビで報道していた様子が足尾の苗床では行われていました。

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2010年6月 9日 (水)

乳離れの時季を迎えたミズナラ

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 おはようございます。「どくだみ荘」の朝は曇りです。外ではいつもの朝のようにキジやスズメが囀っています。昨日の朝は久しぶりにカモシカと遭うことができました。8時頃、車で「森びと広場」・松木沢に向かう途中、足尾三川ダム下にある駐車場付近に若いカモシカが歩いていました。一昨年は親子のカモシカと遭うことができましたので、その時の子供が乳離れしたのかもしれないと思いました。

P6080339_3  上の写真はドングリの殻です。2008年秋に蒔いたミズナラのドングリは昨年春に芽を出し、一年間このドングリから栄養を吸収してきました。そして今、ミズナラはこのドングリからの栄養補給を断ち切られ自分の根と葉で生きていく時季に入りました。300年以上も生き抜いてきたミズナラの子たちの乳離れということです。昨日はこの子たちが生きていくポット内の草取りと追肥そして撒水作業を行いました。

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2010年6月 7日 (月)

草木が競争している時季は忙しい?

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 夜10時、「どくだみ荘」の窓からはヨタカの囀りが聞こえています。今日は事務局スタッフの皆さんと草取りと追肥を行いました。3~4日前に降雨がありましたが苗床のポットは乾燥し土は白っぽくなっています。そんな中ポットの苗木と草は必死になって生きているようです。

P6060311  昨日はみちのく事務所の森づくり会場を訪れ、青木淳一当委員会顧問と土壌分解動物調査をしました。2006年から始まった植樹会場に生きる土壌分解動物と植樹していない同場所の土壌動物の採取を行い、土壌分解動物の働きの変化の有無を調べています。結果は「5年間の森づくり報告書」に開示していきます。

 一昨日は山形県米沢市に嫁いだ苗木を見てきました。昨年、ミズナラを中心に米沢に嫁ぐことができ他の地に根を張っているのかと心配でしたが、苗木たちは元気な若葉を出していました。雪が深い現地ですので背が高い苗木は雪の重みで根本から曲がっていましたが、私たちが育てた苗木は深い雪にも負けずに元気そうでした。

P6040263  酸性濃度が高い松尾鉱山跡地では酸性に耐えられる草と苗木が競争です。苗床でも、米沢市の植樹会場でも足尾の苗床でも競争です。植物社会でのこの競争は殺し合うというのでなく、主役と脇役を定め、互いに共生し合って生きていくための試練みたいなものでしょう。と言っても植樹した私たちにとっては大忙しの日々です。

2010年6月 3日 (木)

森に感謝する心は生活の中から醸成される

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 今日は山形県米沢市にいます。「5年間の森づくり報告書編集委員会」メンバー・神田大君とドッキングして、明日は私たちがそ育てた苗木が嫁き先の調査をします。昨日は新潟県上越市(JR信越線柿崎駅)に嫁いだ苗木を見させて頂きました。調査員は千葉理事と高橋副理事長、現地案内は森びとアドバイザーの竹内巧さんにお願いしました。

 昨日の天気は晴れ、竹内さんによると久しぶりの暖かさだと言っていました。JR直江津駅から車で20分程新潟方面に向かった所が2年前に嫁いだ苗木の植樹場所です。防風林として植樹されたようですが、現場に立って橋の上から植えられた場所を見ると全体として元気がない様でした。苗木は幅5㍍×長さ300㍍程の盛土に植えられていましたが、盛土は全体が砂であるためか元気がありませんでした。2年前の苗木は40㌢~50㌢程生長したミズナラやコナラでしたが、よーく見てみるとその苗木は10㌢程になっていました。これを見た私たちは原因が土と潮風にあるのではないかと思いました。

P6020208  昨夜は竹内さん宅(千葉理事は実家へ)に泊めて頂き、奥様の手作り山菜料理をご馳走になりました。竹内さん宅の裏山には杉とブナの森があり、ブナの森に祀ってあった祠の歴史などを聞いてきました。集落では今でも棚田が残され、ブナが貯えた水と栄養で美味しい米を作っていました。しかし現在は高齢化が進み、若者たちは集落を去ってしまって残っている棚田は随分少なくなった、と言っていました。冬の豪雪時には木を伐って炭を焼き、春には山菜、秋にはキノコなどの恵みを得ている集落の皆さんは森に生かされているのだということを実感しました。今年4月、このブナの森に感謝をするお祭りが今年も開かれました。アカショウビンの鳴き声を聴きながら豊かなブナの森に感謝しました。竹内アドバイザーご夫妻ありがとうございました。

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