人間の存在が自然環境を豊かにする社会を願う森作業
今年もいつも通りに足尾・松木沢に入る還暦世代と古希世代。暫くは気温が零下、寒風吹く荒廃地の急斜面をよじ登り、獣害防止の柵やネットをチェックする。薪ストーブの暖を気遣う者、ホットコーヒーや茶菓子を気遣う者、打合せの心を落ち着かせる者、家庭菜園の冬野菜葱をお裾分けする者が集う作業小屋。 何故、そんなに仲間たちを気遣い、集うのか、と聞こうとしてもその場にそんな雰囲気はない。そんなことよりも、打合せしたことをきちんと実行しようとする空気が漂う小屋の中。
17年前に植えた60㌢程の幼木が荒廃地を森に甦らせた。春には親子の熊が柔らかい若葉を食べて、昼寝する。時にはカモシカも柵を越えてやってくる。猿の群れも草を引き抜いて、根を食べることを子猿に教えている。
この森の木々も、100年後、200年後には、多くの生きものたちの棲み処となり、メニュー豊富な食堂になる。異常気象の大雨も木々が地中に溜め込み、時間をかけてミネラル豊富な水を松木川に、渡良瀬川に、そして利根川から太平洋に流れ、命の源につながっていく。 地球から森作業を考えてみると、人間が負担をかけ過ぎている地球へ僅かな恵みを授けていると思いたい。多分、足尾の森づくりサポーターのシニアたちはそんな事を願って、ボランティアの恩送り作業を愉しんでいると思う。 足尾・松木沢の片隅では、今年も、私たちは森づくりを継続する。こんな私たちと、ボランティアの恩送りをたのしみたい方は「森びとプロジェクト」までご連絡ください。お待ちしています。
<新春・心のつぼみ>
廃村に 厳寒告げる イヌワシの舞 (宗雄)
杭を打つ カケヤの音が 霜溶かす (昭彦)
残していいのは足跡だけ 持ち帰っていいのは記憶だけ (勉)
逞しい ツララの力を 子の胸に(喜一)
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